2016年01月14日

市場の質が変わったことを認識すべき

もともとこのブログは拙書の読者の方々の一助になればと始めたものです。そこでしばらくの間(年前半くらい)は初心に帰って、拙書に補足が必要な場合のみ、更新していきたいと思います。

さて、年初から株価が暴落しています。この状況についてはすでに拙書で述べていますが、昨年の10月を起点に相場全体の質が変わってしまいました。よって、拙書『中原圭介の経済はこう動く(2016年版)』(2015年10月刊行)の228~230ページの文章を引用したうえで、少し補足を加えさせていただきたいと思います。

(以下、『中原圭介の経済はこう動く(2016年版)』より引用)

チャイナ・ショックが起こった後でも、野村証券は2015年末の日経平均株価の見通しを、企業業績の拡大基調に変化はないという判断から、従来の2万1500円で維持するというレポートを顧客に送っているそうです。大和証券も2015年末の日経平均株価の見通しを、野村証券と同じ理由から2万2000円に据え置いています。

もちろん、両社の株価見通しの前提には、日銀の追加緩和という株価刺激策が入っておりません。果たして、本当に株価が2万1500円や2万2000円に達するということはありえるのでしょうか。

米国で利上げが2015年12月に行われれば、株価は2万円の回復どころか1万9000円の回復も難しくなりかねないですし、利上げが2016年に先送りになったとしても、米国や中国の経済減速がじわじわと世界の経済や株価にダメージを与えていくことになるでしょう。

そのうえ、ドル円相場が円高基調に転換するのであれば、株価は2015年9月の暴落時の安値1万6901円を下回ることも考えられるでしょう。株価収益率が14倍~15倍に下がったからといって、株価が割安になったという判断は、所詮は、過去を基準にしたものにすぎないのです。米国と中国の経済減速の前では、現時点の株価収益率などは当てにしてはいけないのです。

そういった意味において、過度な円安の水準訂正が起こると予想する2015年10月~2016年3月のうちに、日経平均株価は下降トレンド入りが鮮明になる可能性が高いといえるでしょう。

日本株が再浮上するために残された唯一の手段は、日銀の追加緩和をおいて他にはありません。その証左として、株式関係者の間では日銀の追加緩和に対する期待感が非常に高まってきています。

しかし、事態はそんなに単純ではないように思われます。日銀の追加緩和に対して、政府内では否定的な見方が増えつつあるからです。

かつては「リフレ万歳」だった政府が、物価上昇に賃金上昇が追い付かず、消費の拡大を妨げているという現実を直視するようになったのは、大いに評価できることだと思います。しかしそれは、投資家にとってはリスク管理をいっそう強めなければならない結果となりそうです。

(引用終わり)

実際にこの文章を書いたのは2015年9月になりますが、それ以降の数か月の市場を見ていて、考えが変わったところがあります。それは、東洋経済オンラインの連載(1月7日の記事)でも述べましたように、市場の構造が変質してしまったことにより、日銀の追加緩和を完全に織り込んだとしても、日経平均株価が20000円を回復するのは難しいということです。

「昨年3月のECBの量的緩和以降の株価上昇」と「昨年10月以降のECBの追加緩和観測による株価上昇」のあいだで明らかに異なるところがあります。それは、昨年3月の量的緩和開始後では長期および短期の双方の投資家が株式の買い増しを進めていたのに対して、10月以降の追加緩和観測では短期の投資家しか積極的に株式を買い進んでいなかったということです。

株高が生命線の安倍政権は、今のような株価があと2カ月も続くようなことがあれば、追加緩和への否定的な見解を撤回して、再び日銀に追加緩和の催促を打診する可能性が高まっていくでしょう。しかし、昨年10月のECBの追加緩和を教訓にするならば、日銀の追加緩和が決定したとしても、日経平均株価は1000円~2000円しか上昇しない可能性が高まっているわけです。

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keizaiwoyomu at 08:36│市場分析 
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