その他

2018年08月20日

AIの恐るべき進化を考える

AI(人工知能)の進化がとてつもない速度で進んでいる。すでにアメリカでは「戦略図を描ける」コンサルタントでさえ花形職種ではなくなろうとしている。AIが一段とパワーアップした新たな社会に移行するまで残された時間は5年ほどしかないという。ではわれわれはどうすればいいのか。元富士通総研会長の伊東千秋氏との対談をお送りする。

この続きは、8月20日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

※連載コラムのタイトルは編集者の意向で変わるケースがございます。ご了承ください。


  ←応援クリックお願いします!
keizaiwoyomu at 09:11|この記事のURL

2018年07月05日

北関東の魅力度ランキングが低いわけ

読者の皆さんはご自分の住まいや故郷の「ブランド力」にどの程度関心をお持ちでしょうか。ブランド総合研究所の「地域ブランド調査2017」によれば、78の調査項目のなかで最もメディアに注目されている「都道府県・魅力度ランキング」では、北海道が9年連続の1位に輝いています。

一方で、不名誉にも茨城県は5年連続の最下位となっています。テレビやインターネットなどのメディアは「結果のみを伝えておしまい」という報道をしているため、「このランキングが本当は何を意味しているものなのか」、きっと知らない方々も多いことでしょう。

この続きは、7月5日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

※連載コラムのタイトルは編集者の意向で変わるケースがございます。ご了承ください。


  ←応援クリックお願いします!
keizaiwoyomu at 10:10|この記事のURL

2018年04月10日

返済計画が杜撰な住宅販売の現場

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズが経営破たんしました。金融の知識を多少なりとも持っている者にとっては、同社のビジネスモデルが早晩行き詰まるだけでなく、多くの自己破産者を出すことになるだろうということは、いたって常識的なシナリオでした。

東洋経済オンラインの連載でも、過剰な不動産融資が孕む問題点はサブリースの難点も絡めて何回か述べているので詳しい説明は割愛しますが、シェアハウスの所有者の大半を占める30代~50代の会社員に対して1億円超の融資をしたスルガ銀行が批判されるのも当然のことでしょう。

しかし、大手のハウスメーカーも本質的には同じようなことをやっています。通常、住宅購入者に対する銀行融資は年収の5倍程度がぎりぎりの許容水準のはずですが、大手のハウスメーカーではこの水準を超える返済計画書を提案し、銀行はその融資を実行しているという事例があまりに多いのです。

私がいちばん直近で聞いた事例では、年収の10倍もの融資を受けて住宅を買った人がいるといいます(メーカーはセ〇〇〇ハイム、融資は北〇銀行)。知識のない購入者に年収の10倍もの借入れを勧めるのは、その購入者に将来自己破産者になれといっているようなものです。

目先のノルマや利益のために、メーカーも銀行もモラルが崩壊してしまっているように思われます。監督官庁による早期の是正措置が求められますが、このまま放置したら大きな問題に拡大していくのは必至でしょう。


  ←応援クリックお願いします!
keizaiwoyomu at 10:50|この記事のURL

2017年11月17日

『経済はこう動く』を書かなかった理由など

私は昨年12月のブログにおいて、『経済はこう動く』 はもう書かないと宣言いたしました。その理由というのは、トランプ大統領の誕生とトランプ・ラリーをまったく予測することができなかったからです。

その後、出版社からは「今年も書いてほしい」という依頼を度々受けましたし、一部の読者の方々からも「今年も読みたい」という多数のメッセージを受け取っていますが、私の書かないという意志は固いのでご理解いただければと思っております。

今年に入ってからは、市場の予想について述べるのは、講演(セミナー)などに限定させていただいております。私の話をお聞きになりたい場合は、必ずしも当たるというわけではありませんが、1年に2回~3回を予定している一般向けのセミナーにいらっしゃっていただければ幸いです。

先日の日産証券のセミナーでは新たな試みとして、株式の売買方法や銘柄の選別方法についても初めて述べさせていただきました。日経平均が14連騰中であったことから、強気な見通しを述べることはできませんでしたが、それでもたいへん好評だったとお伺いしております。


  ←応援クリックお願いします!
keizaiwoyomu at 14:53|この記事のURL

2017年03月17日

歴史から学ぶ中間層の重要性(後編)

世界の歴史を遡ってみると、かつては軍事・経済・文化で繁栄を誇った国々の多くが、中間層の疲弊・没落をきっかけにして衰退や滅亡の道を辿って行きました。そこで今回は前編の古代ギリシャの事例に続く後編として、古代ローマ帝国の歴史を振り返ることによって、現代社会における「中間層の重要性」を見ていきたいと思います。

世界の古代史のなかでも最も有名なローマ帝国の始まりは、紀元前6世紀の初め頃に、ラテン人の一氏族が現在のイタリア・ローマの地に建国した都市国家でした。当時のイタリア半島には、ラテン人の諸族の国家のほかに、北部に先住民族のエトルリア人の諸国家、南方の沿岸部にはギリシャ人の諸植民市がありました。ローマはそのうちの小さな国家のひとつにすぎなかったのです。

それでは、なぜローマは大帝国を築くことができたのでしょうか。それは、イタリア半島の風土や気候がギリシャとほぼ同じであったからです。ローマ人はギリシャ人と同じように、貴重な特産物であるブドウ酒とオリーブ油をユーラシアの内陸部へ出荷し、その代わりに大量の穀物や貨幣を手にするようになったのです。その結果、ローマの農民はギリシャの農民と同じく、中小農民と呼ばれる富裕な農民となっただけでなく、武具(兜、鎧、盾、槍など)を自費で賄う重装歩兵にもなりえたというわけです。

この続きは、3月17日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

※連載コラムのタイトルは編集者の意向で変わるケースがございます。ご了承ください。


  ←応援クリックお願いします!
keizaiwoyomu at 08:47|この記事のURL

2017年03月09日

歴史から学ぶ中間層の重要性(前編)

歴史を振り返ってみると、かつて軍事・経済・文化で隆盛を誇った国々の多くが、中間層の没落をきっかけとして衰退し、最後には滅んでいきました。そこで今回は、歴史から中間層の重要性を学ぶために、都市国家として栄えた古代ギリシャの事例を見ていきたいと思います。

ギリシャの気候は、夏は暑く乾燥し冬には少量の雨しか降らない地中海性気候に属しています。おまけに陸地には山が多く、大河や平野に恵まれていないため、穀物の生産には適していません。しかし、この地理的特性は、オリーブ・ブドウなどの果樹栽培や羊の牧畜には適していました。

ブドウ酒やオリーブ油は、作るのに特別な風土と技術を必要としただけでなく、貯蔵がとても簡単だったので、瓶に入れて長期のあいだ保存することができました。そのまま遠く離れた国や地域に運搬することができたため、ギリシャの特産物として高価な貿易品となりえたというわけです

この続きは、3月9日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

※連載コラムのタイトルは編集者の意向で変わるケースがございます。ご了承ください。


  ←応援クリックお願いします!
keizaiwoyomu at 08:52|この記事のURL

2016年12月30日

2016年の最後に思うこと

拙書 『ビジネスで使える経済予測入門』 から言葉を借りれば、私のこれまでの経験では、経済の予測のほうが市場の予想よりもかなり精度が高いことがわかっています。経済の大きな流れを外すことはほとんどなかったと思いますし、大きく外すという要素も市場の予想に比べれば、はるかに少ないという事実があるからです。

逆の見方をすれば、市場の予想のほうが経済の予測よりはるかに難しいし、市場の予想がぴったりと当たることは稀であるといえます。そういった意味では、経済の予測をするのにあまりプレッシャーを感じたことはありませんが、為替や株価の予想をする時はいつも 「外しはしまいか」 という懸念を持ちながら述べてきました。

過去10年以上を振り返って、私は経済の見通しを大きく外したことはないと思っております。しかし、市場の予想では今のところ、4年~5年に一回のペースで大きく見誤ってしまっています。まさに今回のトランプ・ラリーはまったく予想することができなかったので、 「大きな誤り」 の事例に当てはまってしまったのです。

今回のように市場が想定外の動きをした時に、差別化された 『経済展望レポート』 では上手く対処できるように戦略 (11月18日の記事参照) を構築しているので問題はないのですが、ブログや拙書ではその後のフォローを臨機応変にできる体制をとることができていません。大きな重圧を感じる主な原因は、まさにこの点にあります。

ですから、来年以降はブログや拙書などでは、市場の予想は一切しないという結論に達しました。『経済を読む』 というタイトルどおり、このブログでは経済の見通しだけを述べていくつもりですし、拙書 『経済はこう動く』 では市場の予想がいちばん求められていたので、もう書くことはないと決心しております。

それが、私なりのプロとしての責任の取り方でありますし、日頃から 「結果の検証をしないプロ」 への苦言を呈している自身の処し方であると考えております。(そう思う反面、いちばんの重荷を降ろすことができるので、少しほっとしているところもあります。)

最後に、経済と市場はまったく別物であり、トランプ次期政権になっても経済の大きな流れはあまり変わらないでしょう。長期金利の急騰によって、むしろ米国の景況感の悪化は少し早まるのではないかと懸念しているところなのです。


  ←応援クリックお願いします!
keizaiwoyomu at 14:22|この記事のURL

2016年11月02日

新刊PRのインタビュー

新刊 『経済はこう動く(2017年版)』 のPRも兼ねて、「美人すぎる金融アナリスト」として評判の三井智映子さんからインタビューを受けました。このインタビューも恒例となった気がしますが、今回も昨年のインタビュー時と同じように、経済を予測するポイントや今後の米国・欧州・中国・日本の経済動向について、東洋経済オンラインで3回にわたって述べていますので、興味がございましたらご覧いただければと思います。
(※オンラインのタイトルは編集者が決めておりますので、いちばん伝えたいことがタイトルになっているとは限りません。ご了承ください。)

第1回 2017年、世界を揺るがす「リスク」はあるか
第2回 2017年、欧州が世界経済の火薬庫になる?
第3回 マイナス金利で日本は空き家だらけになる

  ←応援クリックお願いします!

keizaiwoyomu at 09:03|この記事のURL

2016年10月20日

スペシャル対談:後編

前回に続き、野田一夫先生との対談になります。

「日銀の金融政策がなぜ失敗しているのか」について、多くのベンチャー経営者を育てた先生と意見が一致したことは、私が日頃から提唱している「経済を見る視点」が間違っていないという自信を持つには十分な経験となりました。

興味がございましたら、以下のリンクから対談をご覧いただければ幸いです。

【スペシャル対談】孫正義の師匠×経済予測のプロ:後編


  ←応援クリックお願いします!
keizaiwoyomu at 08:51|この記事のURL

2016年10月14日

スペシャル対談:前編

年に数回は一緒に食事をさせていただいている間柄の野田一夫先生と、「経済」をテーマに対談をしてきました。

私の世代では野田先生はあまり知られていませんが、ドラッガーを日本に初めて紹介した学者として、また、孫正義氏をはじめ多くのベンチャー経営者が師と仰ぐコンサルタントとして、年配の経営者には広く知られている偉大な方です。

とても刺激的な対談ができたのではないかと思っておりますので、興味がございましたら以下のリンクから対談をご覧いただければ幸いです。

【スペシャル対談】 日本に初めてドラッカーを紹介した学者 × 経済予測のプロ : 前編

  ←応援クリックお願いします!
keizaiwoyomu at 09:09|この記事のURL

2015年08月05日

本のタイトルだけで内容を判断なさらぬように

経済分野の記者や編集者から評価が高い拙書の一冊に『日本経済大消失~生き残りと復活の新戦略』(2012年12月刊行)があります。

この本の要旨は、

①家電メーカーの苦戦は続く
②自動車産業の隆盛は続く
③過度な金融緩和に頼ってはいけない
④成長産業の育成に力を注ぐべき

の主に4点です。全体として、成長産業を育成できれば、日本経済の将来は明るいという流れになっています。

安倍政権が誕生する前に書かれたものとして評価が高まっているのとは裏腹に、先日も「タイトルがすべてをぶち壊しにしていますよね」とある経済誌の記者から言われてしまいました。

このタイトルが決まった経緯を簡単に申し上げますと、当時、藤巻健史さんの『日本大沈没』という本が売れていて、担当編集者の上司の方から「何とか日本経済大消失で行かせてほしい」と押し切られてしまったのです。

こういうタイトルの本を出してしまうと、拙書を読んだことがない方々からは藤巻さんと同類と見なされてしまい、いろいろマイナスなことがあることも経験することができました。

今ではこの教訓を生かして、タイトルと内容があまりにも違う時は多少自分の意見を申し上げるようにしています。

  ←応援クリックお願いします!

keizaiwoyomu at 10:22|この記事のURL

2015年05月07日

「デフレ=不況」は歴史的事実を無視している(2)

前回の記事ではアンドリュー・アトキンソンとパトリック・J・キホーが2004年1月に発表した論文「デフレと不況は実証的に関連するのか?(原題 Deflation and depression:Is there and empirical link?)」を紹介しながら、歴史的な視点から「デフレと不況の関連性はない」ことを明らかにしました。

大恐慌以外のその他の時代をきちんと検証すれば、デフレと不況の関連性はまったくなく、デフレ期の89%は好況と重なっていたという事実が確認できますし、むしろ、インフレと不況の関連性のほうが高いという事実も明らかになっています。

アトキンソンとキホーの統計学的な研究に限らず、世界経済の歴史をもっと長い時間軸でさかのぼれば、デフレの時代のほうがインフレの時代よりもずっと長く、インフレのほうがマイナーな経済現象であったことがわかります。インフレになるのは戦争や財政難といった非常時であって、それ以外の平和な時代はデフレが通常の経済状態だったのです。

なかでもイギリスで産業革命が隆盛を極めた18世紀後半からの100年間は、技術革新による供給能力の飛躍的な進展が世界的なデフレをもたらしました。とりわけ19世紀後半の大デフレ期には、当時の主要なエネルギーであった石炭の生産が飛躍的に伸びました。いわゆるエネルギー革命が起きたからです。

そのため石炭価格は大暴落しましたが、逆に1人当たりの実質GDPや実質賃金は大きく伸びていきます。しかも、こうしたデフレの時代に平均寿命が大きく伸びるなど、人々の生活はそれまでより非常に豊かになったのです。人々は労働一辺倒の生活ではなく、生活を楽しむ余裕が生まれました。イギリスで大衆相手のエンタテインメント産業が育ち、全盛期を迎えたのもこの時代のことです。

アメリカでも1870年代~1890年代にかけてデフレの状態にありましたが、当時は活気に満ち溢れた時代であったと言われています。蓄音機や白熱電球、キネスコープなど新たな技術や発明が生まれ、工業の発展や資本の増大がもたらされたのです。石油王のジョン・ロックフェラーや鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーが事業を拡大し、現代のアメリカ経済の基礎を築いたのも、この時期のことでした。

デフレが強まることによって、景気回復を見事に達成した事例もあります。第一次世界大戦後の1919年~1921年のアメリカでは、戦争特需の反動で不況になり、デフレと不況が同時に起こります。失業率が15%を超える都市が出現するほどの大不況であったのですが、1921年にウォレン・ハーディングが大統領に就くと、大規模な財政支出の削減を行ない、物価下落はさらに進んだのです。しかし、物価の下落と連動するように失業率は半減し、景気は急速に回復に向かったわけです。

インフレ礼賛のアメリカにおいてすら、こうしたデフレ期の歴史と経験を備えているにもかかわらず、デフレを悪いことのように言い立てる経済学者は歴史を知らないのでしょうか。知らないとすれば勉強不足だし、知っていて隠しているのであれば、学問的態度をあまりにも逸脱しています。

「デフレ=不況」という誤解が広く常識として普及しているのは、バーナンキの考え方が色濃く反映されているからです。彼はアメリカの大恐慌の時期だけを見て、「デフレ=不況」と決めつけてしまったのです。大恐慌の時期だけでなく、少なくとも他の国々の不況時とデフレの関連性を調べる必要があったのではないでしょうか。

実のところ、これらの記事を書いた後に知ったことなのですが、私は国際決済銀行(BIS)が3月18日に公表した論文「デフレのコスト:歴史的な展望(原題 The costs of deflations : a historical perspective」の内容を知って、経済学の世界の古い体質が徐々に壊れつつあるという事実を実感することができました。この論文の中では、長い経済の歴史を検証したうえで、「デフレと経済成長率の関連性が低い」と、私の主張と同じ結論を導き出しているからです。

この論文をきっかけにして、アメリカ主流派経済学の唱える「デフレ=不況」という間違った学説について、正しい分析に基づく議論がされることを切に望んでいるところです。というのも、間違った常識を信じ込んでいた人々もそのような状況になれば、無理にインフレを起こすことがいかに愚かな政策であるのか、理解できるようになっていくと思うからです。

  ←応援クリックお願いします!

keizaiwoyomu at 09:51|この記事のURL

2015年04月28日

「デフレ=不況」は歴史的事実を無視している(1)

ベン・バーナンキは恐慌の研究では最も高名な経済学者の1人ですが、彼は大恐慌の時期のアメリカだけを分析して、「デフレ=不況」という誤った結論を導き出しました。歴史学の見地からすると、彼の結論は非常に稚拙なものであるわけですが、アメリカの主流派経済学ではそれが常識となってしまっています。

実のところ、アメリカの大恐慌だけでなく、他の国々の不況とデフレの関連性を調べてみると、多くの経済学者の思い込みを打ち砕く驚くべき事実を知ることができます。その模範的な研究として、ここではアンドリュー・アトキンソンとパトリック・J・キホーの2人が2004年1月に発表した論文「デフレと不況は実証的に関連するのか?」を簡潔に紹介したいと思います。

デフレ論文1

まず、上の図は何を表しているのかというと、1929年から1934年までの世界大恐慌時における主要16カ国の平均インフレ率と実質経済成長率をプロットしたものです。この図からわかるのは、世界大恐慌時には16カ国すべてがデフレを経験しましたが、そのうち8カ国が「デフレ」と「不況」を同時に経験し、残りの8カ国はデフレだけを経験していたということです。

アトキンソンとキホーによれば、景気後退の観点から判断して、この図からは「デフレ」と「不況」に関連性があるかどうかはわからないといいます。実際に彼らだけでなく、世界大恐慌の研究者のなかには少数派ではあるものの、バーナンキの研究結果に懐疑的に見解を持つ経済学者がいますし、この関連性がどのくらい強いかという点で、認識は決して一致していません。

そこで、アトキンソンとキホーは大恐慌に関する議論を進める中で、世界経済の歴史を俯 瞰することによって、デフレと不況の関係性の有無を見出せるのではないかと考えました。このような考え方は歴史学では当たり前の手法であるのですが、当時の経済学では革新的なものであったと言えるでしょう。

彼らは、世界大恐慌時を除いた1820年~2000年の非常に長い期間において、主要17ヵ国の各5年間平均の実質経済成長率とインフレ率をプロットしました。下の図はそれを示したものですが、この図からわかるのは、全595例(大恐慌の時期の5年を除く)のうちデフレの事例は73例ありましたが、「デフレ」で「不況」の両方を経験したのはわずか8例に過ぎなかったということです。おまけに、不況の事例は29例あったものの、そのうちデフレであったのは8例しかなく、インフレであったのは21例もあったのです。

デフレ論文2

デフレの事例の89%が不況どころか経済成長していたことを発見した彼らは、「大恐慌だけに限定せずに歴史的な文脈でみると、デフレと不況に関連性があるという観念は消えてしまう」と分析しています。

大恐慌以外のその他の時代をきちんと検証すれば、デフレと不況の関連性はまったくなく、デフレ期の90%近くは好況と重なっていたことが確認できるし、むしろ、インフレと不況の関連性のほうが高いという事実も認めざるをえないのです。

しかしながら、この貴重な論文は経済学のメインフィールドで日の目を見ることはありませんでした。デフレと不況のあいだには関連性がなく、インフレと不況の関係性のほうが強いとするこの論文が注目されなかったのは、経済学の権威に黙殺されたからに他なりません。

20年くらい前の日本の歴史学界にも「たとえ間違っていても、権威ある学者が提唱する学説が尊重される」という傾向がありましたが、さすがに今ではそのようなことはないと聞いています。アメリカの主流派経済学は、学問においては非常に遅れていると言えるのではないでしょうか。

  ←応援クリックお願いします!

keizaiwoyomu at 12:24|この記事のURL

2015年02月20日

経済を予測するポイントなど

新刊 『これから日本で起こること』 の出版を記念して、「美人すぎる金融アナリスト」として評判の三井智映子さんからインタビューを受けました。経済を予測するポイントや今後の日本の経済動向について、東洋経済オンラインで3回にわたって述べていますので、興味がございましたらご覧いただければと思います。

第1回 「これから日本で起こること」とは何か?
第2回 なぜ21世紀型インフレは人を不幸にするのか
第3回 なぜインフレよりもデフレがいいのか

  ←応援クリックお願いします!

keizaiwoyomu at 09:11|この記事のURL

2015年02月02日

この国は今、重大な岐路に立っている

私はこのブログでこれまで経済について語ってきましたが、今回に限っては鳥越俊太郎氏の文章を紹介し、日本が今、重大な岐路に立っていることを強く訴えたいと思っております。

(以下、鳥越俊太郎氏の文章より引用、原文のまま)

今日は本当に心重たい思いでこの原稿を書き始めなくてはならない。
イスラム国(ISIL) に囚われの身になっていた後藤健二さんがとうとう殺害されてしまったのだ。私は後藤さんには何としてでも生きて帰って紛争地の実情を他のメディアの伝えない市民や子供目線できちっと伝えて欲しかったのだ。
今朝からテレビを見ていると政府関係者の「このような行為は人間が行えるとは到底思えない残虐非道な行為です」(岸田外務大臣)「卑劣きわまりない行為に心から憤りを覚えます」(安倍総理大臣)などというコメントがテレビ上で次々と流されている。
私もイスラム国のやった行為には怒りを覚えるし、後藤さんのような他の戦場取材者とは基本的に違った視点で取材をしていた人物の喪失を心から悲しい,残念だと思う。
そうした点を強調した上で一連のテレビメディアが伝えない重要なポイントをここで指摘しておきたい。
私たちは後藤さんと言う具体的な1人の人物の死を悼んでいるが、あのシリアやイラクの戦場では戦闘で勿論多くの命が失われていることをもきちんと抑えておきたい。更に言えば後藤さんの取材した映像の中にも出て来るが、米、英など所謂有志連合の空爆で多くの市民も巻き添えになって家や財産だけではなく命もまた多くが失われている事実だ。その点ではイスラム国の戦闘員からすれば米、英国などの有志連合国は敵である。これはどちらに味方するのではなく客観的に見れば、テロリスト集団とされるイスラム国と有志連合は戦争中なのだ。
これが昨年来かの地で続いている現実なのだ。
そこに今年1月17日日本の安倍総理大臣は公然と割って入った。 「ISILと闘っている周辺諸国に2億ドルの支援をしたい」エジプト・カイロでの安倍総理の世界に向けてのスピーチだった。
このスピーチは日本とイスラム過激派との関係を根本から変える歴史的転換点だったと思っている。日本はこれまでイラクのサマワヘの自衛隊派遣やアフガン戦争でのインド洋上での給油など危険な綱渡りをして来たが、一国の総理が相手を名指しで発言することは無かった。今回ははっきりとISIL(イスラム国)と名指しをした。これが三日後に公表された湯川さん,後藤さんの捕虜になっている姿の映像でその意味するところがあきらかになった。映像に付けられたコメントにはハッキリと安倍総理の2億ドル支援発言を踏まえて身代金を要求していた。これはイスラム過激派が日本の首相の名前を挙げて非難する初めての出来事だった。
僕はこのとき「これはちょっとヤバいことになったなぁ!」と正直思った。
そして今日その僕の不安は現実のものとなった。
イスラム国のテロリストのコメントにはこうあった。
「安倍よ、お前の無謀な決断のために健二の命は失われ,今後お前の国民はいつ,どこでも殺戮の対象になるだろう」
テロリストが日本国に対し,あるいは日本国民に対しここ迄明瞭に殺害予告を出すのは初めてなのではないだろうか?
1月17日の安倍カイロスピーチを境に日本はアメリカやイギリス並みのテロ対象国になった瞬間だった。これが後藤さん殺害事件の裏にある重大なテーマだ。
そのことをテレビはどこも,誰も言及しようとはしない。
はっきりと言うと日本の地下鉄の中で自爆テロがいつか起こるかもしれない事態に日本人の環境は移行した、これこそが私たちが本当に警戒しなければならない現実なのだ。
https://www.facebook.com/shuntarou.torigoe.5/posts/785958718153794?fref=nf&pnref=story

(以上、引用終わり)

私も鳥越氏とまったく同じ考えです。

国際情勢が少しでも理解できていれば、この時期にイスラエルをはじめとした中東訪問などできるわけがないからです。今回の一連の事件を誘発したのは、明らかに首相の中東訪問とあの無神経なスピーチによるものです。

官邸は昨年11月には人質について知っていたというのですから、尚更、なぜこの時期に中東訪問を強行したのか、普通の教育を受けてきた私にはまったく理解ができません。

この事件を受けて、テレビや新聞のメディアとしての真価が問われていると思います。ここのところ、とくにテレビでは言論の自由が制限されていると感じているのは、私だけではないでしょう。

というのも、さまざまな政策に対して真っ当な意見を述べるコメンテーターほど、政府の要請を受けるかたちで排除される傾向が強まっているからです。もちろん、鳥越俊太郎氏もその一人ですし、経済の分野では五十嵐敬喜氏や上野泰也氏などもこれに該当するでしょう。

格差拡大をもたらすアベノミクスという経済政策だけでなく、国民の生命・財産を守るという観点からも、私は首相や政府に対して大いに失望しているところです。

政治とはいったい誰のために存在するのでしょうか?経済政策とは誰のために存在するのでしょうか?

戦争の悲惨さと深刻な格差をリアルタイムで知らない我々日本人の多くは、今一度、これらについて真剣に考え直す時期に来ているのではないでしょうか。

  ←応援クリックお願いします!

keizaiwoyomu at 11:33|この記事のURL
レポート配信履歴
7/13・7/30

8/14・8/30

9/14

※レポートが届いていない場合、ゴミ箱または迷惑メールBOXをご確認ください。