2005年10月20日

喫茶クラシックの雄姿〜中野徘徊・前編

かれこれ1ヶ月以上経ってしまったが、ミニコミ誌の委託のお願いを兼ねて、久々に中野へ降り立った。
店の入れ替わりはあるものの、いつ来ても変化を感じられない街の空気。中央線沿線でも他となんだか違う。新宿に近いからか?
とはいいながら、小さな変化が結構自分にとっては重要な意味をもっている。中野武蔵野館の閉館、ラーメン店『香門』の閉店。丸井の屋上も、未だデパートの屋上然とした姿を失いつつある(綿菓子を自作するマシンがあったり、年代もののピンボールなども見受けられたのだが)。

そんな中で、最も自分にとって感慨深いのが、喫茶クラシックの今年1月での閉店。
用事を済ませ、こちらは現在も独特のテンションを保つブロードウエイを巡った後、足早にクラシックへと向かう。商店街から入る場合、じゅうたんを売っている店が目印だったが、そのじゅうたんの姿もなくなっていた。
それでも感覚的にブロードウエイからの距離感をつかんでいたようで、すっと路地を入ると、確かに荒んではいるものの、半年以上経っているとは思えない程原型を留めた姿がそこにあった。

クラシック下クラシック上雨風であちこちボロボロ。中には猫が住み着いていた。
初入店からたかだか10年。この店の歴史からすればヒヨっ子である。しかしことあるごとに伺わせてもらった店で、しかもなにか重要な話し合いをするケースが多く、その一日一日が実に思い入れ深い。
あんなこんなを思い出しながら写真を撮り、さて帰ろうと再び商店街の方へ目を向けると、ある一人のオッサンがツカツカとこちらへ向かって歩いてくる。
いきなり年齢を聞かれた。どうも20歳そこそこに見えたらしく、思い入れもないのに写真を撮る若造が不思議だったようだ。
いわゆる町の話好きのオッサンで、俗にいう“つかまった”という状態だ。まぁしゃべるしゃべる。以前東池袋大勝軒前でもつかまったことがあり、巣鴨プリズンからベラベラとエンドレストーク炸裂だったが、虚実綯い交ぜの感はあるものの、こういうオッサン、嫌いではない。
特段急ぐ用もなかったので、そこそこまでは付き合うことに決めた。中でも興味深かったのが、このクラシックを人に譲る話があったということ。譲渡金がべらぼうに高く、かなり若い方だったそうで、断念せざるを得なかったという。金よりもこういった文化的遺産を残すことこそが、長い目で見たときの文化的な豊かさに繋がるわけで、それを踏みにじるような行政のあり方は云々・・・と、この手のオッサンお決まりのコースへと話は向かったのだが、思うに、オーナーは金がほしかったのではなく、1代限りの店にしたかったのではないだろうか。ボロボロの店ゆえ、手を加えねばならないし、店の人間が変われば店の空気も変わるものだ。そうではなく、あのクラシックのまま、人々の記憶に残しておく方を選びたかった故、買えそうにない金額を提示した気がしてならない。
このクラシックに思い入れがあるということは、音楽ジャンルもクラシックに興味があると思われたらしく、音楽の話へ。このオッサンは最初クラシックは門外漢だったようだが、この店に来るようになって興味を持ったという。他のジャンルなどへも人との出会いで広めていくことが大事なんだと語る中、突然、最近のカリスマ性のあるアイドルはなにかと聞かれた。あまり最近のポップスはわからないと答えると、そういうのも聴かないとダメだと説教された。加えて、このオッサンは知り合いに松田聖子のファンがいるらしく、初期の頃はよかったと言い出した。こういうオッサンは一見わけわかんないことをいっていると思われがちだが、時に非常に的を射たことをいう。なるほど、その通りだよ、オッサン!

日も暮れ始め、帰りたいオーラを出すことに努め、なんとか解放された。
「またいつか、どこかの街角で」
と別れを告げた。

さて、気分のいいところで、定食でも食おうか!

後編へ続く。。。

クラシック全景名曲喫茶クラシック
最寄駅:中野
料理:喫茶店
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:その他

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kekkojin at 19:57│Comments(8)TrackBack(0)この記事をクリップ! twitterでつぶやく町歩き・古建築・廃墟 

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この記事へのコメント

1. Posted by とりがみの兄貴   2005年10月21日 18:39
クラシック、閉店していたんですね。
私も数回前を通ったことはありますが、未入店でした。
どうも、喫茶店は不慣れなモンで(笑)
壁に蔦がからまり、でかい縦のネオンで”喫茶クラシック”でしたっけ? 
私の様な門外漢から見ると、ゴールデン街の潰れたバーの様な佇まいに
痺れますが、色々な思い入れのある店主殿は複雑な感慨でしょうねぇ。
こうなると「ラドリオ」、「ミロンガ」にトライしてみたくなります。
なくならないうちにですね。

で、オイラのカリスマアイドルは深キョンかな?
2. Posted by もさこ   2005年10月22日 10:40
クラシック、3年位前に一度連れられて行ったことがあります。
連れて行ってくれたおじさんの学生時代の思い出話を聞きつつ、お店の素敵さに(そしてあやしさに)非常にまったりしました。
また行きたいな、と思っていたのですが
閉店してしまったんですね。。。
いつかデートでいこうと思ってたのにー笑。
残念。

3. Posted by 店主   2005年10月22日 19:19
>とりがみの兄貴殿
そうそう、でかい縦のネオンです!
またクラシックとは違う趣で、「ラドリオ」「ミロンガ」は入りづらいですね〜
自分も流石にここは未踏です。
なんだか、テーマパーク的じゃない本当の大人の隠れ家って感じがします。
そろそろ「エリカ」も行っておかないと、もしかするかもって思ってます。

自分のカリスマアイドルは・・・家元??
4. Posted by 店主   2005年10月22日 19:21
>もさこさん
3年前とは、店の歴史から言えば閉める直前に行けたも同然! 3年前に2Fが崩落しててもおかしくないんですから(^_^;) ツいてますよ

一応、ここ出身の店というのがあるようですけど、それはそれ、別物みたいですね。
5. Posted by 古利根   2005年10月24日 09:24
何とも寂しそうな風景ですね…。
由緒ある店、愛されてきた店の閉店後の光景は、胸をしめつけられるものがありますね。
でも、その後、食べに行くか!っちゅーところが、お互い、笑ってしまいますね。
6. Posted by 店主   2005年10月24日 11:50
>古利根さん
気持ちが動くと、お腹も空きますよね(^_^;)
まぁ人間が一生のうちに、元気に食べられる食事の回数なんて高が知れてますから。
行ける時に行っておかないと・・・って経験を古利根さんも沢山されてると思います。
つらいところですよね。
7. Posted by なお   2005年10月25日 12:47
クラシック、、、懐かしい。
かれこれ十年程前に、当時好きだった人にデートで連れて行かれました。おもいっきり消防法シカトしたつくりで、飲み物まずくて、レコードの針はとぶし、でも大好きでした。あと、トイレの落書きすごかったな、、、
8. Posted by 店主   2005年10月25日 16:26
>なおさん
クラシックをデートに使うとはこれまた!
でも誘う側としては踏み絵になりますね〜
飲み物といえば、オレンジジュースは凄まじかったですよ。
蛍光!ってくらいなドギツいオレンジ色で
まさに喫茶遺産でした。

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