かれこれ1ヶ月以上経ってしまったが、ミニコミ誌の委託のお願いを兼ねて、久々に中野へ降り立った。
店の入れ替わりはあるものの、いつ来ても変化を感じられない街の空気。中央線沿線でも他となんだか違う。新宿に近いからか?
とはいいながら、小さな変化が結構自分にとっては重要な意味をもっている。中野武蔵野館の閉館、ラーメン店『香門』の閉店。丸井の屋上も、未だデパートの屋上然とした姿を失いつつある(綿菓子を自作するマシンがあったり、年代もののピンボールなども見受けられたのだが)。

そんな中で、最も自分にとって感慨深いのが、喫茶クラシックの今年1月での閉店。
用事を済ませ、こちらは現在も独特のテンションを保つブロードウエイを巡った後、足早にクラシックへと向かう。商店街から入る場合、じゅうたんを売っている店が目印だったが、そのじゅうたんの姿もなくなっていた。
それでも感覚的にブロードウエイからの距離感をつかんでいたようで、すっと路地を入ると、確かに荒んではいるものの、半年以上経っているとは思えない程原型を留めた姿がそこにあった。

クラシック下クラシック上雨風であちこちボロボロ。中には猫が住み着いていた。
初入店からたかだか10年。この店の歴史からすればヒヨっ子である。しかしことあるごとに伺わせてもらった店で、しかもなにか重要な話し合いをするケースが多く、その一日一日が実に思い入れ深い。
あんなこんなを思い出しながら写真を撮り、さて帰ろうと再び商店街の方へ目を向けると、ある一人のオッサンがツカツカとこちらへ向かって歩いてくる。
いきなり年齢を聞かれた。どうも20歳そこそこに見えたらしく、思い入れもないのに写真を撮る若造が不思議だったようだ。
いわゆる町の話好きのオッサンで、俗にいう“つかまった”という状態だ。まぁしゃべるしゃべる。以前東池袋大勝軒前でもつかまったことがあり、巣鴨プリズンからベラベラとエンドレストーク炸裂だったが、虚実綯い交ぜの感はあるものの、こういうオッサン、嫌いではない。
特段急ぐ用もなかったので、そこそこまでは付き合うことに決めた。中でも興味深かったのが、このクラシックを人に譲る話があったということ。譲渡金がべらぼうに高く、かなり若い方だったそうで、断念せざるを得なかったという。金よりもこういった文化的遺産を残すことこそが、長い目で見たときの文化的な豊かさに繋がるわけで、それを踏みにじるような行政のあり方は云々・・・と、この手のオッサンお決まりのコースへと話は向かったのだが、思うに、オーナーは金がほしかったのではなく、1代限りの店にしたかったのではないだろうか。ボロボロの店ゆえ、手を加えねばならないし、店の人間が変われば店の空気も変わるものだ。そうではなく、あのクラシックのまま、人々の記憶に残しておく方を選びたかった故、買えそうにない金額を提示した気がしてならない。
このクラシックに思い入れがあるということは、音楽ジャンルもクラシックに興味があると思われたらしく、音楽の話へ。このオッサンは最初クラシックは門外漢だったようだが、この店に来るようになって興味を持ったという。他のジャンルなどへも人との出会いで広めていくことが大事なんだと語る中、突然、最近のカリスマ性のあるアイドルはなにかと聞かれた。あまり最近のポップスはわからないと答えると、そういうのも聴かないとダメだと説教された。加えて、このオッサンは知り合いに松田聖子のファンがいるらしく、初期の頃はよかったと言い出した。こういうオッサンは一見わけわかんないことをいっていると思われがちだが、時に非常に的を射たことをいう。なるほど、その通りだよ、オッサン!

日も暮れ始め、帰りたいオーラを出すことに努め、なんとか解放された。
「またいつか、どこかの街角で」
と別れを告げた。

さて、気分のいいところで、定食でも食おうか!

後編へ続く。。。

クラシック全景名曲喫茶クラシック
最寄駅:中野
料理:喫茶店
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:その他

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