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埼玉のラーメン に参加中!
前回まる玉に引き続き、またまた父親ネタに付き合わせてしまって申し訳ない。今回は20年以上前から埼玉の行列店として君臨し、数々の弟子を輩出し、また近県にFC展開する青木亭の親元でもあるニューラーメンショップ・ドモンを取り上げるのだが、遡れば自分の食べ歩きの原点であり、小学生時分にインプリンティングされている味なのである。

ニューラーメンショップ ドモン
最寄駅:戸田
料理:チャーシューメン / 豚骨ラーメン
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:夕食



戸田には国道17号が二つあり、それぞれ中仙道と新大宮バイパスに別れているのだが、その間を渡しJR埼京線戸田駅を跨ぐ北大通りという車道路沿いにドモンはある。自分が始めて口にしたのが確か10歳の頃だから20年以上前だろうか、その頃の有名ラーメン店というのはタクシーの運転手が行く店と相場が決まっていて、環七など車の交通量の多い幹線道路沿いの店舗がTVなどメディアで紹介される例が殆どだった。
埼玉では幹線道路に行けばラーメンショップにぶつかると言っていいほど沢山あって、ドモンもそういた一派の一つで、この手の店の常套である豚骨醤油ラーメンでガッツリとした背脂などがかかるもの。分けても何故ドモンが有名店になったのか、これといった理由は見つからず、たまたまというしかないのだが、立地も然ることながらチャーシューに力を入れ、シャキシャキネギと合わせたネギチャーシューをプッシュしたのも大きな要因かもしれない。
このネギチャーシューはいつしか定番という名がつき、オヤジが一見の客に少しでも迷うと定番を薦める姿を良く見かけるようになった。そうだ、このオヤジのキャラこそがこの店の人気を今日まで支えてきたのかもしれない。他の追随を許さない独特のテンションで「おつり、ン十万円!」と古典的なギャグに始まり、1ロット5〜6杯のラーメン丼を準備し丼のフチをリズミカルに叩きながら踊るようにタレを入れ麺揚げをする。
父親は自営業のため自家用車で得意先に納品に回るのだが、美女木に出る際にこのドモンを見つけたらしく(実は同じ経緯で土佐っ子も行っていたことが後に判明する)、後に納品に同行させてもらった際にお昼ご飯を食べてくると母に行って、こっそり連れて行ってくれたのだ。初めて食べるラーメン専門店のラーメンの味、それが背脂こってりラーメンだったこともさることながら(こんなラーメン食ってたことが母にバレたらカミナリものである)、このオヤジのテンションは子供にとっては愉快で仕方がなく、外にはいろんな世界があるものだなぁと思った。
それからというもの時折父に連れて行ってもらったものの、成長すると自力で自転車で出かけるようになり、成人を迎えた後はドモン自慢の自家製チャーシューを1本テイクアウトし(これは青木亭にも継承されている)、手土産としてつかわせてもらったものだった。

そして暫くぶりに定番を食べにやってきたわけだが、昼に比べて夜は比較的好いているようで、10席ほどのL字カウンターには空席がありすぐに座ることが出来た。店内を見回すと変わった様子はなかったが1点、ず〜っと掲げられていたTVに出演した際の写真パネルが撤去されていた。
注文をしてすぐ鞄からカメラを取り出すと、やはりオヤジすぐに反応。
「おっ、いいカメラ持ってるねぇ」
別にいいカメラではないのだが、中古で激安で手に入れたなどと話を進めると、ニコンの1眼を15万で買ってこれが実によかったとだんだん舌が回りだしてきた。ここですかさず、10歳の頃にはじめてきて…という話を振ってみた。
「あの頃は混んでたでしょ? 今は暇でビックリしたんじゃない?」
今でも昼時は並ぶときもあるのは知っているが、10年くらい前までは行列していて食べるのに待つほどだった。その頃の話をしたのだが、途中オヤジさんが変わってないですねと振ってみたが、嬉しそうにはにかむもこちらの年齢を逆に聞かれ、その点については触れなった。
確かにカップルが後から入ってきては
「8時になりましたラーメンの時間です」
「ご注文、まずはレディーファースト」
「次いで大統領!」
彼氏が何で大統領かって顔していると
「ファーストレディーは大統領婦人!」
と調子は相変わらずなのだが、ラーメンを作る動きは、湯切りなどハデではあるが踊るような軽やかさはなくなっているし、なにより顔に年輪を重ね、20年という歳月を感じずにはいられなかった。なんだかソコハカとなく切ないものを感じた。

そんなことを思っていると、
「はいペンタックスのオニイチャン、日本一おいしいラーメンが出来ました」
…オリンパスなんですけど、なんてツッコミ不用。
定番小¥800!

おおっ!スープが黄色い! 醤油ベースの白濁スープに背脂だから黄色く見えて当然だが、多くのラーメンショップや青木亭でも色的に黒が強いというか、ダシが出てなくて薄い印象が強いのだ。ドモンはどうだったかどうしても確かめたかったのでこの透明感のない色合いにニンマリ。早速スープを啜ると、おおっ、豚骨や野菜と思しきダシがやや煮詰まった感がなくもないがしっかりと出ている。背脂だけでなくスープ自体にトロみを感じる。背脂ラーメンとは言いがたいほどしかかかってないが、それでも十分満足感のあるスープだ。やはり甘みがあって、子供の頃に旨いと思った感覚は間違ってなかったようだ。
ドモンのチャーシューは脂身多めと赤身メインの2種あるのだが、今日は赤身で個人的にはハズレ。ドモンのチャーシューは脂身のブリブリ感がたまらないのだ。しかし今の自分の年齢にはこれだけの濃度のスープには赤身の方が食べやすい。薄めに切られているとはいえ5枚もあるのだ。青木亭だとチャーシューの当り率が高いのだが、ドモンでは味わいたければ持ち帰りで堪能した方が良さそうだ。
ラーメンショップ系の中太麺は茹で過ぎるとグデングデンで美味しくないのだが、ここは硬めじゃなくてもハリが残っていて、スープとかき混ぜて適度にグチャグチャにして食べられる。甘くてグッチャリしたところに辛めのネギがアクセントとなる。ネギ本来の辛みが結構残っていて筋張って正直辛過ぎる位なのだが、不思議とこのラーメンには欠かせないほどマッチしていて、先の大統領カップルなどはWネギオーダーである。
小でも麺は140gくらいあるのかなぁ、ラーメンとしては決して多くないが、チャーシュー5枚にネギにこのスープだと完食すればもうお腹一杯である。

今流行りの味でもないし、こだわりでガチガチのものでもない。でもこの1杯で20年以上続く力のある味で、誰がなんと言おうと自分にとっては何ものにもかえられないものなのだ。わざわざ騒ぐ程でも遠くから赴くものでもないかもしれない。しかし自分にはわざわざ行きたい、いや帰りたい味であり、そうさせるのはいろいろ食べた今でも十分美味しいと思えるだけのものがあるからだ。
素直においしかったと告げて帰ろうとすると、オヤジは完食した丼を見て、
「全部食べてくれたの? また来てね!」
といってくれた。自分もまた来ますと返して店を後にした。うまいッス。ごちそうさん!

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