特集が終わって息切れしたつもりはないのだが、いやはや更新が滞り申し訳ない。
所用で最近、久々に吉祥寺へ赴いたのだが、その件は改めて記すとして、今回は過去幾度となく吉祥寺へ来ているのにお初となった、一二三!

この店は元々フードプロデューサーである匠ゆうじ氏の店で、だいぶ前から工藤氏が切り盛りしている。
匠氏といえば、素材にこだわったデータ分析系ラーメンの魁のような存在で、ラーメン店に限らず飲食店の再生に携わる仕掛け人として、一時よくメディアで目にしたものだった。メディアはより新奇なるモノを求めてか、暫くしてラーメンの鬼こと佐野実氏にその出番を取って代わられた印象があるが、その後もフードプロデューサーとして忙しく活動されていたようだ。現在もそのようなポジションにいるのだろうか?
自分が匠氏を知ったのはTVチャンピオンのラーメン職人選手権だったが、それと連動するかのように、ラーメン博物館で期間限定「幻のラーメン「匠」」が提供された。ミーハーな自分は早速食べに行ったのだが、今、ラー博のサイトを見て吃驚!? 97年3月〜9月! あれからもう10年という月日が経とうとしている。10年も似たようなことやってんだなぁと。う〜む。

一二三外観一二三
最寄駅:吉祥寺
料理:醤油ラーメン
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:昼食



で匠氏の絡んだラーメンとの10年ぶりの邂逅と相成るわけだが、噂には聞いていたからわかったものの、凡そ営業しているとは思えない外観。今年に入って鶯谷の遊といい、やってなさそう系(勝手に命名)が続くなぁ。しかし怯むことなく、匠氏の意思を受け継ぎ、高レベルを維持し続けていると囁かれ続けている工藤氏のつくるラーメンに期待し、いざ店内へ。
カウンターのみ変則的に蛇行して伸びるカウンターは10席ちょっとか。ピンスポット以外、極端に照明を廃して暗く、なんと厨房も客席同等に暗い。店内のトーンが大理石調を思わせるもので統一され、まるでスナックのランチタイムに紛れてしまったようだ。
暗くて詳細は判別できなかったが、外観からも窺えるように、見える範囲のアチコチに麺箱やらなんやらが置かれていて、非常に煩雑な印象は拭えない。以前なにかのTV番組で、匠氏は客から見える位置のものの取扱について、ダメ店主をしかっていたのを記憶しているが(確かうどん屋でストックのうどんを東京都指定のゴミ袋に入れていたのを注意されていたような)、こういう部分まで匠氏の目が離れているということなのだろうか(※一応フォローしておくと、所謂終わってる店のようなコ汚なさはない。きれいにはされている。ただ暗いので置いてあるものが余計煩雑なイメージを与えてしまうのだろう。これはこれで落ち着く感じ)。

工藤氏の手により、ひと玉ひと玉軽量された黒みを帯びた麺が丁寧に時間をかけて湯がかれる。
そしてやってきました、一二三そば¥900!
一二三そば
10年前の匠らーめんを髣髴とさせるフェイス。見た目だけではまさに蕎麦! 表面の透明な油分の見た目と香り、そしてチャーシューの存在がラーメンであることを主張している。
その油だがスープ自体が所謂ガツンなインパクトとは真逆だからか、スープを啜るとかなりの主張を以て出迎えてくれる。ラーメンとしてのスープの飲みやすさを現しているのだろう。飲み進むと次第にスープの輪郭があらわになる。昆布メインらしい魚介ダシの風味が感じられるのだが、さらに飲み進むと動物系(鶏と思われる)の芳醇な味わいがジワジワと口中を支配してくる。おおっ、これは相当にダシが出ているなぁ。清湯の鶏ダシというと、変な酸というか、妙なキツさが際立ってしまうケースをこれまで何度か経験してきたが、ここのは非常にまろやかで、尖った感じがまるでない。ホンワリとしていて、飲んでいて幸せを感じてしまうほど。
麺はゆるやかにウェーブがかっているが、啜ってもその形状がキープされていると思うほどゴワッとしたもので、粉の風わいが熱いスープに混ざって適度に鼻に抜ける。粉のゴリ押しという感じではなく、バキっとした食感を微かに残しつつ、主張しすぎないバランスを保っている。
具の茎ワカメもスープを邪魔していないのは素晴らしいのだが、敢えて苦言をいわせてもらえばチャーシュー。確かに小さくて薄い。でも問題は別にある。味わいそのものに乏しいのだ。スープを邪魔しないとかいうレベルではない。噛むと中が半生のような感じが微かに感じられなくもないが、フレッシュでない臭いも若干するのが気になる。10年前に食べた匠らーめんでは炙りチャーシューを使っていてそれが売りだったようなものだから余計に寂しさを感じる。これだったらムリにラーメンを演出せず、チャーシューなしでもいいんじゃないだろうか。
演出ということでは油もそう。香りがついていて、この味わいがこのスープにはうるさすぎる。ただ、ここの加減はラーメンであるかどうかという印象を左右するもので、店の側でも絶対に苦労されている部分のはずだ。ここを抑えてしまうのは少々マニアックすぎるのだろうか。

いろいろ生意気なことをいってしまったが、欲が出るほど魅力的で他にない味わいであることに間違いはない。ラーメンとしては確かに高い価格だが、このまろやかスープなら納得。個人的には限定メニューなども面白そうに思える味だった。
いやはや、行こうと思っていた店にはいつになっても行ってみるものだ。おいしかったです。こちそうさまでした〜

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