一時東村山に住んでいたときがあるのだが、この地を去ってみると後悔することばかりで、思い出すたびに凹んでしまう。
いや、個人的心象の話ではない。本場の味を久留米から移ったブリヂストンの為にオープンされたいしも、この地を去るほんの1ヶ月ほど前に知るところとなったし、狼煙屋テルメ小川大学ラーメン・・・みんな自分が去ってから出来やがって!!
そんな中、最も自分の無知を悔いてやまないのが武蔵野うどんである。その存在を知ったのはつい最近のことで、食べたのもつい昨年のこと。しかも池袋と未だ本場の味を知らずして、その讃岐とは違う独特の強い食感に感動しうちひしがれている自分が嫌になった。
いつか喰ってやる!となんとか機会を見つけ突撃したるは、武蔵野うどん老舗の1軒、きくや!

きくや廻田町外観きくや
最寄駅:武蔵大和
料理:うどん / その他郷土料理
採点:★★★★★★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:昼食



幾つか挙がった候補の中で、ここきくやは数店舗支店を持つということで敬遠しようと思ったが、写真でみるその佇まいに引かれたのと、多くの武蔵野うどんの店が昼過ぎに売切仕舞いをするので、この日のルート上、多摩湖自転車道脇にあるという立地から選択することとなった。
きくや廻田町内外観ちょい田舎の車道路沿いにある昔ながらの飲食店といった空気が店内からトシちゃんよろしくビンビン伝わってくる。ちょうど昼ピークで外に待ちも出来ている。近所の役人のようなイデタチ数名。店内には家族連れもいる。さして待たずに入店すると、従業員はオバチャン然としてハキハキと動き回っている。
事前情報としてオバチャンを呼び止めないと注文に来てくれないそうだが、この日は平日で少しはユトリがあったのか、他の家族連れには注文を取りにいっていた。ここはうどんの玉数でオーダーするようになっていて、一般的なLLで汁椀小盛4玉分とのこと。その上に3L(スリー)4L(フォー)と続く。これにプラスして、汁を武蔵野うどん定番の肉汁にするか、かき揚げ付きにするかで、オーダーが決まる。当初連食を予定していたので天ぷらいらねぇやと思っていたのだが、予めプリセットされたメニューが手書きで店内に掲げられており、ざっとみたところ肉汁には天付の表記しかみられなかった。忙しいところ問うのもなんなんで・・・

LL肉汁天付@きくや廻田町LL肉汁天付¥550!

もう出てきた瞬間嫌が応にもテンションあげあげ! 肉汁はけんちんチックな豚で表面に煮込みで出た油が浮遊し、醤油ダレの臭いと共に立ち上がって鼻腔をくすぐられっぱなし。
うどんUP@きくや廻田町
そしてなんといってもうどん。なんなんでしょう、これは。地粉だそうだが、灰色がかってゴワゴワしてそうなのに、つややかにテカリさえ湛え、しっかりとしたエッジがある。瑞々しさを得て、てかった部分が灰色というよりもピンクに見えてくる。矢も盾もいられず麺のみ啜ると・・・なんなんじゃこりゃ〜!? 讃岐うどんのようなエッジからくる食感の口中快楽の後、食むと適度な弾力があり粘りを以て地粉のワイルドな風合いが口中に溢れ鼻に抜ける。決して硬くなく食べやすいのに食べ応えがある。まずい。まったく箸が止まる気配すらない。
肉汁@きくや廻田町肉汁がこれまた家庭的な味わいで、肉じゃが的醤油と油の甘みが溢れ、しかもあっさりとした仕上がり。うどんを浸すと粉と醤油と油が渾然一体となって独特の素朴ながらパンチのある味わいが出来上がる。かき揚げは作り置きのフツーのものながら、このうどんと、特に肉汁とマッチしていて、天ぷらの油が余計に食欲を増進させる。

なんという恐ろしいまでのコンビネーションだろう。それにましてこのうどん。さか枝で初めて食べた讃岐うどんに次ぐ衝撃だった。ラーメンと比較するのもなんだが、麺の進化著しい昨今、ある程度出尽くしたかなとは思っていたが、こういう麺を食べちゃうとジャンルこそ違え、まだまだ発展の余地はあるんだなぁと思った。ラーメンでいえば、このレベルで衝撃を受けたのって、長八@初石しかない。
都心からそう離れていない場所で、昔からこうした地うどんが打たれていたのかという感動と、もっと早く食べていればという後悔をムネに、店を後にした。
まだまだある武蔵野うどん、そして全国の麺類に希望を持って・・・檄旨すぎッス!ごちそうさん!

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