高校時代、大宮駅を利用していたのだが、東口駅前にデン!と構える大衆酒場がずっと気になっていた。しかしその頃はまだ枯れた味わいに気づかず、激安大衆中華「漫々亭」ですら食べられないほど懐具合が寂しかったので駅ナカの立ち食いそば店「多喜」(駅ナカそばとして超有名店だった)で月見うどんをリーマンに混じって啜っていた。あ、そもそも学生だから入れないか。
立ち食いそばとか大衆酒場に独特の偏ったニヒリズムを見出している節があって、特に酒場は『様(サマ)』にならないからと近年まで足を踏み入れずにいた。自分にとっての聖域だったのだが、まさかあの大宮駅前の暖簾を齢30を越したあたりで潜ろうとは、学生当時の自分が知ったら脳天唐竹割りだろう(意味不明)。
というわけで、居酒屋聖地巡礼、いづみや本店!
いづみや本店
評価:★★★★★★★★★★
営業時間等データ詳細は↑livedoorグルメへジャンプ!
外観は隣り合う第二分店の影でひっそりとしているが、入店した瞬間、うわぁ〜っと熱気が体中に入り込んでくるような、独特の空気で満ちている。昭和的というよりアジア的ですらある。深夜特急とか藤原新也『全東洋街道』とか。なんか、キケンなんですわ。なにかというわけじゃなく。

長いテーブルが縦に3筋、前後合わせて6本あって、取り囲むようにオッサンが座っている。通る場所がないほどに密集している。どうも奥っ側が常連席のようだが、あくまで大体といった風で、どこぞの喫茶店のように指定席にはなってない模様。ガンガン前に来て空いてる席に座るよう、店のオバチャンに促される。大宮競輪の流れをそのまま運んできたようなオッサンが前列で、入口付近は申し訳なさそうにホワイトカラーがチラホラ。
右壁際はテーブル席で、左側は壁に沿ったカウンター席。この壁際カウンターのオッサンがかなり力入っていて、前方テーブル席は酔ったオッサンでも陽気なのだが、壁際はドヨ〜ンとデンジャラスな暗雲が立ち込めている。うわぁ〜、本気と書いてマジですか。

その壁際にはメニューがズラリ。町屋ときわとかオオバコの大衆酒場でよく見かけるパターン。とりあえずコップ酒(二級)¥210と煮込み¥160(安杉!)で乾杯。
メニューが多すぎでナニがなにやら最初パニくるが、特に1級とかよくわからない。後日たまたま、なぎら健壱『東京酒場漂流記』を読んでいたら、これに関する記述が出ていた。昔は特級・一級・二級と区分されていて、特級には審査があり高い税率が課せられていた。審査を受けないものはすべて二級とされ、税金逃れで大衆酒場の多くは二級を扱っていたらしい。さすがいづみや、ここにはその名残が未だ残っている。しかし当日はそんなことは知らず、なんだろうねぇなんていっていたら、向かいのオッサンが「ここは二級しかないの、ねぇオネェサン?」というと、店のオバチャンはニコリと受け応えていた。え?一級って壁に掲げられてるやん!? でもみんな空いたコップを指差してなにも指定してないのに、ヤカンごと直で火にかけられた二級酒が注がれている。デフォがコレらしい。
この落合監督似のオッサンによると、ここは知らない同士が一人でやってきては、適当にその場限りのトモダチになっている。周りで話しているオッサンはダレも知り合い同士ではないとのこと。注文は混んでいてなかなか出来ないが、オバチャンにオネェサンと声かけすると比較的通りやすいらしい。たまに忘れられるので注文がこない時はガンガン声をかけたほうが良いそうだ。
みると何十人というオッサンのオーダーを2〜3人のオバチャンで受け、厨房のオヤジがキホン一人で全オーダーを裁いている。

人間業とは思えないが、この空気、このテンションだからこそ成立しているのだろう。オヤジの顔からは笑顔なぞ伺えようもなく、30倍機敏にしたC3POみたいに決まった動きをマッハでこなしている。
あ、味のレポを忘れた。

この煮込み、激安なだけあって量はそこそこしかないが、汁はとろんとして超濃厚。甘さとネギの辛みとのバランスが絶妙で、経験値が低いながら、今のところ一番好みの煮込み。学校の給食センターかってくらいの大鍋に大量にストックしてあり、ここはC3POの作業軽減に一役買っている。なお、煮込みの味も隣の分店とは違うらしい。
肉豆腐¥240も煮込みと並んで名物メニュー。
出てきた瞬間、噴き出しそうになってしまった。

すごい盛り付け。文字どおりの肉豆腐。見事に肉と豆腐だけ。つゆも真っ黒だが殆ど醤油。こんな潔いの初めてですわ。ちょっと味わいに乏しく好みではなかったのが残念。
そうこうしていると落合似のオッサンから差し入れが。ここにきたらコレを飲まなきゃという梅割り¥210とレバ焼き¥320(写真なくてゴメン)が。おもむろにオッサン、七味を掛け捲る。もうなんだかわからないくらい真っ赤。ここのは全然辛くないからコレくらいかけないとおいしくないらしい。この七味のいれもんが、カップ酒の空き瓶かナニかの蓋に穴開けただけのもんでステキ過ぎ。
これもちょうど『東京酒場漂流記』で知ったのだが、梅割というのは昔は居酒屋メニューの代名詞で、いまでいう本物の梅が入った梅酒ではなく、焼酎のストレートに梅エキスというなんだかアヤシイ液体をチョボンと垂らすとブランデーのような色合いになるという代物。ここでは既にエキスがブレンドされたものが一升瓶に入っていて、お代わりするとコップに一升瓶ごとコポコポとオバチャンが注いでくれる。これが妙にチープな味で、駄菓子魂に火がついてしまった。これウマイっすわ〜
レバ自体はまぁ標準的だったのだが、焼き具合がステキだったので、かしらととり皮串焼き¥320!


ちょっと焼けすぎな気もしなくないが、この焦げた部分がなんともいい。皮のプルプルの食感とタレの甘辛さのコンビネーション。カシラのガッツリとした肉肉しさ。なんてことない
串焼きなんだけど、なんでか無性にみぞおちにビターっとくるウマさ。
むしゃぶり食ってる間に落合似のオッサンは、さっきまで奥さんの話なんぞをしていたかと思ったらサラッと帰っていった。のんべぇが集う空間ながら、酔ってクダをまくことなく、サラッと帰っていく。この身のこなし、この手の店の好きなところだ。
料理の写真を持っていると、また別のオッサンから声をかけられた。「写真どんどん撮った方がいいよ。こういう店はもうないんだから。ここだっていつまであるかわからないよ。昔はいっぱいあったんだけどねぇ・・・」。聞くところによると、いづみやは川口にもあったらしい。ええ!? 今のFCだらけの駅前からは想像できないが、今あったらなんてステキにジャパネスク!悔やまれてならない。
最後は串かつ¥370とハムかつ¥300にライスをつけた。


ライスは200円程度だったか。定食は+400なので、これまで結構食べたこともありライスのみにした。
C3POの揚げ技術は焼きに勝るとも劣らぬもので、そんなに衣がボッテリとせず、結構あっさりと揚げている。中は当然アツアツで、しっかり男の子味に仕上げてきている。卒のないこと極まれり。
どれ食ってもこんなにウマイのに、オッサン連はみな口を揃えて、まずいだの、来てやってるだのいってはオバチャンにちょっかい出している。オバチャンもサラリと受け流す。この間がこの店を作り上げている。
それはそうなんだけど、こんなにウマイのをこの値段でしょっちゅう食べてるオッサン連はなんと贅沢、なんと幸せなことだろう。ついそんなに間を空けずに後日また来てしまったが(そんとき何故かとり皮がなかった。野菜炒めなど炒め物も絶品!)、誘う魔性の魅力をもっている。
ともあれ、この空間が可能な限り存続することを願うのみである。いやはや、ウマすぎた、ヤラレタ、ごちそうさん!!!!!!!!!!!
←クリック戴けると狂喜します
立ち食いそばとか大衆酒場に独特の偏ったニヒリズムを見出している節があって、特に酒場は『様(サマ)』にならないからと近年まで足を踏み入れずにいた。自分にとっての聖域だったのだが、まさかあの大宮駅前の暖簾を齢30を越したあたりで潜ろうとは、学生当時の自分が知ったら脳天唐竹割りだろう(意味不明)。
というわけで、居酒屋聖地巡礼、いづみや本店!
いづみや本店評価:★★★★★★★★★★
営業時間等データ詳細は↑livedoorグルメへジャンプ!
外観は隣り合う第二分店の影でひっそりとしているが、入店した瞬間、うわぁ〜っと熱気が体中に入り込んでくるような、独特の空気で満ちている。昭和的というよりアジア的ですらある。深夜特急とか藤原新也『全東洋街道』とか。なんか、キケンなんですわ。なにかというわけじゃなく。
長いテーブルが縦に3筋、前後合わせて6本あって、取り囲むようにオッサンが座っている。通る場所がないほどに密集している。どうも奥っ側が常連席のようだが、あくまで大体といった風で、どこぞの喫茶店のように指定席にはなってない模様。ガンガン前に来て空いてる席に座るよう、店のオバチャンに促される。大宮競輪の流れをそのまま運んできたようなオッサンが前列で、入口付近は申し訳なさそうにホワイトカラーがチラホラ。右壁際はテーブル席で、左側は壁に沿ったカウンター席。この壁際カウンターのオッサンがかなり力入っていて、前方テーブル席は酔ったオッサンでも陽気なのだが、壁際はドヨ〜ンとデンジャラスな暗雲が立ち込めている。うわぁ〜、本気と書いてマジですか。

その壁際にはメニューがズラリ。町屋ときわとかオオバコの大衆酒場でよく見かけるパターン。とりあえずコップ酒(二級)¥210と煮込み¥160(安杉!)で乾杯。
メニューが多すぎでナニがなにやら最初パニくるが、特に1級とかよくわからない。後日たまたま、なぎら健壱『東京酒場漂流記』を読んでいたら、これに関する記述が出ていた。昔は特級・一級・二級と区分されていて、特級には審査があり高い税率が課せられていた。審査を受けないものはすべて二級とされ、税金逃れで大衆酒場の多くは二級を扱っていたらしい。さすがいづみや、ここにはその名残が未だ残っている。しかし当日はそんなことは知らず、なんだろうねぇなんていっていたら、向かいのオッサンが「ここは二級しかないの、ねぇオネェサン?」というと、店のオバチャンはニコリと受け応えていた。え?一級って壁に掲げられてるやん!? でもみんな空いたコップを指差してなにも指定してないのに、ヤカンごと直で火にかけられた二級酒が注がれている。デフォがコレらしい。この落合監督似のオッサンによると、ここは知らない同士が一人でやってきては、適当にその場限りのトモダチになっている。周りで話しているオッサンはダレも知り合い同士ではないとのこと。注文は混んでいてなかなか出来ないが、オバチャンにオネェサンと声かけすると比較的通りやすいらしい。たまに忘れられるので注文がこない時はガンガン声をかけたほうが良いそうだ。
みると何十人というオッサンのオーダーを2〜3人のオバチャンで受け、厨房のオヤジがキホン一人で全オーダーを裁いている。

人間業とは思えないが、この空気、このテンションだからこそ成立しているのだろう。オヤジの顔からは笑顔なぞ伺えようもなく、30倍機敏にしたC3POみたいに決まった動きをマッハでこなしている。
あ、味のレポを忘れた。

この煮込み、激安なだけあって量はそこそこしかないが、汁はとろんとして超濃厚。甘さとネギの辛みとのバランスが絶妙で、経験値が低いながら、今のところ一番好みの煮込み。学校の給食センターかってくらいの大鍋に大量にストックしてあり、ここはC3POの作業軽減に一役買っている。なお、煮込みの味も隣の分店とは違うらしい。
肉豆腐¥240も煮込みと並んで名物メニュー。
出てきた瞬間、噴き出しそうになってしまった。

すごい盛り付け。文字どおりの肉豆腐。見事に肉と豆腐だけ。つゆも真っ黒だが殆ど醤油。こんな潔いの初めてですわ。ちょっと味わいに乏しく好みではなかったのが残念。
そうこうしていると落合似のオッサンから差し入れが。ここにきたらコレを飲まなきゃという梅割り¥210とレバ焼き¥320(写真なくてゴメン)が。おもむろにオッサン、七味を掛け捲る。もうなんだかわからないくらい真っ赤。ここのは全然辛くないからコレくらいかけないとおいしくないらしい。この七味のいれもんが、カップ酒の空き瓶かナニかの蓋に穴開けただけのもんでステキ過ぎ。これもちょうど『東京酒場漂流記』で知ったのだが、梅割というのは昔は居酒屋メニューの代名詞で、いまでいう本物の梅が入った梅酒ではなく、焼酎のストレートに梅エキスというなんだかアヤシイ液体をチョボンと垂らすとブランデーのような色合いになるという代物。ここでは既にエキスがブレンドされたものが一升瓶に入っていて、お代わりするとコップに一升瓶ごとコポコポとオバチャンが注いでくれる。これが妙にチープな味で、駄菓子魂に火がついてしまった。これウマイっすわ〜
レバ自体はまぁ標準的だったのだが、焼き具合がステキだったので、かしらととり皮串焼き¥320!


ちょっと焼けすぎな気もしなくないが、この焦げた部分がなんともいい。皮のプルプルの食感とタレの甘辛さのコンビネーション。カシラのガッツリとした肉肉しさ。なんてことない
串焼きなんだけど、なんでか無性にみぞおちにビターっとくるウマさ。
むしゃぶり食ってる間に落合似のオッサンは、さっきまで奥さんの話なんぞをしていたかと思ったらサラッと帰っていった。のんべぇが集う空間ながら、酔ってクダをまくことなく、サラッと帰っていく。この身のこなし、この手の店の好きなところだ。
料理の写真を持っていると、また別のオッサンから声をかけられた。「写真どんどん撮った方がいいよ。こういう店はもうないんだから。ここだっていつまであるかわからないよ。昔はいっぱいあったんだけどねぇ・・・」。聞くところによると、いづみやは川口にもあったらしい。ええ!? 今のFCだらけの駅前からは想像できないが、今あったらなんてステキにジャパネスク!悔やまれてならない。
最後は串かつ¥370とハムかつ¥300にライスをつけた。


ライスは200円程度だったか。定食は+400なので、これまで結構食べたこともありライスのみにした。
C3POの揚げ技術は焼きに勝るとも劣らぬもので、そんなに衣がボッテリとせず、結構あっさりと揚げている。中は当然アツアツで、しっかり男の子味に仕上げてきている。卒のないこと極まれり。
どれ食ってもこんなにウマイのに、オッサン連はみな口を揃えて、まずいだの、来てやってるだのいってはオバチャンにちょっかい出している。オバチャンもサラリと受け流す。この間がこの店を作り上げている。
それはそうなんだけど、こんなにウマイのをこの値段でしょっちゅう食べてるオッサン連はなんと贅沢、なんと幸せなことだろう。ついそんなに間を空けずに後日また来てしまったが(そんとき何故かとり皮がなかった。野菜炒めなど炒め物も絶品!)、誘う魔性の魅力をもっている。
ともあれ、この空間が可能な限り存続することを願うのみである。いやはや、ウマすぎた、ヤラレタ、ごちそうさん!!!!!!!!!!!
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玉ネギぐらい入れるがいいじゃねぇか。
オイラ的には「まくり一発・大本命」にハマリっす。
(まくり屋は本来、大本命にはならないんだけど)
そうかぁ。大宮競輪の反省会はここでやるべきだったのか。