最初に断っておくが、ここは温泉ではない。まぁ虚偽記載と言われても否定は出来ないだろうが、今日のようにアチコチにスーパー銭湯に温泉が沸くようになるより昔は、温泉成分の一つであるラドンを人工的に含有させたお湯に温泉と同等の効果があると銘打った保養施設が東京近郊に沢山あった。今ほど気軽に温泉にいけなかった時代、湯治の代替的ポジションとして賑わい、一種の娯楽としてその内宴会場が豪華さを増し、大衆演劇や演歌歌手の営業先として定着するようになった。
こうした背景から斯様な健康ランドの類は利用客の多くを高齢者が占める。リタイア後の時間やお金にユトリのある層を狙った経営と見て取れるが、いささか商売としては旧態依然としすぎ、本格的な温泉が低価格で楽しめるスーパー戦闘に圧され気味である感が否めない。そこでリニューアルを施し、岩盤浴やエステを併設する施設が台頭し、併せて低価格化も進んでいる。
スーパー銭湯は飽く迄お風呂を楽しむところであり、長時間の休憩滞在には向かいという性質があり、自分のような安く半日ダラダラしたい向きには、こうした健康ランドのリニューアル化という風潮は実にウエルカムなのだ。

しかーし、そんなもんはお構いなしにと、まぁ破格の安さだが、スタイルは昔のママを貫く健康ランドが現存している。それがココ、松戸ラドン温泉!

場所は松戸からバスで15分は進もうかという奥地に存在する。駅そばのイトーヨーカードー脇に送迎バスがやってくるのだが(てらっちょのほぼ目の前!)、平日の夕方なのに異様に利用客が多い。オジイはもとより自分より若いのもいる。よく会話を聞くと、日本語ではなかった。
バスは聖徳大学のある山を登る。このほぼ山頂に松戸中央公園があり、入口の門柱は、ここに嘗てあった旧陸軍工兵学校時代のもの【参照サイト】。ここから坂を下り、松戸駅の丁度反対側に出る。
まるで駅前の喧騒が嘘のように空が広い。主要幹線道路の他は田畑が広がっている。東京23区に隣接するエリアの中で他にここまで落差のある町を知らない。
バスは細い路地を進み、どこまで行くんだと不安になる頃、山の崖につくったような、地方の温泉旅館と見紛う建物が眼前に現れた。
正面入口@松戸ラドン温泉
そこの看板がイレブンフーズの如き赤地に白抜きという古めかしさで、東京の隣駅でありながら、来るところまで来たと言う感慨を覚える。

イルミ@松戸ラドン温泉松戸ラドン温泉【公式HP】
所在地:千葉県松戸市和名ヶ谷823
時間:10:00〜23:00
定休日:メンテ以外無休
採点:★は意味を成さない
参照サイト:@nifty温泉

夜にはライトアップされ、クリスマスでもないのにイルミネーションが輝く。
崖下には広大な駐車場が広がっており、
駐車場@松戸ラドン温泉
その一角にはなんとコイン精米所まである。
コイン精米所@松戸ラドン温泉
精米機@松戸ラドン温泉しかも三菱。コイン精米機まで作っていたのか三菱!

入口@松戸ラドン温泉入口はカラオケ大会の看板が立つ、いかにもな風情。
100円キャッシュバック式のスチールのロッカーに靴を預け、フロントでそのキーと脱衣場ロッカーキーを交換する。この時、受付のオバチャンに館内着とタオルセットはいるかと聞かれた。モチのロンというわけで、17時を過ぎると割引になる入浴料700円に、館内着セットで計900円かと思ったら、700円といわれた。あれ? 館内着コミコミの価格なのかと思ったら、他の客はセットなしで500円を払っている。え!? 入浴料だけだと500円かい!? 安すぎ! それでバスが混んでいたのか。この辺がバーチーやね。
んで、タオルと一緒に渡された館内着がなんと浴衣! あの、宴会で酔ったまま布団に入ると翌朝、必ずはだけてる、腰紐で結ぶアノ浴衣ですわ。健康ランドでは初体験。

館内は何処も蛍光灯が点いているのに薄暗い感じで、切れ掛かっているのかビリビリと微妙に明滅している錯覚を覚える。1Fはソファーのある簡単な休憩室に、自販機コーナーとカットサロンだったかな。この自販機の方が薄暗く、真裏がボイラー室かなって雰囲気。どことなくブーンと音が聞こえてきそう。
2Fにあがると浴室の入口。対面に喫茶コーナーとマッサージコーナー。このマッサージのところが部屋ってワケじゃなくて、フロアの隅のデッドスペースをカーテンで仕切っただけって風情。館自体は結構狭いとみた。
脱衣場は幅の狭いスチールロッカーとお約束。天井が低く、それは浴室にいってもいっしょ。これが妙なタイルパターンがあったりと場末感満点。清掃は行き届いているのだが、なんか伊香保とか鬼怒川とか、嘗て賑わった温泉地の空気を感じる。
でも閑散としているわけではなく、とにかくオッサンを中心に人は多い。洗い場は円形をしており、壁面に沿ってカランが並ぶ。中心部分の柱に囲むようにもカランはあったかな(この辺曖昧)。入口脇にサウナがあるでもないのに謎の水風呂が鎮座している。

洗い場に面してラドンの大きなガラス扉がやや曇っているのが見える。ここがなんと超人気で、オジイが寝転んで入る余地がない。ラドンの浴室はどこの施設のも隔離されており、独特のすえた様な臭いが若干漂う。やや湿度が高く、温度もヌルめなので長湯しやすいのだろう。昔から慣れ親しんでいるから人気なのか。
その隣には岩風呂の薬湯がある。緑茶色で濃そうだが、健康ランドに良くある、股間がキューッと痛くなるタイプではない。
この湯を跨ぐ様に橋が架けられ、渡ると露天スペースとなる。
中央に真四角の水風呂がある。隣には高温サウナ。この水風呂を見るだに、あの入口脇の水風呂はなんだったのかと問いたくなる。ちなみにサウナはやや小さめ。
で、この水風呂を囲むように露天岩風呂が広がる。しかしガラス窓に囲まれ、しかも湯気で曇ってるので、ぜんぜん露天じゃない。なのに薬湯からこっちのスペースは外気を感じるから不思議だ。どっか窓が開いてるのかな。その様子はないのだが。
で、この露天がスゴイ。ジャングル風呂状態。なんというか、ガラス窓に囲まれていることも手伝って、熱帯植物園の中に風呂がある感じ。熱帯植物独特の大きな葉の形状が恐怖感を与える。L字の浴槽の中央部には滝が流れるのだが、この滝を形作る岩の間に石造りの蛙がいたりする。世界観がよくわからない。
露天風呂は日替わりの変わり湯になっているようで、この日は石灰水のような白く濁ったもの。水も近くの神社の地下170mからくみ上げたもので、非常に肌当りが柔らかい。温度は室内の湯よりやや高め(41〜42℃くらいかな)ながらなんとか長湯できるヌルさで、温泉じゃなくてもゆっくりできる。岩の感じも所々首を落ち着かせられる窪みがあるし。これはいいわ。
でも、後ほど再入浴した時は透明な湯になっていたが・・・入浴剤切れたか?

一通り湯に浸かったのでいったん出て、館内着、もとい浴衣に着替える。脱衣場の休憩室はテレビがあり、新聞もあるので皆一服しながらくつろいでいる。今日び喫煙可の脱衣場も珍しいが、バーチーにそんな理屈は通用しない。
この奥にカーテンで仕切られた薄暗い廊下が続いている。この先にリクライニングルームがある。男女全く別空間で脱衣場に通じているのは珍しいんじゃないだろうか。私は初めてだ。ソファーベッドのようなのが並ぶ部屋で、テレビとか一切ない完全な仮眠室。毛布の貸し出しがあるだけ。ここで暫くウトウト。。。

途中抜け出して館内を一巡り。3Fは宴会場で、大宴会場の他、貸切の座敷が点在する。隣には別棟の新館が存在し、その渡り廊下脇にゲームコーナーがあった。メダルゲームやぷよぷよ系のあたり障りのないものばかりだったか。
新館の方はどうなってるのか覗いてみたが、立入禁止ばかりでよくわからない。恐らく団体が入ったときの座敷用のようだ。その一角に岩盤浴があるのだが、普段から殆ど利用客がいないようで、立入禁止になっている。看板は立っているが扉は単色のフツーのゴツイもので、なんだか病院のレントゲン室のようでリラクゼーションって感じがしない。つーか、なんか、コワイ。まぁ扉が開けばウエルカムな雰囲気になるのだろうが。

本館に戻り大宴会場脇を抜けると、オッサンが銘々好きな格好でビールとツマミでくつろいでいる。半円形という奇妙な空間で、浴槽の洗い場もそうだし、階段も然りだったが、この館は円形が基本のようだ。
弧を描くように壁に沿ってテーブルが並び、まばらにオッサンが一人ひとりマッタリしている。中央部分に舞台があり、あるオッサンがカラオケを熱唱している。歌うはなんと、モーニング娘。のラブマシーン!?

にっぽぉ〜んの、みらうぃ〜わ、うぉうおう、うぉうおう〜♪

と音程はずしまくりで大熱唱。館内中に響く勢い。しかしテーブルで飲んでるオッサンらはまるで耳に入らない体で、浴衣のはだけるのも気にせず、ブリーフちら見え状態で完全スタンドプレイ。ここの時空はいつだ!?

その後テキトーに露天やラドンに入ったりして、帰りのバスに乗り込んだ。
ここから松戸に戻ったわけではなく、もうひとつの送迎バスの路線、八柱線で先日UPした博多長浜ラーメンもりや【過去記事】へ向かったのだった。松戸行と交互に運行されていて、玄関脇バス乗り場には行き先を示す行灯のようなものがある。これをクルッと反転させると行き先表示が変わる仕組みで、運転手のオジチャンが降りてきて「松戸」から「八柱」にチェンジさせていたのがなんか可笑しかった。

滞在時間、賞味3時間弱だったか、このワンダーランドを満喫しまくってしまった。この時代、まさか東京の隣駅にこんな健康ランドがあるとは思わなかったが、この手のユル〜い空間がたまらなく好きな向きには、非常にリーズナブルなアミューズメント施設だと思う。
ちゅーわけで、これぞ、ディープばーちー!いいお湯でした〜

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