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珈琲家でホットケーキ再食した際【過去記事】に前フリさせてもらったが、その前に立ち寄った店(なのか?)の話をば。

河原で飲める店があると噂で聞いてずっと気になっていた。川を見ながらお日様の下飲めるなんてサイコーじゃないっすか。これまで角打ちみたいな店の片隅とか、店先の路傍で飲んだりってことは経験したけど、モロ外、モロに河原ってのは経験したことがなく、嫌でも想像するだにテンションが上がる。
実はこう見えて(ってどう見られてるかしらんけど)キャンプとか嫌いではない。いや大勢でワイワイしちゃうとそこに政治が働くので、若いのの男女で奥多摩とか、会社の同僚と若洲でBBQとか勘弁して欲しいが、一人、もしくは数人程度で、テキトーに肉とか野菜好き勝手焼いて食って、寝転んで川の音聞きながらウトウトしたりするのとかもう気持よくてしょうがない。
もう何十年もそんなことしてないし、今の歳でそれやって楽しめるかも疑問だが、ここでなら、もうちっと気軽にそれに近い気分が味わえる気がして、来るタイミングを虎視眈々と狙っていて、つい先日実行に移したってわけ。

稲田堤の駅前の道を、学校帰りの小学生とすれ違いながら、ひたすら真っ直ぐ北上。やけに歩道が狭く、横を車がかすめていく感じが如何にも南武線沿線だが、そうこうしてる内に5分ほどで多摩川の土手にぶつかる。
土手上から@たぬきや
土手上の車道を突っ切り、河原へと降りる階段を進むと、おおっ、あるある。海の家みたいな小屋が建っとるでー!!
遠景@たぬきや

外観@たぬきやたぬきや【食べログ】
★★★★★★★★★★ 川辺リング
所在地:神奈川県川崎市多摩区 多摩川土手

営業中のノボリがはためいているから営業してるのだろう。恐る恐る階段を降り、河原に出て近づくと、海の家状態の建物に、コジャレていうとテラス席が川と平行して伸びており、一応よしずが天井にかかっているが、ここがほぼアウトドアで飲める作りになっている。
建物を間近でみると、釣具の貸出等を行っているようで、飲み屋というより川辺のレジャー用の売店が発展した形のように見える。矢切の渡しなんかでも、渡し船に乗る遣り取りする小屋があって、そこでちょっとしたお菓子やジュース、麦わら帽子的なものを売っていたりするが、そういう観光地になりがちな業態に近い印象を受けた。
テラス席@たぬきや
中は薄暗く、大きなテーブル席がいくつも並んでいで正に海の家。その気分で中でヤルのも悪くないが、折角なのでまずは外の席に陣取る。
再び店内に入り、ビールケースや市販の菓子類が並ぶ入口付近のカウンターとも付かない場所に行くと、店のオバチャンが出てきてくれた。年季の入った木製の台の上にメニュー表があり、お店で作ってくれるものはそこで頼み、ビールとかお菓子は自分で取り出しで会計し勝手に席で食ってよしというシステム。角打ち的であり、かつ自分が子供の頃慣れ親しんだ駄菓子屋と同じでもある。店側が高齢者ということもあり、自然発生的に出来上がったシステムなのだろう。忙しい土日は完全前金制だが、手の空いた平日は追加注文前提の客には後会計も受け付けてくれる。

ツマミは出来たら席に持ってきてくれるとのことで、その場でスグ作ってくれた同行者のチューハイ¥350と自分の青りんごサワー¥350をもって席へ。
サワー@たぬきや
あっちこっち様々に角度のついた不安定な木のテーブルにお盆を載せて、目の前の川や遠く調布の町の景色を見ながらチビチビと飲む。こういうところではチューハイ、それも特に駄菓子っぽい味のするサワーに限る。フツーに、いや下手な居酒屋よりチャンとした量で割られたチューハイで、なにも文句はない。これぞ休日。ヤバイ、家に帰りたくなくなってきたぞ。ダメだ、この時点で既に眠くなってきてしまった。

完全に頭がボケーっとしたところに、オバチャンが牛もつ煮込み¥450を運んできてくれた。
煮込み@たぬきや
気づけば自分から取りに行くべきところ、ぼーっとしてた。そんなこと全く意に介さない様子でスタスタと厨房に消えていった。
煮込みUP@たぬきや
煮込みは想像を遥かに超えるしっかりしたモツの姿と分量で、新鮮そうなネギが散らしてあるのもまた、下手な居酒屋よりシッカリとした仕事を垣間見せる。
まずルーシーをズズッと吸わせてもらうと、キリッとした濃い目の味噌ダレで、舌触りでザラつきも感じるシッカリ煮込んだもの。
煮込みルーシーUP@たぬきや
モツも臭みなくプルプルと柔らかく、いくつかの部位が見受けられるが特に腸の油部分はツルンとして食べ手がある。別に出来合いのものでも角打ち的に楽しめるロケーションなのに、その上こんなちゃんとしたものまで食べられて、幸せであると同時に罪悪感さえ芽生えてくる。

暫くして追ってオバチャンは焼き鳥盛り合わせ¥500を持ってきてくれた。
焼き鳥@たぬきや
これは煮込み以上にビックリした。塩でお願いしたのだが、フツーの食卓塩じゃなくて目の粗いチョット塩の種類揃えた店で出てくるような粗塩で、皿の感じもちょっと洒落てて、行くところ行ったら千円近く取られそうな盛りの見栄え。
食べても外はカリッと中はホワンと丁寧に焼かれていて、いやはや、二人で1人前頼んで申し訳なくなるほどの出来栄えだった。トリナンコツ、皮、カシラ、レバと、あとタンだったかな、一通り揃ってどれもかなりの焼き加減だったが、特にトリナンコツのコリコリと身の柔らかさ、そしてカシラのジューシーさはそこらの焼き鳥屋に全く引けをとらない。素晴らしい。スバラシスギル。

これはもうちょっと頼んでみる価値あるぞと、2杯めの日本酒(常温)¥350とカルピスハイ¥350のついでに1〜2品追加してみた。
日本酒とカルピスサワー@たぬきや
2杯め飲んでる間に同時にやってきた、ニンニク焼き¥150と焼きフランク¥200。
ソーセージとにんにく焼き@たぬきや
ケチャップとカラシが両サイドに添えられてるのがいいが、なんだろう、どっちもただ焼いてあるだけなのに、ロケーションの成せる業以上に単純に焼いただけの旨さが溢れてる。自分は余り行かないが、創作料理系の居酒屋で感じる、余計なことしなくていい感、こういのを食べるたびに、余計な手を加えたり足さなくていいよなって思う。串から抜いてくれた、皮のパリっとした食感のソーセージに、焦げた皮の中から出てくるシットリとして艶やかで噛むとプリっとした甘さもあるニンニク。
ヤバイ。現実に帰りたくなくなるような感覚、これこそをヤバイというのではないか。

とはいえ次に念願のホットケーキ再訪が待っているので泣く泣く引き上げ。
気づくと夕方に差し迫り、河原で犬を散歩させる人々が出てきている。自分ら以外に数組テラスで飲んでる人が居たがどれも常連のようで、犬の飼い主と日常会話のやりとりをしている。そっか、ここに立ち寄るのが毎日のことなのか。スゴイ日常だな。でもまぁリタイア後なら理想的かもしれないな。
そんなんを眺めながら、会計後オバチャンに礼を言ってこの時空を後にした。
そういえば途中、オバチャンが突如店脇に止めた単車に跨がり、土手へを上がる坂を登っていったのにはビックリした。客置いてどっか言っちゃうのかと他の客もビックリしていたが、どうも坂の上の車止めにチェーンが掛かったままだったようで、降りてくる客向けにチェーンを外しに行ったようでスグに返って来た。なんだかスゴくタフに映った。
あとトイレ。店の中にあるが、いかにも海の家って感じです。

そうそう最後に忘れちゃいけない話を。実は店に着いた瞬間に気づいたことなのだが、多摩川の土手の小屋っぽい造りに、なんとなく既視感を覚えていた。
多摩川京王閣光景@たぬきや
席について川の向かいに京王閣競輪場(写真左、京王線の鉄橋と川面の間に見える建物)が見えたところでほぼ確信に変わったのだが、ここ、竹中直人の映画1作目『無能の人』のロケ地じゃないだろうか。
無能の人 [DVD]京王閣競輪の時にも触れたが【過去記事】、あっちは、つげの奥さんがバイトしてたという京王閣の車券売場で、こっちは映画ラストで、竹中が胴まであるゴム長履いて競輪客をおんぶして京王閣まで川に入って渡っていくシーン。竹中が客引きする待合的な小屋がこの店ではなかったか(見返してないので断言できないが…)!?
多摩川のこの辺は嘗て花見や遊泳客でにぎわったそうで、その時分は渡し船があったが、1973年に廃止になったという。たぬきやは正にその名残なのではないか。

思いがけずのロケ地と嘗ての川遊びの場の名残りに出会え、私的にこれ以上ない休日とあいなった。
どうもカレーや焼きそばという海の家定番料理もイケるとのこと。またボケーッとしたくなったら来て、その折にでも試してみるとしよう。
こういう独特の地場をもったゾーンがあること自体が奇跡、行かれる方は大人数や大騒ぎを控え状況を鑑みてそうっとお邪魔する感じで、ある内に体感頂きたい。
もうこの上ない。ごちそうさまでした。

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