拙ミニコミ同人誌、夏新刊の通販〆切、沢山のご注文、感謝感謝! これから委託先の納品を充実していきやし【詳細:本専門ブログ】
というわけで、だいぶ前の10年夏号『向島迷宮地帯』【詳細】で載せきれなかった秘蔵ネタ、10年夏に食べた以前の記録だが、あの極太ソバをば。

場所は向島。業平橋から料亭街へ出る手前、言問橋袂の水戸街道沿いにモルタル造の看板建築が並ぶ一角に、蔦に絡まる日本蕎麦屋がある。
外観@角萬向島
パッと見はフツーの町の蕎麦屋っぽいし、単に昔からやってるだけかなぁといった佇まいだが、実はここが蕎麦界の二郎との異名を持つカリスマ蕎麦屋、角萬の向島店だ。
入口@角萬向島
角萬 向島店【食べログ】
★★★★★★★★★★ 大好き(^^)
所在地:東京都墨田区向島3-1-5

角萬の蕎麦の特徴はボソボソとした極太麺で量が多い点だろう。長ネギと豚肉が乗る、二郎でいう豚ヤサイともいうべき南蛮そばが定番メニューで、冷やし肉南蛮のことを冷や肉、その大盛りを冷や肉大と呼ぶ。角萬は向島の他、台東区千束と西新井にもあり、特に千束店はメニューが経年変化で見えず、接客もツンデレ状態で、客は皆一様に冷や肉などと品書きにない符丁を厨房に通すので、この辺の呪文コールも二郎を彷彿とさせるのだろう。
向島店はフロア担当の若めの女性がいるので、一見でも迷うことはない。現に「なにがオススメですか」と聞いてるサラリーマンもいた(知らない人に量のことも断らず冷や肉奨めるのもどうかと思うが^^;)。
昼ピークを過ぎた時間でも常時満席状態なので相席上等だが、たまたま座敷が空いていたので4人卓に一人通された。
注文は事前に仕入れた通り「冷や肉で」と言うと「冷やし肉南蛮ですね〜」と直された。こう書くと非常にユーザーフレンドリーな店かと思うわれるが、ただで問屋が卸さないのが角萬。注文が来ない。実に来ない。1時間待ち、土休日なら90分待ちはザラという。しかもお冷は注文の品と同時に出てくるので、水分補給なしで待たねばらない。それに先に書いたように量が多く、殊に向島店は一番多いと言われているが、一言も断りはない。注文してからが戦いの始まりなのだ。
事前に覚悟していたので、テレビ見たりスポーツ新聞読んだり店内を眺めながら待つ。
店内@角萬向島
店内は4人がけのテーブルが6卓、座敷の同じく4人がけのが3卓。みな来慣れた様子で、各々の時間の潰し方をしている。基本一人客で殆ど男性。中毒者ばかりの客層も二郎っぽい。照明は蛍光灯だが煤けた茶色がボヤッと浮かび上がり、やや薄暗い印象を受ける、歴史を感じさせるもの。ただ、藪などの老舗の風格さというより、飽く迄町の蕎麦屋といった下駄履きの雰囲気で溢れている。奥でご主人が蕎麦をつくり、フロアでお嬢さん、その間をお母さんが繋ぐという家族経営っぽさがそれを助長させる。いや、家族なのか知らないけど、そんな空気感があるのだけは確かだ。
そんなわけで客席側はテレビの音と外の水戸街道から漏れる騒音くらいで至って静かなのだけど、時折、突如としてその静寂を破る激しい打撃音が木霊するのだ。実はご主人がそばを打つ音だそうで、ここは数人分を1ロットとして一気につくり、蕎麦が足りなくなるとその場で打ち始めるのだ。この仕様も向島店独特のものらしい。打ちたてが食べられるのが嬉しいが、蕎麦茹で他、基本ご主人一人で丁寧に手作りしてるので、こうして時間がかかってしまう。

とはいえ、この日は運良くロットが流れたようで、30分ほどでやってきました、冷や肉¥900(当時:今は千円らしい)!
冷や肉遠景@角萬向島
ババーン! デタ。表面張力極太黒ずみ蕎麦!
冷や肉上から@角萬向島
↑写真ぶれちゃってスンマセン(^^ゞ
汁の染み具合にムラがありそうなので、二郎のごとく天地返しをしてみる・・・おお、デカ盛の象徴、そば垂れるね〜
冷や肉天地返し@角萬向島
蕎麦は確かに粉っぽさはあるが、太さはさほどでもない。ただ不揃いなので手作り感溢れている。
汁は噂通り冷やしといえどもヌルめで熱くはないといった感じ。ちょっとケミカルなのだろうか、甘みの強い味のはっきりとした汁で、この独特の甘辛い感じ、好きだわ〜 この粉っぽいワシワシと頬張る蕎麦とメリハリがあって、直感的なウマさを感じる。どれも個々にはどこかにありそうなものなのだが、それが合わさるとココならではの味になる。啜るんじゃなくてしっかり噛むので、口中快楽もあるし。上に乗るクタクタの長ネギもいいけど、添えられる刻みネギもシャキシャキで当たり前にウマイね。ネギ好きにはいいですわ。
ラーメンみたいに汁が動物系の出汁でドロドロだったり脂を浮かせてるわけではないのでさっぱりサクサク食べられるから、量もさして苦にならない。あっという間に粗方平らげてしまった。
とここで登場するのが蕎麦湯。
蕎麦湯割り@角萬向島
これがクソデカイ朱塗りの急須みたいので供される。このデカさだけでも笑うわ。蓋を取ってみると、見事に白濁している。
蕎麦湯@角萬向島
粉っぽい蕎麦をこれだけの量茹でるんだから当然か。しかし残した汁に注ぐと、上澄みの透明な部分しか落ちてこない。底の方のドロッドロのが飲みたいのだが、流石にそこまで飲みきれないだろう。何リッターあるんだと。何リッターFor10リッターなんだと。

普通蕎麦屋ではありえない満腹感で、気持ちのいい当たり前の見送りをされ、店を後にした。確かに古くからある蕎麦屋だが、いわゆる老舗の蕎麦屋とは楽しみ方の違う店で、町の蕎麦屋の極右ともいうべき極まった最終形態を見た気がした。これはいいわ。ぜひ千束の店もいって、その地に根ざした、やたらサービスを求める最近の似非グルメ野郎が激昂するという、ツンデレ接客(デレはないのか…)を拝むとしよう。
うん、これは中毒性高い! そういうのにマンマとハマる自分はミーハーだと思いつつも、好きなもんは仕方ない。というわけで、ヤバッウマ!!ウマシ!!! ごちそうさんでした!

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