年に1度の贅沢として、久々に布恒更科で一杯やってバーソーでも手繰ろうかと、昨年末の私的忘年会に決めていたのだが、急遽、吉原の正直ビヤホールの閉店情報が飛び込み【過去記事】、新年会に鞍替えと相なった。

JR大森とも京急の大森海岸とも少し離れた住宅街(というか小規模ビル群?)にポツンと異彩を放つように、ひっそり和の佇まいを見せるコチラだが、週末ともなると各所より客が押し寄せ、また大晦日は年越しそばの客で2時間待ちはザラといった状態。タイミングさえずらせばユックリできるが、自分の仕事の都合とか色々重なって、前回UPしたとき【過去記事】以来かな、約12年ぶり5回目くらいの訪問となった。

もしかしたら夜は初めてかも。まだ寒い1月、身を縮こませながら開店する時間目がけて大森海岸から向かうと、おおっ、これまでと変わらなぬ佇まいを発見! やってる!
布恒更科外観
布恒更科正面
布恒更科【食べログ】
★★★★☆ 4.5
所在地:東京都品川区南大井3-18-8

引き戸を引くと、そこは仄明かりに浮かび上がる静寂の空間。
お弟子さんかバイトか、若い男性従業員から予約かと聞かれる。みると橋が置かれた席がポツポツと。今や予約必至の店なのだろうか。

布恒更科店内
空いてた奥の席に腰掛けると、先の男性が品書きを持ってきた。
メニューそば+日本酒
メニューつまみ
以前は食事のメニュー以外にアルコールのメニューが別にあって、飲む客と分かると女将さんがすっと持ってきてくれたものだが。あれ? 従業員はもう1人似たような男性がいるだけで(こっちは板場のヘルプメインでたまに顔を出す程度。後から女性のフロアバイトのような人がもう1人増えるが)、女将さんの姿がありませんよ。鷲尾真知子みたいな人で、しとやかで一歩引いた身のこなしが見事な人だったけど。男性客と話ししてると奥の小窓を開けて旦那が顔を出して様子見るのがチャーミングだったな。
旦那も奥にいるのだろうが、様子が伺えない。
布恒更科そば打ち場
自分の席から見える格子戸の奥が蕎麦打ち場のようだけど、今は人気がない。

まず日本酒をオーダー。ここは千葉の岩の井¥660が前っからある。初めてココで飲んだ時に女将が進めてくれたのが岩の井だった。
布恒更科岩の井
甘くトロミがあるがクセは強くなく、後味もそんなにベタっとしない。付け合せの濃い味の切り干し大根が進む。
布恒更科お通し

暫くして岩の井と頼んだ玉子焼¥970がやってきた。
布恒更科玉子焼
わぉ、ビッグサイズ! ここんちは高めの設定ながら、この価格帯の蕎麦店と違ってどれも平均デカいのが嬉しい。逆に言うとそれを見越して頼まないと大変なことになる。1人だとキツイので、今回のように同行者がいると助かる。
布恒更科玉子焼UP
玉子焼きは完熟タイプながらもうフワッフワ。
布恒更科日本酒二杯目味付けは思ったより大人しめで食べやすい。大根おろしで調整して頂くが、個人的にはもうチョイ玉子焼き自体の個性が欲しいか。まぁアテには丁度いいが。

次いで山形のお酒¥750を。
住吉銀っていうのかな。こちらの方がトロミがあり、よりクセが強い。単体では旨みが楽しめるが、食事とともになら先の岩の井の方がいいかも。

そうこうしている内に、ココに来る最大の楽しみの1つ、かき揚げ¥1280が揚がってきた。
布恒更科かき揚げ
ドカーンとトルネード状態で円筒形に揚がってるのが特徴・・・だったはずだけど、あれ、今回のは少しイビツで岩みたい。揚げも記憶してるよりハードだし。
布恒更科かき揚げ横から
まぁいいやと崩しながら頂くと、あれれ、やけに硬いな。前はもっとサクサクと崩れたはずだが。衣がポロポロ細かく崩れ、食べづらい。中から小エビやら続々と出てきて、しっかりとプリっとしてて食べ応えあったけど。
布恒更科かき揚げ小エビUP
なんだか油が古いのか分からないが、妙に油っこいし、油の匂いも気になり、揚げ自体が個人的にはイマイチに感じられた。期待値上げすぎたか、最近はこんな仕様なのか。値段が値段だけに、コレに関してはチト残念だった。

ともあれ〆の大本命、生粉打ち¥1130に期待しましょう!
布恒更科生粉打ち
細長いのに小山が3つ盛られたスタイルは変わらず。通常のもりは二八だが、生粉打ちは十割。これがキンキンに水で締まっててツヤツヤしてるのよ。噛むとキュッキュという食感があって、風味も良くてね。それでいてコレだけ量があるから、ズバズバっと豪快に啜れるし。
布恒更科蕎麦つゆ
また蕎麦つゆが相変わらず真っ黒。継ぎ足し継ぎ足しだからトロミがあって、酸味も微かに感じられる濃厚タイプ。だからあんまり蕎麦をジャブジャブつけちゃうと辛くて食べられない。ちょっとつけて、蕎麦の味と汁の味の両方を楽しめるのが気に入っている。
布恒更科薬味
薬味も当たり前かも知んないけど、ネギが瑞々しくてシャキシャキで甘みもあって、山葵も下ろしたてだろう、フワッとしていて、これだけ摘んで食べながら、時折蕎麦に絡ませたりするシアワセったらもう。
最後に味わう蕎麦湯がまた楽しみで、この濃い汁に白濁したドロッドロの蕎麦湯を割ると…ってあら、蕎麦湯薄くなっちゃったか。
写真撮り損ねてて申し訳ないが、あんま白濁してない。底に溜まってるのかと土瓶を開けてみても、さに非ず。最後の方は少し濁りも出てきたが、以前は最後の方は砂みたいだったのにな。

ともあれ、店内は大人しかいないので適度なノイズだけで静かで、実にゆったりと贅沢な時間が過ごせるのは以前と変わらない。正直、かき揚げと、蕎麦がもう少し風味豊かだった気がする(これは大晦日の超忙しい時にも感じたのでブレの範囲かと)のが残念だったのと、女将さんがおられなかったのが気がかりだが、このオレンジの薄暗い空間が保たれているだけでも有り難いと思うべきなのだろう。女将さんの脇で、ストーブの上のチンチンに沸いた湯から煙が立ち込める空間がよかったんだけどな。
昼に来れば女将さんいるのかな。昼営業の終わりがけらの、のぼーんとした空間はもうコチラには存在しないのか、それを確かめるために来るのもいいかもしれない。まぁ今度いつ来れるか分かんないけど、今後の楽しみにしときますか。
とはいえ、満足には満足、美味しいには美味しかったです! ごちそうさまでした。 

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