2011年06月11日

論文がリジェクトされる11の理由

 研究者の多くは研究成果が出た後、論文を執筆します。執筆した論文が科学雑誌の査読を通過することは、論文によって自身が評価されてしまう研究者にとって、死活問題です。

 投稿論文がリジェクトされる理由には大小様々あるのですが、その理由を体系的にまとめた論文(記事?)があったので、勝手ながら日本語に翻訳してみたいと思います。ここ最近、自分の身の回りで論文執筆に携わる人が多いのと、あとは自分自身も論文執筆中であるため、自戒の意味も込めて。


 あと、こうした科学系文章の作文については、木下是雄先生の「理科系の作文技術」が名著だと思っています。とても有名な本なので既に読んだ方が多いかと思いますが、未読の方は一読をお薦めします。


理科系の作文技術 (中公新書 (624))
木下 是雄
中央公論新社
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 なお、原文はSan Francisco Editという雑誌に掲載された記事です。右の参照にあるので、よかったらご覧下さい(参照 PDF注意)。

 以下は、翻訳になります。


イントロダクション


 査読雑誌に投稿された論文は様々な理由によりリジェクトされるが、その多くは回避可能である。

 注意しなくてはいけないのは、論文が受理される理由はリジェクトされる理由の鏡像ではないことである。論文が受理される主な理由は、該当分野に対する重要度と貢献度、文章のすばらしさ、そして研究計画の質である。

 多くの科学雑誌は、レビュアーに投稿論文の科学的価値と研究の質について調べるように期待している。しかしながらレビュアーは、手の込んだ編集をしないと除けないような言葉の誤りを多く含む原稿に対し、批判的になってしまう。科学系の執筆は、良き科学と良く書かれた原稿の両方を要求する。

 投稿論文がリジェクトされる主な理由を以下にまとめた。レビュアーは、個人の関心や雑誌の要求に応じて異なる事柄に着目する傾向があるため、下記の11の理由はいずれも等しく重要である。


1. 拙い実験計画や不適切な調査


 不適切なサンプルサイズ、バイアスのかかったサンプル、独自性のない考え、科学的な欠陥が、よくある誤りである。

2. 投稿する雑誌に適した内容になっていない


 これはよくあるミスである。投稿論文の焦点が投稿雑誌の範疇に入らず、また投稿雑誌のガイドラインに従っていない。これは投稿雑誌を読み、執筆のガイドラインを見直すことで簡単に避けられる。

3. 英語の文法、文体、語法が拙い


 文章の拙さが投稿論文のリジェクトに直結するわけではないが、投稿論文に対してレビュアーやエディターが抱く全体的な印象に大きく影響を与えるのは、当然なことである。良く書かれた投稿論文ほど受理されるチャンスがあることはこれまでに立証されてきた。

4. 課題の記述が不十分


 研究の課題を明確に定義し、適切に枠組みを決めることは重要である。

5. 実験手法が詳しく記述されていない


 実験手法の詳細が不十分で、結果の再現性を得られないのは良くない。研究計画、使った装置、従った手順は明確にしなければならない。時には、情報を省くよりも実験手法のセクションに多すぎるぐらいの情報を入れた方がいいかもしれない。不必要とみなされた情報はいつも出版前に取り除いてくれるからである。

6. 結果の過大解釈


 レビュアーによっては、明確で”正直な”結果の解釈をすれば、投稿論文が受理される可能性が上がると示唆してくることがある。研究の設計段階や結果の解釈の間にあり得るバイアスや交絡変数(訳注:参照)を同定すること。実験結果は正確に記述すること。

7. 統計の不適切または不完全な適用


 不適切な統計手法を用いて、結果の解釈を大きく見積もるのは、よくある間違いである。適切な検定を用い、統計手法を複雑にしすぎてはいけない。測定誤差や不確実性の適切な指標(例えば、信頼区間)を用いて、データを定量し、図示しなければいけない。

8. 図表によるデータの図示が不十分または分かり難い


 投稿雑誌のガイドラインが示す形式や量に従わず、番号が乱雑な図表は良くない。表やグラフは簡単に読めるようにすること。エディターは、投稿論文が考慮するに値するかを決めるため、表・グラフ・図から見始めることが多い。

9. 結論がデータによって支持されない


 結論が言いすぎでないか、支持されるものか、論文の課題に答えているかを確認すること。(結論には)別の説明を用意し、結果を単純に言い直しただけのものにしないこと。

10. 参考文献の引用が不十分または不正確、もしくは時代遅れである


 完璧に文献検索を行い、投稿論文の研究に関係ある文献のみを列挙していることを確認すること。あなたの投稿論文のレビュアーは関連分野の専門家であり、関連した全ての研究を熟知している。

11. 査読者の指示にしたがって原稿を直そうとしない


 これは簡単に解決できる。あなたが原稿を見直す時にレビュアーの示唆を考慮すれば、常により良い原稿になる。もしエディターが原稿の改訂を喜んで評価してくれて、レビュアーの懸念を満足行く形で解決したならば、投稿論文が出版可能になる可能性は高い。

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