2013年11月10日

アリの模様を翅に持つハエがすごい

 昨今、日本では偽装表示が話題ですが、自然界にもなかなかすごい偽装があると思ったのが、この画像。
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 学名はGoniurellia tridens。ラテン語の語彙がそれほどあるわけではないけれど、見た目の通り、the three-in-oneという意味が学名にあるらしい。発見は今から100年ほど前。アラブ首長国連邦で1910年に発見されたハエで(参考)、透明な翅(羽)(注:参考)の中にアリの模様があるのが特徴。このアリの模様、きれいに6本足に2本の触角を持ち、さらに頭部、胸部、腹部に分かれていて、完璧に昆虫を表現している。[13:53追記 アリではなくJumping Spiderではないかという話もあるようだ]

 G.tridensは約5000種ほどいるハエ目ミバエ科(tephritidae)のハエの1種で、ミバエ科のハエの多くは、カラフルなカラー/模様を持つことが知られている(参考)。またアラブ首長国連邦にいるミバエ科には、単純なものから複雑なものまで27種類ほどG. tridensのように翅に絵のような模様を持つ種が存在するらしい。

 専門家によると、このハエは捕食者に襲われた時に翅を広げて、捕食者が混乱している隙に逃げる行動を取っているらしい。また、この飾り付けは捕食者からの逃亡に加えて、絵が正確であればあるほど、生殖上の優位もあるのではないかと推察されている。


 「なぜ、こんな複雑なものが!?」と思う人もいるかもしれないが、自然選択の結果、信じがたいほど精巧なものが出来上がることは既に「盲目の時計職人」という本でリチャード・ドーキンスがこれでもかというぐらい徹底的に、懇切丁寧に解説してくれている。

盲目の時計職人
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 この本のテーマは「眼球」で昆虫の話とは異なるんだけど、大枠の流れは同じ。端的に言うと、1%完成の眼と2%完成の眼では2%の方が生存に有利なので、2%の眼を持つものが次第に残っていき、その積み重ねによって、現在ある眼球の複雑さにまで到達したというのが理由。つまり、上で紹介したハエの翅のアリ模様もおそらく最初は斑点のようなものだったものが、自然選択の結果、ここまで精巧な模様になったのだと思う。個人的に、自然選択が作り上げたアートの中で最も精巧なもののひとつだと思う。


 ここまで精巧なものはなかなかないが、擬態については昆虫の中では割りと頻繁に見ることが出来る。擬態には大きく分けて、以下の4つがある。
  1. ベイツ型擬態:害のある生き物を真似る
  2. ミューラー型擬態:毒のある生き物が似通った体色を持つ
  3. 隠蔽型擬態:周りに身を隠して逃れる
  4. ペッカム型擬態:騙して捕食する

擬態 - Wikipedia


 例えば、1.はハチの外見に似せたアブなどがよく知られている。2.はハチがみんな同じ体色をしているのが当てはまる。3.については小さい頃に捕まえて遊んでいたショウリョウバッタ(参考)。他にもナナフシ(参考)は擬態で有名だ。4.の例としてはカマキリがそうだろう。

 こうした擬態の分子メカニズムについてはTuring patternで説明できる部分もあるが、具体的な制御遺伝子や機構については分かっていない部分が数多くあるらしい。それらについて調べてみると、なにか面白いことがありそうだ。

似せてだます擬態の不思議な世界 (DOJIN選書 2)
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コメント

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> 仮想通貨同士の共食いかも、しれないね。 政府の通貨はなんだろうね。  ???

> この群れの理論だと、多数の固体の気ままな行動が、統一のある動きを作るらしい。

 Web のちからは、だれもが発言力を持つようになったことだとか、ぜひ、ご意見をお聞かせください。

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