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2014年06月24日

エボラウイルスについての覚書

 日本でどれだけ報道されているのかは分からないが、現在、西アフリカでエボラ出血熱の感染が拡大している(参考)。現在確認された患者は567人で、死者は350人にもなっているらしい。

 これまでの最大のエボラウイルス流行は2000年にウガンダで確認された425人というものであり、今回の流行はそれを超え、既に記録にある限り、世界最大の流行となっている。さらに今回は都市部での感染拡大が広がっており、予断を許さない状況だ。国外に広がれば、パンデミックの恐れすらある。

 長いことブログをやってきて、これまでに何度かエボラウイルスについて書いているのだけど、改めて覚え書きとしてまとめて書いておこうと思う。ウイルスはそこまで詳しくないので、専門家のご指摘は大歓迎。
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2014年06月17日

感想:「天地明察(冲方丁)」

 米国に来て、かれこれ2年と2ヶ月になるが、自宅でのカレンダーは日本で買って持ってきた日めくりカレンダーを使っている。使い続けている理由は特にないけれど、なんとなく日本にいた頃からの習慣をそのまま続けている。

 普段は毎朝1日分を剥がして、日付を確認するだけなんだけれど、今日はなんとなくこの記事を書いていることもあり、カレンダーに書かれている暦注をしっかりと見た。暦注は吉凶の判断に使われるもので、十干十二支、十二直、二十八宿といったものがある(参考)。ちなみに、2014年6月16日は戊午、十二直は辰、二十八宿は心である。二十八宿は千字文にも出てくるし、ふしぎ遊戯(参考)でご存知な人もいるのではないだろうか。

 こうした暦注は、太陽暦に改暦してしまった今となっては大して意味をなさないが、太陰暦の時代には生活に密接に結びつき、極めて重要な情報だった。「天地明察」は、そんな人々の生活の根底にあった暦について、日本独自のものを作ろうと苦心し、奔走した一人の男の物語だ。ブログエントリーは概ねネタバレになってしまっているので、未読で読みたいと思っている人は先に本を読んだほうがいい。

天地明察(上) (角川文庫)
冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-05-18)
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天地明察(下) (角川文庫)
冲方 丁
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2014年06月10日

書評:「くまみこ(吉元ますめ)」

 くまみこは月刊コミックフラッパーに連載中のショートコメディマンガ。先日、知人とマンガの話をしていた時に「何かオススメの漫画を教えて」と尋ねたら教えてくれて、つい先程Kindle版の1巻をダウンロードしてみた。笑ったと同時に、常識が一切なくなると誰もがこんな感じになるんだろうな、とうんうんと頷きながら、読んだ。

くまみこ 1 (MFコミックス)
吉元 ますめ
KADOKAWA/メディアファクトリー
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2014年06月03日

ヒトの細胞数は60兆個じゃなくて37兆個

 5月は本業が忙しかったのと、前の記事に書いた通り、しばらく本を読むことに集中していたので、ブログから遠ざかっていたけど、ちょっと気晴らしに(古いネタを掘り返しつつ)軽く書いてみよう。

 この話は先月Twitterにいる生物系研究者界隈で少し盛り上がっていて、TLで見かけた時には「これはとても大事な情報だなあ」と思っていたのだけど、誰かがまとめてブログに書くわけでもなし、Googleで検索してもTwitterで話題になった情報が出てくるわけでもなし、ということで泡沫ブログながら、この話題を自分が参照する用にきちんとまとめて記事に書いておきたくなった。Togetterとかにまとまっているんだろうか。

 タイトルにもあるように、ヒト成人の推定細胞数の論拠について。日本ではよく60兆個という数字が使われるが、具体的な根拠の無いまま、これまで勝手に使われてしまっていた。この多くの人(研究者)が言及するヒト成人の細胞数をきちんとした根拠をもって推定した論文が昨年出ていたらしい。この論文にしたがって、今後は「ヒトの細胞数は37兆個」といった方が妥当だと思う。

 → An estimation of the number of cells in the human body, Annals of Human Biology, Informa Healthcare


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