ＮＨＫ記者が放火の疑いで逮捕

休職中の入社二年目のＮＨＫ記者が滋賀県大津市で多数起こっていた放火犯ではないかということでまずは大阪での放火未遂で逮捕されました。本人は一連の犯行を認めているようです。

産経新聞「ＮＨＫ記者、連続放火　大阪の未遂容疑で逮捕　滋賀の１１件追及」
http://www.sankei.co.jp/news/051106/morning/06iti002.htm

自ら火をつけ１１９番報道をしていたようで、大津ではどの現場でも見かけられたということで警察の事情聴取も受けていたようです。いずれにしても犯罪自体は連続放火犯の典型的パターンのように思われます。

読売新聞「火付け自ら１１９番、複数現場で目撃…ＮＨＫ記者逮捕」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051105i514.htm

起こした罪に対してはきちんと裁きが行われるものと思いますが、私が今回あえて取り上げたのは雇用主であるＮＨＫの対応と、それ以外のマスコミの取り上げ方に違和感を感じたからです。

体調を崩して入院したり休職中の社員の犯した犯罪ですので、会社側に著しい非があるとは思えないのですが、ＮＨＫの気の使い方はいささか過剰対応ではないでしょうか。

朝日新聞「ＮＨＫ会長がテレビでおわび　記者の放火未遂容疑逮捕で」
http://www.asahi.com/national/update/1106/TKY200511060045.html

何と総合テレビで橋本会長が陳謝しました。曰く「報道に携わるものが重大な犯罪を引き起こしたとして逮捕されたことは、決して許されないことです。慚愧（ざんき）に堪えません。被害に遭われた方々や関係者の方々、視聴者の皆様に心からおわび申し上げます」ということです。

私の感覚では今までＮＨＫで起きた不祥事と、一社員の業務時間外の個人的犯罪とは全く違うとは思うのですが、果たしてここまでするようなことでしょうか。
これを理由に受信料不払いが増えるのではないかという心配があるのかも知れませんが、やや「羹(あつもの）に懲りてなますを吹く」感がしてなりません。

それにもまして嫌なのは、各マスコミが鬼の首でも獲ったかのようにこの問題を大きく取り上げていることです。自らの会社で起きたことは出来るだけ報道せずに、他社で起きた不祥事はこれでもかとばかりに叩く、そんな根性がありありと見えてたまりません。

もちろん、変に庇われても困るのですが、こういう時にだけやたら「報道に携わるもの」とか「社会正義」とか持ち出すのもいかにも偽善的です。

結局のところ、我々がマスコミ報道に惑わされず、企業ぐるみや企業体質のもたらす犯罪と、個人の犯罪の違いを冷静に見極める必要があるのでしょうね。

Comments

1. Posted by ゆっくん   2005年11月06日 21:07

トラックバックどうもです。

私としては個人としての犯罪であっても組織として取りざたされるのは
しょうがないことだと思います。
普段忘れがちですが、生きていくうえで私たちは「組織」の一員で
あり、見えないようで看板を背負っていると言えると思います。

そして、時に所属している組織が大きければ大きいほどそのキライが
あるのではないでしょうか。

だからといって、NHKの会長の陳謝や、報道のあり方には疑問を感じますが。
NHKの職員で少しでもよくしようと現場でがんばっている人、踏ん張って
いる人が報われなくなっちゃいますもん。

あんましまとまったコメントになっていなくて申し訳ないですが私たちは
少しずつよい体質に変わっていくことを期待ましょう。

2. Posted by shin   2005年11月06日 22:14

TBありがとうございます。

またお暇なとき私のブログ覗いてください。
お願いします。

3. Posted by こうもりマン   2005年11月07日 00:49

ＴＢ有難うございます。　
お考えに全面的に賛同するものです。社長の発言に「日本もまだ健全かな。」と安堵いたしました。まあ、ＮＨＫにしてもその他大手マスコミにしても殆んど役所みたいなもの。「責任」とは無縁のところですので、彼らに、まともな対応を期待するのは酷というものでしょうか。
　この件を、変だ、と感じておられるのは、何時最高責任者としての資質を問われるか知れない、社長業としての立場ゆえでしょう。今後とも、経営者として磨かれた感覚で発言を続けていただき、世の中を健全な方向に導いて欲しいと願っております。

4. Posted by にゃん！   2005年11月08日 22:52

はじめまして。こんばんは。
不審火に眠れぬ日々をすごしていた大津の方も犯人が捕まってまずはほっと一安心と思います。被害地域・加害者の親族・同級生・元彼女といった方々へのいたずらや強引な取材がしばらくの不安材料でしょう。
今回の事件で私がいつか知りたいなと思うのは、『犯人への上司の「叱責」が「パワーハラスメント」にすり替わっていた可能性はあるのか』ということです。もともと文句言いの若者ではなさそうですし、どういうことなのかとちょっと気になっています。
犯人のＨＰ中のおふざけ半分の下ネタ文章が報道されていますが「そんな人間だったから疲れがたまって火をつけちゃった」と答えを作りたいのではとその姿勢には疑問を感じます。彼の長所短所を含め事の経過を冷静に「取材」で解き明かして欲しいですね。

5. Posted by 布袋   2005年11月09日 09:12

ＴＢありがとうございました。
社員の個人的な犯罪でトップが減給しなけりゃならないんだったら、自爆覚悟で社長巻きこめ、みたいな社員がでてきたらどうするんでしょうか？

「連帯責任」を要求する発想っていやらしいです。