2011年09月19日

47回 「土着日本語」における同義語:模索への旅― 模索編:その34 むしる・みしる(ムシル・ミシル)


2011-09-19 created

 「むしる・みしる(ムシル・ミシル)=もぐ」は、異ナゲな(奇異な)言葉である。その所以は、関連用語「かきむしる・掻き毟る」や類義語「むしる」は共通語として認知されており、古語とも言えるものの、派生語の「草ムシリ・草毟り」は、共通語としては認知されていない模様である。この辺りの不整合は、国語審議会の限界なのかも知れず、そうであれば、今後は何らかの改善・整合性追究のための議論・規準作りが必要と考える。
 共通語での用例・意義しか知らない方言圏nativeには、以上記載内容が理解できないので、その辺りからの解説・議論が必要になる。伯耆(出雲)では、「柿をムシル」のように、木になった果物を、(手で)もぎ取る・もぐ時、ムシル(訛りの上がる順では、ムシル⇒モシル⇒モシイまたはモシー)と呼ぶ共通語として記載されている、髪を「掻き毟る・かきむしる」は、方言としてもそのままとして良いであろう。つまり、同根語である。共通語では、しかしながら、髪を「掻きもぐ」とは言わない。同根派生語の造語規則が成立していないのである。伯耆(多分、出雲も)では、「柿を取る」も成立する。しかし、文脈からの判断になるものの、この場合には、「とる」が「取る」だけではなく「盗る」の可能性がむしろ高いであろう。これは、共通語でも同じであろう。トル⇔取る・採る・捕る・獲る・執る・撮る・盗る・・の如く、こうした多義性は、この国の純正動詞の本来的な性格を象徴することであろう。一方で、この「ムシル」と「トル」との互換性は、共通語でも、「カキ+ムシル」⇔「カキ+トル」として成立する。しかしながら、共通語では、「髪を掻き毟る」の意味で、「髪をカキトル」とは言わない点が不整合である。
 さて、共通語の「草取り」も伯耆では「草ムシリ」で通用する(草取りでもOK!)。ここで、驚愕したのは、共通語でもほとんどnative化を自負する筆者にとり、「草ムシリ」も共通語として登録されているであろうとの直感がどうやら誤りの模様であることである。今回のための検索で、西国=関西でだけではなくて、東北以外では、通用するであろうことが判明した「草ムシリ」が共通語に登録されていない模様であること、換言すれば、「草取り」だけが共通語とされているのが現状の模様である。「模様」としたのは、web検索と言えども、「草ムシリ」を共通語と信じ込んでいる地方の者たちは、それを方言として申告していないため、hitしてこないからである。
 さて、「ムシル」の分布を考察する場合、その音声変化を類推する手法の導入の必要性をここ数回前から感じている。それによると、ムシルmusiru⇔モシルmosiru⇔モシイmosiiやムシルmusiru⇔モジルmojiru⇔モジイmojiiが想定される。そして、後者は、東北地方型としての存在可能性を示唆する。これは、以下に、それなりに検証された
茨城:モシル:http://www4.plala.or.jp/jitabi_yanai/hougen-ma.html
草モシリ・草モジリ。草引き⇔草ヒギ
しかし、今回、改めて、このwebの収集能力の卓越性に思い知らされた。それは、以下の同じ茨城方言の標準的webでは、こうした語彙は掲載されていないからである。このことは、これまでも、これからも、分布を調査することにおいて、分布の相違が、その本来的相違を示すのではなくて、記録の網羅性の淡白や時代遡及性の程度を反映するだけになってしまい、本来的分布の相違を論じることが無意味になる危険性があることの懸念である。今後の、解決すべき、悩ましい課題としたい。
http://www.ibaraking.com/basic/ibarakiben/dic.cgi
http://www2n.biglobe.ne.jp/~mituhiro/02_ibarakiben/ibarakiben.html
 話しを戻すと、また、関西(箱根以西)でも、なんと、ムシルmusiru⇒ミシルmisiruの変形が存在することが判明した!両者のどちらが先行するのか、筆者には今のところ、残念ながら、no ideaである。さらに、想定外のことがあった。それは、「草取り」や「草ムシリ」に、もう1つの別の用語として、「草引き」という方言?が存在することである。しかも、上記URLでは、「草引き」を、古い標準語としていることである。
 以下、検索できた、分布情報を掲載しておく。
類推同根語:モシル・モシイ・ムシイ・モスウ・ムスウ・モジル
茨城:モシル;http://www4.plala.or.jp/jitabi_yanai/hougen-ma.html
草モシリ・草モジリ。草引き⇔草ヒギ
飯田:ミシル:http://w2.avis.ne.jp/~ripochin/quiz_1.html
三河:ミシル:http://homepage2.nifty.com/tsugumura/hogen.html
飛騨:ミシル:http://www.geocities.jp/sashichi2004/grm/phon1/phonology_meiji1.html
三重:ミシル:http://www6.shizuokanet.ne.jp/kirameki/hougen///mie.htm
十津川:ミシル:http://www.totsukawa-nara.ed.jp/bridge/guide/word/word_mi.htm
和歌山:ミシル:http://homepage1.nifty.com/nice-wakayama/explorer/ex_d.htm
出雲:モシル:http://www7a.biglobe.ne.jp/~izumobenn/izumo/jisho/i_mo_1.htm
山口:ミシル:http://www4.plala.or.jp/jitabi_yanai/hougen-ma.html
高松:ミシル:
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kyouiku/bunkabu/rekisi/naiyou/hougen/ma-gyou/hougen-mi.htm

Case50:「もしる・みしる(モシル・ミシル) 」:もぐ共通語
― 用例は、上述した通り。
― 双方は、それぞれ同根語
― モシル・ミシルの分布:中国・近畿・中部・関東

仮説50:「もしる・みしる(モシル・ミシル) 」:もぐ共通語
― 「純正日本語」
― 「蝸牛考」的視点からの説明は、微妙。強引だろうが、それに従うとの立場からは、時代的に遡及するとき、ムシル⇒ミシル⇒モシル・モジル(東北地方分布を推理)が可能かも知れない。これらは、同根語つまり、起源も同じことになる。

 当面は、ken1ada@yahoo.co.jpまでcommentsを!そのe-mailにより「第○回にcommentsを書き込んだので読んで欲しい!」とかの交信方法を!



ken1ada at 05:20│Comments(4)

この記事へのコメント

1. Posted by timeless-classicsタイムレス-クラッシック   2014年08月30日 18:05
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2. Posted by damier-azurダミエ-アズール   2014年08月30日 18:06
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3. Posted by mademoiselleマドモアゼル   2014年08月30日 18:06
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4. Posted by 株式会社新卒採用   2014年09月27日 15:45
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