2011年09月22日

49回 「土着日本語」における同義語:模索への旅― 模索編:その36 かぐる(カグル)⇔引っ掻く


2011-09-21 created
 伯耆での、「かぐる(カグル)=引っ掻く」は、古語かも知れない言葉である。その理由は、伯耆では、かなぐる・カナグルという語彙も、同様な意味で、使用するからである。カナグルの語源は、辞書を引くと、一説には、「カキナグル・掻き殴る」という。しかし、共通語のそれの意味は、全く存在せず、「爪で引っ掻く」の意味である。用例としては、言うまでもなく、「ネコにカグラ・カナグラレた。=ネコに引っ掻かれた。」というようなものである。ただし、「皮膚が痒いので、カグッ・カナグッた」とは言わないように思う。このときは、「皮膚が痒いので、掻いた」である。「喧嘩をして、お互いをカグッ・カナグッた」は言える。
 今回は、検索の方法も巧かったこともあろうが、共通語「引っ掻く」の同義語としての方言達を検索できた。地方毎に、共通する方言が存在することが判明した。
 それによると、東北地方は「カッチャグ」系である。
★東北★
津軽:カッツァグ:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%9A%E6%B4%A5%E5%BC%81
山形:カッサク:http://koujizu.seesaa.net/article/145507291.html
秋田:カッチャグ:http://www.nihonkai.com/tenma/a-top/akitaword/akitaben.htm
岩手:カッチャグ:
http://www.net1.jway.ne.jp/morioka-daiichi_zaikyou35/general/Morioka-dialect-dictionary/Morioka-dialect-dictionary.html
宮城:カッチャグ:http://www.miyaginet.jp/miyagi/Dialect.htm
福島:カッチャグ:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%9A%E6%B4%A5%E5%BC%81
新潟:カッチャバク:http://www6.shizuokanet.ne.jp/kirameki/hougen/niigata.htm
 これは、「カキ+サク=掻き裂く」の訓化との推測もあるようだ(以下の文献など)。異論はない。新潟(北陸)の「カッチャバク」は、「掻き+さばく」なのかと推測される。
http://www.morioka-times.com/news/0410/06/04100607.htm
http://www1.tmtv.ne.jp/~kadoya-sogo/ibaraki-ka.html
 次に、関東近圏は、共通語に近い、「ひき+かく=引き+掻く」系統が主流である。その点、理論と現実とが、かなり綺麗に整合すると感じる。「カク」の語彙個所が、関東以西に分布する「カジル」となる方言や、それをさらに他動詞強調型とも言える「カジク・カジクル」もある。伯耆でもそうだが、共通語「カジル」には、「掻く」の意味は存在しない。「カジル」に「かく・掻く」の意味を持たせたのは、何時の時代なのか、どちらかの意味がどちらに先行したのであろうか?残念ながら、分からない。「カジル=掻く」文化圏では、「掻く」を意味する方言を調査すれば、hintが得られる可能性は高いが、その試みは、これからである。
★関東近圏★
茨城:ヒッカジル・ヒッカジク・ヒッカジグ:http://www1.tmtv.ne.jp/~kadoya-sogo/ibaraki-hi.html
群馬:ヒッカジク:http://www1.tmtv.ne.jp/~kadoya-sogo/ibaraki-hi.html
千葉:カジル:http://unfitinlovejt.blog51.fc2.com/blog-entry-11.html
山梨:ヒッカジクル:http://www1.tmtv.ne.jp/~kadoya-sogo/ibaraki-hi.html
東京:ヒッカク:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1051634730
神奈川:ヒッカク:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1051634730
山梨:カジル:http://www3.ocn.ne.jp/~kaionji/jitenkab.html
 以下が、「カジル」方言文化圏である。「クジル」は、k_a_jiru⇒k_u_jiruの変化したものであろう。
★中部・北陸★
静岡:カジル:http://www2.tokai.or.jp/tom-3/shizuoka.htm
魚津:クジル:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%9A%E6%B4%A5%E5%BC%81
三重四日市:カジル:
 近畿(上方)地方は、hitしない。これも今後の課題である。現時点での想像では、「カナグル」、あるいは、「掻く」ではないか。
 中国地方は、「カグル」文化圏である。「カギル」は、kajiruまたはkaguru⇒kagiruの変化形であろう。「カグル」と「カジル」とは、音声的に類似する。どちらが、どちらから派生したのであろうか?これまた、現在のところ、不明である。
★中国★
島根:カグル:http://oshiete.goo.ne.jp/qa/583628.html
岡山:カグル:http://yamakyo-japan.com/okayama/tuyamaben/tango.html
広島:カグル:http://mikle.jp/thread/1498418//
山口:カグル:http://www4.plala.or.jp/jitabi_yanai/hougen-ka.html
下関:カギル:http://www.weblio.jp/content/%E3%81%8B%E3%81%8E%E3%82%8B
 四国地方は、hitしない。これも今後の課題である。
 九州地方が、これまた、個性的・特徴的である。東北・関東と類似する点として、2動詞の結合形であることである。その2語を、想像を交えて、構成すると、「カキ+カジル」であろう。こうなると、時代的古さからは、「カグル」<「カジル」なのかも知れない。そうだとすれば、「カジル」は、本来的には、「掻く」の意味であったのだろうか。佐賀・長崎の「カッシャグ」は、東北地方の「カキ+サク=掻き裂く」の訓化との近似性があるが、再検討が必要かも知れない。いや、やはり、それで間違いないようである。
★九州★
福岡:カジル:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1051634730
大分:カカジル:http://ameblo.jp/diamondmuranaka/day-20090731.html
佐賀:カッシャグ:http://www.bunbun.ne.jp/~kuri2/saga/all_2.html
http://wiki.chakuriki.net/index.php/%E4%BD%90%E8%B3%80%E3%81%AE%E8%A8%80%E8%91%89
長崎:カッシャグ:http://blogs.yahoo.co.jp/msrnj3681011/folder/475282.html
熊本:カカジル:http://www.geocities.jp/shiori_markun/KUMAMOTO1.HTML
宮崎:カカジル;http://www.miyazaki-catv.ne.jp/~n-satoh/hougen/hougen2.html
鹿児島:カカジル:http://blogs.yahoo.co.jp/ariruru36/folder/1013478.html
 いよいよ、まとめである。2動詞合成系としては、「カキ+サク=掻き裂く」系、「カキ+ナグル=掻き殴る」系、「ヒキ+カク=引き掻く」系の3系統と、単独動詞系としては、カク、カジル、カグル系の3系統があることになる。

Case51:「かぐる(カグル) 」:引っ掻く共通語
― 用例は、上述した通り。
― カグルの分布:中国地方

仮説51:「かぐる(カグル) 」:引っ掻く共通語
― 「純正日本語」
― 「蝸牛考」的視点からの説明は、可能性有り。その観点からの推理になるものの、「カキ+サク=「掻き裂く」・「カキ+カジル」系が最外部周辺、「カキ+ナグル」⇒「ヒキ+カジル」がその内側、カク・カグル・カジルの1動詞が中央ということになるとの仮説も可能

 当面は、ken1ada@yahoo.co.jpまでcommentsを!そのe-mailにより「第○回にcommentsを書き込んだので読んで欲しい!」とかの交信方法を!


ken1ada at 00:29│Comments(0)

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