2011年10月08日

52回 「土着日本語」における同義語:模索への旅― 模索編:その39 せせる・せせくる(セセル・セセクル)⇔手で弄る(いじる)


2011-10-07 created

 伯耆(出雲)での、「せせる・せせくる・セセル・セセクル⇔(手で、過剰に) いじる・弄る」を扱う。共通語として辞書に記載があり、その用例の1つが、「つつく・ほじる」となっており、これが近く、驚いているものの、東京では全く通じないであろう。辞書に掲載してくれているので、我々、セセルのnativeは、堂々と使用すべきなのだろう。また、各地の「せせる・セセル」で、その意味として、「つつく・ほじる」が、そう言えばあったし、例によって、頼りにしている「出雲弁の泉」でも、議論をさせてもらい、たった先ほど、用例として、魚が餌をつついているときなどに「せせっちょー・セセッチョー⇔つついている」と言うとの回答を頂戴したところであるが、これも然りであることに気付いた次第である。セセルが共通語と判明したので、共通語に同源語を推測する必要もなくなったが、敢えて試みる。確信は限りなく0に近いが、「セセラグ・せせらぐ」とは同源の可能性はどうか?せせ・セセによって、動作の反復を示唆させていないか?あるいは、せかす・セカスとの同源か?http://d.hatena.ne.jp/HIROMITI/20090516 真相は、闇の中である。
 方言として、類義語の「かまう・カマウ(共通語:相手にいたずらをする・からかう⇔共通語にも当該用法がある) 」は、存在する一方で、「いじる・イジル」は存在しない
 全国的に同義語の方言を含めて、検索できたものを、以下に引用・整理する。
 先ず、東北地方(新潟も加えた)は、極めて高い共通性が見られる。「ちょす・チョス」がそれである。若い頃、仙台でお世話になったが、記憶がない。「ちょす・チョス」は、多分「チョスル」で、そのまま、動詞であろう。語源などは、筆者には、全く、分からない。漢語由来も臭う。福島の「わっさ・ワッサ、わすら・ワスラ」は、名詞と判定した。共通語の「わるさ・ワルサ」と同根であることも、可能性が高い。従って、ワッサするな⇔いたずらするな・わるさするな、の意味であろう。その意味では、伯耆方言でも、「カマウ・ワルサをする」は、存在する。

★東北★
青森:チョス:http://ao.tabijin.info/ta008/
秋田:チョス:http://akitaben.seesaa.net/article/15902926.html
山形:チョス:http://hb6.seikyou.ne.jp/home/umetsu/kayoko/syounai/koza.html
岩手:チョス:http://www.khb-tv.co.jp/kotomaga/bn/0803080945/page.html
宮城:チョス:http://www.miyaginet.jp/miyagi/Dialect.htm
新潟:チョス:http://www.fumi23.com/to/s13/h/5969.html
福島:ワッサ:http://aizunogakujin.web.fc2.com/countorytongue.htm
福島:ワスラ:http://daiemura.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-05de.html

 関東圏は、「イジクル・いじくる」系のようだ。これは、当然、共通語系統である。「いじる」だけでなく、「いじくる」も辞書に記載がある。かくして、群馬・埼玉・神奈川でhitしなかった理由としては、これらでは、「いじる」であり、方言として採用しないことが示唆される。逆に言えば、「いじる」は共通語だが、「いじくる」は方言との意識から、ここでの引用例・地域は、hitできた可能性も高い。

★関東圏★
茨城:イジクル:
http://hougen.atok.com/dialect/showtop.sv?did=19&start=6925&sid=49b5df048d610c02
栃木:イジクル:http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%A0%83%E6%9C%A8%E7%9C%8C
    テワスラする:http://ordinarv-blog.jugem.jp/?eid=12
千葉:イジクル:http://www.kashiwakuma.com/nosaka/dialect.htm
群馬:?
埼玉:?
神奈川:?

 中部圏は、「なぶる・ナブル」が中心である。「なぶる」も共通語である。しかも、「手でもてあそぶ。いじりまわす」の意味も記載されている。長野では、関東圏と同様に、「いじくる・イジクル」である。石川では、一部で、「いろう・イロウ」であり、上方へと連動しているように見える注目すべきは、静岡の「せせくる・セセクル」であり、これは、近畿を飛び越して、中国圏で出現するものである。いわば、飛び石的存在である。

★中部圏★
山梨:イビル・イビクル:http://www3.ocn.ne.jp/~kaionji/jitenai.html
    イジクル:
http://www.weblio.jp/content/%E3%81%84%E3%81%98%E3%81%8F%E3%82%8B?dictCode=KSBJT
静岡:セセクル:http://www.otoginosato.com/yanbai.asp
        http://www2.wbs.ne.jp/~hougen/hougensyuu.html
長野:イジクル:http://sakuhotel.blog23.fc2.com/blog-entry-785.html
岐阜:ナブル:http://www.nona.dti.ne.jp/~samma/kouza/na_gyou.html
愛知:ナブル:http://www.geocities.jp/taihiclub1/mikawa-ben.html
   http://www.db.ics.keio.ac.jp/~k/dialect/
富山:?
金沢:イロウ:http://genkinagochan.blog.ocn.ne.jp/doranyanko/cat5191520/
石川:ナブル:http://www6.shizuokanet.ne.jp/kirameki/hougen/hukuireihoku.htm

 近畿では、「いろう・イロウ、いらう・イラウ」が多い。滋賀は、中部圏の「なぶる・ナブル」である。

★近畿★
滋賀:ナブル:http://wpedia.mobile.goo.ne.jp/wiki/130568/%8B%DF%8D%5D%95%D9/19/
三重:イロウ:http://mieben.mie1.net/d2007-06.html
京都:イラウ:http://dic.nicovideo.jp/a/%E4%BA%AC%E8%A8%80%E8%91%89
丹波:イラウ:http://hb4.seikyou.ne.jp/home/Kazuo.Okunishi/local-tongue.html
大阪:イラウ:http://kaipanzhishugu898.blogbus.com/logs/39967349.html
和歌山:イラウ:http://www.humap.tv/dialect.html
奈良:?
兵庫但馬:イロウ: http://www.weblio.jp/content/%E3%81%84%E3%82%8D%E3%81%86

 中国地方では、「いらう・イラウ」系と、「せせる・セセル」系になる。出雲と伯耆とにも、セセルが分布することも付言しておく。

★中国★
岡山・イラウ:http://www.geocities.jp/jakoba03ya/tora/10hougenn.html
石見:セセル:http://senjukaihomepage.web.fc2.com/00-hougen-3.html
広島:イラウ:
http://hougen.atok.com/dialect/showtop.sv?did=7&start=843&sid=54182972ed7bd802
山口:イラウ:http://www.tumori.nu/hougen/a.html

 四国圏では、「いろう・イロウ、いらう・イラウ」が多い。徳島は、中部圏の「せせる・セセル」である。

★四国★
香川:イロウ:http://blogs.yahoo.co.jp/iloverakyou/23801301.html
徳島:セセル:http://www2s.biglobe.ne.jp/~etude/azkaban/awaben/dic-saA.htm
    イラウ:http://yaplog.jp/tokyo-nemu/archive/912
高知:イラウ:http://plaza.rakuten.co.jp/coolkoo/8001
愛媛:イロウ:http://home.e-catv.ne.jp/yomoyomoda-_-yo/hougenn.htm

 九州地方では、「せせる・セセル」系が主体である。宮崎の「つくじる・ツクジル」や、鹿児島の「いびくる・イビクル」は、特殊であり、また語源も想像外である。鹿児島の「ももじい・モモジイ」は、非nativeながら、動詞「モモジル」と判定する。理由は、伯耆(出雲も)でも、「しくじる」を発音に忠実に再現すれば、「シクジー・シクジイ」になるからである。

★九州★
福岡:クジル:http://homepage2.nifty.com/mistaker/syometu.htm
佐賀:セセル:http://blogs.yahoo.co.jp/teruchi25/17280120.html
長崎:セセクル:http://senri.warbirds.jp/jasdf/15senyu/hoogen.html
熊本:セセル:http://www.pkcmaiko.com/kumaben.html
 イラウ:http://wikipedia.atpedia.jp/m/wiki/%E7%86%8A%E6%9C%AC%E5%BC%81
宮崎:ツクジル:http://boss5th.livedoor.biz/archives/50965050.html
鹿児島:モモジイ:http://homepage3.nifty.com/onjyodoi/jiten/jiten-ma.html
      「ももじる」が変化
     イビクル:http://oina.sakura.ne.jp/index.php?%A4%A4

 いよいよ、まとめである。結果的には、地域毎に、見事に分類された。こうした例は、今までに余りなかったことを先ず、記しておきたい。しかし、どの語彙がどの語彙に歴史的に先行するかという点については、やはり、ほとんど、推理もできないでいる。そんな中で、1つだけ、言えそうなことで、重要なこととしては、例えば、「せせる・セセル」を方言とする伯耆において、かつては、「いじる・イジル」、「いろう・イロウ」、「なぶる・ナブル」を使用していたという証拠はないし、仮説としても違和感があることである。従って、上方発信として地方に伝播すると仮定では、最新語彙は、「いらう・イラウ」であり、次がその周辺での「なぶる・ナブル」系、そして「せせる・セセル」系となり、さらには、「いじる・イジル」系で、最後に「ちょす・チョス」系となるであろう。換言すれば、かつての、都で、「いじる・イジル」系や「ちょす・チョス」系が使用されたということになるが、殆ど考えられないし、証拠も見つからない。それよりは、都がこの国に成立する前から、東北圏では、「ちょす・チョス」系、関東圏では「いじくる・イジクル」系が使用され続けており、都言葉は、native・一般庶民までには浸透しなかったという説の方が極めて自然である。

Case54:「せせる・せせくる(セセル・セセクル) 」:「手でイジル・弄る(いじる)」共通語
― 用例は、上述した通り。
― せせる・せせくる(セセル・セセクル)の分布:静岡・伯耆・出雲・石見・四国一部・九州の大半

仮説54:「せせる・せせくる(セセル・セセクル) 」:「手でイジル・弄る(いじる)」共通語
― 「純正日本語」
― 「蝸牛考」的視点からの説明は、同義語が綺麗に分布するものの、困難。

 当面は、ken1ada@yahoo.co.jpまでcommentsを!そのe-mailにより「第○回にcommentsを
書き込んだので読んで欲しい!」とかの交信方法を!


ken1ada at 00:35│Comments(0)

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