アメリカから発信! HRMトーク 人事管理ブログ

アメリカの人事管理に関する最新の話題を現地オレゴン州からお届けします

今回はCDCThe US Center for Disease Control and Prevention)から出されたばかりのコロナ感染テストの最新ガイドラインについて皆様にシェさせていただきたいと存じます。弊社のクライアント企業様から寄せられる質問で多いのは、従業員を職場復帰させる(RTW: Return-to-Work)際に、果たしてコロナ感染テストを従業員に義務付けてもよいのかどうかというものです。この質問への答えに対する今回の新たなCDCのガイドラインをご紹介しながら、職場におけるテストの必要性について検証してみたいと思います。

 

まずCDCの最新ガイドラインでは、テストを受けるかどうかについての5つの考えられうる以下のようなシナリオを準備してくれています。

1) 仕事に来る前に従業員には何らかのコロナ感染の兆候があるかどうかの健康チェックを求め、検温してもらい、コロナの兆候が見られた場合には、医療機関に行ってもらい、そこでテストを受けてもらうようにと指示することができる。

2) コロナに暴露した疑いのある従業員がいた場合には、自宅における自己隔離をしてもらい、同時に速やかにテストを受けてもらう。

3) コロナに暴露した疑いのあることを知らない従業員で、なおかつ無症状であった場合、やはり市中感染を防止するために下記のような状況下であれば、テスト受けることが勧められる。

·         職場でのソーシャルディスタンスをとること自体が難しい、つまり6フィート以内に15分以上おかれるという状況が発生している場合

·         職場が医療診断や治療が遅れる可能性のある遠距離に位置している場合

·         職場がエッセンシャルビジネスに数えられていて、事業を継続することが最優先課題とされているような場合

·         従業員に対して集団集合住宅を提供しているような職場の場合

 

これらの状況下に置かれている職場では仕事に来る前に全従業員に対して最初のテストを受けさせます。そして次に一定の間隔を置いて定期的にテストを受けてもらうようにします。さらにある一定期間、自宅待機やテレワークをしていた従業員を職場に呼び戻す際や新規採用者が職場で就業開始する前に、やはりテストを受けてもらいます。

 

定期的にテストを繰り返す場合にどのよう一定間隔を空けたらよいのかは、業種や地域によって当然違ってくるわけですが、たとえばニューヨーク州では州から出されている事業再開に関しての各フェイズごとのガイダンスの中で、ビューティサロンや理髪店で働くビューティシャンやヘアデザイナーの方々には2週間ごとでのテスト受診を義務付けています。

 

4) 職場復帰する前にコロナに暴露し、コロナから回復した従業員がいた場合、会社は職場復帰しての大丈夫であることの医療提供者からの診断書提出を求めることができる。

ただし、医療機関の患者数が切迫した地域においては診断書をタイムリーに出してもらうことは難しくなることが予想されます。そこでCDCでは、a) 症状を基にした b) 時間を基にした c) テスト結果を基にした それぞれの戦略の中からどれかを選択して適用させることを示唆しています。

 

5) 現在コロナのホットスポットとなっているような地域における公共衛生監視プログラムの一部として従業員にテストを受けさせることもCDCは認めている。(ただし、そのような地域におかれていない限りにおいては、公共衛生監視プログラムに参加するということは会社にとってはあまり現実的なことではない。)

 

テストを受け、その結果が出るのを待っている従業員は基本的に推定陽性ということで、自宅での自己隔離をしてもらいます。その際、ADAAmericans with Disabilities Act: アメリカ人障害者法)の要件に従い、会社は従業員の医療情報を機密扱いとしなければならないため、それら自宅隔離の措置を受けた従業員のプライバシー保護や差別防止に努めなければなりません。テストの結果が陽性と出た場合は、もちろんその従業員は‘自宅で隔離を続けてもらうことになります。そして濃厚接触者との追跡を会社として従業員の機密を保ちながら行わなければなりません。その濃厚接触者の定義ですが、CDCでは症状が現れた日、あるいは陽性のテスト結果が出た日の2日前に15分以上にわたって6フィートの間隔を切る距離で接触のあった人物を指すものとしています。

 

CDCは連邦感染症専門機関ですので、この最新ガイドラインは全米中で適用されることになりますが、各州やローカルの郡や市町村から出されている個々のガイダンスについても十分に目配りすることが要求されます。その上で従業員にテストを受けさせることが最適な判断であるかどうかの決定を下してほしいとしています。最後に本ガイドラインの中においてもCDCの見解として、従業員を職場復帰させる際にコロナウィルスの抗体テストを受けさせることについては推薦されていません。

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酒井 謙吉

President & CEO

Pacific Dreams, Inc.

kenfsakai@pacificdreams.org

www.pacificdreams.org

ここ3ヶ月以上にわたって毎週ほぼ100万人以上の失業保険申請が全米で継続しています。コロナパンデミック以前と比べるとまさに  スカイロケットSkyrocket)の様相です。1930年代の世界大恐慌以来の未曾有の大失業時代がコロナによってもたらされてしまいました。オフィスや店舗の閉鎖で一時帰休やレイオフにあった従業員は一斉に失業保険の申請に走っています。失業保険そのものは本来各州ごとに運営されている制度ですが、このような事態を見据えてアメリカの連邦政府は早々と追加支援措置を講じ、4月から州の失業保険給付にプラスされて連邦の方から毎週$600があわせて支給されるようになりました。ただしこの措置は今月(7月)いっぱいで終了することになっていますので、最後の追い込みをかけて失業保険申請に乗り出す人も増えているところです。

 

このような失業保険給付の大判振る舞いが行われている今回のコロナ経済状況下におきましては、国や州の緊急事態発令に便乗して、失業保険を不正に受給する詐欺的行為もかつてないほど激増しています。また悪意はないにしても、失業保険制度の趣旨を理解せずに本来受給する資格ではない状況下であっても申請を出す元従業員も散見されます。しかしながら、意図的であるにせよないにせよ、失業保険の不正な受給は立派な犯罪行為であるとして、発覚すれば罪に問われ、不正給付金の全額返済ならびにペナルティ、さらに悪質であった場合は、刑事罰に処せられ、収監される憂き目にあうことにすらなります。

 

コロナのために会社経営が傾き、従業員を一時帰休またはレイオフ(解雇)した場合には、その直接のあおりを受けた従業員は通常、失業保険給付資格を持ちます。一時的にせよ仕事を失った従業員は、自分で失業保険を取り扱う州の行政機関にオンライン上で失業保険の申請を行います。その申請に対して、州行政機関は元雇用主の会社にレターを送り確認を取ります。もしそのレターに書かれてある内容が事実と異なる場合には、会社はアピールとしてそのレターに事実を書いて行政機関に返送します。もし、事実が書かれてあれば会社は特に何もすることはありません。

 

この部分で特に確認していただきたいのは、会社を辞めた理由についてです。その理由が会社都合の理由であったのか、あるいは従業員の自発的な退職であったのかで、失業保険の給付資格が変わってまいります。つまり、会社都合での理由であることが給付資格の上で必要であるからです。ですが、現実には自己退職した元従業員もダメもとであるかどうかはわかりませんが、とりあえず申請を出す人が数多くいます。それをそのまま放置しておくと、会社は事実を認めたという判断をされ、失業保険給付が認められることになります。そのようなことが積み重なってまいりますと、会社が州に納めている毎年の失業保険税のレートの上昇に跳ね返ってくることになります。失業保険は保険プログラムのひとつでありますから、使うほどにその保険料、つまり保険税率は上がってしまいます。失業保険税は基本的に会社が100%支払っており、従業員は負担していません。

 

さらに ”ID Theft” と呼ばれているのですが、従業員の個人情報を盗んで、その本人になりすまして、失業保険申請を出して給付を得るという詐欺的行為も手口として顕著になってきています。中にはプロの詐欺的集団組織が裏で暗躍していて、個人や会社、さらには州政府機関にハッキングやシステム攻撃を仕掛けて情報窃盗を繰り返し、そういった情報が闇のサイトで売買されていたりします。中には、海外からの組織が攻撃を仕掛けてくることがあることもわかっています。巨額の金額が不正受給されている場合には、ほぼプロの詐欺集団の関与によるものだといわれています。

 

今後とも大失業時代がしばらくは続くであろうという前提のもとに、巨額の失業保険がアメリカの中で給付され続けることになります。その状況にピンポイントで狙いを絞っている情報武装した火事場泥棒がいるということに対して会社としても細心の注意を払ってほしいと思います。そしてもし、失業保険給付に疑念を覚えたら、あるいは不正の臭いを感じ取ったら、各州で設定されているホットラインまで迷わず電話をしてみてください。また、貴社の元従業員を会社に呼び戻しをして再雇用した場合には、州行政機関のサイト上でその旨を報告することのできるページがありますので、そのサイトから報告を出して、職場復帰後に失業保険給付が続くようなことがないようにしてください。

 

最後にもう一度申し上げておきたいのですが、アメリカの失業保険制度は各州ごとに運営されているため、州が異なればその運営方式はすべて異なります。ですから州の数(50州プラスワシントンDCやプエルトリコ、ヴァージン諸島なども)ほど、違った制度となっていますので、対応の仕方は基本的に全部異なってまいります。失業保険のご相談をお受けしても対応は個別対応で違ってくるということになります。しかしながら、弊社はすでに数多くの州における失業保険制度の対応に長年にわたって携わってまいりましたので、皆様のいらっしゃる州の失業保険についてのご相談に対しても十分ご対応することができるものと考えております。ご不明なことがありましたら、決してそのままにしておかず、弊社のようなアメリカの失業保険制度のエキスパートまでお問い合わせしていただけましたら幸甚です。

HRMトーク7月号 - 2020


酒井 謙吉

President & CEO

Pacific Dreams, Inc.

kenfsakai@pacificdreams.org

www.pacificdreams.org

 

アメリカでもいよいよ各州ごとによるいくつかの段階 (フェーズ) を経た経済再開のガイドラインが発表され、ビジネスがようやく動き出そうとしています。まずは会社として自分たちの拠点がある州政府 (さらには各郡または市) 発表のそれらガイドラインに従って、事業所を再開するX-Day を決定します。 X-Day を決められれば、それに基づいた再開のための計画と準備に着手します。 もちろん正確なX-Day を確定するには不確定要素が絡むものですので、プランAだけではなく、プランBもあわせてバックアップとして作っておくことをお薦めします。

 

 

準備として最初に行いたいのが、事業所再開にあたってのX-Day (再開日) を含めた従業員に通知するレターの作成になります。 レターには、会社内でのクリーニングや除菌を含む衛生管理について、そして従業員への防衛として6フィートのソーシャルディスタンシングを保つこと、必要であればフェイスマスクやグローブなどのPPE Personal Protective Equipment 着用の義務、さらに従業員の健康スクリーニングの実施、社内ポリシーになっているシックリーブ、アテンダンス、そして訪問者や顧客への対応ポリシーなどの見直しやアップデートの通知など、いろいろとカバーしなければならないアイテムが目白押しだと申し上げられます。

 

 

この中で、特にセンシティブで従業員の医療情報に直接かかわるのが健康スクリーニングになります。 具体的には、従業員への職場復帰前と復帰後の健康度アンケート調査 (質問票) への回答、毎朝出勤時におけるオフィスに入る前での従業員の体温測定、そして職場復帰前におけるウィルス感染テスト PCR 検査) などです。 これらの実施はいずれも連邦法であるADA Americans with Disabilities Act; アメリカ人障害者法) による制約を受ける 医療検査 Medical Examination に該当します。 つまり、通常の状況下では医療機関ではない会社がこのような医療行為に直接かかわるような行動をとることは、本来許容されていないのですが、パンデミックとなったコロナウィルスの場合は特別に許容されるという見解がEEOC Equal Employment Opportunity Commission; 雇用機会均等委員会) から正式に出されています。

 

 

さらに、会社として実施する医療検査に関しては、その実施前に従業員あるいは新規採用者に対して、本人への通知レターと承諾書 Acknowledgement を取られておくことを強くお薦めします。 採用者に対しては、オファーレターの中にその記述を書き入れておかれるとよいかと察します。これら検査を実施するのであれば、全採用者および全従業員がその対象となりますので、ポジションや部門などによって実施したりしなかったりということは許されません。もちろんPCR検査は会社ではできませんので、指定したラボなどに行ってもらうことになります。 体温測定は、一定の体温 37.5C or 99.5F 以上あった場合、その日はオフィス内に入ることができず、自宅に直行してもらい安静と療養を促します。 体温測定値は従業員の医療情報 Medical Information に当たりますので、他の情報とは分けて機密情報として厳重に管理することがADAで求められています。

 

 

ポリシーの作成は、一度にすべてのポリシーを同時に作ることは時間的にも難しいことですので、優先順位をつけて、必要とされる順に一つ一つポリシーを作成していかれることが現実的です。 その意味では、職場再開になった際に必ずしてもらわなければならないソーシャルデイスタンシングポリシーやマスクなどの着用義務に必要なPPEポリシーは優先順位が高いといえるでしょう。 ポリシーの作成はCDC Centers for Disease Control and Prevention; 全米疾病対策管理センター) から出されている種々のガイドラインに従う必要があります。 また自社内ですべてのポリシーを作るのが現実的ではない場合、外部のリソースを使って一気に作り上げてしまうというのも手であるかと考えます。 ガイドライン作成に費用は多少かかりますが、職場の衛生管理ならびに従業員の安全対策を会社が真剣に取り組み、社内体制上でも整えていくという姿勢を示すことで、従業員も会社に対する安心感ならびに信頼感が以前にも増して持ってもらえるのではないかと察します。 

 

 

最後に自身の健康に不安を覚えるハイリスク従業員、たとえば、既往症経験者の人、65歳以上の人、障害を持つ人、妊娠なされている女性などは、無理をして職場に戻ってくることに関しては抵抗感を持つ方がいるのは想像に難くありません。 そのような従業員の方々とは、職場に復帰させることを強要するということではなく、相互の対話方式プロセス Interactive Process を通じて、自宅勤務の継続などの適切な対応 Reasonable Accommodations を双方合意のもとにアレンジしてみていただくことを目指してください。 とにかく、健康被害や障害物などがなく、従業員が安心して働くことのできる職場環境を提供することはアメリカにあるすべての雇用主の務めであることを連邦法であるOSHA Occupational Safety and Health Act で義務付けられています。 コロナウィルス感染を契機に職場再開前にOSHAの原点に立ち戻って、職場の安全を再確認して、衛生管理を徹底するように努めてください。

 

 Pic for HRM Talk


 

酒井 謙吉

President & CEO

Pacific Dreams, Inc.

kenfsakai@pacificdreams.org

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