March 27, 2023

『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』 ☆☆☆★ 2023年34作目 チネ・ラヴィータ3

『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』 ☆☆☆★ 2023年34作目 チネ・ラヴィータ

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 ゆるーい殺し屋コンビが帰ってきました。
 『ベイビーわるきゅーれ』の続編です。
 
 「殺し屋協会」に所属する「殺し屋」なんで、ある意味「日本版ジョン・ウィック」なのですが、日常パートはぐだぐだに緩いです。
 高校卒業したてなのでだいぶ、と云うかかなりなおバカさんです。
 女子だから可愛げがありますが、男だったら只の馬鹿です。

 その分アクションはジョン・ウィック並です。
 未だに「邦画はつまらない」「邦画をつまらないと云いきる俺様こそ真の映画通」とかいうドヤリが沢山居るけど、アクションのレベルで云うなら邦画はちゃんと世界レベル。
 ドヤリとかの見る側が分かってないだけ。

 前作に続いて主演の殺し屋コンビを演じた伊澤彩織さんは世界レベルのアクションスタントガールなだけあって、今回もアクションが冴えに冴えてました。
 パートナーの高石あかりさんも頑張ってアクションしてたし、担当のぐだぐだゆるゆるシーンのぐだぐだっぷりと、ゆるゆるっぷりに更に磨きがかかってました。
 今時の二十歳そこらの娘さんはあんなにぐだぐだでゆるゆるなのでしょうか?
 心配です。

 話自体は「馬鹿な殺し屋コンビ」が野良マネージャーと三人で、
 「俺達の腕なら殺し屋協会入れんじゃね?」
 「空きが無いよ」
 「じゃあ誰か殺せばいいんじゃね?」
 と、伊澤彩織さんと高石あかりさん演じる殺し屋コンビを殺そうとする話。
 なので、正直1作目と比べると話の規模が小さくなってる。
 続編なのに前作より規模が小さいって、あり?
 と、正直思ったのですが、1作目が悪役の非道ぶりが酷過ぎ、よくある「個性的とキワモノを勘違いした、ただ不快なだけなキャラ」のせいで作品自体がぶち壊しになるところだったので、ややマイナスぐらいかなと。
 実際、「馬鹿な殺し屋コンビ」の馬鹿さ加減は魅力的で良いキャラクターだったし、良いコンビでした。
 野良マネージャーはどうにもならなかったけど。

 そんな訳で、コンビ対コンビの闘いなので量的にはスケールダウンしたかもしれませんが、質は申し分ありません。
 伊澤彩織さんのアクションは当然素晴らしいし、高石あかりさんも頑張ってアクションしてました。
 馬鹿な殺し屋コンビは馬鹿だけどアクションはしっかりしてて、見ごたえありました。

 阪元裕吾監督やっぱり凄い。今後も楽しみ。
 ベビわる続編あってもいいかも。つうか来い。



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March 25, 2023

『ロストケア』 ☆☆☆☆ 2023年33作目 イオンシネマ名取4

『ロストケア』 ☆☆☆☆ 2023年33作目 イオンシネマ名取

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 介護が必要な老人を何人も殺した連続殺人の作品。
 原作小説はミステリー作品なので「実話ベース」ではないのですが、考えさせれる作品でした。

 松山ケンイチさん演じる連続殺人犯の職業は介護士で、長澤まさみさん演じる検事が「自然死とされた要介護者は実は殺されたのでは?」との疑念から捜査を進めたら、「殺したのではありません。救済です」と、返され、「生きるとは?」「殺すとは?」を問われる作品。

 事件が発覚する経緯も微妙にリアルなので(介護事務所の所長が預かっている合鍵を使って窃盗を繰り返していた)、もしかしたら元になった事件があるのかもしれません。
 
 原作小説はミステリーなのですが、映画は「生きるとは?」「殺すとは?」に終始していて、「生死感」「人は何のために生きるのか?」「幸せとは?」を問うて来る、問われる作品です。

 なので大変に重い作品なのですが、所長のコソ泥の件が微妙にリアルだったように、親の介護で生活が苦しく何事にも余裕が無かったシングルマザーのパートの女性が、介護を受けていた親が亡くなってからは性格も顔も穏やかになり、業者のおっさんと良い感じになるのもまたリアルでした。

 松山ケンイチさん演じる連続殺人犯の介護士は常に静かで、己の行いに反省は無く正しい事をやった。と主張する青年なのですが、過去の経緯が非常に重く苦しく…

 運とか、経済状態、貧困のせいなのでしょうけど、重く暗く、深刻な問題です。

 「どんな理由があろうとも殺人は殺人」と、毅然と立ち向かう長澤まさみさん演じる検事も「親の介護」については何もないわけではなく…

 人は必ず老いるもの。
 「老い」に対しどう思うか。
 「人は寿命以外で死んではならない」との思いに、「それは綺麗事だ。皆が皆そう出来る訳ではない」と返してくる作品でした。



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March 18, 2023

『シン・仮面ライダー』 ☆☆☆☆★ 2023年32作目 ユナイテッドシネマ4

『シン・仮面ライダー』 ☆☆☆☆★ 2023年32作目 ユナイテッドシネマ

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 『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリヲン』『シン・ウルトラマン』に続く「シン・シリーズ」第4作?
 これで庵野秀明監督はゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダーの三大特撮作品を制覇です。
 仮面ライダー50周年記念作品なので、コロナ禍がなければもっと早く公開されたのですが、2023年一番の期待作です。

 観た感想は想像以上でした…
 TV版に原作漫画のテイスと、何より他の石ノ森章太郎作品からもキャラクターを引っ張ってきていて、「仮面ライダー」であると同時に、「石ノ森章太郎作品」であったし、当然、庵野秀明作品でもありました。

 冒頭のシーンから仮面ライダーに溢れてる。
 TV版第一話を忠実に再現した冒頭のシーンだけでこの作品の方向性と気合の入り方が分かると云うもの。
 戦闘シーンの描写は原作漫画のテイストを色濃く受けたホラーさもあり、実にリアル。
 冒頭のシーンとマスクの下の変身後の素顔を見ただけで、本物だと分かるし感じる。

 庵野監督作品なので設定はややこしくなっているけれど、ショッカーの目的やオーグと呼ばれる怪人、改造人間はどれもこれも個性的で魅力に溢れている。
 クモ男、コウモリ男、ハチ女、サソリ女と登場する怪人の造形も今風で見応えがあったし、演じた演者さんの個性が出てて弾けてた(特にサソリ女)。
 仮面ライダー2号も登場の由来や、生業が原作漫画を再現してて実に個性的かつ魅力的。
 ネタバレになるので詳細は書きませんが、他にも魅力的なキャラクターが何人、何体も居た。

 池松壮亮さんが演じた本郷毅は今までの本郷とは全く違うものでしたが、「力」に悩む姿は仮面ライダーらしくもあり、見た事のない新たな仮面ライダーでもあった。
 浜辺美波さんが演じたヒロインも素敵で、柄本佑さん演じる一文字隼人も魅力的なキャラクターでした。
 仮面ライダーなのだから当然「おやっさん」も出るし、滝二郎も出てたんだけど、そこは見てのお楽しみで。
 
 それと、「シン・シリーズ」では竹野内豊さんは「政府の男」って決まってるんですかね?
 斎藤工さんと揃って実写版「シン・シリーズ」三作全てに登場です。

 森山未來さんがショッカーの幹部を演じたのですが、演技が重厚で違和感を感じました。
 「改造人間で人間ではないから?」「ショッカーの幹部で、思考が世間一般とはかけ離れているから?」等々、色々と考えてしまったのですが、パンフレットを読んで納得しました。
 森山未來さんが出演した舞台を見て庵野監督がオファーしたそうで、重厚な演技は舞台の演技でした。
 庵野監督が観た舞台は多分『髑髏城の七人・鳥』だと思うのですが、確かに天魔王の様な演技でした。

 怪人のデザインは今風にアレンジされていましたが、仮面ライダーンのスーツとサイクロン号の造形は原作に近く、むしろ古さを感じるのも良かったです。

 庵野監督が拘りに拘ったアクションシーンは素晴らしく、どのアクションシーンも今までにないものでした。
 監督として「殺陣はやらない」と、アクションスタッフの「そうは云っても撮影なんだから殺陣をつける」のギリギリのせめぎ合いで、文字通りの鍔迫り合いの結果のアクションシーンはどのシーンも見物です。

 エンドロールで仲村トオルさんと安田顕さんがあったのですが、いったい何の役で何処に出ていたのでしょうか?
 全く気づきませんでした。気になります。

 大変に楽しみにしていた作品ですが、想像以上の出来で大満足です。
 当然、2023年ベスト確定です。



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March 16, 2023

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 ☆☆☆ 2023年31作目 ユナイテッドシネマ3

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 ☆☆☆ 2023年31作目 ユナイテッドシネマ

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 どこぞの映画評論家だかなんだかが、「映画とは(映画を楽しむには)先ず理解する事から始まる」とかってほざいたもんだから、「評論家の云う事を鵜吞みにする、自分の頭じゃ何も考えられない、頭空っぽのドヤリ」が方々で、「理解出来ん。俺様が理解出来ない映画はクズだ」とドヤってますが、映画を観る上で「理解する事」って必要なんですかね?
 が健太郎のスタンスなので、「理解できる。出来ない」はどうでもいい事なのですが、この作品に至っては全く理解出来ませんでした…
 だからと云って、そこら中に居るドヤリのように「下らない映画」とは云いませんし、なりません。
 「理解出来る。出来ない」は「観る側の問題」であって、「作品の問題」ではありませんから。
 
 理解出来ないなら出来ないで、画や、キャラクターや、演出や、美術で楽しみ方は幾らでもあるのが映画なのですが、この作品に至っては「話の理解出来なさ」と下ネタが度が過ぎてて、ネタ映画としか思えません。
 なのに、数々の賞を受賞したり、本家アカデミー賞での多数のノミネート。
 もしかして「普段はお堅いご高説を宣わっているけど、実はこういうのが好き」てやつなんでしょうか?

 一応話としては、アメリカに住む中国移民の女性。
 老いた父の介護、優しいだけで頼りにならない夫、反抗期の娘、赤字のコインランドリー。
 そして税務署。
 問題ばかりでしんどい思いをしてたら、突然夫が「僕は別の宇宙から来た。マルチバースが大変なことになっている。救えるのは君だけだ」とか云い出して…

 な話で、マルチバース/多元宇宙の話なのでMCU好き(映画しか観てないけど)としては十分に魅力的な話の筈なんだけど、下ネタが多くて駄目でした…

 母と娘で戦うことになるし、夫がマルチバースのある意味元凶なので「家族の話」なので、そんなに複雑な話ではない筈だし、画が良く出来ていて見どころでもあるんだけど、下ネタが…

 「指がソーセージになる」てのがあるんだけど、これはギャグだと思うんだけど、どうも性的な意味、スラングでもあるらしくこういったネタは難しかったです。
 英語やアメリカ文化の知識があれば「これはあれで、あれはこれ」的な解釈が出来たのかもしれませんが、如何せん下ネタが…

 ミシェル・ヨーが主演で、『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』以来30年ぶりにキー・ホイ・クァンが出演してるし、マルチバースの色んな世界の一つ一つは魅力的なんだけど、下ネタが…

 「理解出来る。出来ない」は「作品の良し。悪し」に関係ない。を語る上でこれほどふさわしい作品はありません。
 ありませんが、下ネタが…



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March 05, 2023

『ボーンズ・アンド・オール』 ☆☆☆ 2023年30作目 MOVIX仙台3

『ボーンズ・アンド・オール』 ☆☆☆ 2023年30作目 MOVIX仙台

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 この作品も「視野狭窄を起こさない為にタイプの違う方のお勧めを観る」で観た作品なのですが、作品としては良い作品だとは思うのですが、好みではありませんでした。

 「人をかじる癖」のある女の子が実は「食人種」で、食人種の青年と逃避行しながら愛を育む話。
 「かじる癖」と云っても、それは「食べている」のであって、じゃれてるとか「ごめんね」で済む話ではなく、文字通り「人を喰った話」。
 部族の習慣や、食人行為や、し好ではなくて、純粋に「生物種」として人を食べる「人を食べる種」であって、人間ではない。
 人ならざる者の話。
 なので、健太郎の好みの筈なんだけど、恋愛もの、ラヴロマンスとして描かれているせいか、いまいち乗れませんでした。

 話としても、ようやく出会えた二人が逃避行で二人だけの世界を作るも、第三者の介入であっけなく壊される。
 と云うよくあるパターンで、主人公の女の子と、ティモシー・シャラメ演じる青年に感受移入出来なかったこともあり乗り切れませんでした。

 二人の邪魔をして、二人の世界を壊す食人種のおさんが、只気持ち悪いだけなせいも多大にあったと思います。
 「二人の世界が第三者に壊される」パターンはよくありますが、だからと云って悪いわけではないので、「世界を壊す要因」が「気持ちの悪いおっさん」でさえなければもっと違った感想になったと思います。

 タイトルは「骨まで全て食べる」の意味で、ラストシーンは正に「骨まで愛して」でした。

 「違うタイプの人のお勧め」で観たのですが、やはり「種の違い」は越えがたい。



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March 02, 2023

『#マンホール』 ☆☆☆☆ 2023年29作目 イオンシネマ名取4

『#マンホール』 ☆☆☆☆ 2023年29作目 イオンシネマ名取

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 タイトルにある「#」はSNS用につけているのではありません。正式タイトルが『#マンホール』(ハッシュタグ・マンホール)で、SNS(twitter)を使って助けを求める作品。
 社長令嬢との結婚を控えた男が、パーティーの帰りにマンホールに落下。
 怪我をしてしまい動けなくなったので警察に通報するも、GPSの誤作動なのか場所が伝えられず助けが来ない。
 何とか電話がつながった元カノに助けてもらおうにも現在地が不明。
 そこで「マンホール女」でSNS(twitter)を立ち上げて助けを求める事に。

 てな話なんだけど、凄く良く出来てた。
 主演の「マンホールに落ちる男」がHey! Say! JUMPの中島裕翔君なので、ファンの方には大変申し訳ないのですが、「どうせジャニーズの映画でしょ」と思っていたのですが、しっかりとした映画でした。
 中島裕翔君はしっかりとお芝居してましたし、特に終盤は凄かった。
 何より話が良く出来てた。
 冒頭で既に伏線が貼ってある。
 「社長令嬢と結婚」
 「元カノ」
 「マンホール女でtwitterアカウントを作成」
 これが全部伏線。

 スマートフォンの使い方と、SNSに使い方が上手くて、「先ずは安全の確保」から始まって、SNSを使っての救助要請が「ネットの時代だなあ」でした。
 何とか撮影した外の写真から「多分ここ」と場所が判明したら、ユーチューバーが「救助にまいりましたぞよ」と駆け付けるも不発。
 「役に立たないユーチューバー」とかって、まんま過ぎて笑ってしまった。

 そんなこんなで、「救助要請」を続けつつ、「なんで俺がこんな目に遇うんだ?」「犯人は誰だ?」と犯人探しが始まったら段々と話が変わってくる。
 「あいつが怪しい。いや、あいつも怪しい」と犯人候補が次々と出て来る。
 随分と恨まれてるね。それに対して、元カノが健気な事。
 健気?
 そういやお前さんは何者なの?

 と、男自身が「何故マンホールに落ちたのか?」「落とされたのか?」となってからは話が変わってくる。
 
 展開の激変ぶりに驚きました。
 話、脚本が凄く良い、非常に良く出来てる。
 「社長令嬢と結婚」のも、「元カノ」なのも、「マンホール女でtwitterアカウントを作成」のも全部に意味があったし、それは「マンホール男の正体」に繋がる事だった。

 だから後半は、「やばい正体がバレル」となって、ネットの力が結集して現在地が特定されても「来ないで。つうか、来るな」になる。
 「集合知」って云うんですか? ネットの力って凄いですね。
 踏切の音だけで「何々鉄道の何々線」が分かっちゃう。
 そこに「さっきの建物の写真と星の状況から…」で「〇〇町の〇〇小学校」が特定されちゃう。
 音だけで分かる鉄道マニア凄いし、断片的な情報から場所を特定しちゃうネットの力凄いね。恐ろしいよ。

 私の好きな女優の奈緒さんが元カノ役で出演されてるのですが、奈緒さんの声が好きなもので、元カノなので「電話での会話」がメインだったので存分に奈緒さんの声を堪能出来ました。

 ラストは、正体が分かった「マンホール男」が…
 助けを求めてたのは「マンホール女」で「男」じゃないんだよな。
 凄く良く出来た作品でした。



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February 28, 2023

『アラビアンナイト 三千年の願い』 ☆☆☆ 2023年28作目 TOHOシネマズ仙台3

『アラビアンナイト 三千年の願い』 ☆☆☆ 2023年28作目 TOHOシネマズ仙台

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 映画を観る時は、自分の「好みの映画」「好みに合いそうな映画」を観に行ってるのですが、これでは視野狭窄を起こしてしまうので、あえて「守備範囲ではない映画」も見る様にしています。
 最近ではSNSでの評判、具体的には「あえて自分とは違うタイプの映画好き」をフォローして、その人自身や、その人の周囲での評判を見て「守備範囲ではない映画」を探して観に行ってます。

 『アラビアンナイト 三千年の願い』もそれで観に行ったのですが、健太郎には正直難しい作品でした。
 雰囲気や感じは悪くないし、画、ビジュアルとキャラクターは素晴らしいのですが、話が少し難しかったです。
 
 神話や物語の専門家アリシアが、講演で訪れたイスタンブールのバザールで瓶を購入。
 ホテルに戻って瓶を洗うと瓶から魔人ジンが現れ、「三つの願いをかなえてあげよう」となるも、神話や物語の専門家であるアリシアは「『三つの願い』は洋の東西古今を問わず不幸な結末にしかならない」のを知っているので拒否。
 三つの願いを叶えなければ自身にかけられた呪いが解けないジンは、「三つの願いは破滅しか招かない」事を知っているアリシアの考えを改めさせる為に、三千年に渡る自身の物語を語り出すが…

 てな話。
 タイトルにあるとおりアラビアンナイトの「ランプの精と三つの願い」の話なのですが、洋の東西古今を問わず「三つの願い」は不幸な結末、悲惨で惨めな悲劇にしかならないので、「知ってる」主人公は願いを云わないし、「三つの願いを解かないと呪いが解けない魔人」は何とか願いを云わせようとする。
 「願って」
 「嫌」
 のやり取りを魔人が「ならば私の素性を話して進ぜよう」と、三千年に及ぶ身の上話をしだすんだけど、個々のエピソードが濃い。
 画がしっかりしてるせいかそれぞれに見応えはあるんだけど、話がちょっとややこしいと云うか難しかった。

 監督が『マッド・マックス 怒りのデスロード』のジョージ・ミラー監督なので、画の良さは流石なんだけど、話がちょっと…でした。

 「三つの願い」は必ず「悲劇」で終わっているのが前々から大いに不満だったので、主人公の「三つの願いを叶えてやるの類は必ず不幸にしかならないのを知ってるから拒否します」は斬新で良かったんだけど、健太郎には難しい話でした。
 主人公を演じたティルダ・スウィントンが圧巻でした。



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February 27, 2023

『少女は卒業しない』 ☆☆☆☆ 2023年27作目 チネ・ラヴィータ4

『少女は卒業しない』 ☆☆☆☆ 2023年27作目 チネ・ラヴィータ

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 健太郎はおっさんなので、女子高生がキュンキュンする映画には興味が無いのですが、枝優花監督の『少女邂逅』や、阿部はりか監督の『暁闇』が好きなので、女子高生が主人公のミニシアター系の作品には興味がありまして、なので「守備範囲じゃないかも」しれないけれど観たらめっちゃ良かったです。

 詳しい事は知らずに観たのですが、朝井リョウ先生の連作短編小説が原作で、廃校が決まっている高校の卒業式までの2日間を描いた4人の女子高生の物語。

 「若いなあ」「青春だなあ」「恋だなあ」しか云えない…
 馬鹿ばっかりの地方の男子校を卒業した健太郎にとってキュンキュンは縁遠いものなんだけど、何故か身近に感じた。

 女子の恋話が4人で4話なんだけど、「幼馴染」とか、「大学行くんだ」とか、「先生と?」とか、どの話しもキュンキュン、素敵な、甘酸っぱい話でしたけど、お弁当のエピソードが…

 「卒業式までの二日間」の話の筈が、アレ?と思うとこがあったのはそういう事だったんですね…
 甘酸っぱい話が続いた中、ちょと泣けちゃいました…
 このエピソードのヒロインは河合優実さんなのですが、『サマーフィルムにのって』に出演された際は、正直それほど印象はなかったのですが、今作では良い役でした。

 監督を務めた中川駿監督は初長編作で、朝井リョウ先生の原作小説に惚れこんでの映画化。
 高校が舞台だけあって出演陣には若手が多く、将来が楽しみなのですが、中川駿監督も今後が楽しみです。



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February 26, 2023

『ベネデッタ』 ☆☆☆☆ 2023年26作目 チネ・ラヴィータ4

『ベネデッタ』 ☆☆☆☆ 2023年26作目 チネ・ラヴィータ

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 ポール・バーホーベン監督作。
 実在した修道女、ベネデッタ・カルリーニを描いた作品。
 「キリストを見た」、スティグマ/聖痕(イエス・キリストが磔にされた際に受けた傷)が現れた、と数々の「奇跡」を体験した修道女ベネディッタと、院長達との「奇跡は本物か、偽物か」の話に、教会のお偉方の「信じなさい。信じる者は救われる」が絡んできて、ベネデッタはレズビアンでしたな話。

 実話ベースなせいかリアルな点がそこかしこにありました。
 ベネデッタの「奇跡」として扱われる「スティグマ」が「インチキなんじゃ?」と思われる演出がある。
 これは終盤の火刑、火焙りに繋がってくる意味深な演出でした。

 中盤からベネデッタと愛し合い同性愛の関係になる女性が、家族からの仕打ちをさらっと云うのもリアルだったし、教会のお偉いさんが院長に「ベネデッタの軌跡は偽物だ」との告発を受けても「信者が増えるのは良い事」と、「信者が増える→寄付が増える」と考えるのもリアルでした。

 ベネディッタの「奇跡」をはっきりと「インチキ」とせず「偽物かも?」ぐらいにしておいて、「偽物と糾弾する院長」と、「奇跡が起こるのは良い事。それだけ我が教会は…」と利用するお偉いさんの対立の話が生々しかったです。
 「奇跡を偽るのはあってはならない」とする院長の主張は当然だし、「奇跡を利用して寄付が増えるのを企む」のは「いつの時代も宗教は…」だしで、このままいくのかな? と思ったらそこは宗教物のお約束。
 
 異端審問。
 同性愛行為が異端とされ、ベネデッタ本人ではなく、お相手の新入りが審問官に拷問される。
 昔のエログロ映画なら拷問シーンだけに力が入ってるんだけど、そこはポール・バーホーベン監督。
 映画全体に力が入っているので、拷問シーンは残酷だったけど浮いてない。浮いてないけど残酷。

 拷問の結果、ベネデッタは「異端」とされて火刑になるも、丁度ヨーロッパはペストが蔓延していた時期。
 「ベネデッタは救いの女神だ」とする民衆と、「神の名を語る異端者。地獄へ落ちろ」とする教会のお偉いさん。
 そこにペストも絡んできて…

 最後の最後に「スティグマは本物か?偽物か?」がまた出てきて、この手の作品、「奇跡が起きたとする者」「偽物だとする教会」「凄惨な拷問」とくれば結末は決まっているのに、そこはポール・バーホーベン監督。
 流石の結末です。

 実話ベースのせいかもしれませんが、こんな結末は見たことありません。
 宗教物なのに重く暗くならず、十分にエロチックで観やすい作品でした。
 流石はポール・バーホーベン監督、老いて益々健在です。



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February 25, 2023

『レジェンド&バタフライ』 ☆☆☆☆ 2023年25作目 ユナイテッドシネマ3

『レジェンド&バタフライ』 ☆☆☆☆ 2023年25作目 ユナイテッドシネマ

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 織田信長と正室、濃姫を木村拓哉さんと綾瀬はるかさん主演で描いた時代劇。
 「謎に包まれた濃姫をオリジナルストーリーで云々」て、濃姫ってマムシの道三こと斎藤道三の娘でしょ? 謎なの?
 と思ったら、「濃姫」と云う呼び名自体が「美濃の姫」と云う意味で、本名も「多分これ」ぐらいしかわかっていないそうで、生没年も「多分こんな感じ」で、戦国武将を代表する織田信長の正室でさえこの程度しか分からないのが実態だそうです。

 そのせいか、かなりの勢いで「自由奔放な姫」として描かれていました。

 男勝りの活発な姫で、信長は初婚でしたけど、確か濃姫は父上、マムシの道三の策略で「嫁いでは謀殺」を繰り返したので、二人とも確か十五、六の筈でしたが濃姫は三度目の婚礼。
 輿入れの日にお洒落に精を出す信長と近習は「うつけ者」を通り越して只のアホ。
 このアホさが、「この映画の信長と近習はアホで行きます」と宣言しているようで、掴みはOK。
 初夜の男女混合戦は「この映画の濃姫はこんな感じです。信長との力関係はこうです」で、こちらもOK。

 鷹狩のシーンの濃姫の凛々しさと男っぷりは、演じた綾瀬はるかさんの凛々しさと男っぷりそのものでした。

 信長とのラヴラヴエピソードが続くのかと思ったら、やはりそこは覇王信長。
 信長の覇道が進むにつれて疎遠になり、濃姫自体も病が進み…

 信長の最期は「本能寺の変」で決まっているのですが、濃姫の最期と、「そこに至るまで」がどのように描かれるのか楽しみでしたが、純粋なラヴストーリーでした。
 南蛮船のシーンは「こうだったら良いな」がまじまじと伝わって来ました。

 「本能寺の変の原因」が意外だったのと、斎藤工さんが演じた徳川家康が「あんた誰? ここまでいじるなら斎藤工の意味ないやん」でした。
 宮城県民としては、南蛮船のシーンで撮影に利用した《サン・ファン・バウティスタ号》を廃棄したのはやっぱり愚策だなと。

 新しい信長像と、自由奔放で綾瀬はるかさんの魅力が存分に生かされかつ溢れていた濃姫が見れた作品でした。 



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