2007年08月19日
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初恋 プレミアム・エディション


出演者については星五つなのだが。
「あの三億円事件の実行犯が、実は女子高生だった!」という着想自体は、非常に独創的で興味深いものと言える。
ただ、映画としては、う〜ん、少しばかり残念な出来だったと言わざるを得ない。
本当に、あの事件の背後に、あのような切ない恋物語が隠れていたのだとすれば、それはとても素敵なお話だ。
その切なさは伝わってきたし、宮崎あおいの抑えた演技は胸に迫るものがあった。
また、全編を通じて、「もう、何はともあれ、彼女を見ているだけで楽しい」といった意味での充足感はあった。
ただ、どうにもフラストレーションのたまる映画ではあった。
つまり、作り手の姿勢に対して疑問が湧いてしまうのだ。
描かれるべきシーンが、描かれていない。
逆に、省かれるべきシーンが、省かれていない。
結果として、無駄なシーンばかりが多く、逆に大切な部分については舌足らず、といった印象になってしまっている。
「この原作だったら、もっともっと面白く撮れたはずなのに」と思わずにいられない。
既に、「誰かリメイクしてくれないかな」と、けっこう本気で思っている。
その際には、みすずの孤独と岸の鬱屈を、もう少し深く描き込んでほしい。
宮崎あおいは、寂しさを抱えながらも純粋な主人公を、きっちりと演じきっている。
また、小出恵介も、権力への憎しみを内に秘めた、屈折した若者を好演している。
出演者についてだけなら星五つなのだが……。
「淡々と描く」ということと、「冗漫に描く」ということとは全く別物である。
必ずしも起伏に富んでいなくとも、そこに描かれている場面が描かれるべき場面であるならば、退屈はしない。
残念な作品だった。
でも宮崎あおいと小出恵介は観る価値あり。