建築基本法について、建築便り250

2025.06.07 建築基本法について、250
 建築基準法では建造物の作り方や安全性に関する規定が細部にわたっており、建築を何とするとか建築をどうしていうくかという理念的なことがないばかりか、細部にわたる規定が弊害を生むことにもなるとして、東大名誉教授神田先生を中心に建築基準法の上に住まい方、建築理念を規定すべきとして建築基準法を制定する運動が展開されている。
 最近、建築物を丈夫に作るのは当然として、そこに建築が関与する環境・文化などの貢献も必要として、基本法には益々期待が高まっている。しかしながら、基本法の発議からもう10数年経過しているように、いっこうに大きな進展が見られないのも事実ある。これは何を原因としているのか。原因としては、建築の専門家の範囲内に議論が枠を超えれないでいることにもあるという。こうした理念追求運動には、やはり市民の理解や社会における建築世論の醸成が待たれるが、その方面の運動がまだまだということのように見える。
 特に重要なのは、教育であり、専門家育成としての教育と市民子ども向けの社会営みとしての実践がある。後者については、衣食住の教育のうち、住教育がまだまだ弱いとして、ここから住まいとしての理念がみがきあげられるようにはしたい。また前者の教育については、大学での技術者倫理や技術倫理としての基礎教養を磨くことに加えて、建築の学生には基本法の理念も建築法規の授業で扱うべきといいたい。実際には、そうした教育はまだまだ遠いといえる。
 まとめとして、新たな理念の提案には、やはり社会全体からの支援が無くてはならず、そうした意味での社会全体への働き影がどうあるべきかから始めるべきと考える。

地盤液状化のテーマの研究会にて液状化地盤は液体か固体のどっち、建築便249

2024.09.08 地盤液状化のテーマの研究会にて液状化地盤は液体か固体のどっち、249
  金沢にて地震防災研究会に出席。研究会主催者とは友人の関係であるので、テーマによって時折参加している。今回は、液状化がテーマでした。会では、液状化の研究の経過説明の後に、「液状化の泥水zは液体か固体か」というショッキングな問いかけもあり、会場はざわめきました。それで、答えは「液体でなく固体」、と。しかし一般には、報道も市民も「液体」をイメージし、時には専門家もそのイメージに浸っているのが実状である。理由は誰でもイメージ出来て分かりいいからである。
 ではなぜそういうQが出されたのか。実は液状化の現象はまるで分っておらず、今までの液状化対策工も不十分とのことを力説したかったからである。確かに、対策工となると、液状化した水を排水することで液状化の領域拡大を防ぎかつ鎮静化させるのであるが、実際には排水用多孔で目づまりを起こし、鎮静化もさることながら、液状化域の拡大さらに噴出水(噴砂)も生起する。
 ならばどうする。液状化地層の個体性状を活かして、杭の機能を高めるのがよいとされている。実は液状化土は群杭の中をすり抜けていかないので、杭は周辺土の耐力を当てにできることになる。すなわち、土は、水中に孤立無援で自立しているのではなく、土に支えられているのである。ならば、液状化土を拘束するがごとく杭配置を行うなら、地盤耐力が期待できるということになり、吸水杭を使わず、固化剤地盤改良せず、は可能となる。
 しかしながら、土木系においてもこの種の論理は未だ少数派であり、大勢を覆すほどではない。地道に支持者をえていくことになろう。

能登半島地震2024で輪島に再度視察、建築便り248

2024.07.02 能登半島地震2024で輪島に再度視察、248
 能登半島輪島までは何回も通っている。じっくりと被災現場を視察したいからである。地震から半年経過したとはいえ、被災現場は全く変わらず、そのままの状態である。こうも復興が進まないのは、アクセス路が少ないとか、道路事情が悪いといったことではなく、当該地が過疎地域であるから、はなから熱いい対処がないと言い切れるくらいである。
 被災状況調査については、少しづつ原因究明のモードに入ってきている。とはいえ、調査で真っ先に動いているのは金沢地区の大学であり、他地域の小野はやや奪取が遅いといった感がする。個々にも、今一つ学術のノリの今一を感じた次第である。

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