注)このストーリーは昔月刊アルカディアに連載されていた「エキサイトファイター翔」の改変コピペストーリーです。全てフィクションです。
<第1話:あの跳び込みを墜とせ!>
ウイッス、おれKEN@安定志向。アドバンシング専門学校の1年生だ。家でクロニクルやってただけのオレだけれど、立川オスローとかいう店でゲーセンデビューも果たしたことだし、連勝できるように頑張るぜって感じだね!
KEN、A○Kと出会う
「今日はやってやる。昨日徹夜でお気に入りのカラーも決めたことだし(フフ、これで目がチカチカしないぞ)。ここまで準備万端整えたオレになら、きっと勝利の女神ちゃんが微笑んでくれるに決まってる」
気合を入れてオスローに駆け込んだオレ。目指す台は、ヴァンパイアセイヴァーだ。
チャリーン
選ぶキャラは、もちろんワーウルフのガロン。オレは、コイツを生涯のパートナーと決めている。ちょっと痛い勝ち台詞が気になるが、このカッコよさを考えれば帳消しってもんだ。
ンゲッレディ ファイッ
朝感じた予感は、まがい物ではなかった。なんだかよくわからないけれど、相手の動きが見える。ホラ、なんか跳んできそうな感じ…。き、来たあー!
「今だ、ESクライ…」
スコーン!!
「あ!アレ?」
コロコロコロコロ…
さっきまで正常に作動していたオレのレバーは、玉が飛んで今や見る影もない。先っぽがギザギザした、ただの棒だ。やべぇ、ひょっとしてオレ、壊したかも。
「オイ、待てよ。玉、オイ、玉あぁぁぁぁぁ」
『お、レバーの玉取れちまったのか。待ってろ、今直してやっから』
そこに立っていたのは、黄色い服を着た常連さんだった。
「え、あ、スイマセン壊しちゃって」
『何言ってんだ。こんなのは壊したうちに入んねーよ』
常連さんはそう言うと、玉を付け直してくれた。なるほど、レバーはこうやって直すのか。
『お前、最近よく来てんな』
「そ、そうスか?」
『このゲーム、気に入ってんの?』
「ええ、そりゃもう」
『で、どうよ?』
「へ?」
『強くなりてーのか、ってことさ』
「ハ…ハイ!」
『じゃあ決まりだ。A○K!』
そこに現れたのは、そう、いつもすばらしいプレイをしている…あの人だ!
『コイツは、ココの常連のA○Kってんだ。まあ、セイヴァーならそこそこ腕があるから、いろいろと訊いてみな』
「は、はあ。でも…」
『そういや、名前まだ聞いてなかったな』
「あ、KEN@安定志向です」
『じゃ、KENでいいな。てなわけで、オレはギルティやってくるから』
あのデミトリを狙え!
なんか、スゴイことになってる気がする。これが風雲急ってやつ?でも、あのスゴイ人と知り合いになれそうってのはラッキーかも。もう1人の常連さんも、悪い人じゃなさそうだし…。まあいいや。とりあえず今は対戦かな。
「今度の標的は、と。アイツだ!」
対戦台の向こうに座っているのは、いかにも弱そうなヤツ。これならオレでも勝てそう?
チャリーン
『おい、A○K、アイツまた乱入したぜ。あの対戦どうなるかね』
A「あのデミトリ、あんな風に見えて結構やるんですよ」
『ほう』
A「でも、どのゲームでも、勝てなくなるとすぐキャラ変えるんで」
『お前、そういうの嫌いだしな』
A「多分、今回は勝てないでしょう。でも、当面の目標としてはいいレベルですね」
ンゲッレディ ファイッ
デミトリとのキャラ差は少ない。試合の序盤はほぼ五分といった感じだった。
ピョーン、ガツッ
ふう、危ない危ない。めくり中Kをなんとかガード。
ツカツカ…ポイッ
あ、投げか。次は警戒しないと。
ガツッ、ペシバシドスッ
くそっ、今度は打撃か!
結局、一本は取れたものの、オレのガロンは残りの一本を少しも奪えないまま倒されてしまった。おかしいなあ、それほど実力に差があるヤツだとは思えないのに…。
勝てない理由
見てろ、もう1回やればこんなヤツ…
デモンクレイドル!ドスッ!ケィ、オゥ
「あれ?こんなはずは…」
ガブガブガブガブドガガガガッ、ケィ、オゥ
『オイオイ、とりあえずその辺にしとけよ。あんま熱くなって連コインしても進歩しねーぞ』
振り返ると、そこにはさっきの常連さんが立っていた。
「あ、さっきの…」
『た○ぽんでいいよ』
A「A○Kです」
あちゃー。無様に敗北するところをみられてたか。
A「あ、エート、KENくんだったっけ。キミとあのデミトリで、どこに差があるか、わかる?」
「あんな弱いヤツ、もう1回やれば勝てると思うんスけどね」
た「あぁ?いいかボウズ…(怒)」
A「まあまあた○ぽんさん。相手はゲーセン初心者なんだから。でね、KENくん。負けていることには、ちゃんと理由があるんだよ。そこをわかってからもう1回やってもいいんじゃないかな?」
「え?それってどういう…」
A「いいかい、キミとデミトリの彼でもっとも差があるのは、跳び込まれたときの対空迎撃率なんだ」
「対空迎撃率…ですか?」
A「要するに、相手を無事に着地させないってことかな」
「ふむふむ」
A「ジャンプ攻撃をガードするってことは、それだけで相手に攻めるチャンスを与えてしまうんだ。さっきの対戦でも、そのあとの攻めでダメージを受けているシーンが多かったはずだけど…」
むむ、確かにそうだ。アレを落としていれば、逆にダメージを与えることにもなるわけだし。
A「で、キミの使っているガロンの場合、対空に強いフレイムファングを持っているんだから、甘い飛び込みは全部落とせるはずなんだ」
「でも、とっさの場面だとなかなか…」
A「最初は、相手の跳び込みをいつも意識しながら動くといいよ。ある程度読んでいれば、ちゃんと出せるでしょ?」
その後も、A○Kさんはいろんなことを教えてくれた。フレイムファングも万能ではないこと、ほかにもいろいろな対空技を使わなければならないこと…。
A「そして何より、対空をマスターするためには失敗を恐れないハートが必要なんだ」
A○Kさんは、そう言ってオレの胸を指差した(カ、カッチョイイー!)。
「うおぉぉぉ、燃えてきたぁ!」
上達と敗北と
その日、オレは閉店まで対空の練習を続けた。この地味な練習が、明日の勝利につながると信じて。
た「どうよA○K、KENの様子は」
A「そうですね。思ったとおり、根性はありますよ」
た「それ、重要。努力できるってことも、立派な才能なんだよな」
A「たまにはいいこと言いますね」
た「うるせぇ!」
そして翌日。今日もデミトリ君は対戦台に座っている。
「よし、今日こそやったるぞ!」
チャリーン デデッデレン カンカンピィーン
ンゲッレディ ファイッ
シュッシュッ、ガウッ
まずは中足とクイックムーブで牽制するオレ。そんな中でもつねに意識は相手のジャンプに絞られている。
ピョーン
「きたっ!」
シャクッ!
イメージどおりにヤツの跳び込みをフレイムファングで撃墜。さあ、次はどう来る?
ピョーン、バシッ!
とくに意識せずスムーズにトライデントネイルが出せたのは、昨日の練習の成果なのだろうか。
「いける!」
ダウン!
よし、やったぞ。さて、この調子でもう一本だ。
シュイーンボゥン、シュイーンファイアッ
今までと違い、2本目はあまり跳んでこない。しかし、昨日教わったとおり、今の課題は対空迎撃率。ここはガマンだ。
「跳んで来い、来い」
シュイーン…フッ、ドロン、ギュギュギュギュギューボンッ!ケィ、オゥ
「あれ?」
結局、デミトリは最後まで跳んでこなかった。悔しさが湧き上がる。
A「それでいいんだよ」
「あ、A○Kさん。オレ、対空に集中してたら地上技をバキバキくらって…」
A「結果的には勝てなかったけど、対空迎撃率は昨日より格段によくなっているよ。今はそれだけできれば十分。地上戦とのバランスとかは、これから覚えればいいんだ」
そうか。そうだよな。まだ始めたばかりに等しいんだし。そう、これからなんだよ!
…つづく
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