2007年03月15日

著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム 公開トーク vol.1

著作権延長問題公開トーク
12日、「翡翠」のショウがあったその夜、著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラムの第一回の公開トークが慶応大学三田キャンパスにて開催されました(ここで動画が見られます)。パネラーは、佐野眞一氏(ノンフィクション作家/発起人)、瀬尾太一氏(写真家、有限責任中間法人日本写真著作権協会常務理事)、林紘一郎氏(情報セキュリティ大学院大学副学長・教授/発起人)、三田誠広氏(作家、社団法人日本文藝家協会副理事長)。司会は津田大介さん。

トークの内容は、さまざまなかたちで報道があると思いますが、今回強く感じたのは、著作権保護延長賛成派は、作家個人の権限を強く考える傾向があり、反対派は、公共の利益に重きを置く、ということです(このことは津田さんも話していました)。また、賛成派は「世界基準」「世界の趨勢」「欧米に合わせて」「時代に合わせて」「国益を考えて」ということばを連発し、なんだか改憲論者の言うことと似た印象を受けました(それに対して、林氏が、「欧米か!」とツッコミを入れていた、笑)。林氏の言うとおり、まさに「世界基準」は、実は結局アメリカにより多く搾取されてしまうということにもなりかねないのですが、賛成派は「作家個人の権利と利益」を考えるあまり、そこにはあまり考えが及んでいないようです。

さらに賛成派は、著作権保護期間が延長されても、著作物の一元管理を目指し、それが達成されれば著作物の利用にはむしろ利便性が増して支障は起きない、という論を唱えました。しかし、著作物の一元管理なんて、まずそんなことが可能なのか、素朴に疑いざるを得ません。だいたい「著作物の一元管理」なんて、どうして作家なのに、そんなことを思いつくのでしょうか。クリエイションの「ビッグ・ブラザー」でもつくろうというのかしら。

「ビッグ・ブラザー」といえば、山形浩生さんによると、ジョージ・オーウェルの『1984』が、来年パブリック・ドメインになるということで、翻訳を進めているそうです。YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page に書いてあったのですが、「ビックブラザー」がカタカナなのが気にくわなくて、<「兄貴」と訳すとか(あーっ!版)、「お兄さま」と訳すとか(萌え版)したいところだが、>というのにウケました(ここで翻訳中の PDF が見られます)。パブリック・ドメインになっている作品については、著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラムのサイトでも紹介されています。もちろん、著作権保護期間が70年に延長されれば、これら作品のパブリック・ドメイン化は20年持ち越しになるということになります。

次回の公開トークは、4月12日、同じく慶応大学です。こちらから申し込みができます

青空文庫著作権保護期間の延長を行わないよう求める請願署名
0701_著作権保護期間の延長に反対

『1984年』
ジョージ・オーウェル (著)、新庄 哲夫 (翻訳),




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