プロジェクトの内容は、「夜の美術館」と題した掛川城内にある二の丸美術館での鑑賞ワークショップと、美術館のとなりにある二の丸茶室での「現代アート茶会」の二本立て。「夜の美術館」は、たばこ道具などの細密工芸品を主とする木下コレクションの展示を、日が暮れてから展示室の照明を落とし LED ライトを使って展示品のディティールを見てみようというもので、「現代アート茶会」は、茶室で使われる茶道具をそれぞれアーティストが制作し、毎年一点ずつでも揃えていくというプランのようだ。最初の担当作家はミヤケマイさんで、掛軸を制作した(茶所掛川に掛け軸誕生 5日から二の丸美術館で公開 静岡新聞の記事)。
初日の「夜の美術館」に参加し、そのまま夜の茶会にも出席させていただいたのだが、僕の参加したのは地元の VIP のみなさんの会。小間では作法も何も知らない僕はえらい不躾ぶりを発揮していたと思うのだが、亭主である現代美術研究会の山本さんがいい雰囲気をつくってくださったので、正座のつらさに耐えながらもなんとか無事に終わった。その後は広間に移り、節分ということもあって巻き寿司をいただいた。
マイちゃんは、掛川に伝わる伝説を元に描かれた掛軸を制作して、茶会では小間に飾られていた。掛軸の軸先は茶会でご一緒した地元の陶芸家、竹広泰介さんによるもの。彼女は今までにもさまざまな職人さんたちとコラボレーションしており、「現代美術のアーティスト」というよりは、本人もいうように「絵師」といった趣きがある。また、茶も嗜んで着付けもできる彼女は(と同時に英語が同時通訳ができるほど堪能だ)、二の丸美術館にコレクションされているような江戸時代の装身具にも造詣が深く、まさに今回の企画にぴったりの作家といえるだろう。
それにしても「現代美術研究会」が主催と聞いてやってきたら、江戸時代の細密工芸品を見て、お茶会に参加とは。しかし、日本(というか「日本」という近代国家以前)ではむしろ、マイちゃんのような作家のありようのほうが自然ではないかと、「アーティスト」と呼ばれながらも「モダンアート」って僕たちにとっては完全なる「他者」なんだと、あらためて感じた掛川での体験であった(だからといって正座もまともにできないほど、自分の祖先にはあった身体性も失われていることもまたたしかなのだが)。

二日目のマイちゃんのオリジナル着物。帯には正面、コンデンスミルク、裏は砂糖、

そして裏地にはいちご模様が…オチャメ。右はトークショーの模様。女将と仲居…ではない。二宮尊徳(金次郎)の大日本報徳社の大講堂。