2009年06月27日

『築城せよ!』が意外と面白い 5

塙幸成監督の次回作をRED ONEで撮ろうという話しが持ち上がり、公開されているRED ONE撮影作品『築城せよ!』を新宿ピカデリーに観に行った。

監督もカメラマンも聞いたことのない人で、カメラワークは手持ち撮影が多く、フラフラしていてお世辞にも上手いとは言えない。RAW DATAで撮影するのだから、Macでだってもう少し色の調整ができるだろうに、フェイストーンなんかデジタル丸出しという酷い色だった。
これでは、もうちょっと他の作品を観てみないと、迂闊にRED ONEに手を出すわけにはいかない。

だが、しかーし、ストーリーが進んでくると、そういうことが気にならなくなってきたのだ!
城址公園に残る石垣の上に、亡霊の「築城せよ!」という命令で、ダンボールで天守閣を造っていく市民グループと、工場を建てるために「城攻め祭り」を企画して城を壊そうとする市役所グループの攻防なのだが、出演している俳優で名前が知られているのは、敵役市長の江守徹だけ。市民グループを率いる教授(だったかな?)役は『就職戦線異状なし』で内定した織田裕二を監禁する役で出演していただいた鼻が長い男性なのだが、失礼!お名前は覚えていません。あ、阿藤快さんもいました! それ以外は初めて見る役者さんばかりなのに、これが上手い! 今までどこに隠れていたんだ?

ダンボールで建てられた5層くらいの天守閣は、ちょっと危なげだけど、熱海城くらいはあろうかという堂々立派なもので、それがナイトシーンでライトに照らされると黄金に輝くのだ! それだけでも感動する。

美術監督は磯見俊裕。19年前、戸井十月監督の『風の国』のとき、大阪から呼び寄せられた美術部で、酷い話だけど東京で泊まる所が無いので、僕のアパートに1泊させてあげた。「そんなことすると、癖になりますよ」なんて言うスタッフもいたっけ。
その磯見さんは現在、東京藝術大学の教授になって若い人の指導にあたっている。廃材でセットを建てるのを得意とする知恵人で、低予算映画には欠かせない人材でもあるのだ。そしてこの『築城せよ!』、まさに磯見俊裕ここにあり! 文字通り、廃材ダンボールで城を造ってしまったのだ!

ダンボールのシャチホコを天守の屋根に載せて完成するシーンは、朝焼け空の稚拙な合成なのだが、それでも感動する! 涙が自然に出てくる。
オモシロカッターーーーーッ!

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2009年06月20日

フジノンのPLマウントズームはT2! 4

T4は『ターミネーター4』だけど、T2と言っても『ターミネーター2』の話しではない。
数日前、フジノンレンズの新製品内覧会に行ったところ、NABで発表されたPLマウントのズームレンズが展示されていた。

マウントというのはレンズをカメラに装着する部分の構造のことで、写真の一眼レフカメラはカメラメーカーによって、それぞれ独自のマウントになっているため、キャノンのレンズはニコンに付かないし、ニコンのレンズはキャノンに付かない。
PLマウントはドイツの35mm映画用のカメラ、アリフレックスがアリマウント、ニューアリマウントに続いて開発したマウントだ。
そのほかには、ミッチェルというカメラが採用していたBNCマウントとか、パナフレックスのパナマウントがあるけれど、ミッチェルは倒産してしまったし、パナマウントは公開されていない。
だから、というか、そのお蔭でというか、PLマウントが映画用カメラのグローバルスタンダードになっているわけだ。

近年、デジタルシネカメラも進化して、対角線1/3インチとか2/3インチの小さなチップではなく、35mmシネカメラと同じサイズの大きなチップを搭載するカメラが出てきた。
本家アリフレックスはD21というカメラを、SONYはF35というカメラを出しているが、ここに来て爆発的人気といって良いのがアメリカのRED ONEだ。
他のカメラがウン千万というのに、RED ONEは200万で本体が買える。もちろん本体だけでは撮影できないのだけど、ファインダー、液晶パネル、大容量ハードディスクなどを資金ができたときに買い足して行くことができる。
これら全てのカメラがPLマウントを採用しているため、アメリカでは中古のPLマウントのレンズが買い漁られているそうだ。RED社では自社ブランドのレンズも出した。これが業界ビックリの低価額なのだ。ドイツのツァイスの1/5くらいらしい。中身が日本のレンズ専門メーカーであるというのもなんだか嬉しい。

ここでやっとフジノンの番。
これまで我々は、国産というだけでバカにしてきた。しかし、ビデオ用のレンズはフジノン、キャノン、ニコン、世界中すべて日本のレンズだ。特にジョージ・ルーカスが『スターウォーズ』をデジタル製作するようになり、SONY CINEALTAにパナビジョンのレンズを付けて撮影していたのだが、途中からフジノンHDシネスーパーに代えたことが、我々の認識を大きく変える役割を果たしたのだ。
その優れた技術を活かし、フジノンは映画撮影にもデジタルシネ撮影にも使えるPLマウントのズームレンズを発表した。しかし、映画用のズームレンズなら世界中、いくらでもある。フジノンは後発メーカーなのだ。

そこでフジノンの打った手が、T2!
つまり、映画用ズームレンズとしては異常に明るい。T2はプライムレンズ(単玉)としては普通の明るさだが、ズームとしては世界一明るい。普通はT4とかT3.9。30年ほど前、キャノンがT2.8の5倍ズームを作ったが、これがアカデミー技術賞を獲得した。T2といえば、それより2倍明るいのだ。
ズームのレンジも18mmから85mmで、これはちょうど我々が使うプライムレンズの焦点距離をカバーしているのだ。つまり、18、25、35、50、85mmを借りる替わりに、これ1本で済んでしまうというわけだ。

5年前、『ギミー・ヘブン』という映画を撮っていたとき、ロケ現場にフジノンの技術者が見学に来たことがある。そして、何ミリのレンズをよく使うかとか、何フィートの距離で撮影することが多いかなどと聞いていった。僕は、広角から中望遠までの常用レンズをカバーするズームが欲しいと言ったのだが、直後に開発したのは10−100mmのHDシネスーパーだった。これは35个亡校擦垢襪25−250个箸覆蝓∈任皸貳姪なズームと同じだったので失望した。それは昔からあるというだけで、決して我々が望んだものではないのだ。

で、ここに来て、やっと僕の望んだレンズが開発された!
でも、もうちょっとディストーションが少ないと良いんだがなぁ…。
100个泙任△襪販匹い鵑世なぁ…。
もうちょっと小さいと良いんだがなぁ…。
欲望には限りが無いのである。

そこんところをレンズ設計者に突っ込むと
「我が社は後発ですから、とにかく”2”を目指したんです。インパクトがないと。ガツンと行ってからスペックダウンするのは簡単なんですよ。T4レンズを開発してからT2を、というようにステップアップして行くと、途中で息切れしてしまうんです」
今後に期待は高まって行く……。
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2009年06月09日

「さんかく山のマジルー」って? 5

『真夏の夜の夢』のクランクアップ直後から、中江裕司監督は沖縄独自の題名を考えていた。
『ナビィの恋』も『ホテル・ハイビスカス』も沖縄県の配給権は中江監督が買い取っていて、16mmプリントを焼き、離島巡回上映をやっていたけど、今回も中江監督は、沖縄での観客動員を成功させるためには、沖縄の人に親しみやすい題名にしなければならないと思っていた。それが『さんかく山のマジルー』だったわけだ。
洋画の「原題」に対して、日本の配給会社が考える「邦題」というのがあるけれど、こういう「沖題」というのは初めてじゃないだろうか。

ただ今、東京のオフィス・シロウズも7月25日の公開に向けて、宣伝作戦の真っ最中。
先週は久保田プロデューサーからパンフレットに載せるプロフィールとコメントを送るようメールが来た。で、早速書いて送ると、お礼と共に「沖縄の宣伝ホームページが面白いですよ」と書いてあった。それがこれ。

http://majiru.ti-da.net/

覗いてみました。
沖縄限定のポスターも作っている!
ナンデこんなに楽しそうなの!
宣伝ってこんなに楽しいんなら僕も混ぜてよ!
なんかクヤシイーッ!


After the wrap-up of the film "A Midsummer Night's Dream" (The
English title was called "A Midsummer's Okinawan Dream",)
Director Yuji Nakae had been thinking about an Okinawan title.
In his past films "Nabbie's Love" and "Hotel Hibiscus", he
bought the distribution rights. He made 16mm final prints and
promoted them by visit and doing showing at the remote islands
in Okinawa. He felt that he had to create a title that Okinawan
people felt connected with in order to have success with
audiences there. And so, it came out as "Sankakuyama no
Majiru" (literally translated: "Majiru on the Mountaintop").
Japanese distribution companies often make up Japanese titles
for original titles of foreign films. However, this might be
first time to make-up an Okinawan title like this.

At the same time, Office Shirous in Tokyo was in the middle of
a promotional strategy targeted towards a film's opening on July
25th. Last week, I received an e-mail from Producer Kubota to
send my profile and comments for a film brochure. As I sent
them right away, I received a thank-you e-mail which also
mentioned "You might enjoy the film's Web site in Okinawa."
The following was the link:

http://majiru.ti-da.net/

I looked into it.
I saw that they made a limited-edition poster just for Okinawa
audiences.
How come they are having fun like this?
Making promotional ads is such a fun, let me in!
I envy you!!
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