2009年12月03日

メチャウマ!胡桃味噌炒め 3

15年前、椎名誠監督の映画『あひるのうたがきこえてくるよ。』のロケハンで、奥会津を猪腰助監督と徹底的に走り回ったことがあった。そのとき、山奥にすごく鄙びた温泉宿があって、その湯小屋の表にアヒルを繋いで撮影した。内部の風呂も温泉神社と言われるほど神秘的でモノスゴク良かったのだけど、撮影させてくれなかった。で、金山町の八町温泉の恵比寿屋旅館の隣りの共同浴場で撮影したのだが、あの、これ以上鄙びようがないといった、僕の理想とする温泉が何処だったのか、ずっと気になっていた。

ところが最近、ネットを検索していて、それが西山温泉郷の老沢温泉旅館であることを確信した。で、編集のバイトのお金が入ったので「今日、泊まれますか?」と電話すると「ううー、マズイなぁ」というやる気なさそうな爺さんの声。まあ、土曜の今日だからしょうがないか。
で、次にネットで評判が良かった同じ字名の新湯旅館に電話すると、簡単に「どーぞー」とおばさんの声。「バスは無いから会津柳津駅からタクシーに乗って」と言われた。

で、渋谷駅で新幹線の指定席を買い、新宿湘南ラインで大宮に。乗り換えに30分あるので、コーヒーショップでモーニングセットを食べていた。コートの胸ポケットから切符を出して時間と座席を確認して、オー、もうそろそろ行かなくてはと店を出た。出たところで胸ポケットを探ると切符が無い!あれ?他のポケットかな?バッグに入れたかな?
店に戻ったけれど、そこにも無い!乗り遅れてしまう!駅員に事情を話しつつ改札を強行突破!しかし、階段を上がる途中で「やまびこmax111号」はホームを滑り出してしまった。

結局、切符は店員がすぐ拾って預かってくれていたのだが、新幹線は1本遅れて、磐越西線も遅れて、会津若松に着いたら、只見線は3時間待ち!
3時間待合室にいてもしょうがないから、会津城を目指しながら街をブラブラすることに。城近くまで来ると、古い造り酒屋があり、日本酒の試飲とお土産の試食ができる。「ひやおろし生原酒宮泉」というのがメッポウ旨く、720ml入り1470円を買ってしまった。それから「うど溜り漬け」も「会津天宝くるみみそ」も。

会津柳津に着くともう真っ暗で、小雨も降り出している。タクシーなんていないし、タクシー会社の電話番号も書いてない。どうするんだよ!途方に暮れるとはこのことだと駅前に佇むと、あ、電話ボックスにひょっとしてローカル電話帳が。

運転手は電話に出たおばさんだった。遠かった。4000円もかかった。

部屋は10年前に増築したそうだけど、こんな山奥に!と思うほど立派。風呂はさすがに古く、すごくいい感じ。チョロチョロと源泉が流れ込んでいる。コンクリート壁のペンキ塗りはいただけないけれど、そういう安っぽさも含めて楽しんだ方が幸せかも。

夕食は家族の居間かと思うような部屋でキノコ鍋!馬刺しにワラビの煮物!クルピー!もうメシなんて入らないよー!
「エエーッ!キノコの炊き込みご飯なのに!」
「じゃあ、このエビフライと茶碗蒸しと一緒に朝、食べるから」
「朝は白飯よ。じゃ、お握りにしてあげるから昼飯にしなさい」
なんだか『春との旅』の田中裕子と仲代達矢を思い出してしまった。

朝は旦那さんがついでがあるからと、孫のリンちゃんと一緒に車で送ってくれることに。走り出すと、ナント隣りが目的の老沢旅館で、やっぱりここだったんだ!と感動した。


昨日、お土産の胡桃味噌を使って、挽肉野菜炒めを作った。
中華鍋にサラダオイルを熱し、刻んだニンニクと鷹の爪を入れ、3ヶ月前にハンバーグを作ろうと思って買った挽肉を解凍し、冷蔵庫にあったナス、ネギ、ピーマン、キャベツと炒める。そこに胡桃味噌を日本酒で溶いて流し入れる。もったいないから「宮泉」は使わなかった。醤油と砂糖もちょっと入れてみた。
しかしこれがメチャウマ!
ウドの溜り漬け、玉葱と茗荷の味噌汁、発芽玄米雑穀入りのご飯と併せて至福の夕食……。

宿のノートには5月に来た客が「山菜尽くしに感激した」と書いていたから、来年また行ってみよう。でも、3日ぶりの泊り客だったみたいだな。連泊したいし……。
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2009年12月02日

水浴図 4

市川海老蔵さんが「ちょっと忙しいので、新橋演舞場公演終わって2月にしてくれない」ということで、ドラマスペシャルの撮影は延期になり、12月のスケジュールはポッカリと空いてしまった。
それでもまあ、早いうちに決めなければならない所だけでもロケハンしておこうと、丸ビルに行くため、地下鉄半蔵門線で大手町に向かったのである。

iPodで音楽を聴きながら、ぼぉーーーっと窓外に流れる広告などを眺めていると、昨日見た久保田潤さんの絵画が浮かんできて、記憶の浮遊感が気持ち良かった。

久保田さんはCMのディレクターで、1999年から数年間にわたり、カネボウ基礎化粧品の60秒CMを撮ってきた。これはプロデューサーが、僕の映画の仕事の隙間を見て、年4本のペースでスケジュールを組んでくれたので、経済的にヒジョーに助かっていたのである。

サーフィンが趣味の久保田さんは、いつの頃か鎌倉に移り住み、好きなときにサーフィンを楽しんでいたのだろう。

「水浴図」と題された表参道画廊に飾られた画は、大小様々な油彩18点と小さな水彩4点。それが全て正方形なのである。5年間で描いたという油彩は全て淡い統一されたパステルカラーで、モチーフは全て波に乗る女性。フルサイズはサーフボードに乗り、バストサイズは目を瞑って風を感じている。女性は全て同じ顔で、ちょっとキュービズムになりかかっている。いろいろなタッチの絵を描いてきて、このトーンに辿り着いたのだという。

レセプションで出されたワインを重ねると、段々と波に乗り、風に吹かれている感じが乗り移ってくる。

そんな感じが、地下鉄の中で醸成されて、二日酔いのように襲ってきたのである。

www.omotesando-garo.com
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