2010年03月20日

崎田君、逝く 2

市川海老蔵、相武紗季主演の『霧の旗』の撮影が終わって、休む間も無く、MBSの深夜ドラマ『アザミ嬢のララバイ』の撮影に突入した。カメラは前回と同じくPanasonic HPX175を2台。小型で優秀なカメラだ。このカメラが無かったら、こんなハードスケジュールの撮影は成り立たない。性能はHMC155と同じだが、P2カード収録で、SDI信号が出るのが嬉しい。

この『アザミ嬢のララバイ』は10本の独立した30分ドラマで、全てが東映東京撮影所の2番ステージに組まれた抽象的なセットで、1話を2日で撮影する。発想の原点は『DOGVILLE』の日本版だ。
田畑智子、綾野剛主演の第1話『秘蜜を吸う』と星野真里、和田聰宏主演の第3話『愛を、更新する』を犬童一心監督が、森本レオ倒れて小野寺昭主演の第2話『紅い靴』を手塚眞監督が、金澤美穂、堀部圭亮主演の第4話『金魚のローレンス』と中村ゆり、小市慢太郎主演の第6話『しろへびの涙』を早稲田大学大学院安藤研究室の教え子である宮武由衣監督が、松重豊、霧島れいか主演の第5話『月ノホタル』と第10話『神様の子どもたち』をMBSの登坂琢磨監督が、柄本佑、月船さらら主演の第7話『カラダノ記憶』と第8話『死者は死んだ羊の夢を見るか?』を三島有紀子監督が、北川弘美、金子ノブアキ主演の第9話『ANNIVERSARY』を麻生学監督が担当する。

録音部は2組体勢だが、撮影、照明、美術などのスタッフは全話を受け持っている。

助監督は初めての顔だと思ったのに、セカンドのI川君が「お久しぶりです」と声を掛けてきた。「ええっ!何で一緒だったの?」と聞くと、私メが監督した岩城滉一、高岡早紀主演のテレビ東京開局25周年記念ドラマスペシャル『トリノ発:東京物語』だと言う。20年前のことだ!「イタリアロケには連れて行ってもらえませんでした」だって。

この作品は国際放映の知り合いのS原プロデューサーが35mmフィルムでテレビドラマを撮りたくて、私メに撮影のオファーがあったのだけど、シナリオができないうちにイタリアにロケハンに行かなくてはならないという事態になってしまい、「お前でいいから監督やってくれ」ということになって監督デビューしてしまったという因縁深いドラマだ。おまけにイタリアで雇った風変わりなコーディネイターのオバサンが高校の同級生だったのだ。

I川君と思い出話しをしていたら、その私メと同い年のS原プロデューサーは10年前に他界したと言うので驚いてしまった。
あの時、チーフ助監督には『太陽にほえろ!』では制作進行をやっていた、僕と同い年の崎田憲一君にお願いした。崎田君とはその後、『高校教師』『アイデン&ティティ』『ギミー・ヘブン』などでも一緒に仕事をしている。
その崎田君から一昨日、撮影中に留守電が入った。メッセージを聞くと、奥さんの声で「今日、崎田が他界しました」!

その数日前、I川君からすい臓がんで入院していると聞いたばかりだ。そういえば、若い頃、確かすい臓の病気で入院したことがあって、大蔵病院あたりにお見舞いに行ったことがあったな。その頃は弱弱しいという印象だったのだけど、歳とともに頑丈そうな身体になっていった。仕事に熱心で迫力があった。

最後に会ったのは永田町の駅ですれ違った数分間だ。「僕も東京芸大で教えているよ」なんて言っていた。最後とわかっていれば、そのときの予定を遅らせてでも、もっと話していたかった。
篠田昇君のときもそうだ。最後とわかっていれば道後温泉を諦めて、市電から降りればよかったのだ。本当に人と人との付き合いは突然に終わるのだ。もっと大切にしなければ。
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2010年03月01日

海老蔵、最後の日 2

海老様登場から2週間で、早くも撮影最終日となってしまった。

最後のロケ地は北九州の小倉で、海老様演じる大塚弁護士が小倉に調査に来るシーン。小倉駅前コンコースにレールを敷いてミニジブを載せ、エスカレーターを降りて来る海老様を狙う。準備を終えて本番になるころには数百人の見物人に取り囲まれてしまったが、フィルムコミッションとガードマンの仕切りが良く、整然と石垣状態になっている。

そんな中、移動車を前進させながらジブダウンしたが、海老様を上手く追えずNG。緊張したわけではないけどティルトダウンが上手くできなかった。で、2テイク目は移動を諦めジブダウンだけにしたのだが、ティルトダウンが慌て気味で、しかも追い遅れてしまった。しかし、衆人環視の中、もうこれ以上NGとは言えないプレッシャーに負け、心で泣いてOKにした。それでも観客から拍手が沸いた。複雑……。どうか編集でカットになりますように。

この日のロケ弁には
          祝
     松本清張ドラマスペシャル
        「霧の旗」
     歓迎 重光組北九州ロケ!
  本日、市川海老蔵さんオールアップ!!

 北九州は、ドラマ「霧の旗」を応援しています。
     撮影の成功をお祈りします
  北九州フィルム・コミッションサポーター

と印刷された紙が被せられていた。熱い……。
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