2010年08月17日

三浦友和さん試写 4

思えばちょうど去年の今ごろ撮影中だった『死にゆく妻との旅路』!やっとポスプロの最終段階に入ってきました。

オールラッシュから更に7分切り落として1時間53分にスリム化しました。塙監督としては自分の身を切るようなツライ作業だったに違いない。
そして7月下旬にダビング。CG合成も加えられたが、どこがCGか、皆さん判るでしょうか?密かな楽しみです。

そして8月4日、IMAGICAのSPRIT DATA CINEでカラコレと呼ばれる色の微調整作業。ここでは1カットごとに明るすぎ、暗すぎを直したり、夏に撮影した秋のシーンの緑を少し黄色っぽくしたり、冬のシーンを寒そうにしたり、死に顔を顔色悪くしたり、回想シーンを半脱色してそれっぽくしたりと、映画を見てくれる観客が違和感を抱かないよう、自然な気持ちでストーリーに入り込めるよう、微力を尽くしているのであります。

映画はこの後、キネコという作業に入ります。デジタルからフィルムに転換する作業です。本来なら、フィルムレコーディングと呼ばれるシステムでフィルムネガを作るのが正しい映画創りなのでありますが、低予算映画なので、その約1/3の値段で済む日本独自のキネコ! その原理はHDCAM-SRというハイビジョンの最高画質のテープに採り込んだ映像を特殊なモニターに映し出し、それをフィルムカメラで再撮影するという方式。
モニターの色の出方がフィルムとはちょっと違うので、その分を見込んでカラコレをしなければならない。

再撮影するフィルムも、フジにするかコダックにするか、フジなら微粒子の64Dにするか、鮮やかな発色の160Tにするか、カメラマンが決めなければならない。前の経験から、キネコにすると色がちょっと押さえられたような感じになってしまうので、鮮やかな発色のフィルムを使うのも「手」かと思い、両者をテストしてみた。その結果、この映画に関しては色鮮やかにする必要性もなく、自然な感じを重視して64Dでキネコするよう技術者にお願いした。
しかし、無理繰りシネマスコープにしているせいもあるのか、全体にシャープネスが無くなり、ちょっとボケたような映像になってしまうのは、やはりキネコの技術的限界というものなのだろうか…。

昨日は主演の三浦友和さん、原作を出版した新潮社、配給関係各社をお呼びして、IMAGICA第2試写室で半完成試写!
ここで見るのは、音に関してはダビング後の完成状態だが、画に関してはキネコ前のカラコレ前の状態で、HDCAM-SRのビデオデッキを直接DLPにつないだデジタル上映だ。実はこの状態が最高に画がきれいに見えるということに気が付いた。あの小さなPanasonic HMC155でこれだけきれいに撮れるならば、これ以上ナニをよこせと言うんだ!このカメラを選んで大正解だった。

友和さんは今日の主賓なのに中央に座らず、僕が勧めても「いいよ、いいよ」と言って最後列の技術者用テーブルの隣りに座った。
僕は今日はDLP上映であり、完成するとこれよりも画質が落ちるんですと小声で説明すると、「多少荒くなった方がドキュメンタリーっぽくなっていいんじゃない?」なんて言っていた。

上映が終わると場内から拍手が起きた。関係者の試写で拍手が起きるのは三浦さんが来ているという事実を差し引いても珍しいことだ。これが、全スタッフが集まる完成試写だったら、僕が真っ先に拍手をする。それは苦労して完成まで努力した仲間を称える意味もあるからだ。でも昨日は、後半、泣き通しだったという人もいたそうだから、自然発生的なシミジミとした拍手だった。

ロビーに出た人々はなかなか立ち去りがたく、いつまでも立ち話をしていた。
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