2010年12月21日

『JAZZ爺MEN』感動のラッシュ 1

撮影が終わってから早や5週間、『JAZZ爺MEN』の編集もいよいよ完尺に限りなく近くなってきた。普通は監督ラッシュ、監督ラッシュその2、セミオールラッシュ、オールラッシュと進んで完尺となる。英語で言うとピクチャーロックで、もう、編集は変えませんよ。だから、これを基に音楽、効果音を付けてください、というものである。
しかし、宮武監督はオールラッシュが終わってから10日間、いまだに推敲を重ねている。

オールラッシュではほとんど音楽が入っていないのであるが、それにも拘らず、泣けて泣けて、どうしようもなく泣けてしまうのだ。それまで何度も編集で見ているのに、最後のシーンはハンカチを出さずにはいられない。

この映画は、地方都市のダメダメおじさん・おばさんが集まってジャズコンサートをしようという話であるから、当然のこと、ラストシーンはジャズコンサートである。商工会議所とショッピングモールが募集したのだけど女性ピアニスト以外の4人は全くの素人だったという設定だ。
ところが、音楽監督の磯田健一郎氏が「5人ではビッグバンドの音にならないから、少なくとも3人増やしてくれ」という注文が出た。それで宮武監督は頭を振り絞り、ショッピングモールの支配人(徳井優)がジャズ好きで、後半からベースで参加し、花山(上田耕一)の、パンクバンドをやっていて「クソジジイ」が口癖の孫(川村亮介)がドラムで、指導者野津手(清水章吾)の教え子(水野神奈)がトロンボーンで参加するということにした。

そしてラストシーン。演奏が終わり、満場の拍手。メンバーのアップがスローモーションで入る。高齢者メンバーは皆泣いている。ところが若者2人は明るく笑っているのである。
撮影のときはカメラをキャスター付きのプロジブに載せて、次々と連続的にワンカットで撮っていった。泣いている清水さんから水野さんにパーンしたとき、彼女が笑っているので「あれっ?」と思ったのだった。
ところがこうして編集されたものを見ると、当初、この映画は「高齢者を元気にする」映画を目指していたのだが、プラス、図らずも「世代間の交流」が描けているのではないかと思った。高齢者と若者が力を合わせて練習してきたけれど、若者の笑顔は未来に向かっているのだという、ふか〜い意味が生まれてきたのだった。

今、磯田音楽監督は相模湖畔の自宅兼アトリエで「映画史に残る音楽(と言ってプレッシャーをかけている)」を作曲中である。ラストシーンの音楽をつけていると、何回やっても泣けてしまうと言うのだ。それを後ろで見ている奥さんも一緒に泣いているのだそうだ。
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