2011年02月19日

《JAZZ爺MEN》秘密試写会 4

《JAZZ爺MEN》が完成した。しかし、現像所を全く使っていないので、試写する場所が無い。有料試写室を借りる予算も無いので困っていたところ、某大手現像所の某担当者が空いている日を調べて試写室を貸してくれることになった。
最近はデジタル撮影が多くなり、こういうケースが増えているため、「試写室だけ貸せ」という要求が出るようになって困っているので秘密にしてくれと言いながら、2回も貸してくれたのだ。「高間さんとは長い付き合いだから」と言い訳しながら……。持つべきものは友達、亀の甲より年の功、である。感謝、感謝!

1回目は20人が立ち見、2回目は40人が立ち見の大混雑になってしまい、早く来たのに立ち見をお願いした若い人たち、ご協力感謝します。こういう映画なので観客の年齢層が高く、席を譲っていただきました。
上映終了後の暖かい拍手、ありがとうございました。皆様の感動のお言葉、満足感あふれた表情、嬉しかったです。上田耕一さんからはお礼のメールをいただきました。長いお付き合いの中でも初めてのことです。
清水章吾さんはご自身のブログにこう書かれています。

〈絹子とJAZZ爺MENの試写を拝見しました、出演者はとかく、話に入り込めないのですが、そして隣が、本庄市長の席で、本庄代表としては、クールにかっこよく観ようとしましたが、最後の方は、もう涙が止まりません、絹子もまた、泣いていました、俳優は腹式呼吸なので、う!う!う!と堪えていると、腹がぶるぶる震えてしまって;;
人間の美しさと悲しさを綺麗な映像で表現されて、とても一週間で撮ったとは思えないし;;よくまあ撮り終えたなーーーと言うのが感想です、本庄は住んでると意外と解りませんが、とても暖かな綺麗な景色です@@
今時ドライな社会ですが;;学生さんなんかにも観て貰いたいな@@
夫婦の絆!人間同士の絆!親子の絆!考えさせられます、コミカルなカットもあり、最高の映画になっていました@@20日が劇場でお披露目会がウニクスでありますので、また関係者の皆様とはお会いします〉

僕はオールラッシュのとき、この腹式呼吸状態になりました。最後にはもう堪らず、ハンカチを出しました。
奥さんを1年前に肺腺癌で亡くした録音技師は、ダビングのとき、我々に背を向けて泣いていました。奥さんを亡くしてからは無気力状態になっていたけど、この仕事をして、生きる意欲が湧いてきたと言っていました。

「もう、思い残すことはありません」という年賀状をくれたふくまつみさんの嬉しそうな顔、抱きつきたくなるような徳井優さんの笑顔、あのときよりもっと美人になった岡まゆみさん、映画の中のほうが美人だった(失礼!)宮下ともみさん……、みんなにハグしたかった!
川村亮介くんはトンガリ頭が無くなって、普通の好青年に。あ、酒井敏也さんは知らない間に帰ってしまった。黛英里佳さんも、他のお客さんに対応している隙に帰ってしまったようだ。残念!

井上順さんは、自分が出演した映画は映画館でお金を払って観るのが主義だそうで、あんなに完成を楽しみに待っていてくれたのに、ナンという皮肉!
河原さぶさんはすでに沖縄に移住してしまったので、DVDを送ったところ、「もう6回見た」と宮武監督にメールがあった。このDVDを自分の棺桶に入れてもらうそうだ。「沖縄上映があったら、ティーチインをしてやるよ」と言ってくださっている。

この《JAZZ爺MEN》、大きな力を持った波になっていくような気がする。なったらいいなぁ。なるんじゃないかなぁ……。
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2011年02月03日

試写会の日々 1

2月撮影予定の映画が5月に延びて《JAZZ爺MEN》のポスプロダクション以外、することがなくなった。で、『わたしを離さないで』を皮切りに、試写会めぐりの日々を送っている。

ある金曜日、小林聖太郎監督の『毎日かあさん』を観るために銀座の松竹本社に行く。聖太郎監督は『ナビィの恋』で新藤風監督とともに助監督をしてくれた青年だ。前作の『かぞくのひけつ』もデビュー作とは思えない面白さだった。

試写室に座っていると後藤幸一監督が入ってきた。後藤監督とはお互い助手時代から30数年のお付合いで、三朝温泉を舞台にした映画を久しぶりに撮るというので、去年の春、オファーを受けていた。ところがモロモロの事情でズルズルと延期され、いよいよクランクイン決定となったときには既に予定されていた別の作品とダブってしまい、温泉三昧を楽しみにしていたのに泣く泣く断ざるを得なかった。

この日、後日談を聞かせてもらった。
カメラマンは田中一成君に頼んだと言う。この前の沖縄・成都ロケの台湾映画も、僕が監督から却下されて一成君に代わった。30年前、僕の助手をしていた子が僕のすぐ後ろに迫ってきて僕を脅かしているのは嬉しいことである。
「高間さんならこういうカットは撮りませんが、僕は撮りますよ」なんて自分の柔軟さをPRしていたようだが、今は私も柔軟ですよ。でなきゃ1000万映画は撮れないでしょう、5億の映画も撮れますけど。

そんな話をしていると、どこかで見たようなオジサンが入ってきて、ニコッと親しみのある笑顔を僕に向けた。おお、秋山道男君だ。「ずいぶんオジサンになったなー」と言うと「お互い様でしょう」。
道男君とは40数年前、若松プロからの知り合いで、助監督やったり、作曲したり、面白商会やったり、無印良品立ち上げたり、桃井かおりと共演したりの多才な人だが、チェッカーズの発見者となって有名人となり、NHK教育などにも出演し、先生と呼ばれるようになった。
道男君の顔を見ると、40年前の青春が蘇ってきて嬉しくなってしまう。

翌週の火曜日はJSCの名作上映会。普段は京橋のフィルムセンターでやっているのだが、今回はモロモロの事情でIMAGICAの第1試写室をお借りして故工藤栄一監督の『ヨコハマBJブルース』を鑑賞。上映終了後、地下の「リュミエール」でコーヒーを飲みながら仙元誠三カメラマンのありがたーいお話。

その翌週の水曜日は、自分の作品の試写にも行かなくてはと思い、『死にゆく妻との旅路』を観るため京橋テアトルの試写室に行くが、案内もなければポスターも貼っていない。また日時を間違えたかと思いながら恐る恐るドアを開けると、なんだ、朴木浩美プロデューサーがいるではないか。あまりの人気に、わざとわからないようにして試写しているのではないか(そんなことないか)。
記帳しているとドアが開き、昔、CMでとてもお世話になった山本昌邦さんが入ってきて「おー、高間ちゃん」「あれっ!山本さん、ナンで試写状持っているの?」「何言ってんの、高間ちゃんから送ってきたんじゃない」
うー、相当ボケてる……。

翌木曜日、『木洩れ日の家で』を観に東銀座のシネマート銀座試写室に行く。入口に近づくと、岩波ホールの原田さんが僕の顔を見るなり「どうやって1000万で映画が作れるんですか?」といきなりの質問。
この映画は木立の中の文化遺産のような木造の家に住む老婆と愛犬が主人公。息子家族とのやり取り、隣人との関わりをモノクロ映像で静かに描く。試写室を出ると岩波律子さんが「どうでした?」と聞いてきた。律子さんとは『月山』からの知り合いだから、こちらももう30数年。15年ほど前、久しぶりに会ったとき、「どうしたの?普通のオバサンになっちゃったじゃないの」と言って、本気で怒らせてしまった。

翌金曜日は『青い青い空』を観に日比谷の東宝本社の試写室に行く。
この映画は、うちらのチームでよく照明助手をやってくれる石川欣男君が技師として参加した作品なのでお知らせをもらった。試写室に座っているとすぐに石川君が来て、僕の隣りに座った。こういう人は苦しい低予算の仕事には欠かせないスタッフだ。キツイ現場でも文句を言わずによく働き、現場を和ませ、それでいて正しいことを主張する。本当に頭が下がります。
撮影の三本木さんは『受験のシンデレラ』のカラコレを手伝ってくれた若いカメラマンだ。大変苦労のあった現場だとは思うけど、敢えて苦言を呈すると、もう少し丁寧なカメラワークをして欲しい。真っ赤な夕陽に染まる生活指導室の主人公の顔にでた縞模様など、どうにかならないものでしょうか。

監督の太田さんはこれが『ストロベリーフィールド』に次ぐ2作目だそうで、《JAZZ爺MEN》と同じような境遇の映画なので、出口で太田監督を捕まえて立ち話を迫る。
脚本を書き終えてから、ロケに相応しい街を探し回り、書道が盛んだという浜松に来て「ここしかない」と思ったそうで、それから地元の協力を取り付けて撮影にかかるまで、ナント4年!その間に似たような題材の『書道ガールズ』という映画が先に公開されてしまい、かなり焦ったという。こっちも最初は「書道」と「ガールズ」の間にハートマークが入ったものだったそうだ。その痕跡が、パンフレットからも読み取れる。でも、地元浜松では2館から4館にムーブオーバーし、延べ5ヶ月と1週間のロングランとなり、2万人動員したそうだ。我々も見習わなければならない。

2月2日はいよいよ我らの『死にゆく妻との旅路』の完成披露試写会。試写会は夕方からなのだが、昼過ぎ、映写チェックのため読売ホールに行く。スクリーンがビスタサイズになったまま映写が始まりそうなので映写室に注意しに行こうと思ったのだが、どこのホールも映写室の位置はわかりにくくなっている。昼飯中の係員を煩わせてなんとか入口に辿り着いたときにはもう始まってしまっていて、映写技師「あれえ、シネスコだよ」とか言っている。フィルム缶に何の表示もないのだろうか。

夕方まで時間があるので、朴木プロデューサー、塙監督、山方録音技師とで原作者を連れて増上寺に行き、ヒット祈願をしてもらった。
試写会は敢えて三浦友和さん、石田ゆり子さんの舞台挨拶があるという情報を載せなかったにも拘らず、1200名の満員御礼!
映画の後半はあちこちで鼻をグズグズさせる音が聞こえ、エンドロールが終わると自然発生的に拍手が起きた。

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