2011年04月26日

『イヴ・モンタン―彼を憎んだ女と男』 5

今日は井上順さんのご招待で三越劇場で公演している『イヴ・モンタン―彼を憎んだ女と男』を観て来ました。

これは《JAZZ爺MEN》の公開初日、本庄に避難している大震災の被災者を訪問したときに約束したプレゼントなんですが、なんと我々スタッフまで招待してくださったのだ。
携帯の電源を切るようにだとか、公演中の飲食はご遠慮くださいだとかのアナウンスが流れたあと、女性係員が舞台下に立ち、また「公演に先立ちまして・・・」と言うので、また同じことを言うのかと思ったら、「当劇場は建物が免震構造になっておりますので、公演中に地震があっても安全でございます。先程の大地震でもお皿一枚割れませんでした。くれぐれも建物の外には出ないようお願いします」だって。
《JAZZ爺MEN》の初回上映中にも地震があって、幸いにも騒ぎにはならなかったけれど、ここに来ている人たちは大震災の経験者だから、この一言でずいぶん安心して観劇することができたのではないかと思う。

本庄のコミュニティセンターで招待を発表したとき、「井上さんがイヴ・モンタン役をするんですか?」って僕が質問したら、「それを言っちゃ、面白くないでしょう」とかわされてしまったのだが、なるほど、その意味がよく分った。ネタバレになるけれど、イブ・モンタンを待っている天国の女と男の話なのだ。その女とは、妻のシモーヌ・シニョレ、恋人のエディット・ピアフ、愛人のマリリン・モンロー! で、男とは専属のピアニストで、これだけは創作の人物らしいのだが、その素性が明かされるシーンは圧巻だった。もちろん、井上順さんの役。
大女優シモーヌ・シニョレの役は安奈淳さん、シャンソン歌手エディット・ピアフは大島れいさん、セクシーアイドル女優マリリン・モンローは南海まりさんが演じている。彼女たちは劇中で歌を歌うのだが、それはその道のプロであるからして当然上手く、驚愕の歴史とともに歌も楽しめてしまうので『イヴ・モンタン』はとてもお得感のするお芝居であった。

僕たちはエディット・ピアフを知っている。マリリン・モンローを知っている。シモーヌ・シニョレの名前くらいは聞いたことがある。でも、この3人がイブ・モンタンをめぐってこういう関係があったことは知らなかったので、とても勉強になったし面白かった。
この3人が天国に召された年齢で登場し、地上の空間ではありえない会話を進める。そこに関係性の真実が焙り出されてくる。しかしそれは専属ピアニストの秘密の作戦だったというドンデン返しも面白い着想だった。

お芝居が終わり、一般客が退出した後、井上さんが客席にやってきて、招待者と握手したり写真を撮ったり、僕たちまでお土産をもらってしまった。
その後また楽屋を訪ね、《JAZZ爺MEN》の上映が2週間延長された報告をすると、「何でもやるから、必要なときは呼んでね」と、どこまで素晴しい人なんだ!
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2011年04月18日

《JAZZ爺MEN》大盛況の舞台挨拶 5

《JAZZ爺MEN》のユナイテッドシネマ・ウニクス上里での公開初日は午前10時開映なのに、9時30分には300席が完売。満員の注視のなか、ブルーレイによる上映が始まると、前半は笑いが絶えなかったが、後半になると洟をすする音が絶えなかった。そして、クライマックスのコンサートの「茶色の小瓶」を演奏している最中、心配していた余震が来た!しかし、逃げ出す人も、立ち上がる人も、悲鳴を上げる人も無く、全員が冷静でいてくれたことがとても嬉しかった。

宮武由衣監督の名がロールアップして客電が点くと場内は自然発生的拍手が起こった。

続いて舞台挨拶になり、先頭を切った本庄市長が早速スマートフォンから得た地震情報を報告して観客を安心させた。
次に挨拶に立った宮武監督は身長が低くてマイクに届かない。普通なら係りの人が来て、サッとマイクの高さを調整するところなのだが、都内の映画館と違い、舞台挨拶などあまり経験が無いためか、プロのイベント業者を入れてないためか、誰も面倒を見てくれる人が近づいて来ない。しかたなく監督は、マイクを精一杯下に向け、背伸びするように話しをした。

終わると司会者のアナウンスの後、両手を高々と上げて井上順さんが登場し、ワイヤレスマイクが渡された。スパイダーズ時代の「振り」をちょっと披露すると、それだけで場内が沸く。次に、当本庄市に在住している清水省吾さん、本庄市生まれの黛英里佳さんが登場。監督と併せて4人がスクリーンの前に並んだが、司会の空白があり、マイクを持っている井上さんが「挨拶していいの?」と一歩前に出ると「あ、ちょっと待ってください。お土産が…」と、全員に豆腐セットが渡された!どういう進行なんだろう!で、豆腐会社の社長が出てきて豆腐の説明…。ちょっと間が悪いんじゃないの?

2分ずつのスピーチが終わると抽選会。4人のサイン入り色紙が10名に当たる。井上さんが「写真撮ろう」と言い出して、当選者一人ひとりを俳優が囲んで記念写真。家宝になるだろうね。

ロビーに出ると出口近くに俳優と監督が並んで握手会。ただし、パンフレットを購入した人のみということで、パンフレットも良く売れた。
このパンフレットは《死にゆく妻との旅路》のアイデアをいただいたもので、綴じずにB5のクリアファイルに入っている。ファイルの表紙はポスターと同じ構図だが全員タキシードのバージョン。中身の原稿は手作りの試写会用プレスのまんまなので、裏は白紙になっていて、そこにサインを求める人が続出し、係員は「サインはご遠慮してください!」と叫ぶのだが全く止まらず、俳優も監督も笑顔でサインに応じていた。

その後、休む間もなく被災者訪問。本庄にも東北から集団避難している人がいて、その人たちをコミュニティセンターに集め、映画のモデルになったジャズバンドの演奏会があるのだ。
ここでも井上さんは両手を高く上げて登場、スパイダーズの「振り」をして笑わせる。どこに行っても人気者で、考えてみるとテレビでも被災地を訪問している芸能人のニュースをやっているけど、こういうことが現在の被災者の方々には一番喜ばれるのではないだろうか。

さらにここで井上さんは大盤振る舞い!4月22日から三越劇場で公演する『イヴ・モンタン 彼を憎んだ女と男』に希望者全員を招待すると発表した。本庄から日本橋までバスで送迎、お弁当つき、もちろん無料。『ラヂオの時間』の撮影のときも「競馬で儲けた」と言って、スタッフ・キャスト50名全員にうな重をご馳走してくれたことがあった。大物感があるなぁ。

清水省吾さんは画家の奥さん(ハルマンさん)とお絵かきセットを子供たちに配った。これもテレビの受け売りだけど、子供たちに絵を描かせることは、ストレス解消にとても効果的らしい。自由に描かせると、精神状態が安定していく様子が絵に表れるのだという。

映画館に戻ると、2回目の上映が終わっていた。160数名の入場者だと言う。やはり舞台挨拶があると無いとじゃ差が出るなぁ。これから心配だなぁ。アンケートの回答を見ると「もう1回見ます」と書いている人もいて、とても良い評価なんだけど、口コミだけが頼りの低予算映画だからなぁ…。
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2011年04月12日

《JAZZ爺MEN》公開近づいて後悔 3

今週の土曜、いよいよ埼玉の本庄で《JAZZ爺MEN》が公開初日を迎える。
http://ameblo.jp/locationjapan/

公開用にエンドロールを直し、ついでにちょっとカラコレの直しもして、ブルーレイディスク(BD)に焼いてもらった。しかし、埼玉に送る前にチェックしてみると、前回のお披露目試写用よりもかなりフラットな感じに上がっている。ビデオ丸出しって感じ。試しに前回のBDをチェックすると、こちらはすごくコントラストが強く、ガチガチという感じだ。でも、お披露目試写ではちょうど良い感じだったので、大きなスクリーンに映写すると拡大されるためにコントラストが低くなるのかもしれない。ということで、焼き直しをお願いした。ちゃんとした現像所で焼いているわけではないので、満足行く仕上がりになるのにかえって手間がかかるのである。

サンプル用に何枚かDVDを焼いて、試写に来られなかった配給関係の会社を回り、DVDを見てもらって配給あるいは上映をお願いしているのだが、まだ、良い結論は得られていない。

先々週は『60歳のラブレター』に続く高齢者向けの映画を探しているという情報をもらい、大胆にも東銀座にある大手の配給会社に編成部長を訪ねた。「ウチで全国配給する手のものでなないね」と言いながらも、『京都太秦物語』の例などを挙げて、上映方法などを懇切丁寧にアドバイスをしてくださった。

1時間半ほど、都内最大のスクリーンを誇った映画館跡のコーヒーショップでお相手をしてもらった後、晴海通りを銀座4丁目の方に向かって歩いていると、ドキュメンタリーの会社の某プロデューサーから電話がかかってきた。三原橋交番に人だかりしているので、それを見ながら立ち止まって話す。明日の打合せの確認かと思ったら、延期になったということだった。このご時勢だから取材対象の某伝説的前衛的カリスマ的芸術家が「自粛したい」とおっしゃるのだそうだ。この映画のお話は去年の11月にいただいたのだが、なかなかスタートできず、やっと顔合わせに漕ぎ着けたと思ったのも束の間、またもや『自粛の高波』に襲われてしまったのだ。

そんな話をしていると、路地から晴海通りに出ようとする黒塗りの大型ワゴンが交番の視界を遮って停まった。それからゆっくりと晴海通りを左折したのだが、また僕の前で停まった。そして助手席の窓がスーッと降りると見たこともない男がこちらをみている。次に後ろのスライドドアがスーッと開くと、2列目3列目シートにも男が座っているのだが、一番奥の男が僕に手を振っている。よく見ると、中村獅童くんだった。僕も電話しながら手を振った。また獅童くんが手を振る。僕もお辞儀しながら手を振る。スライドドアがスーッと閉まると車内はまったく見えなくなった。助手席の男も無言で会釈して窓が閉まり、築地方向にワゴンは走っていった。

電話をちょっと待ってもらって、ちゃんと挨拶をしなければならなかったのではないか。ちょっと失礼になったのではないか。久し振りなのに。後悔、先に立たずってヤツですね。
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