はじめに
ガンの恐怖心がある方は多いと思います。健康関連の仕事をしている私にも少しあります。
ガンは恐い病気でしょうか。克服した人をみると元気な方がたくさんいます。そのため特別むずかしい病気ではないという医者もいます。でも、やはり恐い病気です。理由を3つあげてみます。
まず、診断されてからの余命が短いことです。医者の判定する余命が1~2年は普通かと思います。ここが他の病気との大きな違いです。短い期間に良い治療法をさがさなければなりません。
つぎは治療のきびしさです。大きな手術は死の危険を伴ううえ、後遺症がのこることもあります。抗ガン剤は副作用が強く肺炎をおこし亡くなる人も多くいます。放射線治療も副作用と後遺症が心配です。
3つめは治療費です。保険が適用されても本人負担は多額です。生活に支障がでている人もいます。
ガンはいろいろな面で恐い病気です。
ガンの予防は早期発見が主流です。しかし、早期に発見してもガンはガンです。発病させないことが大切です。
1.ガンは全身病
予防は病気の性質を知ることからはじまります。
ガンは伝染する病気ではありません。ガン細胞の固まりであるガン腫瘍(しゅよう)は10~20年かけてできたとするのが定説です。このため、ガンの原因は外ではなく体の中にあることは間違いありません。
ガンについて東洋医学系の治療家たちは「ガンは間違った食生活などのため血液がよごれ、それがもとでできた病気」と言っています。また、ガンは食生活などの生活習慣に原因があるため生活習慣病のひとつとされています。
ガンの原因について、薬剤師の佐藤成志さんは次のように説明しています。佐藤さんは食事や漢方に精通し、ガン治療にも実績があります。
「ケガをしたとか、外科的なトラブルは別として、すべての病気は食べ物に原因があると私は考えています。
体によくない食べ物をとっていると、腐敗菌が増殖したり、乳酸菌のような善玉の菌が少なくなったりして、腸内の菌叢(きんそう)に狂いが生じ、異常発酵を起こしやすくなります。また、腸の活動がおかしくなるために、老廃物が直腸から肛門へスムーズに流れず、腸壁にへばりついてしまいます。
これらの毒素、腐敗産物、老廃物は、やがて腸壁から血液の中へ吸収され、血液に混じり込んで全身を駆けめぐることになります。汚れた血液が体じゅうに循環していれば、あちこちに異変が生じてくるのは当然ではないでしょうか。
ガン細胞はそうしたところから生じるのです。」(注1)
佐藤さんの言うことを要約すると、「体によくない食べ物をとっていると、腸から毒素などが体の中に入り込んで血液を汚し、その血液が全身をめぐってガン細胞をつくる」となります。
ガンはよごれた血液を原因とする全身病です。
2.ガンの原因となる食べ物、食べ方
ガンの原因となる食べ物とは何でしょうか。これについて、ガン患者の過去の食生活に詳しい治療家たちが、白砂糖、肉、食べすぎ、をあげているのが目につきました。私は肉と食べすぎのことは知っていましたが、白砂糖には少しおどろきました。
このことをふまえて、つぎにガンを引きおこす食べ物、食べ方などについて4つ取りあげ説明します。
○精白食品
精白食品とは表皮や胚芽などをとって白くした食べ物です。白米ごはん、精白小麦粉を使ったパンやめん類、白砂糖などです。
精白食品は諸病のもとです。白米は江戸時代の都会や明治時代の軍隊で脚気(かっけ)を引き起こし何万人もの死者をだしました。
精白食品はビタミン・ミネラルが微小です。白米は玄米に比べビタミン・ミネラルは1割以下しかありません。白米ごはんは腸のなかで滞留し異常発酵して毒素をだし、それが腸から吸収され血液をよごします。そしてガンなど諸病のもととなります。
精白食品のなかでも白砂糖の害は多大です。白砂糖は99%以上がショ糖で、ビタミン、ミネラルはほとんどなく化学物質のようなものです。白砂糖は血液の質を悪くします。そのため、「白砂糖はもっともガンにつながる食べ物」とする食養家が何人もいます。(注2)
白砂糖はお菓子、清涼飲料水、料理から口に入ってきます。
なお、同じ砂糖でも黒砂糖は栄養バランスのとれたもので、特に害はありません。
○動物性食品
動物性食品とは肉、魚、貝、卵、乳製品などのことです。日本では肉の消費量がふえるとともにガンが広まってきました。
肉など動物性食品(以下肉とします)は腸のなかで腐りやすく、毒素が体に入り血液をよごします。また、肉には食物繊維がないため便秘をおこし、たまった便が毒素をだします。
肉食がガンの主因であることは、日本での観察結果からもあきらかですが、より大きな視点からの報告もあります。中国では肉食の多いモンゴル民族が他の民族に比べガン発生率が高いそうです。
牛乳など乳製品のとりすぎもガンの原因となります。真弓定夫さん(小児科医)は、牛乳の一番の難点は「アテローム(脂肪性の蝋のような物)が血管の内壁にヘドロのように沈着して血管の狭窄を招く」ことだと言っています。また、新谷医師は「乳ガン、前立腺ガンなどになった人たちに食歴を聞くと、全員が牛乳、チーズ、ヨーグルトなどを毎日食べ……」と書いています。(注3)
○食べすぎ
未精白穀物を食べているのにガンになった人がいると聞いたことがあります。そのとき私は食べすぎのせいではないかと思いました。
食べすぎの人にガンが多いことは昔から知られていました。それを示すのが漢字です。癌という字はやまいだれの中に品と山があります。品物(食べ物)を山のようにとるとガンになることを意味しています。また、多くの治療家たちもガンの主因のひとつに食べすぎをあげています。
食べすぎがガンにつながる理由のひとつは、食べすぎると腸に滞留する食べ物が多くなり、そこからでた毒素が体に入り血液をよごすことです。
○薬の飲みすぎ
農薬や食品添加物などの化学物質で発ガンすると言われていますが、それでガンになった人はそれほど多くないとの見方があります。
そのいっぽう、多くの治療家が、薬の飲みすぎがガンにつながっていると指摘しています。
ガン患者の過去の生活習慣を大量かつ詳細に記録した医学博士の後藤邦汎(くにひろ)さんは、ガン患者には「強いクスリを一定期間服用していた。あるいはカゼ薬のような弱いクスリを長期に渡って折りに触れて服用していた。あるいは、降圧剤のような中程度の強さのクスリを長期間服用していた」人が多いと言っています。(注4)
また、抗ガン剤がガンをつくることも定説化しつつあります。
3.ガンの前兆となる症状
ガンには発病前に前兆となる症状があります。それを知ればガンが近づきつつあることが分かり、食事の見なおしなどに取り組めます。
前兆としての症状はいくつかあげられていますが、ここでは治療家たちが共通して指摘する便秘、冷え性、肥満を取りあげます。
○便秘
古来から「便秘は万病のもと」といわれていますが、治療家たちが第一番に指摘するガンの前兆は便秘です。といっても、たまたまなった便秘に問題はなく、慢性的便秘が恐いのです。
便秘がよくない理由は、便秘すると腸のなかに長時間たまった便が発酵して毒素をつくり、それが体に入って血液をよごしガン腫瘍のもとになるためです。
便秘の原因はたくさんありますが食物繊維の不足が主因です。そのため、主食を未精白穀物とし、しっかり食物繊維をとれば便秘を防げます。なお、肉には食物繊維がまったくありません。白米ごはんに肉中心の副食では慢性的便秘になりがちです。
後藤邦汎さんは「毎日一回以上、ほぼ定時に便があり、その臭い・硬さ・形・量が適切である・・・こういう人は、まずガンになりません」と断言しています。(注5)
○冷え性
ガン患者に冷え性の方が多いことを治療家たちが指摘しています。
冷え性はよく聞く言葉ですが病名ではないため意味を知らない人も多いと思います。
冷え性は、体全体は冷たさを感じないのに、特定の部分が冷たく感じる状態です。冷たく感じるのは、手足、肩、お腹、腰などです。冷え性の人にでやすい症状は、寒がり(厚着)、頭痛、肩こり、腰痛、生理痛、生理不順、下痢・腹痛、風邪を引きやすい、疲れやすい、などです。
現代日本人のうち冷え性の人は5割とも7割ともいわれています。
冷えが諸病のもととなることに関し進藤義晴医師は「冷えがあると、体の中に溜まった毒を放り出す力を弱めることになります。……冷えると血管が縮んで血行不良が起き、血のめぐりが悪くなります。血のめぐりが悪くなると、当然組織の機能が落ちますから、老廃物は出ていきません」と解説しています(注6)。
冷え性かも知れないと思う人は、もしかしてガンの前兆ではないかと疑い、その解消につとめるべきです。方法は色々ありますが基本は主食に未精白穀物を取り入れることです。
冷え性かどうか分からない人は体温をはかってみることをおすすめします。正常な体温は36.5度位です。常時36度以下の人は要注意です。
○肥満
ガン患者に肥満の人が多いと治療家たちはみています。
肥満が多くの病気のもとになっていることは明らかです。日本が戦争に負けた1945年から10~20年間はほとんど肥満の人はいませんでした。それが、経済が成長し豊になるとともに肥満の人がでてきました。そして、生活習慣病を多発させ、ガン患者も多くなりました。
4.ガンを予防する食事
これまでみてきたところでは、ガンを予防するには、白米や白砂糖などの精白食品をできるだけ避け、肉などの動物性食品をほどほどにし、少食とし、薬は最小限とし、便秘、冷え性、肥満を解消すればよいことになります。
でも、7つも並べられるとガンの予防はむずかしいと感じられるかもしれません。しかし、じつは、そうではないのです。それは、主食を未精白穀物とした菜食系の食事で7項目がほとんど解決できるのです。
つぎにガンや諸病にならない「正しい食生活」を紹介します。
「正しい食生活」の要点
○基本
・主食 玄米など未精白穀物
・菜食 動物性食品は食事全体の10~15%くらい
・少食 一日2食分くらいの量、または一日1100~1800キロカロリーくらい
・主食中心の食事 副食が主食より多くならないこと
○個別のこと
・牛乳はできるだけ控えめに
・野菜は根菜類を多めに(根菜は体を温める)
・果物は少なめに(多すぎると体を冷やす)、酢も控えめに(体を冷やす)
・塩は自然塩を、減塩はしない
・酵素をしっかりとる(発酵食品や生ものから)
・健康補助食品をとり入れる(胚芽、葉緑素、酵素、食物繊維などのうちから)
以上のことを心がけて食事をとると、間違いなくガンを未然に防げます。制約が多すぎて食べる物がなくなってしまうと心配する方もいるでしょうが、動物性食品をへらしても食べるものはたくさんあり、けっしてこまることはありません。
5.「正しい食生活」のための参考文献
a 菜食健康法といった本を読めばよいわけですが、下記の本を推せんしておきます。このなかから2~3冊をお読みになることをおすすめします。いずれも文庫または新書で求めやすいものです。
○佐藤成志『穀菜食で病気にならない体をつくる』(広済堂出版の健康人新書 2009)
○東城百合子『食生活が人生を変える』(三笠書房の知的生き方文庫、2002)
○森下敬一『クスリをいっさい使わないで病気を治す本』(三笠書房の知的生き方文庫、2005年)
○森下敬一『ガンは食事で治す』(KKベストセラーズのベスト新書、2010)
上記の3氏は多くの本を書いています。どの本も参考になると思います。
b 「冷え」の視点から食事や健康法を勉強してみることも有効です。下記の本をおすすめします。
○進藤義晴(医師)『新版万病を治す冷えとり健康法』(農村漁村文化協会、2000)
○石原結実(医師)『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房、2003)
進藤さんは数冊、石原さんは沢山の本を書いています。どの本も参考になると思いますが、上記の2冊は、とくに人気のあるものです(ある大手書店の情報)。
おわりに
ガン予防法を書きおえてみると、特別にこれといったものはないことに気がつきました。どの項目も健康維持のためには常識的なことです。そのためガンの予防はむずかしくないとも思えます。しかし、食べ物の豊富な今の時代に「正しい食生活」を守ることは簡単ではありません。そのため、日々とはいわないまでも、たまに食生活を反省する日をもうけることが大切なような気がしました。
(注1)佐藤成志『穀菜食で病気にならない体をつくる』(広済堂出版、2009年)
(注2)食養家の細野雅裕さんは次のように言っています。
「砂糖は赤血球を溶かしたり、その働きを弱めたりするわけですから、血液の質を低下させ、汚血体質となり、癌体質へと発展させます。ですから砂糖を食べない食生活ができるなら、癌の発生率は激減することでしょう。」(『血糖値がどんどん下がる-驚くべき食事療法-』家庭医学会、1996)
ガン治療で実績をあげている東京のC.L.I.内科皮膚科診療所は、ガン予防・治療において避けるべき食品として5つあげていますが、一番目は甘いもの(白砂糖を使ったもの)で、二番目はもち米(おもち、赤飯、おはぎ、みりんなど)です。これは長年の診療経験にもとづくものだそうです。なお、私が調べたところ、もち米(おもち……)は、伝統的に「化膿を悪化させる」と言われてきた(観察されてきた)ようです。ちなみに三番目はイカ、四番目は肉(トリ肉は可)、五番目はアクの強い山菜(タケノコ、フキ、ワラビなど)です。(百間亮『女性のガンと気になる持病の本』冬青社、2010)
(注3)新谷弘実『健康の結論』(弘文社、2005)
(注4)後藤邦汎『「ガン」あなた、あきらめないで。』(海苑社、1997)
(注5)後藤邦汎『もうガンはコワクない』(ぶんぶん書房、1996)
(注6)進藤義晴『医者知らず「冷えとり」で、完全健康人生』(海竜社、1997)
(お知らせ)がん克服をめざす方へもご覧ください。自然医学・食養法では予防と治療は同じです。ガン克服のための基本事項はA4で1枚ほどの分量です。ご覧になってみてください。「お知らせ」もあります。
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