以下の文章は「 好転反応」のダイジェスト版です。より深く好転反応を知りたい方は「好転反応」をお読みください。事例や医師・食養指導者の解説が豊富で、以下の文章の約2倍の分量となっています。


目次

序 章
 1.好転反応を理解しよう 
 2.好転反応は特異現象ではない
 3.好転反応は多様
第一章 好転反応の概要
 1.私の体験から
 2.好転反応の種類
 3.好転反応の出かた
 4.好転反応が出る理由
 5.好転反応の出やすい人、出にくい人
 6.好転反応をうまく乗り切るには
第二章 好転反応と他の症状との違い
 1.好転反応か病気か
 2.好転反応か誤知食反応か
 3.好転反応か副作用か
第三章 好転反応をめぐる諸問題
 1.好転反応でやせてきたら
 2.好転反応で便秘になったら
 3.好転反応で腫瘍マーカーが上がってきたら
 4.好転反応について誰に相談すべきか
あとがき


序 章                  
        
1.好転反応を理解しよう
 玄米ごはんや健康食品などの食べはじめに、一時的に不快な症状が出ることがある。これを好転反応という。なぜ、好転かというと、この症状と並行して、あるいは症状が消えたのちに体調がよくなってゆくことが多いためである。
 好転反応として出る症状は、第一章2節でとりあげるが、じつに多様である。そのなかで比較的多いのは、かゆい、しっしんが出る、だるい、眠い、下痢・軟便、ガスが出る、便秘、大量の排便が出る、頭痛、などである。
 好転反応は漢方薬でも出る。また、断食、整体、理学療法、温泉療法など、各種自然療法でも出る。
 好転反応は体質改善反応、調整反応、還元反応などともいわれる。また、漢方では瞑眩(めんげん)といっている。
 好転反応を正しく理解することはとても大切である。
 玄米ごはんを食べて不快な症状が出たとき、「これは自分に合わないものだ」と思って止めてしまう人がいるが、これでは体調を良くするチャンスをミスミス失ってしまう。私に言わせれば、玄米ごはんはだれにでも合うもので、それが合わないのは、その人自身の、生まれた後にできた、平均人からずれた体質のせいである。ここでは玄米ごはんを健康食品や漢方薬と置きかえても同じである。
 病院の手法が対症療法であるとはいえ、それを受けている間に、理由はともかく治ってしまう人がいる。しかし、治らない人は、意識的に食事改善や健康食品・漢方薬の摂取などで体質改善をはかる必要がある。ただ、このとき、好転反応、すなわち食べはじめの不快な症状にとまどい、途中でやめてしまっては体質改善のチャンスを失ってしまう。私は、好転反応を正しく理解しないと、西洋医学に見放された人が東洋医学にも見放されると思っている。そして、その先、一生、薬の副作用に苦しむことにもなりかねないのである。

2.好転反応は特異現象ではない
 前節でみたように好転反応は玄米ごはんや健康食品などの食べはじめに、一時的に出る不快な症状である。また、漢方薬、断食、整体、理学療法、温泉療法などでも出る。そうすると、言葉は知らなくても、多くの人が好転反応を経験していることになる。しかし、それが世のなかの常識となっているわけではない。そのため、好転反応と聞くと、なにか気味の悪いことのように思う人が多いかもしれない。そこで、これはけっして特異な現象でないことを知っていただくため、識者による解説をひとつ示しておこう。

「古く、中国では「春眠暁(あかつき)を覚えず」と言います。春になると気候も暖かくなり、眠くなるという意味ですが、冬の間、緑の濃い野菜が少なく血液浄化作用が低下し、お血ができます。春になると新芽が出、緑の濃い野菜をたくさん食べることができ血液浄化作用が進み、「眠い」「だるい」といった体質改善反応が出るのです。」(お血:汚れた血、真山政文『玄米力酵素力』文化創作出版、2001)
 この解説によると、好転反応は、私たちが日常の生活でなんども体験してきたことになる。けっして特異な現象ではない。

3.好転反応は多様
 次章から具体的に解説していくが、好転反応はあまりにも多様である。
 まず、好転反応が出る自然療法の種類が多いことである。自然療法には食事改善、健康食品、漢方薬、断食、整体、理学療法、温泉療法などがあるが、それぞれによって反応の出方はいくぶんちがう。
 また、同じ療法のなかでもさまざまである。一口に健康食品といっても、その種類は4〜5千といわれているし、同じ物でも食べはじめの量によって反応の出方はちがってくる。そのため、あまりにも多様な好転反応を一人で知ることは不可能である。
 そこで、次章以下では、食事改善と健康食品による好転反応を中心にみていく。ただ、食事改善でも、玄米ごはんを毎日1〜2膳食べはじめる人と、一週間に1〜2膳だけという人もいる。ここで想定するのは前者である。後者では好転反応が出る人はごく少ないためである。また、健康食品の場合、比較的反応が出やすい製品を想定してみていく。ある社の製品は75%ほどの人に好転反応が出るというが、別の会社の製品は1〜2%の人にしか出ないという。ここで想定するのは前者のような製品である。


第一章 好転反応の概要

1.私の体験から
 好転反応は、おおまかに言うと、玄米ごはんや健康食品の食べはじめに出る一時的な不快な症状である。といっても、これだけでは分かりにくい。そこで、具体的なイメージをもってもらうため、まず、私が体験した2つの事例を紹介しておこう。2つとも比較的反応が強くでた事例である。
(その1)
 40年ほど前のことである。私は、白米ごはんを玄米ごはんに変え、同時に副食は野菜と海草をメインとした。また、朝食抜きの一日2食にし、それを良く噛んだ。また、運動も以前より多くした。
 そうしたところ反応が2つでた。
 ひとつは便が黒くなったことである。これは、すぐあらわれ数日間つづいた。
 つぎは体重がぐんぐんへったことである。1ヵ月で2キロほどへり、それが3〜4ヵ月ほどつづいたと思う。玄米食にする前は58〜59キロだったが、3ヵ月ほどで52〜53キロ位になったようだ。
 体重がぐんぐんへっていくことについては、なんとも思わなかった。私がたまに会う知人は、私がやせたのを見て「ガンにかかったかと思った」と言ったが、私に不安感はまったくなかった。それは、いっぽうで体調がよくなっていることもあったが、同時に、私は、私を玄米菜食に導いた何人かの医師の本をよく読み、指導内容を深く信頼していたためだと思う。
(その2)
 2つ目は、つい最近のことである。私は、ある本で「よく噛(か)んで食べると、少食ですみ……」を読み、さっそく食事と間食をてってい的に噛んで食べつづけた。その際、多少、食事と間食の量をへらした。噛みはじめる前の私は、全般的に体調はよかったものの、脇の下や首に皮膚炎があり、また、直前の2〜3日には右太ももに軽いしびれがあった。私はこの原因は、やや太り気味のためと思っていた。
 てってい的に噛むことを実施したところ、しびれは翌日からまったく出なくなった。いっぽう皮膚炎(湿疹)の方は、当初はおさまる方向だったが、20日目くらいから逆に広がり、熱をもって赤くなってきた。そして、それが2週間ほどつづいた。私はこれは好転反応だと思ったものの、多少、気持ちが悪かった。もしかしてガンではないかとさえ思った。好転反応についての知識が十二分にある私でさえ気持ちが悪いほどだった。幸い、反応はおさまり、皮膚炎も徐々によくなってきた。
 皮膚炎が回復してほっとしたところ、50日目頃からつぎの反応が出てきた。背中などのかゆみである。私はこれも好転反応だと思った。2週間ほどつづいたのち、おさまってきた。
 てっていして噛んだことのもう一つの効果は、ぜい肉がとれ体がしまったことである。

2.好転反応の種類
⑴好転反応の症状の種類
 前節で私の2度の好転反応の体験を示した。そこでは、黒い便、やせる、かゆい、湿疹、持病の悪化(皮膚炎の悪化)の5つの症状が出ていた。私一人だけの体験であるが、好転反応の多様さがうかがわれる。
 ここでは、まず、玄米食・健康食品によって出る反応を並べておこう。
 下記に22の症状を書いてみた。これらは、私の体験、私が私と同じ健康食品を食べている人から聞いたもの、穀菜食を取り入れた人たちの体験談 (知人からの情報と本から)、効果が高いと思われる健康食品を食べた人の体験談(本から)、その他の資料、などから、私が比較的出がちな症状と判断したものを選んだ。22にしぼったのは、あまりたくさん並べてもはんざつになると思ったからである。諸資料によると症状は100種類くらいはあった。

 ・かゆい ・湿疹が出た
 ・黒い便 ・下痢や軟便
 ・お腹が張る ・ガスが出る ・便秘
 ・小水の量が多くなる ・小水がよく出る
 ・関節痛 ・頭痛 ・胃が痛い(むかつく)
 ・汗がたくさんでる 
 ・めまいがする ・しびれる 
 ・血圧が上がる ・コレステロール値が上がる
 ・たんが出る ・歯か浮いた感じがする
 ・どんどんやせてゆく ・太ってくる
 ・持病の悪化

 この22種の症状について若干の解説をしておこう。
 これまで好転反応は不快な症状と説明してきた。しかし、このなかには肉体的にみると不快でないものがある。「どんどんやせてゆく」は、これを何とも思わない人がいる。いっぽう、もともとやせていた人の中には、とても不安がる人がいる。そのため、これを好転反応とみるかどうかは人によってちがってくる。
 「血圧が上がる」「コレステロール値が上がる」なども、数値のことでだけで肉体的な不快症状を感じていない人もいる。

⑵諸症状と病気・体質との関係
 好転反応を解説したものの中には、各症状とその起因となる病気との関係を示したものがある。私は各症状には、それを生み出す体質があると思うが、それをここで解説することは私の力を越えている。
 そこで、ここでは、玄米食・健康食品の食べはじめの反応として「かゆい」「湿疹が出る」についてのみ、若干ふれておく。
 各種資料によると、これが出やすいのは、アレルギー体質の人、肝臓機能の低下している人、腎臓系統に疾患のある人、便秘気味の人、胃腸の弱い人、薬を長期間服用していた人、免疫異常の人、など多様である。

3.好転反応の出かた
 前節でみたように好転反応の種類は多様であるが,また、反応がつづく期間や強さなども多様である。ここでは、その状況を4つに別けてみておく。

⑴好転反応の事例
 ここでは厳格な食事療法などで、比較的つらい症状が出た事例を、医師などの本から2つ紹介する。
(その1)Kさん、73歳女性、胃ガン・直腸ガン
「(玄米菜食の)食事療法を続けましたところ、しばらくするとめきめきと効果が表れて、身体がよくなってきました。ところが同時に、夏でも電気毛布を被(かぶ)らなければ眠れない、身体中に水疱瘡(ほうそう)のような発疹が出る、歯ぐきが浮く、目まいがする、寒けがする、などの体質改善反応も出てきたのです。」(森下敬一監修、ペガサス編集部編『食事療法でガンに勝った21人の証言』ペガサス、1992)
(その2)Aさん、54歳女性、風邪を引きやすく抗生物質服用
「漢方薬と微量栄養素(健康食品)、針灸治療を施したところ一週間ほどして、体は少し楽になってきましたが、体全体に湿疹様の吹き出物が出てきました。……いままでの漢方薬と微量栄養素を続けるように指示しました。その結果、湿疹は二週間目ごろから引き始めてきて、同時にグンと体調がよくなり、以後スッカリ元気になりました。」(織田啓成『健康のメカニズム』たにぐち書店、1998)

 この2つは、比較的重い症状である。もっともこれらよりずっとつらい症状が出たという報告は数多くある。

⑵好転反応の期間、強さ
 一般的に、好転反応は、いつ頃から出始め、どの位つづき、不快の程度はどの位なのだろうか。これについて、私は、玄米菜食の解説書や、効果の高い健康食品の本にあたってみた。
 それによると、好転反応の出始めは、2〜3日目から30日目くらいで、それが長くて2週間ほどつづくことが分かった。
 ただこの例外がけっこうある。
 まず、出始めであるが一日目から出る人もいる。私の知人(70代男性)は、市販の玄米がゆ一袋を食べると、その日のうちに下痢気味になるという。また、ある健康食品を食べた小児喘息の子どもは「初めて食べた三十分後に、ほうぼうの関節が痛み出した」(花山一芳・今尾充子『本物のサプリメント』マネジメント社、2003)

 症状がつづく期間であるが、多くの人は1週間以内でおさまるようだ。長くても2週間ほどである。でも、1ヵ月以上つづいたとの報告も少なくない。
 症状の強さの程度であるが、軽い人と重い人がいる。軽い人の場合は 「こんな症状が出ていませんか」と聞かれて、「そういえばそういった症状が出ています」と気づくくらいである。ある健康食品を食べた人の例であるが、軽い人は「一度偏頭痛がしただけ」なのに、「立っていられない位の頭痛がして寝込んでしまった」人もいる。「かゆい」も、「背中が少しかゆい」だけの人もいれば、「全身のあちこちが我慢ならないくらいかゆい」といって指導者に電話していた人もいた。

⑶複数の症状が出ることも
 好転反応は穀菜食・健康食品のとりはじめに出るが、症状はひとつとは限らない。私が見てきたところでは2〜4つ位の症状が出るのは、ごく普通のことである。
 ある70代の男性は、健康食品を食べはじめて、かゆい、しびれる、眠い、ガスが出る、といった反応が順次出た。ある60代の女性は、玄米食と健康食品をとって、順次、鼻の下と中が赤くなる、小水が良くでる、手がむくむ、手と鼻に湿疹が出る、といった反応が出た。また、ある40代の女性は、健康食品を食べて、ガスが出る、お腹(なか)が張る、便秘する、といった反応が出た。3人とも一カ月以内のことである。
 これらの人たちは、けっして健康食品などをたくさん食べたわけではない。むしろ、つらい好転反応が出ないように、標準量の2〜3分の1からはじめたのである。

⑷症状は繰り返し出ることも
 私はこれまで何度か好転反応を経験している。しかし、これは、ある時は白米から玄米に変え、ある時は健康食品を毎日食べるようにし、その時々で新たな療法を取り入れていた。そのため、その都度、新たな反応が出たのである。
 これとは別に、同じような食事をつづけているのに、新たな好転反応が何年もたってから出てくる人もいる。私の知人の60代女性は、玄米食・健康食品をとり入れた直後に好転反応が出たあと、5年ほど後に、また、反応が出たという。
 こういったことに関して森下敬一氏(医師)監修の本には次のように書かれている。
「反応のあらわれ方は、時期も症状も人によってさまざまです。……一度だけで出なくなることもありますが、繰り返し出るケースも少なくありません。繰り返し出る場合には、症状は次第にかるくなっていきます。」(森下敬一監修、ペガサス編集部編『自然医学の食事療法』ペガサス、1988)

4.好転反応が出る理由
 好転反応は玄米食・健康食品の食べはじめに出る不快な症状である。では、どうして出るのだろうか。
 私は、ここ10数年、玄米食・健康食品を始めた人の最初の1〜2ヵ月を観察してきた。そうすると、食べはじめてすぐに、体が軽くなった、疲れにくくなった、肌がきれいになった、などと効果を感じる人が多かった。では、この理由はなんであろうか。それは、玄米食・健康食品の豊富な栄養素が良い血液を作り、それが良い体調を作るためだと、解説書などを見ながら、ばくぜんと思ってきた。
 いっぽう、効果とともに、かゆいとか眠いとかいった不快な症状が並行して出る人がいる。では、この不快な症状はどうして出るのだろうか。これは明らかに、体が軽いとか、疲れにくいといった効果と同じ理由、即ち、玄米食・健康食品でできた良い血液の作用であると思わざるを得ないのである。問題は、なぜ同じ血液が、いっぽうでは効果を生み出し、いっぽうでは不快な症状を生み出すかである。これについては、不快な症状は、良い血液が体内にある毒素や老廃物を出すことに伴うものだと考えると納得がゆき、そのように思ってきた。
 以上は、私が長年感じてきたことであるが、こういったことに関して、食養・断食指導者の国清拡史氏の解説を紹介しておく。
「(半断食をして)体内に蓄積している毒が、血の中に溶けてきた時に、色々な症状を伴います。それを一般的に「反応」と呼んでいます。反応が出るということは、毒が出てきたということです。……健康で体内に毒のない人は、断食しても反応が出ません。たくさん毒が出てくれば、それに伴って反応も強くでます。」(半断食とは菜食・少食療法のこと)(『半断食』ノーブル、1986)

5.好転反応の出やすい人、出にくい人
 好転反応を正しく理解し、うまく乗り切るためには、好転反応の出やすい人と出にくい人を知っておくことが大切である。2つの視点からみておこう。

 前節で説明したように、好転反応としての不快な症状は、おおまかにいうと、良くなった血液によって体内の毒素や老廃物が排泄されるときに起きる。だから反応が出やすい人は、毒素や老廃物を多くためている人である。では、具体的にどんな人であろうか。これについては指導者たちの見解はほぼ一致している。おもに次の5つである。

 ほとんどの指導者たちが「好転反応がもっとも出やすい」と指摘するのがアレルギー体質の人である。なかでも、アトピー性皮膚炎の人がもっとも出やすいようだ。なお、アレルギー体質の人でも出方は一様でない。これについて、甲田医師は次のように書いている。
「さまざまなアレルギー疾患の中で、食事療法をおこなって問題となるのは、おもにアトピー性皮膚炎や慢性湿疹、それに気管支ぜんそくです。それ以外のアレルギー疾患でひどい好転反応が起こることは、それほど多くありません」(甲田光雄『青汁少食でアレルギーが消えた』雄鶏社、1993)

 次の4つのタイプも好転反応が出やすい
・薬(化学薬剤)をたくさん使ってきた人
・胃腸の悪い人(胃下垂、胃潰瘍など)
・慢性病にかかっている人
・体調不良の人

 あと一つ付け加えておこう。それは、健康だと自認している人に、思わぬ好転反応が出ることがあることである。私は玄米菜食をしている人が、ある健康食品を食べて、ガスが出すぎて、仕事をするうえで困った例を知っている。

6 .好転反応をうまく乗り切るには
⑴食事改善はゆっくりと
 好転反応の程度はさまざまだが、体質や治療法によっては強くでることがある。第二章3節の事例では、「(体が冷えて)夏でも電気毛布を被(かぶ)らなければ眠れない」「体全体に湿疹様の吹き出物が出た」などの強い症状が出ていた。幸い、この人たちは医者や断食指導者の管理のもとにあった。
 いっぽう、玄米食・健康食品を取り入れる多くの人には、このような条件にはない。そのため、強い反応が出た場合は、玄米食を中断し、健康食品も止めてしまうケースが多くなる。
 私は、こうしたことを知る回数が増えるにつれて「食事改善はゆっくりと」、「健康食品は少量から」と思うようになり、そのように友人・知人にアドバイスしてきた。玄米ごはんに変えるなら、一日3食3膳からではなく、まず、一日に半膳または1膳を食べるのである。そして、それを10日、いや30日ほどつづける。また、健康食品なら標準量の3分1とか4分1位から始める。それでも、好転反応が出る人はいるが、つらくて不安になるほどの反応はわずかになる。そして、このようなやり方なら、多くの人が玄米食・健康食品をつづけられ健康をつかめるのである。

⑵つらい症状に出会ったら
 玄米菜食・健康食品を摂りはじめたら、予想外のつらい反応に出会うことがある。その時には、どう対応すべきなのか。
 私は「諸症状が出て生活に支障がある時は食べる量を半分に減らし、おさまってきたら徐々に増やしてください。2〜3日休んでもけっこうです」などとアドバイスしている。
 これとは逆に、つらい反応が出たら玄米食・健康食品の量を増やして一気に乗り切ることを指導している人もいる。こういったやり方も一理あると思うが、一般向けではないと思う。

⑶好転反応は恐れてもいけない
 私は、食事療法などは徐々にはじめるべきだと思うが、好転反応がほとんど出ないようなやり方を良いとは思っていない。玄米ごはんを7日に1膳からはじめるのはどうだろうか。また、健康食品を標準量の10分の1位から食べはじめるのはどうだろうか。このようにするとほとんどの人に反応は出ない。しかし、私はこういったやり方には反対である。この程度では、肝心の効果が実感しにくく、玄米ごはんや健康食品を食べつづける意欲がなくなるのではないかと思う。また、病気の回復に時間がかかりすぎることもある。
 好転反応への対応は慎重にする必要があるが、いっぽうで恐れ過ぎてはいけない。特に、ガン患者のように回復を急ぐ必要のある人は好転反応に立ち向かう気持ちも必要である。


第二章 好転反応と他の症状との違い
1.好転反応か病気か
 好転反応は玄米食・健康食品の食べはじめに出る不快な症状である。では、これと病気とはどこが違うのだろうか。
 玄米ごはんや健康食品で、好転反応のことを知らない人にも不快な症状が出ることがある。その時、その人たちは「玄米ごはんは自分に合わない」 「この健康食品は自分に合わない」と言うが、反応を病気だとは思わないようだ。しかし、たまには病院に行く人もいる。
 好転反応か病気かの見分け方に関して2つのことが言われている。それを紹介しておこう。

⑴好転反応なら並行して効果が出ていることが多い
 不快症状が出たとき、それが好転反応であれば、不快症状と並行または前後して、良くなる兆候とか良くなったこと(以下、効果とする)が、多くの人に出ている。
 私は玄米食を始めた人に、好転反応についてアドバイスするとき、「効果は出ていますか」と「不快な症状が出ていますか」をセットで聞くことにしている。それは、不快な症状とともに効果が出ている人が多いという経験にもとづいている。
 さて、このような聞き方をしたとき、どのような答えが帰ってくるだろうか。事例を2つ紹介しておこう。
 ある男性は、不快症状として「ひざ下に湿疹が出た」「耳がかゆい」をあげたが、いっぽう、効果として「トイレに起きる回数が減った」「小水の出が良くなった」と言った。また、ある女性は「湿疹が出た」「便秘した」が、「疲れにくくなった」と言った。2人とも玄米食をはじめてから1ヵ月以内のことである。
 このように不快症状と効果を、ほぼ同時に感じている人は決して少なくなく、ごく普通のことである。

⑵好転反応なら症状はあっても軽いことも
 好転反応と病気には同じ症状がある。下痢や頭痛などである。これに関し、好転反応は病気にくらべて症状が軽いといった指摘がある。
 こういった事例を2つ紹介しておこう。
(その1)
 ある50代の男性は「半日断食(少食のこと)を始めたころ、下痢のようなものが続きました。これが腹痛は全然なくて、かえって気持ちがいいのです。」(甲田光雄『奇跡が起こる半日断食』(マキノ出版、2001)
(その2)
 ある50代の女性は「(ある健康食品を食べて)四カ月後に、顔から手の平まで、全身にびっしり湿疹が増した。痛みも痒みもない湿疹でした。」(池田善行『玄米発酵食は慢性病に克つ』(文理書院、1994)

⑶好転反応とみられないケース
 好転反応か病気かの判断がつきにくいケースがある。専門家でも見分けがつきにくいことがあるという。私は見分けがつきにくい場合は、病気だと推定し対処するのがよいと思う。
 これに関し、森下敬一(医師)監修の本には次のように書かれている。
「反応か病気の悪化か判断できないとき、あるいは身体的な改善がみられず、不快な症状だけがつづく場合には、医師の判断を仰ぎます」(森下敬一監修、ペガサス編集部編『自然医学の食事療法』ペガサス、1988)

2.好転反応か誤知食反応か
 誤知食(ごちしょく)反応とは私が作った用語である。健康によいと思って意識的にとった飲食物が、多めであったたために不快な症状が出ることがあるが、それを誤知食反応と呼ぶことにした。3つほどを例を示しておこう。
 まず、酢である。健康のために良いとして酢を飲んだり、酢を使った料理を意識的に多く食べる人がいる。酢には、肉などのたんぱく質を分解して柔らかくする、酢の強アルカリ性が酸性の害を抑える、少量なら血行をよくして体を温める、など種々の効能をもっている。そのいっぽうで酢は大変強い陰性食品であり血液を溶かす力が強く、摂りすぎると貧血になり、心臓マヒ、めまい、生理が止まる、などの症状が出てしまう。
 つぎは、大豆・大豆製品(みそ・しょう油を除く)である。大豆はたんぱく質が豊富で、サポニン(脂肪の代謝を促進し脂肪の吸収を防ぐ効果をもつ)や、イソフラボン(女性ホルモンの働きをする)を含んでいるため、評価の高い食品である。しかし、陰性食品であり、食べすぎると体を冷し諸病のもととなる。
 3つ目は、果物(なす、トマトを含む)の摂りすぎである。果物を積極的に食べる健康法がある。しかし、果物は体を冷やす性質がある。食べすぎると体を冷し、体調不良につながる。

 健康によいと思って意識的に多めにとった飲食物が原因で、不快症状が出る例はたくさんある。定評のある健康食品でさえ、そういったことが報告されている。
 好転反応と誤知食反応の違いは2つある。一つは、好転反応は一時的症状であり、やがて消えるが、誤知食反応は、そのもととなる食品を多めに食べつづけているかぎり消えることはない。つぎは出始める時期である。好転反応は数日から一カ月くらいのうちに出るが、誤知食反応はもっと長い日数がたってから現れる。

(参考)この節を起こすにあたっては漢方の誤知反応を参考にした。誤知反応は漢方薬の使い方を間違えたために出た不快症状のことである。

3.好転反応か副作用か
 副作用は薬(化学薬剤)を使った際におきる不快な症状である。私は、玄米ごはんや健康食品を食べた人が、好転反応に当惑しても、それを「副作用だ」と言った人に出会ったことはない。「私の体質に合わない」などというだけである。だから、好転反応と副作用の区別を、ここでとりあげる必要はないともいえる。
 副作用とは、薬(化学薬剤)よって出た、その薬が目的としない不快・有害な症状である。副作用は、薬の使用法を間違ったために出るものではなく、正しく用いた時に出るものを指している。前節の誤知食反応や誤知反応は、食物や漢方薬の使用法を間違った際に出るものである。
 好転反応と副作用の現象面での違いであるが、好転反応は玄米食・健康食品の食べはじめに出る一時的な症状である。同じものを食べつづけても、やがて消えてゆく。いっぽう、副作用はその薬をつづけているかぎり消えることはない。


第三章 好転反応をめぐる諸問題
1.好転反応でやせてきたら
 「動悸がする」「不整脈が出る」「息苦しい」といった心臓に関係する好転反応を除くと、一番恐がられる反応は「どんどんやせてゆく」ことだと思う。
 てっていした玄米菜食と健康食品を併用して指導するクリニックの関係者によると、「まず、体重が減ってくる人がいます」とか、「玄米菜食をすると必ずやせてくる」などと言っている。また、玄米食に批判的なある医師は、「皆、やせてくるから」と言っている。
 玄米食・健康食品をしっかり取り入れると、多くの人はやせてくるというか体がしまってくる。これをどう受け止めるかであるが、肥満気味の現代日本人の多くは、やせてくること(体重減少)を歓迎する。だから、不安がる人は少ない。しかし、もともとやせている人が、どんどんやせてくると不安になる。私も、こういった人に数人出会ったが、不安感は相当なものである。

 好転反応としての「どんどんやせてゆく」ことについて食養の指導者たちはどうみているのか。
 私がある指導者に聞いたところ、「玄米食・健康食品による栄養素によって排毒が一層進み、その過程で一時的に体重が減るが、体調がよいなら問題ないし、体重は間もなく戻ってくる」と語ってくれた。
 また、玄米食・健康食品をメインにしてガン治療などを行っている医師に、「やせてきたのが心配なのですが」と患者(60代の女性)が言ったところ、 「それはすぐ元に戻ります」と一蹴(いっしゅう)されたという。これは、私が、女性から直接聞いた話である。
 どうやら好転反応で、どんどんやせても、心配はいらないというのが、指導者たちの見方のようである。

2.好転反応で便秘になったら
 玄米食・健康食品を取り入れると、多くの人は便秘が解消される。ところが一部の人は、その食べはじめに、一時的に便が固くなったり、便秘気味になったりして、とまどってしまう。
 私は、つらい好転反応に直面した人には、玄米食・健康食品の摂取量を減らすか、2〜3日中断することをすすめている。しかし、便秘だけは別である。それでは解決しないと思っている。
 玄米ごはんなどを食べはじめたときに、便秘がおきることに関しては、いっぱんに次のように説明されている。
「玄米ごはんの栄養分によって、腸に水分吸収力がつき、便の方に行く水分が少なくなる。そのため便が固くなったり便秘気味になる。だから、玄米ごはんを食べる時に、コップいっぱいの水をとるとよい。玄米ごはんと水を別々にとってもよい」
 私が、知人・友人に聞いたところでは、この方法で、ほとんどの人が好転反応としての便秘を克服している。

3.好転反応で腫瘍マーカーが上がってきたら
 ガンの治療法として玄米食・健康食品にたどりつく人が多い。しかし、それを取り入れると腫瘍マーカーが上がることがある。私の知人(大腸ガン)も玄米食・健康食品を取り入れたところ、腫瘍マーカーが上がった。
 玄米食・健康食品の食べはじめに、腫瘍マーカーが上がることについて、医師たちは、死んだガン細胞を生きているものと判定するため、などと解説している。
 森下敬一医師の解説を引用しておく。
「食事療法は、溶毒・排毒現象を十分に引き出すことで、ガンを自然消滅させるものである。その治癒プロセスに於いて、血液中に溶けた毒素は、さらに微粒子に解体される。その過程で「腫瘍マーカー」の反応物質として、陽性反応を示すものが少なからず存在する。そのため、「腫瘍マーカー」数値は必ず増大するのである。つまり、溶毒・排毒の中に出てくる物質の一部と、ガン細胞から分泌される特別な因子とが酷似するため、測定器は両者を同じものと見做してカウントしてしまうことになる。したがって、森下自然医食療法の実践者は「腫瘍マーカー」の数値の増減などに一喜一憂する必要は、全くないのです。」(国際自然医学会『森下自然医学』2011年12月号)

4.好転反応について誰に相談すべきか
 好転反応が出て不安になったとき、誰に相談したらよいだろうか。
 これについて、ある医師は「(好転反応が出て驚いたら)あわてず、信頼のおける医師や食養指導者、食養の先輩などに相談しましょう」と書いている。これを手がかりに私の見方を書いておこう。

⑴健康食品で好転反応にとまどったときは、まず、買った販売店か発売元(健康食品会社)に聞くべきである。通常、販売店はある程度の指導力をもっている。しかし、コンビニなどで買った場合、店側も答える体制はないと思う。その場合は、発売元の相談センターに電話で聞くのがよいだろう。指導力・指導体制にばらつきはあるようだが、熱心に指導してくれる会社もあるようだ。

⑵玄米ごはんなどによる食事改善の場合は、すぐに相談相手が見つからないと思う。ただ、自然食品店を利用しているなら、そこで聞けるかもしれない。店長やベテラン店員なら、ある程度の知識はあるだろうし、相談にのってくれるだろう。

#9334;食養法の料理教室、断食道場、漢方薬局、自然食品店に電話で聞くのはどうだろう。ある料理教室の主催者は「どこの教室も会員でない方からの電話での好転反応の相談は断っている」といったことを書いている。理由は、好転反応の指導は難しいからといったことのようだ。

⑷医者はどうだろうか。近年、多くの医者は、部分的ではあるが漢方薬を処方している。そのため、好転反応(瞑眩)の知識のない医者はほとんどいないと思う。しかし、漢方薬を処方する場合、事前に好転反応の説明をしていないようだし、また、反応の状況をていねいにフォローしているわけではない。だから、玄米食・健康食品での反応について、十分な指導力はない。ただ、当該症状が悪質なものか否かの判断が聞けた人はいた。

⑸好転反応についての参考書はあるだろうか。残念ながらほとんどない。ただ、図書館などで幅広く食養法や漢方の本を見れば、そのなかに解説したものがあるかも知れない。しかし、たいていは簡単なものだろう。


あとがき
 好転反応については、本やネット上にたくさんの情報がある。しかし、まとまったものはほとんどない。そんななか、ボランティア的に菜食の普及を熱心にしてきた私が、10数年間の経験をもとに、あえて挑戦して作ったのがこの冊子である。
 序章に書いたように好転反応の理解は大切である。しかし、近年、出版物に好転反応の解説とか、好転反応を克服した人の体験談がへっている。
 主因は法改正のためである。健康食品で不快な症状が出た場合、販売業者が「それは好転反応です」と説明することが、10年ほど前から規制された。理由は、もし不快な症状が好転反応でなく病気であるなら、医師の治療の機会を失なわせることになるからだという。
 このことの功罪はともかく、玄米食・健康食品を取り入れて健康になるには、好転反応の理解は必須である。だから、健康に問題を抱えている人は、より努力して勉強しなければならなくなっている。幸い、現代はネットから豊富な情報が得られ、本や雑誌からの情報不足を補うことができる。いろいろ工夫して勉強していただければと思う。(完)