「正しい食生活」で健康に

体調不良の原因の大半は「食事」です

2006年09月

フィチン酸の害(3) 

 本日は、「フィチン酸の害」に関し、私の見解を述べてみます。
 「フィチン酸の害」を書くにあたって、私は手元の本やインターネットで色々調べてみました。
 そうしたところ、玄米を食べて骨がもろくなった(カルシウム不足)とか、貧血になった(鉄分不足)などといった記事(実例)は殆ど無いのです。

 それでも、ネットで一生懸命に検索すると、「玄米を食べている人は皆歯が悪い」などといった話はほんの少しだけありました。
 しかし、それらにしても、医師などが、実名でかつ一定数の症例をもとに発表しているものではありません。
 そういったことを勘案すると、フィチン酸の害の実例は、報告されていないに等しいのです。

 いっぽうで、玄米及び米糠は、その高い効用のため、食用としている活用されている事例は膨大です。
 
 まず、玄米ですが、日本で玄米ごはんを常食している人は20万人と聞いたことがあります。その数字の信頼性の程度は不明ですが、玄米を常食している人数はそれほど多くはないようです。
 しかし、玄米は、餅(もち)や菓子、玄米粉などの形でも食べられています。
 また、玄や麦の米の胚芽・表皮を主原料とした健康食品を数十万人が食べているとみられます。
 そして、これらを食べている人たちに、虫歯や貧血が多いといった話はまったくといっていいほどないのです。

 玄米は人間だけでなく、スズメ、ネズミ、猿などの野性の動物も食べています。田んぼや米蔵からかすめているのです。
 仮に、玄米を食べて骨が弱くなるのなら、野性動物は本能的に玄米をさけるでしょう。
 野生動物が玄米を食べるのは、「玄米のフィチン酸は害はない」という一つの証拠でしょう。

 玄米の糠は家畜のエサにもなっています。
 調べたところ、牛、豚、羊、山羊、ウサギ、にわとり、養殖魚などのエサになっています。もし、フィチン酸(糠に多く含まれている)に害があるのなら、家畜業者は糠の入ったエサを買わないでしょうし、家畜たちも糠入りエサを敬遠するでしょう。

 私はこうした多くの事実をみると、フィチン酸が人体に害を及ぼすとはとうてい思えません。

(参考)「フィチン酸は血液中のミネラルの濃度に影響を与えなかった」との実験結果についての記事がありました。「フィチン酸は血液中のミネラルの濃度に影響を与えなかった」と入力し検索してみてください。

フィチン酸の害(2)

 「玄米に含まれるフィチン酸は人体に有害」といったことが、それなりに取り上げられるようになったのは、色々調べると、高橋晄正(こうせい)氏の影響が大きいようです。
 そこで今回は同氏(文末参照)の主張を紹介します。

 彼は、著書『自然食は安全か』(農文協、1989年)のなかで、玄米のフィチン酸について取り上げています。
 以下に要点を引用します。

「FAO/WHOの報告書の中には、このことについて、
 ---こうした事実は、全粒また精白度の低い穀物および野菜を大量に消費している住民について示されているが、その中のフィチン酸は理論的には食品中のカルシウムの全量を沈殿させるだけの量である。
 このような住民のほとんどすべては常習的にカルシウムの摂取量が低いのが普通である。
 ………しばらくの間はカルシウムの吸収を阻害するかもしれないが、人間の食事の中に通常的に含まれている量のフィチン酸によってカルシウムの所要量が影響を受けていると信ずべき根拠はきわめて少ない--
と述べており、速やかに、”適応(馴れ)”の現象が起こることを想定しているように見える。しかし、その”適応(馴れ)”ということの内容についは説明されていない。

 また、FAO/WHOの専門委員会(一九七二)は、
『玄米食などに切り変えた直後には、一時的にカルシウムは消化吸収されなくなるが、一時的なもので、数週間以内には、その食事に適応して、通常人のようにカルシウムを消化吸収できるようになる』と述べている。
 (中略)
 以上のように、玄米の中のフィチン酸には生体にとって重要な食品中のカルシウム、マグネシュウム、鉄などの重金属とキレート結合し、少なくとも一時的に吸収阻害をする作用のあることに注目しなければならない。」

(文中冒頭の「こうした事実」が何を指すのか明確ではありませんが「カルシウムの吸収をさまたげること」とみられます。)

 さて、引用が長くなりましたが、ここでは高橋晄正氏の主張に関し、2点だけ指摘しておきます。

1.彼はフィチン酸の人体への影響に関し、自分で実験や実態調査をしたわけではありません。他の人の論文を調べ取捨選択して紹介しただけです。
2.また、彼は「玄米のフィチン酸は人体にとって有害だから玄米食は止めよう」とは言っていないのです。引用文にあるとおり、玄米のフィチン酸は「少なくとも一時的に吸収阻害をする作用のあることに注目しなければならない。」と言っているだけなのです。

(注1)高橋晄正氏(2004年逝去)は1918年生まれで、東大医学部卒業の医学博士です。長年、東大に勤務し、薬、食品添加物、公害物質に関する本をたくさん書きました。
(注2)高橋氏は玄米食についての諸問題を検討した結果、玄米食は「有効性の根拠は不明であるのに、それに有害性があることの根拠は明確であると科学的には結論せざるを得ない。」としています。

フィチン酸の害(1)

 玄米食批判のひとつは、玄米に含まれているフィチン酸が人体に有害だとするものです。
 フィチン酸とはリン酸化合物のことです。
 といっても専門家はともかく、私を含む普通の人には具体的にイメージすることはできません。

 それはともかく、玄米などの未精白穀物にフィチン酸が含まれていることは事実のようです。玄米の場合、表皮(糠)にフィチン酸が含まれているのです。そのため、精白すると除去されます。
 問題はフィチン酸が本当に人体に有害かどうかです。

 私は3年ほど前からフィチン酸という言葉を知っていました。健康セミナーで聞いていたからです。
 そこでこの原稿を書くにあたり、ノートを取り出してみました。

 そうしたところ、フィチン酸は有用物質とあり、次のように書かれていました。
「フィチン酸はダイオキシンやカドミウムなどの体内の有害物質と結合し、体外に排出する」
 玄米ごはんがダイオキシンなどを排出することは、以前から知っていましたが、それはフィチン酸の作用だったのです。

 では、フィチン酸有害説はどのようなものでしょうか。以下のような内容です。
「フィチン酸はカルシウム、鉄、亜鉛などと結合して体内に吸収されにくくする。従って、ミネラル欠乏症になり病気を発生させる」
 
 承知のように、カルシウムが欠乏すると骨が弱くなり、鉄が欠乏すると貧血、亜鉛が欠乏すると味覚障害などと種々のことが言われています。
 もし、フィチン酸の害が本当なら玄米は多様な病気のもとになります。

 さて、私たちは、上記のような事実(フィチン酸有用論と有害論)を突きつけられたら、どう判断すべきでしょうか。

 これについての私の見方ですが、フィチン酸がダイオキシンやカドミウムと結合しやすいのであれば、カルシウムや鉄などと結合しやすいことも事実とみます。
 しかし、問題は、フィチン酸がカルシウムや鉄などと結合しやすいことが「人体に意味のあるほどの有害性」があるかどうかということです。

「玄米食批判」について

 本日から10回に分けて「玄米食批判」について検討してみます。
 玄米食批判とは、簡単にいえば玄米は体に良くないという主張です。

 玄米は幾つかの点で批判されています。
 批判を通り越して玄米は有害といったものもあります。

 玄米食批判については、既に、私が玄米食を取り入れた30年程前にもありました。
 これについて、私自身は殆ど気にしてこなかったのですが、いまは、仕事として人さまに玄米食などを勧める立場にありますので、ある程度整理する必要があると思い、今回、取り上げることにしました。

 玄米食を批判する理由は6つあると言う人がいますが、今回は以下の4つにしぼって検討することにします。

1.玄米の表皮(糠)に含まれるフィチン酸がカルシウムや鉄分の吸収を妨げる。
 そのため、玄米食の人は骨が弱くなったり、貧血になる。
2.玄米の胚芽や表皮には残留農薬が多く含まれている。
 そのため、体内に農薬が蓄積される。
3.玄米は消化が悪いため栄養不足になり、栄養失調気味になる。
4.玄米は美味しくない。

 このうち、フィチン酸に関するものは比較的新しいもので、今、一部で議論が展開されています。

 また、この4つのうち、4の味については、人体への影響の問題ではなく、また、「味は個人の好み」とも言えますので、比較的軽い問題かも知れません。
 いっぽう、他の3つの玄米批判は重要です。
 もし、この批判があたっているとすると、玄米は人体にとって危険ということになります。

 というわけで、次回から、玄米食批判についての検討を、私なりに力をいれて書いてみます。
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