「玄米食なのに不健康」の理由の三番目は「食事の片寄り」です。つまり、食事が玄米と一部の野菜・海草などに片寄っているということです。

 具体例について説明します。

 まず、私が耳にした唯一の例です。
 4年前のある日、ある健康セミナーの出席者(Aさん)から以下の話を聞きました。
「玄米とヒジキだけの食事をしていた女性が30代で亡くなったと聞きました」と。
 亡くなった女性はAさんの知人ではありません。
 Aさんはこの話を食生活の指導的立場の人から聞いたようでした。

 つぎに諸先生の本からの引用です。
 まず幕内さんの本から
「玄米ときんぴらごぼうばかり食べて、自分の体の方まで本当にきんぴらごぼうのようになった人がね。色が黒くなって、げっそり痩(や)せているんです。そういう人には、年間10人ぐらいは接しますかね。」
(帯津良一・幕内秀夫『癒しの食事学』東洋経済新報社、1997)

 次は馬淵さんの本からです。
「ある老婦人が、主食は玄米、あとは野菜ととうふ、納豆などの植物性タンパク質しかとらなかった結果、肝炎と腎炎を併発した。1カ月の入院生活中、小魚などで動物性タンパク質を補給したところ、けろりと治ってしまった。」(馬淵通夫・馬淵恭子『自然治癒力復活療法』主婦の友社、1980)
(注)動物性食品を一切とらないで失敗している人の例は他の本でも報告されています。

 次は明石さんの本からです。
 「理想食を食べていれば良いか」に対して明石さんは否定的であるとした後に
「日常診察をしていて、玄米を食べて胃腸を悪化させ、野菜サラダ、果物で胃腸を荒らし、海草により胃腸の炎症を起こした例をいくらも診てきたからである。
 そして自然食の信奉者には割に『かたより』が多いことに気付くのである。たとえば玄米さえ食べていれば健康になる。野菜ジュースさえ飲んでいれば健康だ、という具合に。
(中略)
 胃腸の弱い場合には玄米ご飯より白粥(かゆ)の方がよい場合もある。
 野菜をそのままサラダにして食べるより、人によっては一定の時期ジュースにしてのんだ方がよいこともある」(明石陽一『小食のすすめ』創元社、1976年)
 明石さんは、「理想的な食生活」も、食べる人の体力によっては合わないこともあると指摘しているようです。

 ここで私が上記4つの例の共通点を述べるのは困難です。
 皆様、それぞれの文面から何かをくみとって参考にしてください。