「正しい食生活」で健康に

体調不良の原因の大半は「食事」です

付録『食物健康法』(2)

2−6 対症療法

 対症療法(たいしょうりょうほう)とは病気の症状に対して直接働きかける治療法である。例えば、はれ物ができたとしよう。対症療法では、はれ物の表面に薬をつけたり、はれ物を切り取ったりする。表面にあらわれた症状に対して働きかけるのである。
 これに対し、症状にはこだわらず、病気の原因を取りのぞいて治そうとするのが原因療法である。

 医学用語として「対症療法」を聞いた人はあまりいないと思う。いっぽう、政治の分野で聞いた人は少なくないと思う。たとえば、財政赤字の問題があったとする。そのとき、赤字の原因にせまり根本的に対策を立てるのではなく、増税や値上げなど一時的な対策をとろうとすることに対し、「それは対症療法にしか過ぎない」といって批判するのである。「一時的な対策で、真の解決になっていない」ということである。対症療法といわれるのは不名誉なことなのである。

 医療の話に戻るが、われわれが日常的に受ける病気の治療法、すなわち、現代医学の手法は対症療法である。たとえば、ガンになったとしよう。病院にいって医者にみてもらうが、医者はガンをみつけ、何々ガンと病名をつける。さて、治療であるが、ガンに放射線をあてたり、手術して切り取ったりする。これがまさに対症療法である。ところが、これが批判を受けている。切り取っても体質を変えないかぎり、またどこかにガンが出てくる可能性が十分にある。そのため、根元的治療ではないと批判されているのである。

 食養法のガン患者のあつかい方は現代医学と逆である。普通、食事を変えさせたり、断食・少食療法を使ったりする。外からガン細胞に働きかけるのではなく、自然治癒力をつけさせ、その力によってガン細胞を消そうとする。体のなかの働きにまかせるのである。まさに、病気の原因を取りのぞこうとする原因療法である。

 現代医学は対症療法だと批判されているが、その世話にならない人はない。対症療法は必要なものである。しかし、限界も明らかである。われわれは現代医学に無いものねだりをしても仕方がない。自分の体を守るために、食養法・自然医学などの原因療法を知るべきである。

2−5 自然治癒力

 人の体のなかには、みずから病気を治す力がある。この力を自然治癒力(しぜんちゆりょく)という。カゼをひく、腹がいたくなる。しかし、ほおっておくと、たいていいつのまにか治ってしまう。また、手や足がきずつくこともある。これも、なめたりしながらほおっておくと治ったりする。この健康状態に復元する力が自然治癒力である。

 自然治癒力はだれもがもっている。しかし、同じようなカゼをひいても、治りの早い人と遅い人がいる。自然治癒力の大きさがちがうためである。
 自然治癒力のことはだれもが知っている。皆、病気がいつのまにか治った経験があるからだ。しかし、体調が悪くなったとき、これを忘れてしまう人が多いようだ。

 私はときどきカゼをひく。幸い寝込んだり仕事を休むほどになることはない。そんな程度なので、カゼ薬を飲むこともないし、病院にいくこともない。これは、カゼが軽いこともあるが、私が自分の自然治癒力を信じているためでもある。「このくらいならそのうち治るだろう」と思っているのだ。そして、事実、ほどない時期に、気がつかないうちに治っている。

 いっぽう、多くの人はどうだろう。
 カゼをひくと、たいしたこともないようなのに、すぐカゼ薬を飲む。また、人によっては病院にいく。そこで、医者は注射し薬をわたす。さらに、最近では、すぐ点滴もするようだ。むかしはカゼで点滴など聞いたことがなかったが、いまの人は体力がないのだろうか。病人も医者も自然治癒力のことを忘れているようだ。

 食養法の病気対策は、まず、ふだんから食事に気をくばり、自然治癒力を大きくしておくことである。自然治癒力が十分なら軽い病気は自力で治る。また、治らないなら、健康食品を使ったり、食事を改善するなどして自然治癒力を高め、あくまで自力で治すことを基本とする。

 医師の日野厚氏は、難病治療の秘訣を問われると、「私は何もしてないよ。食事を改善してやっただけさ。そうすると患者は自分で治っていくのだ。」といつも答えていたそうだ(今村光一『いまの食生活では早死にする』)。

2−4 陰陽の調和

 食養法では、食べ物や人の体を陰と陽に分けて考える。そして、そこから健康法を引き出している。たとえば、「陰性体質の人は体を冷やす陰性食品はとりすぎないほうがよい」といったことである。

 陰陽は中国の易学からきている。易学では、物事は相反する二つの性質のものの調和からなっているとし、その一方を陰、他方を陽とする。

 漢方でも陰陽を対比して考える。冷えっぽい病(やまい)を陰症とよび、高熱がでるような病を陽症とよぶ。そして、陰症には体を温める薬を多く使い、陽症には冷やす薬を多く使う。

 食養法では食べ物を陰性食品と陽性食品に分けている。
 陰性食品は体を冷やす食品で、生野菜、果物、砂糖、酢の物、アイスクリームなどが典型的なものである。ビール、ぶどう酒、しょうちゅうは陰性である。
 陽性食品は体を温める食品である。肉、魚、卵、チーズ、みそ漬、梅干などが典型的なものである。アルコール類では日本酒だけが陽性である。

 食養法は人の体質も陰陽に分けている。
 やせ型、水ぶとり、血圧が低い、体温が低い、などの人は陰性体質で、筋肉質、かたぶとり、血圧が高い、体温が高い、などの人は陽性体質である。

 食養法では陰陽をどのように活用しているのだろうか。
 私はいままで、陰陽に関しては、あまり熱心に勉強してこなかった。そんな私であるが、陰陽をもとに若干のことは注意してきた。私は、自分自身の体質を陰性体質だと思っている。筋肉質ではないし、血圧や体温も正常ではあるが少し低めである。そのため、果物は食べすぎないよう気をつけてきた。また、野菜も生で食べすぎないようにしてきた。どちらも体を冷しすぎないためである。

 さて、今回、勉強しなおしてみて、アルコール類では日本酒のみが陽性であることを知った。私は寝酒の習慣があるが、いままでしょうちゅうを飲んできた。そこで今後は、冬場だけでも日本酒に変えてみようと思ったりした。食品の陰陽、体質の陰陽は何かと参考になる。食養法の本を見て勉強することをおすすめする。

2−3 身土不二

 身土不二(しんどふじ)の身とは人の体、土とは土地である。身土不二とは「身と土とは二つにあらず」で、人とその人が住む土地とは、密接不可分で一体であるという意味である。仏教からきた言葉である。

 身土不二のもとで教えられることは、つぎの2つのようなことである。
 まず、「自分の住んでいる土地でできたものを食べなさい」ということである。いま、われわれは店にいけば何でも買うことができる。日本は温帯なのに熱帯産のものが手にはいる。たとえば、パインナップルである。むかしは高価で買えなかったが、いまでは簡単に手にできる。しかし、これが健康にとってよいかというと、そうともいえないのだ。パインナップルは水分が多く熱帯向きにできている。これを温帯に住む人がたくさん食べると、体を冷やすことなる。果物は自分の住む土地のものを食べるのがよいのだ。日本の北国の人ならリンゴなどを、南に住む人ならミカンなどを愛すべしというのが、身土不二の教えである。これは野菜についても同じである。

 つぎは、「その季節にとれたものを食べなさい」ということである。
 たとえば、トマトやきゅうりであるが、関東では7月から9月に出まわる野菜である。だから、この時期に食べれば健康によいというのが身土不二での教えである。逆に、6月の初物を食べるのはすすめられないし、まして、ハウスものを冬に食べるのは、もっとすすめられないことになる。トマトやきゅうりは水分が多く、体を冷やす夏向きの野菜なのである。

 「旬(しゅん)のものを食べなさい、走りはダメ」と言うこともある。旬とは沢山とれていちばん味のよい時期であり、走りとは初物が出る時期である。野菜や果物は、店にいっぱいつまれているときに食べるとよく、少ししかないときは食べないほうがよいというのだ。値段の安いときに食べるとよく、高いときに食べると悪いのである。

 さて、私自身のことであるが、身土不二の教えをおかしてきた。それはコーヒーである。私は、ここ10年ほど、けっこうコーヒーを飲んできた。しかし、これは熱帯産で、なん杯も飲んでは体を冷やすようだ。そのため、量をへらすことにしたが、飲むなら自然塩を少し入れるのがよいとのアドバイスもみつけた。

2−2 一物全体食

 一物全体食(いちぶつぜんたいしょく)とは、ひとつの物の全体を丸ごと食べることである。そして、それが健康によいというのだ。たとえば、魚なら頭も内臓もとらず、丸ごと食べなさいということだ。そうすると、ビタミンやミネラルなどがとれて健康によいというのである。一物全体食は食養法の本には必ずでてくる言葉である。

 では、われわれの日々の食事ではどうだろうか。
 まず、主食の米だが、白米を食べている。白米は胚芽と皮をとってあり、一物の全体ではない。副食では、大根は葉を捨て根だけ食べている。さしみも、頭も内臓も皮も骨もとり肉だけである。一物の全体を食べていない。

 私は、食養法を勉強しはじめてすぐに一物全体食を知った。そして、それを日々心がけようとしてきた。そんなせいもあり、テレビや新聞を見ていて、はっとしたことが何度かある。2つ紹介しておこう。

 いま日光では、人からもらうえさになれた猿が、観光客をおそい問題となっている。あるとき(テレビニュースで)、猿が観光客からミカンをうばった。猿はすぐ食べはじめたが、まず、ミカンの皮を4分の1ほど食べ、つぎに実を食べた。私は「猿は皮から食べるのか」と少しおどろいた。

 つぎは、もうだいぶ前のことだが、千葉県の木更津周辺で逃げだしたトラのことである。トラは民家の犬をおそったが、内臓だけ食べて逃げていった。トラは内臓に栄養分があることをよく知っているのだろう。

 動物は必ずしも一物の全体を食べるわけではない。しかし、人は実や肉を好むのに、動物は皮や内臓から食べはじめたりする。動物は一物全体食を知識としてもっているわけではないが、本能として身につけている。いっぽう、人間はこの本能を失ってしまっている。だから、一物全体食の意味を理解し、それを実行することが大切だ。

 私は一物全体食の考え方にもとづき、リンゴは皮ごと、さつまいもは皮つき、ピーナツも皮つきで食べている。ときにはエビの殻まで食べることがある。深くは考えていないが、皮や殻に栄養素があると思っている。殻はともかく、皮ごと食べるのは、それなりにおいしいものである。
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