そういうわけで、昨日に引き続いて木曽森林鉄道を見に行った話である。といっても、1976年は私は高校一年生。相変わらずオリンパスペンを持って夏休みの旅をしていた。そんな中で、廃止直前の訪問がなんとなく不発に終わった木曽森林鉄道は心残りだった。王滝本線は廃止になったのだが、鯎川支線は動いているという情報を知ったものの、相変わらず詳細不明なまま。そして、これを見るためにはバスで王滝まで行って、そこから歩かなければならない。鯎川支線には助六のダブルオメガループとか、雑誌で見たことのある凄いところもあるのだが、到底そんなところまで辿り着けるはずもないので、せめて始発の大鹿まで行って動いているところが見たいと思った。これも、詳細不明で行ったこともない山奥を目指すというのだから、相当に無謀に近いレベルの話。今ネットで検索してみると、この頃に大学生の鉄研でグループで山支度をしてアタックしたとか、そういうレベルの人が行くところだよなと納得。ボーッとした高校一年生がハーフサイズのオリンパス持ってフラフラ行けるところではなかった。でも、見たい、行きたいで行ってしまうのが、我ながらよくやったなと思うところでもあったりする。1976年8月19日に訪問している。

この時には、木曽福島からバスに乗った記憶がある。頼りは公社版時刻表と国土地理院の2万5千分の1の地図だけ。この時の記憶はほぼないけど、木曽福島でバスに乗り換えるので早朝にバタバタしたことはうっすら覚えている。王滝で降りて後は歩いた。この頃は王滝本線廃止から一年ちょっと経過したところで、まだ線路が結構残っていたので、その廃線跡を歩いた。赤錆びたレールが寂しい。

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鉄橋も錆びていて、レールも一部は撤去されていた。手すりもない鉄橋を渡るのは流石に危ないので、迂回ルートを探して歩いた。

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沿線にはまだ森林鉄道が生きていた痕跡が生々しかった。

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途中にカーブミラーが設置されているけど、もはやこれで確認する用途もなくなった。残っている線路が結構しっかりしていて、軽便鉄道の762mmゲージとはいえ本線だけあって立派。

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今調べてみると約5キロの道のりで1時間強歩いて行ったようだ。行きは結構ドキドキで知らないところを歩いていったけど、帰り道の記憶がほぼない。王滝まで歩いて戻ってまたバスで木曽福島に行き、そこから電車で帰ったことは確か。しかも、帰りに岡谷で下りて少し前に掲載した振り子電車試作車の591系を撮って帰ったのだった。途中で彼岸花がきれいに咲いていたことも覚えている。

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 そして、ようやく大鹿に到着。急に開けてたくさんのレールが敷かれた広場に出た。横には除雪用の車両があった。

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そして、小さな転車台もあった。

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構内はこんな感じ。空の運材台車があって、頭上にはワイヤーが張られていた。

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 更に進んでいくと詰所があって、モーターカーがいた。ようやく生きている感じの車両に出会えてここまで来て良かったと思った。

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モーターカーの中はこんな感じ。 

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 このときも人影はなくて、見に来ているのもたった一人。広い構内をトボトボと歩いてシャッターを切っていた。これは理髪車。山奥で作業する人、暮らす人のために散髪するための車両。

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二軸の小型客車C3号車。
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運材台車に枕木が積まれている。作業線で敷設したり撤収したりを行うからなのだろう。

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しばらく写真を撮っていたら、機関車に客車が牽かれて到着。動いているところも見られて、自分的には満足した感じになった。これ以上は無理だなと思っていたし。

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軽便鉄道の小型のディーゼル機というのは、今見てもなんか良いなぁと思ってしまう。

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この時は8月19日という時期だったのだが、 構内に赤とんぼの大群が飛び交っていたことを覚えている。見たこともない数で驚いたけど、頭上に貼ってあるワイヤーに止まったりして、まだ夏の気分でいたのに秋がそこまで来ていると告げているようだった。これで分かるだろうか?ワイヤーに止まる赤とんぼ、そして飛んでいるトンボ。とにかくすごい数だった。

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というわけで、これで木曽森林鉄道訪問は最後になった。鯎川支線も木材輸送はこの後すぐに終了し、1978年に廃止になった。 今思えば一眼レフを手に入れて、もっと奥の方まで足が伸ばしてみたかったとか、思うところは多い。それでも上松で王滝本線がまだ動いている姿を見ることもできたし、何も分かっていない状況でここまで出かけていって、写真を撮って来られたというのも良い経験ができたと思っている。この年の暮れに、バイトしてようやく一眼レフを手に入れることになる。