メルセデス・ベンツのレースカーの本といえば、これを忘れるわけにはいかない。

「メルセデス・ベンツ グランプリカーズ 1934-1955」
菅原留意 著
二玄社 刊 1997年
これも今は絶版になっている。本書の前書きでは著者が「趣味の本であり、技術的興味をベースにした大人の絵本と思ってもらえればありがたい。」と書かれているのだが、いやいやご謙遜をと思わざるを得ない。これはどれほどの年月が経過しても、本を開いて頁をめくればシルバーアローの活躍した世界に没入することができる。実際、よく読めば公式な図面ではないという程度の意味での絵本という言い回しであり、資料や調査からタイヤのトレッドパターンからホイールのワイヤースポークの本数などまで正確だということであり、力作であることが伝わってくる。
サイドビューの大判の絵が並ぶ。これを見ているだけでも楽しい。

改めて内容を書いておくと、1934〜35年のW25、1936年のW25ショートカー、1937年のW125、1937年のストリームライナー、1938年のW154、1939年のW154、1939年のW165、戦禍を免れたGPカー(W154を中心に)、戦後の復帰まで、1954〜55年のW196Rストリームライナー、1954〜55年のW196Rオープン・ボディ、1955年のW196S 300SLRということで、全12章である。
ここではW196Rのデティールについて考察されている。レーシングカーはレースごと、ドライバーごとの仕様の違いがあって、その小さな差異を丁寧に解きほぐしていくような解説で楽しい。

私はやっぱりW196R、そしてS、というクルマが実に卓越した技術と思想で作り上げられていることに感動する。それは遡っていけば、本書で取り上げられるクルマのそれぞれに共通するところでもある。1955年限りでレースから撤退したメルセデス・ベンツはその後レースに復活している。スポーツカーレースではシルバーの車体でル・マンにも戻ってみせた。だが、F1ではエンジンサプライヤーとしての参加で、車体まで含めたシルバーアローは今も復活していない。1997年に出版された本書のあとがきで著者は、F1でのシルバーアローを見たいと書かれている。
この本もいつ開いても楽しい。何度見返しても飽きない。良書だと思う。それだけに絶版になっているのは残念だ。やっぱり書き手が熱量を込めて書いた本は、その熱が永遠にその本の中に残るように思える。

「メルセデス・ベンツ グランプリカーズ 1934-1955」
菅原留意 著
二玄社 刊 1997年
これも今は絶版になっている。本書の前書きでは著者が「趣味の本であり、技術的興味をベースにした大人の絵本と思ってもらえればありがたい。」と書かれているのだが、いやいやご謙遜をと思わざるを得ない。これはどれほどの年月が経過しても、本を開いて頁をめくればシルバーアローの活躍した世界に没入することができる。実際、よく読めば公式な図面ではないという程度の意味での絵本という言い回しであり、資料や調査からタイヤのトレッドパターンからホイールのワイヤースポークの本数などまで正確だということであり、力作であることが伝わってくる。
サイドビューの大判の絵が並ぶ。これを見ているだけでも楽しい。

改めて内容を書いておくと、1934〜35年のW25、1936年のW25ショートカー、1937年のW125、1937年のストリームライナー、1938年のW154、1939年のW154、1939年のW165、戦禍を免れたGPカー(W154を中心に)、戦後の復帰まで、1954〜55年のW196Rストリームライナー、1954〜55年のW196Rオープン・ボディ、1955年のW196S 300SLRということで、全12章である。
ここではW196Rのデティールについて考察されている。レーシングカーはレースごと、ドライバーごとの仕様の違いがあって、その小さな差異を丁寧に解きほぐしていくような解説で楽しい。

私はやっぱりW196R、そしてS、というクルマが実に卓越した技術と思想で作り上げられていることに感動する。それは遡っていけば、本書で取り上げられるクルマのそれぞれに共通するところでもある。1955年限りでレースから撤退したメルセデス・ベンツはその後レースに復活している。スポーツカーレースではシルバーの車体でル・マンにも戻ってみせた。だが、F1ではエンジンサプライヤーとしての参加で、車体まで含めたシルバーアローは今も復活していない。1997年に出版された本書のあとがきで著者は、F1でのシルバーアローを見たいと書かれている。
この本もいつ開いても楽しい。何度見返しても飽きない。良書だと思う。それだけに絶版になっているのは残念だ。やっぱり書き手が熱量を込めて書いた本は、その熱が永遠にその本の中に残るように思える。