サイゴン・トリビューン

「3年間のサイゴン生活」「海外旅行の思い出」「1980年代の思い出」など
いつも頭の中をよぎることを思いつきと出来心で書き綴るページ

 デビュー曲「Breakaway 涙のブレイク・アウェイ」に続いて1983年にリリースしたセカンドシングル「They Don't Know 夢みるトレイシー」も1979年リリースのKirsty MacColl カースティ・マッコール「They Don't Know」のカヴァー曲でした。「Breakaway 涙のブレイク・アウェイ」と同じく、そのレコードレーベルやサウンドから1950年代や1960年代の雰囲気を再現しながら、Tracey Ullman トレイシー・ウルマンのキュートな声の特徴を活かしたノリノリのリズムが印象的でした。チューブラーベル(鐘)のキン・コン・カンと鳴り響く音色にとても癒やされる曲としての記憶があります。日本では1980年代の後半のアイドル・デュオBaBeのデビューシングル「Give Me Up」のB面でカヴァーしていました。

Tracey Ullman - They Don't Know

 Tracey Ullman トレイシー・ウルマンの1983年リリースのデビューシングル「Breakaway 涙のブレイク・アウェイ」は、トレーシーのキュートな声とノリノリのリズムが特徴的な曲でした。1964年リリースのIrma Thomas アーマ・トーマス「Breakaway」のカヴァー曲でしたが、1980年代にありながらそのレコードレーベルやサウンドからは、1950年代や1960年代の雰囲気を再現していたところにも魅力がありました。ロンドンでミュージカル女優とした活躍した後に、1980年代にはアメリカでトーク番組「The Tracey Ullman Show」の人気司会者としてマルチな才能を発揮した女優でもありました。

Tracey Ullman - Breakaway

 1999年リリースのアルバム「Nightlife」からのシングルカットで、1999年リリースの「New York City boy」は、重厚感溢れるイントロが特徴的なPet Shop Boys ペットショップ・ボーイズにとって最後の大きなヒットとなった曲でした。デビュー曲「West End Girls」では、ロンドンのWest End ウエスト・エンドの女の子たちとEast End イースト・エンドの男の子たち、「West End Girls」に続くヒット曲となる「Suburbia」ではurban 都心に憧れるsuburban 郊外に住む男の子を題材にして、ロンドンの若者たちの感性が描かれていました。この「New York City boy」では、Seventh AvenueとBroadwayが交わるTimes Square タイムズ・スクエアに集うニューヨークの男の子たちを題材にしている点で、ペットショップ・ボーイズの原点回帰の曲かと思われます。Billy Joel「Uptown Girl」や松任谷由実「DOWNTOWN BOY」が、Uptown アップタウンに住む裕福な家庭の女の子とDowntown ダウンタウンに住む恵まれない家庭の男の子が、見えない垣根を乗り越えて叶わぬ恋を実らせようとする内容であったように、切ないイメージに駆り立てられる曲かと思います。

Pet Shop Boys - New York City boy

 1996年リリースのアルバム「Bilingual」からのシングルカットで1996年リリースの「Se A Vida E (That's The Way Life Is) セ・ア・ヴィダ・エ〜幸せの合言葉」は、Pet Shop Boys ペットショップ・ボーイズがしなやかに歌う姿が印象的で、気持ちをポジティブに沸き立たせる力を感じさせる曲かと思います。ポルトガル語の「Se a Vida E」は、歌詞のあるように英語に訳すと「That's the Way Life Is」、日本語では「それが人生(人生とはそんな感じ)」と解釈できます。
 以下のサビの部分では
Se a vida e I love you
Come outside and feel the morning sun
Se a vida e I love you
Live is much more simple when you're young
Come on essa vida e I love you
That's the way life is, that's the way life is
と「私があなたを愛すること、それが人生」「若いときの人生は、より一層簡単」「私はあなたを愛する、そんな人生がやってきている」など、とてもシンプルに愛を表現している歌詞が耳に残る曲でした。

Pet Shop Boys - Se A Vida E (That's The Way Life Is)

 1993年リリースのアルバム「Very」からのシングルカットで1993年リリースの「Go West」は、Village People ヴィレッジ・ピープルが1979年にリリースした楽曲のカヴァーでした。ヴィレッジ・ピープルは、この「Go West」以外にも「Y.M.C.A.」や「In The Navy」など1970年代ディスコ・ブームを象徴する楽曲で知られています。Pet Shop Boys ペットショップ・ボーイズの「Go West」には、オリジナルの1970年代のディスコ・サウンドに、1980年代のユーロビートや1990年代のハウス・ミュージックのアレンジが加えられています。2000年代になると、Football Chants フットボール・チャンツとして、サッカー・スタジアムでサポーターにより歌われる曲にもなっています。
 「Go West」とは、南北戦争が終わり西部開拓時代の幕開けを告げる新聞記事「Go West, young man, go West and grow up with the country.」に由来すると言われています。同じく、風向きが西へ傾いた「ベルリンの壁崩壊」や「ソビエト連邦の崩壊」などの東西冷戦終結の時代に、旧東側陣営の社会主義の国々の若者たちが、自由主義の西側社会を目指す社会的事象への風刺
を取り入れたペットショップ・ボーイズ特有のウィットに富んだ作品となっているところが印象的でした。

Pet Shop Boys - Go West


Village People - Go West

 Pet Shop Boys ペット・ショップ・ボーイズ「Where The Streets Have No Name (I Can't Take My Eyes Off You) 」は、U2の「Where The Streets Have No Name 約束の地」とFrankie Valli フランキー・ヴァリやBoys Town Gang ボーイズ・タウン・ギャングの「Can't Take My Eyes Off You 君の瞳に恋してる」の二曲をメドレー形式でカヴァーした曲でした。ボーイズ・タウン・ギャングの「Can't Take My Eyes Off You 君の瞳に恋してる」は、ペット・ショップ・ボーイズを紹介してくれた彼女と知り合ってすぐにお気に入りの曲として共通の話題となった曲でもありました。
 「Can't Take My Eyes Off You 君の瞳に恋してる」は、フランキー・ヴァリによる1967年リリースの楽曲がオリジナルとなりますが、ボーイズ・タウン・ギャングが1982年にリリースしたディスコ調にアレンジしたカヴァーが有名かと思います。泉麻人の1970年代や1980年代の若者文化を紹介した著書の中でも「君コイ」と呼ばれるディスコの定番曲と紹介されて、「フウァ・フウァ・フウァ・フー」の掛け声や合いの手の始まりの曲とも定義されていました。その後も数多くのアーティストにカヴァーされているスタンダード・ナンバーで、「20世紀にアメリカのテレビやラジオで最もオンエアされた100曲」ランキングでも600万回以上のオンエアで5位にランクインされた20世紀の傑作かと思います。
 2020年には「Can't Take My Eyes Off You」のさびの部分となる
I love you, baby, and if it's quite all right
I need you, baby, to warm these lonely nights
I love you baby
Trust in me when I say
の歌詞をサンプリングしてSurf Mesa サーフ・メサのリミックスでEmilee Flood エミリー・フラッドがフィーチャーリングしたカヴァー曲「ily (i love you baby)」がリリースされて話題となりました。
シンプルなリズムとリラックス感溢れる歌声には、イージーリスニング的な要素も含まれて、フランキー・ヴァリやボーイズ・タウン・ギャングの楽曲とも異なり、古く懐かしい曲の中にフレッシュな雰囲気も感じられます。

Boys Town Gang - Can't Take My Eyes off You


Frankie Vali - Can't Take My Eyes Off You


Surf Mesa feat. Emilee - ily (i love you baby)

 1990年リリースアルバム「Behaviour 薔薇の旋律」からのシングルカットで1991年リリース「Where The Streets Have No Name (I Can't Take My Eyes Off You) 」は、U2のヒット曲「Where The Streets Have No Name 約束の地」とFrankie ValliやBoys Town Gangのヒット曲「Can't Take My Eyes Off You 君の瞳に恋してる」の二曲をメドレー形式でカヴァーしたPet Shop Boys ペット・ショップ・ボーイズの発想力の豊かさを示す曲でした。しかし、ディスコやユーロビートのブームが終焉を迎えた1990年代にも音楽ジャンルを大きく変更することのなかったペット・ショップ・ボーイズの限界が見えてきた曲でもあったように思います。この後は、本国イギリスでのヒット曲は続いていましたが世界的なヒットにはなかなか結びつかなかったこともあり、1990年はペット・ショップ・ボーイズの大きなブームが一区切りとなった年だったのかもしれません。

Pet Shop Boys - Where The Streets Have No Name (I Can't Take My Eyes Off You)

 1988年リリースアルバム「Introspective」の収録曲で1987年リリースの「Always On My Mind」は、「West End Girls」「It's A Sin 哀しみの天使」に続いてPet Shop Boys ペット・ショップ・ボーイズが全英チャート1位に輝いた曲でした。「Always On My Mind」のオリジナルは1972年リリースのBrenda Lee ブレンダ・リーで、同年1972年にElvis Presley エルヴィス・プレスリーがカヴァーしてヒットしましたが、エルヴィス・プレスリーの独特の歌声が聞こえてきそうなイメージを残しつつ、シックで前衛的なセンスで磨き上げられた懐かしさ溢れる曲にリメイクされています。
 一番の歌詞、サビの部分、エンディングの歌詞にある
Maybe I didn't treat you quite as good as I should
Maybe I didn't love you quite as often as I could
Little things I should've said and done, I never took the time
You were always on my mind
You were always on my mind
「おそらく私はあなたを大切にしていなかった」
「おそらくあなたを全力で愛していなかった」
「些細なことにも私は少しも時間をとらなかった」
「あなたはいつでも私の心に中にいた」
「あなたはいつでも大切な人だった」
Tell me, tell me that your sweet love hasn't died
Give me one more chance to keep you satisfied
「言ってください。あなたの愛はまだ死んではいないと言って」
「あなたを満足させるチャンスをもう一度ください」
Maybe I didn't treat you quite as good as I should
Maybe I didn't love you quite as often as I could
Maybe I didn't hold you all those lonely, lonely times
And I guess I never told you, I'm so happy that you're mine
「おそらく私はあなたを大切にしていなかった」
「おそらくあなたを全力で愛していなかった」
「おそらくあなたが寂しいときに抱きしめてやれなかった」
「そして、あなたがいて幸せだったと決して伝えなかった思う」
のように、アメリカやイギリスのバラードによくある主人公の図々しい気持ちが全面に現れた未練がましい歌詞をポップな曲調でサラッと歌い上げています。

Pet Shop Boys - Always On My Mind


Elvis Presley - Always On My Mind

 1987年リリースのアルバム「Actually 哀しみの天使」からのシングルカット「What Have I Done To Deserve This? とどかぬ想い」は、コーラスにDusty Springfield ダスティ・スプリングフィールドを迎えて全米・全英チャートで2位に輝いたPet Shop Boys ペット・ショップ・ボーイズの名曲です。ダスティ・スプリングフィールドは、Bay City Rollers ベイ・シティ・ローラーズやSamantha Fox サマンサ・フォックス、日本ではピンクレディーがカヴァーした「I Only Want To Be With You 二人だけのデート」のオリジナル曲で1963年に24歳でソロデビューしたイギリスを代表するミュージシャンでした。子どもの頃からダスティ・スプリングフィールドに憧れていたヴォーカルのNeil Tennant ニール・テナントが彼女に共演を申し込み実現した奇跡の一曲でもあります。1999年に59歳でこの世を去ったダスティ・スプリングフィールドは当時48歳、「What Have I Done To Deserve This? とどかぬ想い」が彼女にとって最後の全米・全英チャートでのヒットとなりました。
 サビの部分となる
How I'm gonna get through
What have I, what have I, what have I done to deserve this?
「これから私はどうやって切り抜ければいいのか」
「どうして私はこんな事になってしまったのだろう」
では、暗い雰囲気の歌詞の内容とは反対の明るい旋律と「ハワムゴナゲッスー」「ワラヴァイ、ワラヴァイ、ワラヴァイ」と繰り返す歌声の印象的でした。

Pet Shop Boys with Dusty Springfield - What Have I Done To Deserve This?

 1987年リリースアルバム「Actually 哀しみの天使」からのシングルカットとして1987年リリースの「It's A Sin 哀しみの天使」は、「West End Girls」に続いてPet Shop Boys ペット・ショップ・ボーイズが全英チャート1位に輝いた曲でした。「It's A Sin 哀しみの天使」は、ポップなダンスミュージックに社会的事象への風刺を取り入れたペット・ショップ・ボーイズ特有の作品かと思います。ヴォーカルのNeil Tennant ニール・テナントの出身校であるローマン・カトリックの男子校で体験した厳格な戒律への不満や怒りを、流行の最先端をゆくダンスミュージックと映像センスに優れたプロモーションビデオで伝わりやすく仕上げています。このようなポップな曲調と社会風刺の組み合わせは、この後のヒット曲となる「Always On My Mind」や「Go West」に、シックな前衛的なファッション・センスとともに引き継がれていきます。

Pet Shop Boys - It's A Sin

このページのトップヘ