憲法を生かす奈良県民の会

日本国憲法は施行70年を迎えた。憲法の歴史は空洞化の歴史。解釈改憲を積み重ね、ついに明文改憲の危機が訪れている。だが、憲法が保障する権利や民主主義はいまだに実現されていない。憲法を暮らしに生かすために、微力ながらがんばります。

宇陀市宿泊所誘致を考える

けんぽう宇陀の会などが参加する「宇陀市宿泊所誘致問題を考える会」は11月16日、事業を検討するパンフレットを発行した。その全文は、以下のとおり。


宇陀市宿泊所誘致問題を考える 

~事業費からみた計画の妥当性




宿泊所2

*宿泊所誘致と公園整備が計画されている榛原萩原地区の予定地

事業の概要 市が山を2つ買い取り、公園と宿泊所を建設する巨大事業


はじめに

 前市長のときから始まった新宿泊所を誘致する計画が、今年に入ってとん挫し市政が大混乱しています。今年4月に交替した新市長が誘致事業の断念を打ちだしました。これに対して事業を推進してきた議会の多数派が反発し、とうとう12月に住民投票を行うことが決まりました。私たちは、新市長にも議会推進派にも与するものではありませんが、同事業が宇陀市民にとって本当に有益かどうか、冷静かつ客観的に分析し、市政評価への判断材料としていただきたいと考えこの資料を作成しました。なお、本資料はもっぱら議会事務局が10月に発行した「みんなのギカイ臨時号」を分析対象としたものです。

 どういう事業か?

 この事業は、市が(財)休暇村協会と協定を結び、宇陀市榛原萩原の山林に新宿泊所を建設するものです。市は宿泊所の建設用地や進入路などを整備するほか、隣接する山林に自然公園をつくり、周辺の環境を整備します。一方、事業者である休暇村は、市が整備した建設用地に200人程度が収容できる宿泊所を建設し、その経営にあたります。宿泊所だけでいえば、民設民営のホテルを誘致するという事業です。

 市が行う用地整備や公園建設の事業費は、「みんなのギカイ10月臨時号」によるとおよそ25億円とされています。この臨時号では事業費の内訳が掲載されています。しかし、用語がわかりにくので、内訳費用の項目について説明しておきます。

 

●委託料(14683万円)… 建設用地の造成や公園建設の設計を外部に委託して行ってもらう委託料です。すでに公園整備の基本設計はUR都市再生機構が受託し、一部は支出されています。

●工事費(16億円)… 設計に基づきじっさいに工事をする費用です。詳しい設計ができていない段階なので、他の類似した工事を参考にした概算だと思われます。

●用地費(39096万円)… 宿泊所や公園の計画地のうち、民有地を買収する費用です。

●補償費(3500万円)… 民有地の買収にあたり、植えていた樹木などを保障する費用です。用地費の上乗せと考えるのが妥当です。

●市有地買戻(34608万円)… 公園予定地のうち、市の「土地取得特別会計」が所有している土地を本事業のために市が買戻すための費用です。以前は土地開発公社という市の団体が所有していたものを公社の解散と同時に財産を受け継ぐ特別会計をつくったものです。

宿泊所1

甲子園球場3つ分を造成

 この事業は、大ざっぱに言うと、市が山を2つ買い取り、ひとつの山の山頂を削り取って宿泊所の用地として造成し、削り取った土砂を周辺ともうひとつの山にばらまき、公園として整備するとうことです。二つの山の面積は、ざっと11ヘクタール、このうち宿泊所建設用地および進入路を合わせて5ヘクタール、公園用地が6ヘクタールとなります。いずれにせよ甲子園球場3つ分の大規模な整備事業であり、25億円という事業費も充分うなずける額ですが、はたして市民生活にどのような恩恵や影響があるのでしょうか。


問題点①
  なぜ「公園整備」とセットなのでしょうか

宿泊所4

 つぎにこの大規模事業の妥当性を検討します。右の写真は、20167月にリニューアルオープンした「休暇村紀州加太」の空中写真です。「全室オーシャンビュー」「夕陽百選の絶景」などをウリにし、1泊2食で2~3万円と強気の料金設定をしています。この写真で気づくことはありませんか。そう、人工的に造成されているのは宿泊所の敷地と進入路だけで、周囲は原野のままです。宇陀市に計画されている施設と決定的に違うのはこの点です。周辺の山2つ分を公園として整備しないと休暇村は来ないということです。「海」に相当するような美しい景観をつくらないと誘致に応じない、事業者のこんな法外な要求を市は受け入れたのです。この点に、市と休暇村の力関係が如実に表れているのかもしれません。

また当初、市が整備する公園は「防災公園」といわれていました。しかし、いつの間にか「防災」の文字は消え、単なる公園になっています。本事業の対象地11ヘクタールのうち、半分以上の6ヘクタールが公園用地です。市内には、すでにあり余るほど多くの公園があります。いまさら公園をつくっても市民には何のメリットもありません。公園の恩恵を最も受けるのは休暇村でしょう。改めて、本事業の図面(上)を見ると休暇村の「庭園」を市がわざわざ整備させられるという構図が浮かんできます。これが問題点の第1です。


問題点②  破格の土地買収費用の根拠はあるのでしょうか

2つ目の問題点は、用地買収の乱暴さです。本事業によると公園用地にあたる民有地16000㎡を7935万円で買収するとなっています。1㎡あたり5,000円、10アール(1000㎡)にすると500万円。なんと、ほとんど雑木ばかりの原野が10アール500万円で売れるのです。これは、宿泊所敷地と進入路の場合でも同じです。民有地51450㎡を31161万円で取得、1㎡あたり6,000円で10アール売れば600万円。予定される宿泊所用地も同じく原野です。

宇陀市の山林の公示地価は榛原内牧が基準地になっていますが、ここで10アールあたり11万円です。予定地は少し市街地に近いとはいえ、原野10アールを500万円、600万円という破格の値段で買い取るのです。そのうえ、立木の保障費として3500万円が別に計上されています。ひのきや杉の人工林でも、今の時代これほど高額の保障費が支払われることはありません。まさに、お手盛りとしかえません。

用地買収は、まだこれからです。地権者の方がごねた結果として用地費が吊り上っているのではありません。買収する前に、法外な価格が設定されているのです。この点、なにかしら邪悪な力が働いているような印象がぬぐえません。


問題点③  市有地買戻しに見え隠れする事業費操作の目的は?

3つ目の問題は、市有地買戻の不透明さです。これは先に述べたとおり、土地取得特別会計が所有している土地(市有地)を買い戻すという手続きですが、まず、買収費が異常に高いのです。特会がもつ土地34279㎡を34279万円で買い戻す、ちょうど11万円です。なぜか他の民有地よりも高い設定にされている、このようなルールや特約があるのでしょうか。まったく不明です。また、市の財産を市が買うのでお金の流れとしては市の一般会計から特別会計への支払いで、いわば市の内部処理です。本事業では経費の増加が危惧されていますが、これでは始めから経費を膨らませているのと同じで、理解に苦しみます。もしかしたら、費用が増高したときのクッションとして、あらかじめ買戻額を多めに計上しているのかという疑念もわいてきます。いずれにせよ、不透明な処理です。

宿泊所5
テキスト ボックス: 【解説】上のグラフは「みんなのギカイ」10月臨時号5ページの事業費の概要
下表は、事業費内訳の「市有地買戻」を3億4000万円増やしたときの比率だ。


事業費内訳

委託料

工事費

用地費

補償費

市有地買戻

合計

補正前

金額

146,831

1,600,000

390,962

35,242

346,807

2,519,842

割合

5.8

63.5

15.5

1.4

13.8

100

補正後

金額

146,831

1,600,000

390,962

35,242

687,007

2,860,042

割合

5%

56%

14%

1%

24%

100%











 さらに、「みんなのギカイ」10月号に掲載されたグラフ(5ページ)では、経費の各項目の比率が微妙にずれています。たとえば、工事費16億円は、全体の事業費25億円の64%ですが、グラフでは56%とされており、かなり誤差があります。他の項目も同じです。当初はたんなる誤りかと思っていましたが、じつは市有地買戻におよそ34000万円を上乗せして、68680万円とすると、合計費用が286000万円となり、各項目の比率がぴったり円グラフと一致するのです。


 これはいったい何を意味するのでしょうか。真相はわかりませんが、事業費を算出するさい市有地買戻しを68680万円とする別案があった、という憶測が成り立ちます。つまり、市有地の処分に関して何らかの粉飾が施されていた、言い換えると、市有地の買戻し価格を操作することで全体の事業費を調整していたと、考えられます。事業費を25億円から大きく逸脱させないために、計画当初から何らかの力が働いていたのではないでしょうか。


 

おわりに ~その他の項目でもさらに検討が必要です。  


 その他、工事費16億円には、公園計画にあるビジターセンターや調整池の建設費は含まれていないと、関係者から聞きました。とすれば、事業費はもっと膨らみます。建物や水回りの工事は高くつくからです。なお、今回は本事業の費用に関する検討にとどめました。財源の分析をはじめ、今後の税収の見込み、市民負担の予測など、他分野でもさまざまな問題があります。また、「住民投票」という手法がはたして正しいのかということも検討すべき課題です。これらの課題については、引き続き研究を進めていきます。情報をお持ちの方、またご意見、ご質問などをお寄せください。




ベーシックインカムを知ろう

奈良・宇陀の公開講座に52人

 奈良県の東部で活動する「戦争あかん!宇陀地区ネットワーク」は9月23日、宇陀市内でベーシックインカム(BI)をテーマにした公開講座を開き52人が集まった。この日の講座は、アーティストの増山麗奈さんが作った国内初のBI映画「はじまりの日~ベーシックインカム元年」を見た後、BIの普及にとりくむ元滋賀・高島市議の熊谷ももさんのお話と、会場からの発言で進行した。
 
 映画「はじまりの日」は、ある地方都市でBIが試行されるというフィクションの中に、スイスでのBI国民投票やドイツの政治運動など世界ですすむBIのとりくみ実例が挿入され、多角的にBIを理解する構成になっている。講談師の神田香織さんも出演。参加者一同が熱心に映画鑑賞した後、熊谷さんが登場し「BIは税の再配分の強化として考えよう」「家事労働など、支払われない労働の対価を求める運動がBIのルーツ」「考える時間をBIで取り戻すという視点も」など、いくつかの問題を提起した。
 
 会場からは10人を超える質問意見が出た。「BIは若い者にとって魅力的な制度、これに反対する人ってどんな人たち?」、「将来不安があるから、たとえBIがあっても貯金に回す人が多いのでは」、「財源のために年金が下がるのはイヤ」、「人口が地方へ戻るかも」など、多彩でユニークな意見があった。これを受けて、熊谷さんは「労働は価値があるというのが社会の常識、でもこれが今の格差を生んだ。一方で、機械化やロボット化が進んでも人々の豊かさや余裕につながらない。時間をかけてBIへの理解を促すことと、年金などの現行制度を段階的に見直す中期政策が必要」と答えた。この一問一答の中で熊谷さんは、「BIで働かなくなるという人に『ではあなたは働かない?』と問うと、必ず『いや、私は働く』という。それが答え」と会場をわかせる一幕もあった。
 
 参加者アンケートでは「(BIは)初めて知った言葉ですが、本当に必要ですね」など、好感が寄せられた。「宇陀地区ネット」は憲法を生かす会をはじめ9条の会、部落解放同盟、労組、市民運動団体などでつくっている。15年の戦争法反対で結成し、幅広い枠組みを維持しながら活動している。
P9231551

宇陀講座




第14回奈良憲法まつりのご案内

みなさまの日ごろのご活動に敬意を表します。

さて、安倍三選のあとマスコミ各社が行った世論調査では、「秋の臨時国会に改憲案提出」に賛成35%、反対51%(共同通信)、また「9条に自衛隊を明記する」は賛成39%、反対43%(日本テレビ)となり、総じて改憲に反対する意見が多数となっています。にもかかわらず、安倍首相は与党公明との協議も吹っ飛ばし自民単独でも改憲案の提出へ、遮二無二ひた走っています。このように国民の声を真摯に聞くことはもちろん、野党、与党、自民党内にさえある改憲反対論との対話を避けて突き進む安倍の政治手法にこそ、彼がどんな国をつくりたいのかが露骨に現れています。

しかし、人々の気持ちが本当に一つになると政権や権力がどんな手を使っても彼らの思いどおりにはいかない、これが先の沖縄知事選で見事に示されました。私たちは「みんなの力で改憲を止める」ため、今年も11月3日に憲法まつりを開催いたします。多くのみなさまのご参加・ご協力をいただきますよう心からお願い申し上げます。

14憲法まつり14憲法まつり2

ギャラリー
  • 宇陀市宿泊所誘致を考える
  • 宇陀市宿泊所誘致を考える
  • 宇陀市宿泊所誘致を考える
  • 宇陀市宿泊所誘致を考える
  • ベーシックインカムを知ろう
  • ベーシックインカムを知ろう
  • 第14回奈良憲法まつりのご案内
  • 第14回奈良憲法まつりのご案内
  • 11月3日は憲法まつり