去年の続き
空に打ち上げられたバダダハリダとホルミスダスとバルタザールの3人は下を見て驚きます。
なんど今まで3人がいたのは大きな鯨の背中に生えた森だったのです。
そして、バダダハリダが地団駄で掘り進めた穴、バルタザールとホルミスダスが落ちていた穴は、鯨の鼻の穴だったのです。
バダダハリダの地団駄で鯨の鼻がむずむずして大きなくしゃみが起こって三人は打ち上げられたのでしょう。
「いや違う、時間が巻き戻ったから打ちあがったのだ」
それを聞いた3人は口々に地の文に文句を言います。
その時、ホルミスダスは言いました。
「あの森の中から出られなかった理由がわかったぞ。みんなで移動しても、その下にある鯨も移動してしまうんだ。右へ行ったら鯨も右へ動く。左へ行ったら鯨も左へ動く。そうしたら、動いてないのと一緒じゃないか」
「なるほど、それはわかった」
バルタザールはその言葉に考えます。
「でも、このまま落ちたらまた森の中だ。そしたらまたどこへも行けなくなる。どうしよう」
心配そうなバルタザールにバダダハリダは何かを思いついたように人差し指を立てます。
「そう心配するな。考え方を変えるんだよ」
「考え方?」
「俺たちの旅の目的はなんだ?」
「旅を探すことだっけ? そうだよね? 違ったっけ? どうだっけ?」
「まあ、仮に旅を探すことだとしよう。そうしたら、あの鯨の上に乗っていったって旅はできる」
「どうやって? どこへも行けないのに」
「どこへだって行けるさ。鯨に乗ってな」
その言葉にバルタザールは目を見開きます。
「なるほど確かにそうだ! 僕たちが右へ行けば鯨も右へ行く。僕たちが左へ行けば鯨も左へ行く。そして僕たちがまっすぐ進めば鯨もまっすぐ進む」
バルタザールの言葉にバダダハリダが続けます。
「そう、僕らが動けば鯨も動き、鯨の上に生えている森も動く」
そしてさらにホルミスダスも続きました。
「僕たちは森の中は動けないかもしれないけど、森ごと旅をすればいいだけなんだ」
こうして3人は大きな鯨に乗って深い深い森の中にいながら、鯨と森ごと野を越え山を越えて、いくつもの街を訪れながら旅を続けたのです。
これが彼らの見つけた旅なのでしょうか?
(来年のクリスマスへ続く)
空に打ち上げられたバダダハリダとホルミスダスとバルタザールの3人は下を見て驚きます。
なんど今まで3人がいたのは大きな鯨の背中に生えた森だったのです。
そして、バダダハリダが地団駄で掘り進めた穴、バルタザールとホルミスダスが落ちていた穴は、鯨の鼻の穴だったのです。
バダダハリダの地団駄で鯨の鼻がむずむずして大きなくしゃみが起こって三人は打ち上げられたのでしょう。
「いや違う、時間が巻き戻ったから打ちあがったのだ」
それを聞いた3人は口々に地の文に文句を言います。
その時、ホルミスダスは言いました。
「あの森の中から出られなかった理由がわかったぞ。みんなで移動しても、その下にある鯨も移動してしまうんだ。右へ行ったら鯨も右へ動く。左へ行ったら鯨も左へ動く。そうしたら、動いてないのと一緒じゃないか」
「なるほど、それはわかった」
バルタザールはその言葉に考えます。
「でも、このまま落ちたらまた森の中だ。そしたらまたどこへも行けなくなる。どうしよう」
心配そうなバルタザールにバダダハリダは何かを思いついたように人差し指を立てます。
「そう心配するな。考え方を変えるんだよ」
「考え方?」
「俺たちの旅の目的はなんだ?」
「旅を探すことだっけ? そうだよね? 違ったっけ? どうだっけ?」
「まあ、仮に旅を探すことだとしよう。そうしたら、あの鯨の上に乗っていったって旅はできる」
「どうやって? どこへも行けないのに」
「どこへだって行けるさ。鯨に乗ってな」
その言葉にバルタザールは目を見開きます。
「なるほど確かにそうだ! 僕たちが右へ行けば鯨も右へ行く。僕たちが左へ行けば鯨も左へ行く。そして僕たちがまっすぐ進めば鯨もまっすぐ進む」
バルタザールの言葉にバダダハリダが続けます。
「そう、僕らが動けば鯨も動き、鯨の上に生えている森も動く」
そしてさらにホルミスダスも続きました。
「僕たちは森の中は動けないかもしれないけど、森ごと旅をすればいいだけなんだ」
こうして3人は大きな鯨に乗って深い深い森の中にいながら、鯨と森ごと野を越え山を越えて、いくつもの街を訪れながら旅を続けたのです。
これが彼らの見つけた旅なのでしょうか?
(来年のクリスマスへ続く)