さて、vocalであり、精神的柱でもあったイアン・カーティスを失ってしまったJoy Divisionの面々、音楽やめる気は全くなかった模様。下手のくせに。
とりあえず以前からときどきサポートとして入ってもらっていたジリアン(後にスティーブン・モリスの嫁)に正式メンバーとして入ってもらい、名前を心機一転New Order(新体制)と変えて再始動。必然か偶然か、この用語もナチスの用語らしいのだが、別に意味はないとのこと。まあ、この適当さがこいつららしい。で、席が空いてしまったvocalなのだが、いろいろ紆余曲折があって、バーニーがguitarと兼任することに。別にバーニーが一番歌が上手かったわけではなく、というか明らかにバーニーはメンバー中一番歌が下手(ついでに演奏も下手)なのだが、まあ適当に選んだのだろう。

何歌ってるのか分かんねえし、弾きながら歌えねえし、ちゃんと弾けてねえし。
でも、このときはまだピリピリしてるね。まあ友達が死んでまだ一年だしね。でも、何というかこいつら、イアンがピリピリしていたからピリピリしていただけで(Joy Divisionはパンクの中でも凶暴な部類に入るバンドだったらしい)、本当はパンクなところのあまりない、のんべんだらりとしていた人たちなんじゃないかと思えるところもある。New Orderになってからの音楽を聴いてもそう思う。

でまあ、そうやって再出発したわけだが、初期はやっぱりJoy DIvisionを引きずっている、というか、イアンのいないJDみたいな感じで、陰鬱な曲が多かったんだけど、そのうち、JDの後半すでに予兆があったように、エレクトリックサウンドを多用するようになると、曲の雰囲気が変わる。さらにその時期メンバーはニューヨークのクラブ(ちょうど80年代前半、クラブシーンが盛り上がっていた)で能天気に踊っていたらしいのだが、自分たちの音楽にもこのダンスの要素を入れたいと考えたらしい。
というわけで、陰鬱パンクロックとテクノサウンド、更にテクノダンスミュージックという、不思議な混合がここに生まれることになる。
『Blue Monday』

くそかっこええ! 冒頭のビートはkihirohitoPの『機械居子かく語りき』の冒頭の元ネタですな。重く暗い曲調とぺっらぺらのシンセ音が何とも言えない不調和を奏でております。歌詞はある男に「今俺はどんな気分なんだ? 今お前はどんな気分なんだ? 言ってくれよ」と問いかけ続けているうちに、その問いかけられている男が実は死んでいることが明かされる、というまさに
「イアンのことかーーーっ!」
という感じで、ちなみにエウレカセブンのサブタイトルの元ネタでもある歌の題名はイアンの死を他のメンバーが聞かされた日であるという。

と、このように、彼らはとてもいい曲を書く人たちなのだが、再三言ってきたように演奏能力や歌唱能力が心もとない人たちでもある。JD時代はまだ良かった。曲が単純だったから、でもこいつらこんな複雑な曲演奏できるの?
その答えがこれ。

弾けてねえ! 歌えてねえ! ていうか服装から、やる気ねえだろ、お前ら。まずまともにキーボード弾ける奴を連れて来てよ。NOの曲のコード構成が鍵盤の白い部分だけで弾けるように周到に計算されていることは良く指摘される事だが、鍵盤が黒とか白とか以前に両手で弾ける奴がいないし、指一本奏法だし。エレクトロニクスの導入で一番割を食っているのがスティーブンで、ドラムが必要なくなったので仕方なくキーボードを叩いてますけど、下手で泣けます。なんでシンセドラムをたたくのがフッキ―なんだろう。フッキ―、ベースってのはそういう音を出す楽器じゃないと思うんだ。これは私の大好きな曲だけに、泣いていいやら笑っていいやら。ちなみにこの時期に日本に来てるけど「二軍が来たのかと思った」とNOの大ファンの石野卓球に思わせる出来だったらしい。しかも本人たちも納得がいかなかったらしく、帰りかけたところまたいきなりJDの曲を弾きはじめて、帰ろうとする客と引き返そうとする客が大混乱になって、主催者が無理やり演奏を止めるというお茶目な幕引きだったらしい。迷惑な奴らだ。

ここからNOはますます、ダンスに傾倒しのーてんきになっていく。そして次の名曲『The Pefect Kiss』が来る。
あとで紹介するがNOのpvはどれも凝ったものが多く、それが彼らの演奏の下手さを覆い隠してくれているのだが、このpvは怖ろしいことにへたくそな演奏風景をただとっただけである。監督は『羊たちの沈黙』で有名なジョナサン・デミ(この人のとった演奏ではTalking Headsの物も重要)。

曲がさらに複雑にそして脳天気になってるのに、相変わらず歌詞は
「イアンのことかーーーっ!」
という感じである。それにしても
「We believe the land of love」
の部分は恥ずかしい。
しかし、これだけ構成が複雑になっても一つ一つのフレーズは素人でも弾ける単純なものだから感心する。フッキ―のうねるベースは文句なしにかっこいい。「自分をギターだと勘違いしている」「リードベースギター」などと陰口を叩かれるが、ギターが頼りないからいいんじゃないか。バーニーはずっとカウベル叩いていればいいよ。でもいい曲です。

というわけでpv集。
『Temptation』

曲自体は『Blue Monday』より前の過渡期の作品。妙な明るさと、歌詞の絶望感のミスマッチ。

『Blue Monday』のpv。最初と最後が切られているのが残念。特にイントロは好きなのに。

無機質で冷徹。
あ、ちなみにこの歌はカラオケで歌うと全く盛り上がりません。本当です。

『True Faith』

賞をもらった変なpv。監督しているのは舞踏家のフィリップ・ドゥクフレ。で、結局誰の価値なわけ? バーニーの歌っているときの顔は相変わらず気持ち悪い。そしてドラムを叩いているスティーブンは誰よりも輝いている。

『Bizarre Love Triangle』

この曲も、ラブソングに見せかけてイアンのことを歌っているよな気がしてしまう。監督は現代芸術家のロバート・ロンゴ。

『Touched by The Hand of God』

コスプレ(笑)。しかしバーニーの似合わなさは異常。マンチェスターの腕白小僧にLAメタルが似会うはずもないか。その他の方々も似たり寄ったりです。

『1963』

女の子が可愛いので採用。こういう小説書いてみたいな(映像の方ね)。しかし妙に影のある歌詞しか書けないのかお前は。

『Reglet』

フッキ―は相変わらずベースを持つ位置が異様に低いな。そしてバーニーは妙に高い。
でこの曲が93年で、このあとこのバンドは一度活動休止する。そして2000年代前半に復活する。何が変わったか。バーニーの演奏及び歌唱スキルが上がった! もしかしたら活動休止する振りをして練習してたんじゃないかと思わせる出来だ。あと演奏しながら歌えるようになった!

お願いだから踊るのはやめて! ああ、バーニーは変わらないなぁ。

ちなみにこれが彼らの2005年の作品
『Krafty』

しかしこいつらの青臭さとみずみずしさはなんだろう。青春という名の大人になれない奇病にかかってしまったかのようだ。もうバーニーは表面だけだらしなく置いていっても中身は成長できないんだろうか。
でも歌詞は映像と違って別れの歌だよな。そこがNOということなのか。
そしてこれの爆笑バージョン

あ、やっぱ相変わらずだ、この人たち。恥ずかしいし、グダグダだし、馬鹿だし。ま、いいや。ずっとそんな感じでいて下さいよ。解散とか言わずに、馬鹿みたいに仲良くしてればいいんですよ。だから戻ってきてフッキ―。