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2010年09月

ハチャメチャダークコメディ ビリー&マンディ

この前紹介したシンプソンズは日本でも有名でDVDも出てるけど、
ほとんどのアメリカンカートゥーンは日本ではほとんど知られていない。
その中から特に私の気にいっている物を紹介したい。
それは『ビリー&マンディ』。
最初はダークな雰囲気の方が強かったけど、どんどんハチャメチャギャグの成分が多くなって中期は最高だった。ホラー映画やクトゥルウのパロディが満載で、ネタを満載しすぎての投げっぱなしもすがすがしく、こういう雰囲気の作品をいつか書きたいとずっと思っているくらいだ。

とりあえずその第一話

第一話はパイロット版で製作年が随分前なので画風が違う。
カートゥーン・ネットワークにはこういうパイロット版をたくさん放送する枠があって、人気投票をして上位に来るとTVシリーズになれるというシステムがあって、これもその一つ。二つ目からは画風が一気に変わるが、まだこの時期はダークな雰囲気が強く、後のアナーキーさはない。とりあえずマンディに罵られたい踏まれたい。
ちなみにリンボーダンスとリンボ(辺獄)が掛かっている。
あとすさまじいディフォルメをかけられた背景美術に注目。

音楽物3本

初期最高傑作である二本目の作品の歌は日本語もかなり頑張っているけど、原曲の方がさらによい。

ちなみにこの歌手Voltaireというんですが
ゴスミュージシャンでありゴスコミックアーティストで
ゴスファンの間では結構有名な人物。

The Book of Deady 1The Book of Deady 1
著者:Voltaire
Sirius Entertainment Inc(2006-02-06)
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Ooky SpookyOoky Spooky
アーティスト:Voltaire
Projekt Records(2007-07-31)
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ちなみに「ゴス」と日本の「ゴスロリ」は別の物なので注意。
本編は題名は『リトルショップオブホラーズ』のもじりだし、導入から最後のまさかのオチまで一気に見せる構成も見事。スリラーへのオマージュも決まってるし、何よりマンディがいい。マンディをさしだすことを少し戸惑うビリーも良い。
あと、マンディが窓から外を見るシーンは停止すると「はいてない」のを確認できるので、この時期ネットの一部で話題騒然となりました。

三本目はディズニーの『ファンタジア』のパロディ。
『ファンタジア』はニコニコで見られます(ディズニー動画はめったに消されません)ので一度見てみると質の高さに仰天できるかも。
一本目はHR/HMのパロディとしてなかなかいい。これは日本語にするのは難しそうだな。

時がたつにつれ、キャラクターがいい感じに動いてきて、だんだんカオス度が高くなってくる。ビリーはどんどんお馬鹿に、マンディはどんどん高飛車に、そしてグリムはどんどん哀れに。そして宇宙の法則はどんどん乱れる。


これくらいの時期からマンディの顔が初期の丸みを帯びた物から鋭角的なものに変化していく。どっちも好物です。あとすさまじい色彩設定にも注目。部屋が単色ってどういうことなの。あとはマンディの紫のネイルかな。知り合いの女の子の爪が真っ黒かったのをどう突っ込もうか(というか、どうからかおうか)考えているうちに、結局突っ込み忘れたことを思い出します。一体爪をそういう色に塗ることにどんな社会的メッセージがあるんだ。
ちなみにこのビリーズブートキャンプ、私は完走しました。


一本目はアニー賞「最優秀ディレクター・テレビアニメ部門」受賞作。こんなのに良くやるよ。カートゥーンに一番出てくる中毒が砂糖中毒なら、カートゥーンに一番出てくる恐怖症はピエロ恐怖症である。ジョニー・デップもピエロ嫌いだったっけ。あとアーウィンは死ねばいいと思う。後半に出てくるエリスは混乱と争いの女神。トロイア戦争の火種。今でもちゃんと信者いる神様なので、詳しくはここを見よ。
wikipedia ディスコーディアニズムの英語記事

そして一番のお気に入りはこれ。フレッド初登場

日本のアニメにおけるあらゆるウザキャラが束になっても絶対にかなわない真のウザキャラ。
日本のアニメでいつも不満なのは、馬鹿なキャラを出しても度を超えた馬鹿にはならないし、ウザキャラを出してもほどほどのウザさしか出さないことだ。やるんだったら徹底的に。これがすべての表現の鉄則だと思う。
そんな中途半端なことやっているから、愛されるキャラを作ろうとしてウザいキャラを作ってしまったりするのだ。目指すべきはこう言うウザさを超越した時に訪れる、謎の可愛さである。
なお。ミュージカル部分は原語で聞くと綺麗に韻を踏んでいるのだが、日本語訳ではそれが再現出来ていなくて残念。

突っ込み所満載の日本旅行記

こいつら怪獣映画とか好きなんだろうな。あとキルビルネタとかAKIRAネタとか、昔のハンナ・バーベラネタとか盛り沢山で楽しい。

そしてフレッド再登場

ちなみにアメリカン・カートゥーンにはアイスクリームと同じくらいの頻度でフローズンヨーグルトが登場します。しかも色々な味の。アメリカに行った知り合いのN田さんに聞いたら、やはり妙にフローズンヨーグルト屋を見かけたとのこと。
他社ニコロデオンの人気キャラクター『スポンジボブ』似のキャラが登場。

日本アニメ(?)のパロディとジョン・ウ―のアクション映画のパロディが楽しい回。

しかしグリムの能力は話を展開させるのに便利だ。暗黒ドラえもんと呼ばれるゆえんである。しかし鳩(笑)。

ニコロデオンの人気教育番組のキャラ「ドーラ」を勝手にゲストキャラとして登場させた回。親切にも『ドーラ』がどんな作品なのか分かるように、冒頭に一部を入れてくれてる。

最初は私服だったビリーたちの学校が、この頃にはなぜか制服になっている。まあ、マンディは制服も可愛いですけどね。しかし教育アニメのキャラをこんな風に使うなんてスタッフはようやるよ。教室の横に「READ A BOOK STUPID」って書いてある。後ろには「1+2=SUN」の文字が。日本人へのメッセージであろうか。あと、グリムは子ども向け教育番組をみて楽しいのか? ちなみにボールペンの筒を使って紙を口で丸めた吹き矢を吹くのは、本当にやるらしいです。イギリス人の英会話教師が言ってました。

有名声優三石琴乃が登場する回

ちなみに「負け犬」と訳されている「loser」はアメリカのスクールカーストの最下層を意味する相当強い言葉。あとなぜかこの回は制服じゃなくて私服。今日も平和だ。

ここら辺までが黄金期。この後ビリマンはカオス度が行き過ぎて展開がグダグダになり、急速に駄目になっていき、そのままシリーズ終了してしまいました。この手の作品の面白さは水ものなのです。

なお、マンディに萌えた人はこんなのもあります。
グリムテイルズ(日本語訳)
同人作家ブリードマン氏のWeb comic『グリムテイルズ』。何とグリムとマンディが結婚して子供もいます(カップリングの文句は私に言わないで)。日本語訳が途中まで読めます。
なお親サイトのどれみっちの穴では『萌え絵で読む虚航船団』が連載中。これも面白いぞ。

長くなって済まんね。
マンディ様への愛がほとばしってしまいました。
いつか日本版のDVDが出ることを祈りながら、この記事を終わります。

スペクトラ・ナゴヤ~あいちトリエンナーレ2010~

あいちトリエンナーレのイベント、スペクトラ・ナゴヤに行ってきました。


9/24-25、名古屋に住んでいる人は無料でこういうのが見れたと思います。



スペクトラ名古屋3











さらに500円払った人はこういうのが見れました。



スペクトラ名古屋5

 

 

 

 

 

スペクトラ・ナゴヤというのは、名古屋城の二の丸広場に、上の写真のような光の柱を立てるという、池田亮司という人の作品でした。会場では、ポヤ~ンという感じの音がながれていて、不思議な感覚になります。

この作品(イベント?)、どうやって楽しむのが本当なのかはよく分かりませんが、自分なりにはけっこう面白かったです。少なくとも、カップルで楽しむもんでないのは確かだね。ザマーミロ!

まず、会場で思ったのは、虫って意外と高いところにもいるんだな、ってことです。虫が光の柱にぶつかると、チカチカ光るんだけど、エーそんなに上空に!?ってくらいに高いところでも、チカチカしている。普段、上を向いても、そんなに高いところにいる虫なんて見えないし、見えたとしても目印になるものがないと高さが実感できないですよ。あとは、こうもりなんか来ないかなー、と思って見てましたが、残念ながらこうもりは来てくれませんでした。こうもりはやっぱり惜しいことをしたね。昔は、夜、光るものなんて無かったから、目が見えるメリットも少なかったけど、今は光るものでいっぱいだから、多少でも光を感じられたら虫がいっぱいいるところも分かるのに。そういえば、上空に虫がたくさんいると思ったけど、あれは光の柱があったからか?光の柱が無いところではどうなんだろう。上空に虫がいようがいまいが、大したことじゃないけど気になるな。知っているようで、知らない。見えそうで、見えないという状況が、もともと、何も無いようなところにも、例えようの無い魅力を作り出すのだなあ。

で、この作品の魅力のひとつは遠くからでも見えるということだったと思います。私も、会場を出て、名古屋市外からこの光の柱を見ることができました。残念ながら、ケータイの写真では映らなかったので、写真はありません。が、これはすごく感動的な経験でした。

何が感動的だったかというと、どの雲が名古屋城二の丸広場の上空にあるかが分かったことです。私がこれを見た9/24は夕方から夜にかけて、曇り→晴れ、という天気だったので、光の柱が真上の雲にぶつかったところに、ぼんやり月のような光の塊が見えます(最初の写真参照)。というわけで、この光の塊を映し出している雲が二の丸広場上空の雲なわけです。普通、雲の高さなんて分かりませんから、どこに見える雲が、どこの上空の雲かなんて分からないですからね、あの雲は隣町の雲なのか、それとも岐阜?それともアメリカ?とかよく気になってました。まあ、雲の位置が特定されただけでも十分感動的だと思いますが、びっくりしたのは、それまで光の塊が映し出されていた雲が、風で流されて二の丸広場上空を離れたときです。雲が流されて、そこに映る光の塊が消えたと思いきや、新たな光の塊が、最初の雲の遥か上のほうに見えていた雲に映っていたんです!上のほうに見える雲ほど自分の近くにあるもんだと思い込んでいたので、これは意外なことでした。

BlogPaint

←こんな

 

 


雲の立体的な配置を意識することって、あまり無いですよね。


と、光の柱は普段は得られない情報の数々を我々にもたらしてくれたと思います。ありがとー、光の柱よ。

現在とはいつなのかについてもう一度考えてみた。

とりあえず壁に向かって座り、いつまでが今で、いつからが未来なのか実験中なう。

今現在今なう

今のところ今なう

未だ今なう

今はまだ今なう

いまかいまかと今なう

!?

今未来なう!

駄目な子ほどかわいい? New Order

さて、vocalであり、精神的柱でもあったイアン・カーティスを失ってしまったJoy Divisionの面々、音楽やめる気は全くなかった模様。下手のくせに。
とりあえず以前からときどきサポートとして入ってもらっていたジリアン(後にスティーブン・モリスの嫁)に正式メンバーとして入ってもらい、名前を心機一転New Order(新体制)と変えて再始動。必然か偶然か、この用語もナチスの用語らしいのだが、別に意味はないとのこと。まあ、この適当さがこいつららしい。で、席が空いてしまったvocalなのだが、いろいろ紆余曲折があって、バーニーがguitarと兼任することに。別にバーニーが一番歌が上手かったわけではなく、というか明らかにバーニーはメンバー中一番歌が下手(ついでに演奏も下手)なのだが、まあ適当に選んだのだろう。

何歌ってるのか分かんねえし、弾きながら歌えねえし、ちゃんと弾けてねえし。
でも、このときはまだピリピリしてるね。まあ友達が死んでまだ一年だしね。でも、何というかこいつら、イアンがピリピリしていたからピリピリしていただけで(Joy Divisionはパンクの中でも凶暴な部類に入るバンドだったらしい)、本当はパンクなところのあまりない、のんべんだらりとしていた人たちなんじゃないかと思えるところもある。New Orderになってからの音楽を聴いてもそう思う。

でまあ、そうやって再出発したわけだが、初期はやっぱりJoy DIvisionを引きずっている、というか、イアンのいないJDみたいな感じで、陰鬱な曲が多かったんだけど、そのうち、JDの後半すでに予兆があったように、エレクトリックサウンドを多用するようになると、曲の雰囲気が変わる。さらにその時期メンバーはニューヨークのクラブ(ちょうど80年代前半、クラブシーンが盛り上がっていた)で能天気に踊っていたらしいのだが、自分たちの音楽にもこのダンスの要素を入れたいと考えたらしい。
というわけで、陰鬱パンクロックとテクノサウンド、更にテクノダンスミュージックという、不思議な混合がここに生まれることになる。
『Blue Monday』

くそかっこええ! 冒頭のビートはkihirohitoPの『機械居子かく語りき』の冒頭の元ネタですな。重く暗い曲調とぺっらぺらのシンセ音が何とも言えない不調和を奏でております。歌詞はある男に「今俺はどんな気分なんだ? 今お前はどんな気分なんだ? 言ってくれよ」と問いかけ続けているうちに、その問いかけられている男が実は死んでいることが明かされる、というまさに
「イアンのことかーーーっ!」
という感じで、ちなみにエウレカセブンのサブタイトルの元ネタでもある歌の題名はイアンの死を他のメンバーが聞かされた日であるという。

と、このように、彼らはとてもいい曲を書く人たちなのだが、再三言ってきたように演奏能力や歌唱能力が心もとない人たちでもある。JD時代はまだ良かった。曲が単純だったから、でもこいつらこんな複雑な曲演奏できるの?
その答えがこれ。

弾けてねえ! 歌えてねえ! ていうか服装から、やる気ねえだろ、お前ら。まずまともにキーボード弾ける奴を連れて来てよ。NOの曲のコード構成が鍵盤の白い部分だけで弾けるように周到に計算されていることは良く指摘される事だが、鍵盤が黒とか白とか以前に両手で弾ける奴がいないし、指一本奏法だし。エレクトロニクスの導入で一番割を食っているのがスティーブンで、ドラムが必要なくなったので仕方なくキーボードを叩いてますけど、下手で泣けます。なんでシンセドラムをたたくのがフッキ―なんだろう。フッキ―、ベースってのはそういう音を出す楽器じゃないと思うんだ。これは私の大好きな曲だけに、泣いていいやら笑っていいやら。ちなみにこの時期に日本に来てるけど「二軍が来たのかと思った」とNOの大ファンの石野卓球に思わせる出来だったらしい。しかも本人たちも納得がいかなかったらしく、帰りかけたところまたいきなりJDの曲を弾きはじめて、帰ろうとする客と引き返そうとする客が大混乱になって、主催者が無理やり演奏を止めるというお茶目な幕引きだったらしい。迷惑な奴らだ。

ここからNOはますます、ダンスに傾倒しのーてんきになっていく。そして次の名曲『The Pefect Kiss』が来る。
あとで紹介するがNOのpvはどれも凝ったものが多く、それが彼らの演奏の下手さを覆い隠してくれているのだが、このpvは怖ろしいことにへたくそな演奏風景をただとっただけである。監督は『羊たちの沈黙』で有名なジョナサン・デミ(この人のとった演奏ではTalking Headsの物も重要)。

曲がさらに複雑にそして脳天気になってるのに、相変わらず歌詞は
「イアンのことかーーーっ!」
という感じである。それにしても
「We believe the land of love」
の部分は恥ずかしい。
しかし、これだけ構成が複雑になっても一つ一つのフレーズは素人でも弾ける単純なものだから感心する。フッキ―のうねるベースは文句なしにかっこいい。「自分をギターだと勘違いしている」「リードベースギター」などと陰口を叩かれるが、ギターが頼りないからいいんじゃないか。バーニーはずっとカウベル叩いていればいいよ。でもいい曲です。

というわけでpv集。
『Temptation』

曲自体は『Blue Monday』より前の過渡期の作品。妙な明るさと、歌詞の絶望感のミスマッチ。

『Blue Monday』のpv。最初と最後が切られているのが残念。特にイントロは好きなのに。

無機質で冷徹。
あ、ちなみにこの歌はカラオケで歌うと全く盛り上がりません。本当です。

『True Faith』

賞をもらった変なpv。監督しているのは舞踏家のフィリップ・ドゥクフレ。で、結局誰の価値なわけ? バーニーの歌っているときの顔は相変わらず気持ち悪い。そしてドラムを叩いているスティーブンは誰よりも輝いている。

『Bizarre Love Triangle』

この曲も、ラブソングに見せかけてイアンのことを歌っているよな気がしてしまう。監督は現代芸術家のロバート・ロンゴ。

『Touched by The Hand of God』

コスプレ(笑)。しかしバーニーの似合わなさは異常。マンチェスターの腕白小僧にLAメタルが似会うはずもないか。その他の方々も似たり寄ったりです。

『1963』

女の子が可愛いので採用。こういう小説書いてみたいな(映像の方ね)。しかし妙に影のある歌詞しか書けないのかお前は。

『Reglet』

フッキ―は相変わらずベースを持つ位置が異様に低いな。そしてバーニーは妙に高い。
でこの曲が93年で、このあとこのバンドは一度活動休止する。そして2000年代前半に復活する。何が変わったか。バーニーの演奏及び歌唱スキルが上がった! もしかしたら活動休止する振りをして練習してたんじゃないかと思わせる出来だ。あと演奏しながら歌えるようになった!

お願いだから踊るのはやめて! ああ、バーニーは変わらないなぁ。

ちなみにこれが彼らの2005年の作品
『Krafty』

しかしこいつらの青臭さとみずみずしさはなんだろう。青春という名の大人になれない奇病にかかってしまったかのようだ。もうバーニーは表面だけだらしなく置いていっても中身は成長できないんだろうか。
でも歌詞は映像と違って別れの歌だよな。そこがNOということなのか。
そしてこれの爆笑バージョン

あ、やっぱ相変わらずだ、この人たち。恥ずかしいし、グダグダだし、馬鹿だし。ま、いいや。ずっとそんな感じでいて下さいよ。解散とか言わずに、馬鹿みたいに仲良くしてればいいんですよ。だから戻ってきてフッキ―。

イアン・カーティスの痙攣ダンス

ロック界には死の伝統がある。若いうちに死ぬことが伝説になるための条件の一つででもあるかのような空気が確かにある。そういう空気がもしなかったら、死なずに長生きして、胴まわりも声も太くなってしまいファンに飽きられながらも、どうにかスタイルを模索しながら生き残っていたんじゃないかと思うような奴だって何人かいる。私は、おっさんになってフォークギターの弾き語りなんかやっちゃったりするカート・コべインなんかを、結構見たかったなと思ったりするのである。
しかし、やはり何人かは、どう考えてもこいつは死ぬしかなかったんじゃないか、と思える奴らもいるものだ。イアン・カーティスもその一人だ。まず目が違うし、何より動きが変だ。音楽活動をしながら障害者の職業紹介所で働いていた彼は、自身癲癇持ちだったらしいが、一部で「タコ踊り」と呼ばれる彼のダンス(?)はもうほとんど発作と見まごうばかりだ。どう考えてもかっこよくはなく、どちらかというと苦しそうだ。目つきがおかしいのは、癲癇の発作を抑える薬で精神状態がおかしかったからだとも言われる。それだけでなく、自分で自分を追い込んでいく性格だったんじゃないかとも思う。歌詞を見ているとそう思える。J・G・バラードやW・S・バロウズの影響がうかがえる歌詞は、時に難解さを目指しそうになりながらも、自分の絶望や孤独をどうにか歌に乗せようという若さと生真面目さが感じられる。何より歌が下手なのがいい。音源によっては何を歌っているのかよく聞きとれなかったりする。Sex Pistolsの影響を受けてできたパックロックバンドなので、初期(Warsawと名乗ってた辺りか?)はやはり甲高い叫ぶようなvocalスタイルだったと聞くが、イアンの発案でJoy Division(ナチスの将校用慰安所)と名前を変えてからは、どちらかというと地声に近そうな低いこもったような声で歌っている。
ついでに言うと他のメンバーも上手くなくていい。そこそこの技術を持っていそうなのはDrmsのスティーブン・モリスだけで、guitarのバーニーもbassのフッキ―も下手だ。その後フッキ―のスタイルは奇妙な進化を遂げることになるが、それはまた別の話。何だか、こいつらの場合、下手さゆえの一所懸命感が妙な緊張感を出しているし、音としても下手で硬いのが全体の無機質な雰囲気と会っているのだ。その後、テクノサウンドに向かう全長みたいな物も感じられる(この時代からKraftwerkを聞いていたらしいし)。
少し話がずれた。とにもかくにも、下手なくせに、無機質で暗いサウンドと世界観が受けてJoy Divisionは1979年に一躍時代の寵児になる。

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しかし、イアンは精神状態も家庭状況もどんどん悪くなり、1980年、アメリカツアー出発を翌日に控え自殺(妻との離婚問題が引き金だとも言われる)、80年代という不思議な時代の幕開けとなるとともに、一つの時代の弔辞になってしまう。23歳であった。墓石には彼の代表曲の題名である「Love Will Tear Us Apart(愛が私たちを引き裂く)」が妻の希望により刻まれた。

というわけで映像である。といっても実質一年しかやっていないバンドなんで映像はあんまりない。その中から定番はやっぱりこれ。
『Transmission』

ラジオというのは「ノスタルジー」の象徴としてもつかわれるけど、「孤独」の象徴になることも多い(谷山浩子の『電波塔の少年』を聴くべし)。その中でも、好きな曲だ。イギリスのパンクの多くが体制への怒りを歌っていた中だったのが逆に、内省的な文学パンクが受ける素地になったのであろう。

異形ダンスが一番すごいのは恐らくこれ。
『She's Lost Control』

「狂わんばかりの風車へと変化していくあの様」(スティーブン・モリス)。あまりに変なので、笑っていいのか悪いのか悩むほどだ。ほんとに発作起こしてステージでぶっ倒れたこともあるらしい。歌詞はイアンの務める職業安定所に通っていた少女が癲癇の発作で死んでしまったことについて歌っている。最後の方でイアンの痙攣ダンスをスタッフが冷静に見つめているのが、不思議な違和感を醸し出して不気味である。暗い内容の歌詞といびつなダンスについて家族以外のまわりの人間は今思えば不思議なほど心配していなかったそうである。そういうものかもしれないなぁ。

これはおとなしめ。でもやっぱり意味不明な動きだ。そして演奏も歌も下手だ。

まともなlive映像って本当にこのステージくらいしかないんですよ。

そう言えばイアン・カーティスについての映画『コントロール』でイアンの約をやった役者はこのダンスをほとんど完璧にコピーしていて驚いたなぁ。
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最後にpvを一つ。『Love Will Tear Us Apart』。この曲が収録されたアルバムが発売される前にイアンは死んでしまいました。

Joy Divisionの曲はスタジオ収録の曲の方がより無機質な印象を受ける。またすでにシンセサイザーを曲にとりいれているのが分かる。
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Joy Divisionは結局この二つのアルバムしか残さなかったが、これらはのちに多大な影響を与え、「オルタナティブ」と呼ばれる非商業主義の流れの源流になる。一番最初に上げたカート・コべインなんかもその中にある。

でも、バンドはなくなってもメンバーは残ってしまう。イアン亡きあと、他のメンバーがどうなったのかは次回。
どう考えても、花火のように太く短い命に見えるこのバンドが、名前を変えてまた音楽界に別の一大潮流を作るんだから、不思議な話である。
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