ほとんどのアメリカンカートゥーンは日本ではほとんど知られていない。
その中から特に私の気にいっている物を紹介したい。
それは『ビリー&マンディ』。
最初はダークな雰囲気の方が強かったけど、どんどんハチャメチャギャグの成分が多くなって中期は最高だった。ホラー映画やクトゥルウのパロディが満載で、ネタを満載しすぎての投げっぱなしもすがすがしく、こういう雰囲気の作品をいつか書きたいとずっと思っているくらいだ。
とりあえずその第一話
第一話はパイロット版で製作年が随分前なので画風が違う。
カートゥーン・ネットワークにはこういうパイロット版をたくさん放送する枠があって、人気投票をして上位に来るとTVシリーズになれるというシステムがあって、これもその一つ。二つ目からは画風が一気に変わるが、まだこの時期はダークな雰囲気が強く、後のアナーキーさはない。とりあえずマンディに罵られたい踏まれたい。
ちなみにリンボーダンスとリンボ(辺獄)が掛かっている。
あとすさまじいディフォルメをかけられた背景美術に注目。
音楽物3本
初期最高傑作である二本目の作品の歌は日本語もかなり頑張っているけど、原曲の方がさらによい。
ちなみにこの歌手Voltaireというんですが
ゴスミュージシャンでありゴスコミックアーティストで
ゴスファンの間では結構有名な人物。

著者:Voltaire
Sirius Entertainment Inc(2006-02-06)
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アーティスト:Voltaire
Projekt Records(2007-07-31)
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ちなみに「ゴス」と日本の「ゴスロリ」は別の物なので注意。
本編は題名は『リトルショップオブホラーズ』のもじりだし、導入から最後のまさかのオチまで一気に見せる構成も見事。スリラーへのオマージュも決まってるし、何よりマンディがいい。マンディをさしだすことを少し戸惑うビリーも良い。
あと、マンディが窓から外を見るシーンは停止すると「はいてない」のを確認できるので、この時期ネットの一部で話題騒然となりました。
三本目はディズニーの『ファンタジア』のパロディ。
『ファンタジア』はニコニコで見られます(ディズニー動画はめったに消されません)ので一度見てみると質の高さに仰天できるかも。
一本目はHR/HMのパロディとしてなかなかいい。これは日本語にするのは難しそうだな。
時がたつにつれ、キャラクターがいい感じに動いてきて、だんだんカオス度が高くなってくる。ビリーはどんどんお馬鹿に、マンディはどんどん高飛車に、そしてグリムはどんどん哀れに。そして宇宙の法則はどんどん乱れる。
これくらいの時期からマンディの顔が初期の丸みを帯びた物から鋭角的なものに変化していく。どっちも好物です。あとすさまじい色彩設定にも注目。部屋が単色ってどういうことなの。あとはマンディの紫のネイルかな。知り合いの女の子の爪が真っ黒かったのをどう突っ込もうか(というか、どうからかおうか)考えているうちに、結局突っ込み忘れたことを思い出します。一体爪をそういう色に塗ることにどんな社会的メッセージがあるんだ。
ちなみにこのビリーズブートキャンプ、私は完走しました。
一本目はアニー賞「最優秀ディレクター・テレビアニメ部門」受賞作。こんなのに良くやるよ。カートゥーンに一番出てくる中毒が砂糖中毒なら、カートゥーンに一番出てくる恐怖症はピエロ恐怖症である。ジョニー・デップもピエロ嫌いだったっけ。あとアーウィンは死ねばいいと思う。後半に出てくるエリスは混乱と争いの女神。トロイア戦争の火種。今でもちゃんと信者いる神様なので、詳しくはここを見よ。
wikipedia ディスコーディアニズムの英語記事
そして一番のお気に入りはこれ。フレッド初登場
日本のアニメにおけるあらゆるウザキャラが束になっても絶対にかなわない真のウザキャラ。
日本のアニメでいつも不満なのは、馬鹿なキャラを出しても度を超えた馬鹿にはならないし、ウザキャラを出してもほどほどのウザさしか出さないことだ。やるんだったら徹底的に。これがすべての表現の鉄則だと思う。
そんな中途半端なことやっているから、愛されるキャラを作ろうとしてウザいキャラを作ってしまったりするのだ。目指すべきはこう言うウザさを超越した時に訪れる、謎の可愛さである。
なお。ミュージカル部分は原語で聞くと綺麗に韻を踏んでいるのだが、日本語訳ではそれが再現出来ていなくて残念。
突っ込み所満載の日本旅行記
こいつら怪獣映画とか好きなんだろうな。あとキルビルネタとかAKIRAネタとか、昔のハンナ・バーベラネタとか盛り沢山で楽しい。
そしてフレッド再登場
ちなみにアメリカン・カートゥーンにはアイスクリームと同じくらいの頻度でフローズンヨーグルトが登場します。しかも色々な味の。アメリカに行った知り合いのN田さんに聞いたら、やはり妙にフローズンヨーグルト屋を見かけたとのこと。
他社ニコロデオンの人気キャラクター『スポンジボブ』似のキャラが登場。
日本アニメ(?)のパロディとジョン・ウ―のアクション映画のパロディが楽しい回。
しかしグリムの能力は話を展開させるのに便利だ。暗黒ドラえもんと呼ばれるゆえんである。しかし鳩(笑)。
ニコロデオンの人気教育番組のキャラ「ドーラ」を勝手にゲストキャラとして登場させた回。親切にも『ドーラ』がどんな作品なのか分かるように、冒頭に一部を入れてくれてる。
最初は私服だったビリーたちの学校が、この頃にはなぜか制服になっている。まあ、マンディは制服も可愛いですけどね。しかし教育アニメのキャラをこんな風に使うなんてスタッフはようやるよ。教室の横に「READ A BOOK STUPID」って書いてある。後ろには「1+2=SUN」の文字が。日本人へのメッセージであろうか。あと、グリムは子ども向け教育番組をみて楽しいのか? ちなみにボールペンの筒を使って紙を口で丸めた吹き矢を吹くのは、本当にやるらしいです。イギリス人の英会話教師が言ってました。
有名声優三石琴乃が登場する回
ちなみに「負け犬」と訳されている「loser」はアメリカのスクールカーストの最下層を意味する相当強い言葉。あとなぜかこの回は制服じゃなくて私服。今日も平和だ。
ここら辺までが黄金期。この後ビリマンはカオス度が行き過ぎて展開がグダグダになり、急速に駄目になっていき、そのままシリーズ終了してしまいました。この手の作品の面白さは水ものなのです。
なお、マンディに萌えた人はこんなのもあります。
グリムテイルズ(日本語訳)
同人作家ブリードマン氏のWeb comic『グリムテイルズ』。何とグリムとマンディが結婚して子供もいます(カップリングの文句は私に言わないで)。日本語訳が途中まで読めます。
なお親サイトのどれみっちの穴では『萌え絵で読む虚航船団』が連載中。これも面白いぞ。
長くなって済まんね。
マンディ様への愛がほとばしってしまいました。
いつか日本版のDVDが出ることを祈りながら、この記事を終わります。