けんさく。

けんさく。が、いろいろ趣味のことをやるページです。

2011年08月

あの木材

知り合いの箱屋さんの社長(ものを輸送するときに入れる箱を作る仕事)と話をしてたら、東北東日本大震災で本来の仕事が激減して、生き残るために多角経営しなくてはいけなくて忙しい、という話を聞いたので、どんなことをやっているのか、と聞いたら、ヴィレッジヴァンガードに木材を入れる仕事とのこと。ああ、あの木材はあなたが! と思って、適当な木材でもいいから安上がりですね、と思わず言ったら、そんなことはない、ちゃんとしたものを入れてる、と言われてしまう。だって、あんなのただの雰囲気作りですやん。なんか店に頼まれてハロウィンの棺桶を作ったこともあるんだって。世の中、いろんな仕事があるんだね。

一期一会 間違えてこのブログに来た人へ

アクセス解析を見てると、このブログの訪問者のほとんどは、web検索などで、間違えてこのブログに来た人だと分かる。そういう人たちは当然、このブログの上を通り過ぎていき、大概二度と通りはしない。
つまり、一期一会ということだ。
そういう人たち(つまりあなた)にとって、この支離滅裂で節操のないブログがどういうものか、考えると笑えるやら情けなくなってくるやらだが、それでも何か意味のある出会いが出来たらいいと思う。
もしその中から、リピーターが現れたら、これは軽い奇跡みたいなものだ。
そしたらSETIだって、夢じゃないぞ!
このブログ書いてると本当にときどきアクティブ・SETIをしている気分になる。どことも、誰がいるとも分からないところへ情報発信し続けている、と言うのはなんだか無意味な行為で格好いいなあ、とか考えているのである、こいつは。ハハハ。

けんさく。の映画評7 映画をBlow upする! 『欲望』

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凄い映画だ。
あらすじはこうだ(DVDの裏からそのまま引用)。
人気写真家トーマス(デビッド・ヘミングス)はある公園で逢引をしている男と女(バネッサ・レッドグレープ)を撮影する。写真を撮られた事に気付いた女はネガを譲ってくれと家まで押しかけるが、トーマスは別のネガを渡す。ネガを現像すると、そこでは逢引をしていた男の死体らしきものが写っていた。公園に行ってみると、果たして男の死体があった。しかし、トーマスが死体を撮影する為に再び公園を訪れると、死体は跡形もなく消えていた。すべてはトーマスの白昼夢だったのか?それとも…?
僕はこれを読んだとき、「ありきたりだな」と思った。同時に「でも王道だ」と思った。つまり料理の仕方によってどこまでも面白くなるだろう、と。
そのときは考えもしなかった。これが究極のネタバレあらすじだなんて。
どういうことかと言うと、この映画で起こることはもうこのあらすじで言いつくされている。111分のこの映画で公園で死体を見つけるのは90分より後だし、死体が消えるのはほとんど終わり近くだ。
つまり、この映画はハリウッド映画なら最初の15分から20分でやることを111分かけてやっているのだ。(映画のシナリオの勉強がしたい人は岡田斗司夫の『オタク学入門』のストップウォッチを持って映画をみる部分を読むといい。
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著者:岡田 斗司夫
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ハリウッド映画のシナリオが15分刻みの厳密なタイムラインに従っていることが分かる)
言いかえれば、この映画のストーリーはこの程度しかないのだ。ストーリーがこれっぽっちしかないなら、この映画には何があるのか?
細部だ。この映画には細部しかない、と言ってもいい。
ちなみにこの映画の原題は『Blow Up』。一部の数学者や数学ファンなら即座に「特異点解消定理」と言うどころだが、ここではもちろん違っていて、「引き延ばし」を意味する写真用語だ。実際この映画では写真の細部を見るためにblow upする。偶然なのか意図なのか、この映画も同じようにストーリーをblow upして映画の細部を見せてくるのだ。
その細部とは、1960年代のロンドン(スウィンギング・ロンドン!)の風景、人びと、ファッション、車、音楽(The Yardbirdsの貴重な演奏映像が見られる。エリック・クラプトンもかつて在籍したバンドのジミー・ペイジとジェフ・ベックの二大超有名ギタリストの共演時代は短いので映像があまり残っていない。演奏するのは『Train Kept A Rollin'』の替え歌の『Scroll On』。ちなみにシ―ナ&ロケッツの『レモンティー』って曲は作曲は鮎川誠とクレジットされているが、この曲とまったく同じ。と言うかこの曲の元ネタはさらに古く、50年代からいろんな題名で何回も作りなおされてる)、などようは当時のロンドンの空気。これに注目するだけで相当面白い映画だ。
そしてその空気の中を漂うように生きる主人公の隠された無気力さ(一見成功者で活発な活動をしているように見えるけど)。この主人公がキビキビ動いていれば、話もちゃんと動いたし、もしかしたら事件も合理的に解決したかもしれないのに。
この主人公、なかなか動かないし、動いても全部思い付きで動く。やきもきするったらありゃしない。
でもそこが一種のリアリティーとなって当時(1966年制作)物凄くウケたのだろう。
監督はミケランジェロ・アントニオーニ。イタリア三大映画監督の一人。原作、と言うか元になった小説はフリオ・コルタサル、アルゼンチンの小説家の『悪魔の涎』。
悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集 (岩波文庫)悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集 (岩波文庫)
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映画のテーマは「愛の不毛」なんだって。へー。

僕個人の趣味はもうちょっとエンターテインメントなものなので、ここで褒めているほど、実は肯定的には鑑賞してはいなかったんだけど、もし映画について勉強したいと思っている人は、必見の映画だと思う。「雰囲気映画」の極北として。

追記:この映画が難解と言われる理由は多分最初と最後に出てきた白塗り集団じゃないかな、と思う。それ以外には分かりやすい映画としか思えない物。多分あれは、イタリアの仮面喜劇か何かの伝統があるんじゃないかな、と推理する。つまり道化だ。道化は愚か者を装うことにより、半分社会の外部にいることが出来る。だから社会を外部から相対化し、批判する特権を得るのだ。あいつらも半分社会の外にはみ出す事により、社会を外から見ることが出来るのだろう。最後のボールもラケットもなしのテニスのパントマイムは、「人間のやることなんて、この玉無しテニスと同じ、実態のないルールに縛られた物に過ぎないのだ」と言うことを道化的に表現しているんじゃなかろか。ま、適当な推理なので、あまり自信はないが。

いわゆるテクノ御三家

今でこそ、「テクノ」という音楽用語はクラブなんかでかけられるある種のダンスミュージックを表す言葉として定着した感があるが、最初のうち(1980年前後)はなんだかよく分からない言葉だった。シンセサイザを使ったバンドくらいの意味でつかわれていて、やっている音楽はそれぞれまったく別物だった。世界的にテクノの先駆者と言われている人びとで、例えば「KRAFTWERK」はプログレの文脈から出てきたし、「YMO」はフュージョンだし、「DEVO」はパンクだ。もちろん、「KRAFTWERK」や「YMO」の音楽は後のダンスミュージックとしての「テクノ」に強い影響を与えた。だけど、当時のテクノのイメージはどっちかと言うと、「DEVO」みたいなポストパンク、当時「ニューウェーブ」と呼ばれていた「パンクなんだけど、素直にパンクやっても仕方がないからひねくれたパンクをやろう」と言う流儀に近かったような気がする(詳しく言うと「テクノポップ」と呼ばれるジャンル)。「New Order」なんかはパンク出身でしかもダンスミュージックでクラブの申し子だから、両方の流れを持っている稀有な例だろう。

と言うわけで、1980年前後の日本のテクノの状況を見てもらうために興味深い記録映像を見てもらおう。
テクノ御三家「P-MODEL」「ヒカシュー」「PLASTICS」の登場だ。

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「P-MODEL」は平沢進を中心に結成されたバンドで、メンバーの名前がコミック『けいおん!』の登場人物の名前の元ネタになったことで知っている人もいるかもしれない。初期のスタイルは完全にパンク(もしくはポストパンク)である。似ているのは上で説明した「DEVO」かあるいは初期の「XTC」であろうか。
XTC 『Neon Shuffle』

XTC 『Statue of Liverty』


後期になるとパンクを捨ててまったく別物のバンドになるのも似てるといえば似てる。
後期XTCは歌詞に皮肉さを残しながらも王道ポップソングメイカーに
XTC『Mayor of Simpleton』


それに対してP-MODELはパンクの要素を消したらポップの要素もどこかに行き、電子音楽の要素を強めるとともに所属不明の民族音楽のような響きを加えていく。宗教めくというか。いつしか「平沢師匠」と呼ばれるようになる。
P-MODEL『SPEED TUBE』

『2D or NOT 2D』

キーボードで出来た要塞にいつも吹く。『けいおん!」でもいつかやればいいと思う。

謎pv集
『論理空軍』

『世界タービン』

『ASHURA CLOCK』


その他の謎
『非局所性薬膳』

『FU-RU-HE-HE-HE』

これがカラオケに入っているのが最大の謎。歌ったけど。

P-MODELではなく平沢進個人の活動としては、夭逝した今敏監督のアニメーション作品の音楽(『千年女優』『パプリカ』等)を担当していたことで知られる。
『パプリカ』EDテーマ『白虎野の娘』



「ヒカシュー」は巻上公一を中心に結成されたバンド。もともとは巻上公一が主宰していた劇団を母体にしていたもので、演劇、フリーインプロヴィゼーション、民族音楽、ジャズ、クラシック、雅楽など様々な要素を次々と導入していくことが特徴で、テクノ的要素が強かったのは初期のみ(初期ですらそれほど強くはない)。巻上公一は様々な特殊ヴォーカリングを身に付け、ヴォイスパフォーマーとして世界的に活動している。彼のホーミー(モンゴルの口と鼻から二種類の音を出す伝統歌唱法)はTVアニメ『ターンAガンダム』のオープニングで聞ける。


その他の謎の映像集

『びろびろ』

眩暈がするね

『パイク』

やはり演劇的要素が強い

『幼虫の危機』

これぞアンダーグラウンドの臭い

巻上公一のヴォイスパフォーマンス


これも必見。KAITOによる『パイク』のカヴァー。作ったのはVOCALOIDに特殊な歌わせ方をしたら右に出る者はいないうどんゲルゲ!

巻上公一のあの変な動きまでカヴァーするとは……

3たまによる『20世紀の終わりに』のカヴァー

たまはヒカシューの影響を受けていそうである。


「PLASTICS」はイラストレーターの中西俊夫、ファッション・スタイリストの佐藤チカ、グラフィック・デザイナーの立花ハジメを中心に結成された素人バンド。そこになぜかプロのミュージシャンの佐久間正英(プロデューサーとしてはGLAY、JUDY AND MARY、L'Arc〜en〜Ciel、THE BLUE HEARTS、BOØWY、TOKIO、エレファントカシマシ、筋肉少女帯などプロデュースしたバンドの名前を挙げてくだけで日本の音楽業界が描かれていくようなお人。この人の関わった音を聞いたことのない日本人などいない)が加入し、なぜかプロとしてデビュー(しかも日本よりも早くイギリスで)してしまう。
佐久間の能力もあって、国内外でかなり受けていたのだが、割合早く解散してしまう。原因は、佐久間はこのバンドのコンセプトを「プロの仕事に裏打ちされた素人感覚」と考えていたようだが、素人組が「音楽家としての向上欲」を持ってしまったことのようだ。難しいな。
感じとしてはアメリカの「B-52's」に似ている(名曲『Top Secret Man』などは特に顕著)。
The B-52's 『Rock Lobster』

この人たちも相当変な人たち。DEVOと仲間らしいし。ちなみにバンドの名前の由来はキーボード弾いてる姐さんのあの盛り上がった髪形の名前。

PLASTICS 『Top Secret Man』


『COPY』


なんだかよく分からないけど楽しそうでなによりな時代である。

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けんさく。の映画評6 夢を見ることを忘れない人へ 『UFO少年アブドラジャン』

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映画はスティーブン・スピルバーグへの手紙で始まる。あなたの『E・T』をコルホーズ集会で見てとても感動したので、うちの村で起こった同じような事件を見てくれ、と言う話なのだ。
そこはウズベキスタンのある小村、コルホーズ集会でモスクワから謎の飛行物体が接近中と言う電報が読み上げられたその夜、村にUFOが墜落し、その中から一人の少年が出てきた。

そのUFOが素晴らしい。アルミのバケツにしか見えない。どう考えても空を飛ぶものじゃない物が飛んでいる違和感が最高だ。私はすぐにロバート・F・ヤングの『空飛ぶフライパン』を思い出した。
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フライパン工場で働く女のもとに降り立つフライパン型宇宙船の話だ。それと同じで、これはSFと見せかけたファンタジーだ。
そのためにはこの映画のあまりにもちゃちい特撮技術は最適だ(これが彼らの限界なのかどうかは良く分からん)。

その宇宙人の少年、ヨーロッパ人風の顔立ちが街の中で異彩を放っている(ウズベキスタンでの西洋人のイメージについて考えさせられる)はアブドラジャンと名付けられ、不思議な能力で村に大騒ぎをもたらす。
テレポートを使って、徴兵で別れ別れになった親子を一時的に合わせたり、ほうきに空を飛ぶ能力を与えて、村人中の人間をほうきにまたがらせて飛び回らせたりする。このシーンは本当に傑作。山とか森とか畑とかの写真をプリントアウトした神(継ぎ目見えてる)の前にピアノ線で釣ったほうきにまたがった村人がぶら下がっててカメラに向かって手を振るのだ。何もかもが信じられないほどちゃちすぎて感動した。ピアノ線が見えてることを馬鹿にしてきたことを反省せざるを得ない。

しかし、ここまでなら、正直私の想像の範囲内であり、そこそこの映画どまりである。牧歌的なコミュニティー(悪人と言ったって悪徳村長どまりの、日本で言うなら藤子不二夫や赤塚不二夫の描いていた、古き良き日本みたいなもの)に不思議な能力を持った異物が混入して、一度は混乱するが、願い事が叶ったり、問題を解決したり、小悪党を懲らしめたりするうちに、いつしかコミュニティーの一員として認められる。これは見慣れた物語であり、これらの作品群はすでに日本では作られにくくなっている(最近原恵一という時代錯誤な才能によって『河童のクゥと夏休み』という作品
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が作られたが)ので、なつかしいし羨ましくはあるが、見たことのない代物ではありえない。
私はいつだって見たことのないものを求め続けている。
しかしラスト近くのシーンで私の予想は良い方に裏切られてしまう。それも立ったひとつのセリフにより。(ネタバレあり。ここから先は映画の本質にかかわることを書くので、未見の方はご注意を)


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