けんさく。

けんさく。が、いろいろ趣味のことをやるページです。

2012年03月

印欧語語源探訪

以前、online etymology dictionaryを紹介したとき、「語源学は遊べる」という話は書いたと思うが、またネタがたまったので記事にしたいと思う。

古代インドの聖典「Veda」はもともと「知識」という意味だが、これはPIEの“*weid-”=「見る」から来ている。「見る」という言葉に「知る」という意味が出来るのはよく見られる現象である(そう考えると、「sapiens」=「知識」の語源「sapio」が「味わう」という意味なのは珍しいのかも。「science」の原義は「分ける」であり、これは日本語の「分かる」と共通しているので珍しくない)
例えば、ケルトの司祭兼政治指導者であった、「Druid」は「daru」+「vid」であり、これは「オークの賢者」を意味し、後半はもちろん「veda」と同語源である。
これはゲルマン系の言語を通して英語にも入っており、「wit」=「智恵、ユーモア」や「wise」=「賢い」、「wizard」=「賢者、魔術師」などの言葉になるほか、少し音が変化して「guide」=「導く」などの言葉になる。
また「wise」に「方法」という意味が出て英語の「otherwise」や「likewise」、「clockwise」という言葉が発生する。ここで「もしかしてwayも?」と考えるのが人情だが、これは「運ぶ」が原義でむしろ「weight」などと関係が深いんだそうだ。ふむふむ。
英語ではないが、名前の意味である「真実」を全く報じてこなかったこととして有名なソ連共産党の機関紙「Pravda」の後半も同語源である。
一方、ラテン語からロマンス語を通して英語に入った流れはどちらかというと、「見る」という意味を残している。
「vision」、「view」、「video」などである。

で、ここら辺までは確か以前の記事にも書いたような気がするけど、最近気付いたのは、哲学用語でギリシャ語の「idea」=「イデア」と「eidos」=「形相」が両方とも「見る」と意味する「idein」から派生しており、これはもちろん、上の様々な言葉と同系統だ、ということだ。
(「イデア」はプラトン哲学の根本用語で、「形相」はアリストテレス哲学の重要用語である。プラトンによれば、この世のすべては非物質的な「イデア」の影に過ぎず、本当に存在するのは「イデア」なのだ。だからひとつひとつの「机」は、本当に存在するものではなく、本当に存在するのはそれらの原型である「机のイデア」だ、という議論だ。それにたいしてアリストテレスは「机」を、それを実現するための材料である「質料」、例えば「木」と、実現された形である、「机の形相」に分け、「形相」は「質料」なくしては存在し得ない、と考えた)
「idea」も「eidos」も元は「見た目」という意味だったのだ。
「idea」は英語の「idea」=「アイディア、観念」という意味になっていまだに使われ続けている。
それに対して、「eidos」は「見た目」という部分が拡大され、「見た目だけのもの」という意味から、「idol」=「偶像」、つまり(キリスト教から見ての)異教徒が拝む神の象を表すようになる。フランシス・ベーコンの「四つのイドラ」もこれである。
そしてもちろん、ここから「人びとが熱狂的に支持する人物」という意味の「アイドル」が出てくるのである。
さらに、「見た目」の意味から「eidos」を接尾辞にしたのが、「-oid」である。これは「~に似ている」という意味なのだ。
人間に似ているから「anthropos+oid」=「anthropoid」=「類人猿」、望遠鏡で見ても恒星と同じで点にしか見えないのに惑星みたいな挙動をするから「aster+oid」=「asteroid」=「小惑星」、アルカリみたいだから「アルカロイド」、etc。
でも、日本人にとっては「モンゴロイド」=「黄色人種」とか「ネグロイド」=「黒人種」とか「コーカソイド」=「白人種」などの人種を意味する使い方がより心に残ったのか、『ガンダム』における「スペースノイドとアースノイド」みたいな、人種を表す接尾辞と勘違いする例も多い。
なんだよ「スペースンみたいなの」とか「アースンみたいなの」ってのは?

というわけで今回の記事は終わり。
これを書いてて思いついた話としては、いつかフランシス・ベーコンの「四つのイドラ」に対応した「四人のアイドル」の出てくる話を書こう。
「種族のアイドル」
「洞窟のアイドル」
「市場のアイドル」
「劇場のアイドル」
面白そうじゃありませんか?
私には面白そう何だがなあ……

そう言えば書くの忘れてたけどブリトラ再結成おめでとう

ブリトラ再結成だってね!

これからも馬鹿らしいハモりを聞かせてくれるといいね!

今日はお休み 

そのうちに好きな俳優紹介とかもしたいな。
クラウス・キンスキーとか、リー・ヴァン・クリ―フとか、ハリー・ディーン・スタントンとか、マーティン・フェルドマンとか……

『殺しが静かにやってくる』 雪景色の異色ウェスタン

殺しが静かにやって来る スペシャル・エディション [DVD]殺しが静かにやって来る スペシャル・エディション [DVD]
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン.クラウス・キンスキー
販売元:エスピーオー
(2007-05-25)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


西部劇なのに一面雪景色だし、主人公が幼いころ口封じで喉を切られていて一切喋らないし、持ってる銃がこの手の作品には珍しい自動拳銃だし、ヒロインが黒人だし、ラブシーンがあるしと西部劇として異色づくめのこの作品。何よりの見どころは、敵役のクラウス・キンスキー! 意地のわるそうな青い目と金髪、そしてもちろんあのねっとりとした喋り方。どんなキャラクター小説でも太刀打ちできないくらいキャラ立ちまくりである。私利私欲のためにはなんでもやる最低の卑劣漢なのに、一周回って魅力的なのは凄いとしか言いようがない。しかも、相手が自分よりも強いことを理解しながら、勝つために冷静に動いていく様は、緊張感に見てて胸がキリキリする。
しかもまた雪に包まれた画面がその緊張感を増すんだよなあ。雪の中でのガンファイトとか、雪の中での馬と徒歩での逃走劇とか、馬上からの鞭を避けようと雪の上を転げまわるのとか、西部劇のお決まりをただ雪の上に移し替えただけなんだけど、西部劇の乾いた感じが一転、雪の清冽な感じに変わっただけで凄く新鮮。なんでこの後、この手の雪上西部劇が作られなかったのだろうか? 疑問だ。

ちなみに私がこのカルト作品を知ったのは、またそのアニメの話か! って感じだけど、実は『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』の最終回直後に、2chのアニメ板で当然のことながらあのラストについて議論が交わされていたときのことだったのだ。
私がラストですべてを(意味不明に)ひっくり返した作品として、ルチオ・フルチのある作品を未見の人にネタバレしないように題名伏せて挙げたら、その道に詳しい人が、わざわざそれが『地獄の門』だと答え合わせまでしてくれた上で、ファンゴリアマガジン日本版のインタビュー記事を引用して、裏話を教えてくれて、「ファンゴリアとかおっさんだなあ」と思っていたところ、「パンストのバッドエンドは「殺しが静かにやってくる」を思い出す」というその人の発言があったので気になっていたのだ。
見てみたら、壮絶なバッドエンドでしたけど、別に似てはいませんでした。
詳しいおっさんの嘘つき!

地獄の門 -デジタル・リマスター版- [DVD]地獄の門 -デジタル・リマスター版- [DVD]
出演:クリストファー・ジョージ
販売元:エスピーオー
(2010-08-25)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
フルチの映画はどれもサイテー!

ハイテンション香港ホラー『妖艶霊鬼』は結構面白いぞ

妖艶霊鬼 [DVD]妖艶霊鬼 [DVD]
出演:クワン・メイ・ポウ
販売元:ラインコミュニケーションズ
(2008-06-20)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

それほどメジャーな作品じゃないけど、見てみたら結構面白かった。
話は簡単に言うと、引っ越しした家に霊がついててポルターガイストや怪死事件が起こって、除霊騒ぎになるってだけのもので、別に取り立てて語ることはないのだが(なんか英国支配がストーリーに関わっているような気もするのだが、正直どうでもいい)、とにかくリズミカルにことが起こっていくので飽きない。娘に霊が乗り移ってマージャンをしていた風水の除霊師達に襲いかかるところも、宙に浮いたり腕がもげたり、特撮は非常にチャチいのだが、とにかくドッタンバッタンのリズムが良いので気持ちがいいのだ。映画とは絵が動くことなのだから、よく動くことがやはり面白さの基本なのだ。これは何もアニメーションに限った話ではない。
そして香港ホラー独特の真面目なのかギャグなのか全く分からない話の展開(というか大真面目な展開に平気でギャグを入れるデリカシーのなさ)。これと一緒にボックスで買った『魔界天書』には、
魔界天書 [DVD]魔界天書 [DVD]
出演:ビリー・チョン
販売元:ラインコミュニケーションズ
(2008-05-20)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
大真面目な対決シーンに、中国妖怪のキョンシーに対抗して西洋妖怪としてドラキュラを召喚するシーンがあったりして、いたくずっこけた。いい加減にしろ、とも思うが、これが癖になってたまらなくなるのである。
とにかく『妖艶霊鬼』だが、終盤になると主人公と同一の魂を持つイギリス人に依頼されたヒンドゥーだか何だかのインドっぽい魔術師が現れて、よく分からないハイテクを持ちだして、電磁波的装置で除霊しようとする。こっから先の、最後の意味不明な大爆発と、呆然としているうちにスタッフロールが始まって「あ、終わったのか」と呆れさせるご無体なスピード感は、なんか納得感とは別の生理的すっきり感を感じてしまって結構好きだな。

ちなみに『妖艶霊鬼2』という題のDVDもあり、
妖艶霊鬼2 [DVD]妖艶霊鬼2 [DVD]
出演:ウン・ピシャ
販売元:ラインコミュニケーションズ
(2008-06-20)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
ストーリーはほぼ同じだが、全体的にリズム感がなく、「糞リメイクか」と思っていたのだが、最近調べてみたらこっちの方が制作時期が1年早い。
こっちが1作目だったのが、どうも日本に来るときに逆さまになったらしい。
なんでだ?
Leaves of Words
記事検索
最新コメント
月別アーカイブ
プロフィール

けんさく。

QRコード
QRコード
タグクラウド
  • ライブドアブログ