けんさく。

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2012年11月

半年近くも小説を上げていないことに気付く。

いや、ここに上げてないだけで、書いていないわけではないのだが……
とはいっても、それも3作ほど。
ネタはあるし、時間さえあれば書くのだが。
必要以上に忙しくて困る。

17世紀のおっさんが隠れて買って読んですぐに捨てたエロ本 『娘たちの学校』

名古屋大学の近くの古本屋、シマウマ書房で安かったのでこんなものを買った。
ピープス氏の秘められた日記――17世紀イギリス紳士の生活 (岩波新書 黄版 206)ピープス氏の秘められた日記――17世紀イギリス紳士の生活 (岩波新書 黄版 206)
著者:臼田 昭
販売元:岩波書店
(1982-10-20)
販売元:Amazon.co.jp
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著者から、ある人物に謹呈されたものらしく、その人物について調べたところ、割と最近亡くなられた名大の英文学部の教授らしい。
亡くなって家族が売ったというパターンであろうか。

それはともかく、これはかなり面白い本で、サミュエル・ピープスという17世紀イギリスで、仕立て屋の息子から、ケンブリッジ大学を卒業して、王政復古に時流に上手く乗って、平の役人から最後には海軍の最高実力者にまで昇りつめた人物の日記を、分かりやすく解説してくれている。
その日記自体は国文社から翻訳が出ていて、1987年から出版が始まり、25年後の今年の初めにようやくすべてが出そろった。
サミュエル・ピープスの日記 第1巻 1660年
著者:サミュエル・ピープス
販売元:国文社
(1987-12)
販売元:Amazon.co.jp
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サミュエル・ピープスの日記〈第10巻〉1669年サミュエル・ピープスの日記〈第10巻〉1669年
著者:サミュエル ピープス
販売元:国文社
(2012-02)
販売元:Amazon.co.jp
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日記というのは、歴史書が書き残してくれない、どうでもいいような日常の些事が書いてあって、結構面白い。
この日記でも、妻との性生活の話とか、浮気の話とか、教会でいろいろなご婦人に色目を使ったり、ミサの最中に隣に座ったご婦人の体触ったりしたとか、賄賂の話とか、賄賂の代わりに交渉相手の妻と交渉を持った話とか、そういう下世話な話に満ちていて面白い(ちなみに性的な記事はフランス語イタリア語スペイン語ドイツ語ラテン語ギリシャ語を混ぜた謎の国際語で書かれているらしい。妻に読まれてはまずいと思ったのであろう。ローマ字で日記を書いた啄木と同じであろうか)。
なおこの男、自分は浮気しまくってるくせに、妻とそのダンス教師の男が少し仲よくすると、無茶苦茶やきもちやいて、非常に自分勝手である。
しかも、物凄くケチで、貯金の額を数えるのが趣味みたいな男で、妻の服を買うのにもいちいち文句をつける。妻が自由に扱える小遣いを認めるのにも、かなりの時間がかかる。その割に自分の服は豪華なものを買う。
同僚の悪口がたくさん書いてあるのも、素晴らしい(日記文学として)。

もちろん下世話な話だけではない。
決して聖人君子なんかではないこの男、でも日記を読んでいると確かによく働くのである。出世して一財産作っただけのことは有る。金の勘定するのが好きなだけはある。
貯金以外のこの男の趣味は、演劇鑑賞である。シェイクスピアの死から50年後のこの時代に、どんな演目が行われ、どういう風に見られていたかが分かるのは非常に貴重である。

また、この時代には、幾つかの重要な歴史的事件があった。
17世紀中盤、この日記が書かれはじめる少し前には清教徒革命があって、国王チャールズ一世が処刑されている。ピープスはそれを実は見ていて、若いころは相当過激な発言もしていたらしい。
ところが、ピープスの出世のきっかけは、王政復古のときに親戚だったエドワード・モンタギューが議会派から王党派に鞍替えするのについて行って、チャールズ二世の弟であり、後のジェームズ二世になるヨーク公とともに海軍の立て直しに尽力したことなのだ。(ちなみに、エドワード・モンタギューは艦隊を率いてチャールズ二世をオランダに迎えに行った功績によって初代サンドウィッチ伯爵に叙任される。つまり、あの“サンドウィッチ伯爵”の祖先なのだ)
そしてついこの間まで、新しい時代を作り上げようとしているように見えた人々、国王の処刑に署名した者たちが処刑されるのも、ピープスも目にする。
そして、学生時代の友人が自分の発言を覚えていないかどうかに戦々恐々したりするのだ(せっかく掴んだ出世のチャンスがふいになってしまいかねない)。
同時に、今自分がとりあえずくっ付いて甘い汁を吸っている王党派の面々だって、いつまで栄華を誇れるものやら、と思いを巡らす。
栄枯盛衰とはまさにこのことである。

また、1665年には、ロンドンでペストの大流行があり、7万人が死んだ。
ニュートンはペストから田舎に疎開している間に、万有引力その他の理論を作ったと言われる有名な疫病だ。また、少年時代この疫病の猖獗を経験したダニエル・デフォーは半世紀後に名ドキュメンタリー『ペスト』をものする。
そしてピープスも、この流行の間、次々と人が死んでいき、赤い十字の印がつけられた家が増えていくのを、実に日常的な筆致で書いている。
流行はロンドンの外からやってきて、ゆっくりとじわじわ広がっていく。ピープスの掛かりつけの医者も、ペストで死んでいる。ピープスは、妻を田舎に疎開させ、いざというときのために遺言書を作成する。
しかし、さすがはピープス、ペスト流行の間も女の尻を追いかけることは止めず、そこここで、快楽を追求しているほか、日記に「この疫病の時ほど、陽気にくらしたことはない(それにこれほど収入の多かったこともない)」などと書いてしまう。
人間これくらい神経が図太くないといけないね。

また、有名なロンドン大火事もあった。『黒死館殺人事件』を読んだ人は覚えているだろう。あの本を読むと、殺人事件の細かい部分は忘れてしまうが、「ロンドン大火の銅版画」だけはなぜか忘れられない。それ以外は本当に覚えていない。あ、なんか死体が光ってたような気がする。あと、四大の精霊が云々……
四日四晩燃え続けたというこの大火事の記事もかなり面白い。初日の朝3時半ごろ起こされたときは、遠いので何とも思わずまた寝てしまうのだが、次の日テムズ川を通って現場近くに行ってみて、初めてその混乱ぶりを見る。そして、せっかく溜めた財産を田舎に非難させたり、地面に埋めてみたりしたりしながら、ピープスは無能な市長に変わって、先んじて家を壊すなどの鎮火策に走り回るのである。
また、この時期イギリスは第二次英蘭戦争を戦っていたのだが、ペストに火事にと踏んだり蹴ったりで、オランダ艦隊がテムズ川を遡上し、停泊中の軍艦を捕獲するなんて、事件も起きる。
結局、イギリスはこの戦争に負ける。そして、国民の怒りの矛先は、風紀が乱れ金遣いの荒い王室に向かうかと思われたが、父親が処刑され亡命の時期も長かったチャールズ二世は上手く、しっぽ切りを行う。その結果、戦利品の不正な取得で失権していた、ピープスの恩人エドワード・モンタギューにもそのお鉢が回ってくる。そうすると次は当然ピープスの番なわけだ。
ピープスはここでも、上手く立ち回り、今まで作り上げた人脈を使い、次に依るべき大樹を探し、様々な根回しをする。最後には、あらゆる権限をはく奪しロンドン塔への幽閉や処刑をする権利まで持つ議会を向こうに回し、何時間に及ぶ大演説をぶちあげるのだ。
これによって、ピープスは役人としての危機を脱し、ますます出世街道にまい進するのだ。

ヨーク公とともに行った海軍育成の功績は今に繋がっている。第二次英蘭戦争時の海軍は強制徴募によって、平和な家庭から連れ去られて、こき使わされたあげく、現金は貰えず給料代わりの金券を渡されるも、世間でははそんな紙切れは二束三文で買いたたかれている。
それというのも、王政復古の興奮が冷めた後は、国庫の財布の紐は締まりっぱなしなのに、華美驕奢の風はなはだしい宮廷はどこまでも金食い虫。海軍に金が回ってくるはずもないのだ。
もともと烏合の衆だった海軍は、恩給ももらえなければ、捕虜になっても身代金ももらえないとあって、暴動寸前である。士気も指揮系統もあったものではない。
そんな中、ピープスは海軍規定の作成に奔走。例えば、恩給対象者の把握のために自分用に作った乗組士官と将官名簿は後に作成された士官名簿の原型となり、階級制度を生み出すきっかけとなる。また仕官制度の改革案を提示して、乗組員の中に推薦状を授与して将来の海軍将官への昇進手順として制度化する。これが、半給制度と合わせて海軍の専門化に繋がるのだ。
さらには、当時「礼砲は奇数、弔砲は偶数」という決まりしかなかった礼砲の発射数に決まりを作ったのもピープスだ。今ではこのルールが、世界中で使われている。これも元はと言えば、際限なく撃っていては金が掛かり過ぎるから作った決まりなのだ。

ここでようやく本題に入る。
その彼の人生で一番大変だったであろう時期の日記に、こんな記載がある。

マーティン書店に立ち寄る。妻に翻訳させようかと思うフランス語の本があった。『女学校』という大である。だが中を除いてみると、はじめてお目にかかるような猥雑でみだらな本だ。『旅の娼婦』よりなおひどい――読むのが恥ずかしくなった。
その後、ピープスは委員会の喚問が住み、肩の荷が下りてから、もう一度この本屋に立ち寄る。日記ではあんなこと言っているが、どうしても気になるらしい。男心というやつであろうか。

ストランドの本屋へ行った。一時間ばかり居て、例の碌でもない不真面目な本『女学校』を買った。仮綴じのままだ。というのは、読んでしまったら、すぐそれを焼くつもりだから。蔵書目録や蔵書の中にこんなものがあってはならない。見つかったら恥になる。
起床後、午前中ずっと書斎で、その後役所で仕事の合間に、『女学校』を少し読んだ。大変な猥本である。だが、真面目な人間として一度は目を通しておくのも、この世の邪悪さが分かって、損ではない……書斎に入って、『女学校』を読み通した。猥本であるが、知識を得るには読んで悪いものであはない〔ここで一行。例の国際語で。思わず雄心を誘われた次第が述べてあって〕読後、焼却した。蔵書の中に残って恥をかいてはならないから。
そこまで言い訳しないとエロ本も読めないのか、と若干哀れを催してしまいそうになる。だいたい仕事中にあんた何やってんだか。なお、この『女学校』はピープス文庫には残っていないらしい。

と、いうところで私はなにか思い出すことがあったのだ。
「『女学校』っていう題名の昔のポルノ? なんだか覚えがあるな」
と、本棚を探ってみたら、あったあった。これ日本語訳が出てて、昔買ったんだ。

娘たちの学校
著者:M・ミオー
販売元:ペヨトル工房
(1988-05)
販売元:Amazon.co.jp
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なんだ、こんな本くらいで騒いでたのか、ピープスさん。
どうってことない本じゃん。
出版社がペヨトル工房だし、淫ら過ぎて教会によって焼かれた本だというから期待したのに、読んでみたら、初体験をすでにすませた女の子が、まだな子に、「ああだった、こうだった。最初は痛かったけど悪くなかった」みたいな話をいろいろ教えて、もう一人の子も、無事初体験を済ませることが出来てめでたしめでたしっていう、なんだかヒジョーに可愛らしい本だったんだ。
17世紀の人達は、こんなので大騒ぎしてたんだなあ、と思うと、なんだか感慨深いものがあるようなないような気がしていたんだが、ピープスもこの本を読んだのか、と思うと、なんだか歴史上の人物が身近に感じられるようである。
歴史というのは、こういうどこにでもいるスケベなおじさんみたいな人によって作られているのである。

追記:そう言えばこのおっさん、日記によると、想像力だけで「イク」ことができたようだ。
一回はテムズ河に浮かんだボートの中、そしてもう一回は教会で綺麗な女性に見とれながら、だそうだ。
ばち当たりとかそういうことの前に、非凡な才能と言えよう。

世の中にはいろんな馬鹿な死に方があるんだよ♪ 『Dumb Ways To Die』

一週間ほど前に投稿されてから、すぐに世界中で有名になった動画。
流行りに乗るのは好きじゃないけど(というか微妙に乗り遅れてるけど)、文句なしに面白いので。

メルボルンの鉄道会社「Metro Trains Melbourne」の事故防止キャンペーンで作られたミュージックビデオ。

公式サイトはここ
http://dumbwaystodie.com/
このコンテンツをまとめたのが、上の曲というわけだ。
この曲はitunesでも発売されて、たちまちオーストラリア1のヒット曲になってしまったとか。
嫌なブームだな。
ちなみにここから無料配布されてMP3でダウンロードできる。
http://soundcloud.com/tangerinekitty/tangerine-kitty-dumb-ways-to
定番のビートルズパロディのジャケットも素晴らしい。
DumbWaystoDie-artwork.jpg
無料配布されてるのに、お金出して買ってる人がたくさんいるってのが、この曲がよほど受けていることの証拠なのであろう。
音楽業界にはそれくらいの、商売をして欲しいものである(高すぎる要求)。

とにかく毒が効いていて、にもかかわらず曲調はしっとりしているのがいい。騒がしくないHTFというか。
イギリスの絵本の「Mr.Men」とか、NHK教育の「こんなこいるかな」みたいなデザインも可愛くて、黒さを際立たせている。
鉄道会社がこんなもの作っていいのかとも思うが、面白いからいいのである。

バルトルシャイティスの『覚醒と驚異 幻想のゴシック』はいつ出るのかなあ

バルトルシャイティスの日本語で読めるものはだいたい読んでしまったのに、まだまだ読みたくてたまらない。
アベラシオン バルトルシャイティス著作集 (1)アベラシオン バルトルシャイティス著作集 (1)
著者:ユルギス・バルトルシャイティス
販売元:国書刊行会
(1991-05)
販売元:Amazon.co.jp
アナモルフォーズ バルトルシャイティス著作集(2)アナモルフォーズ バルトルシャイティス著作集(2)
著者:ユルギス・バルトルシャイティス
販売元:国書刊行会
(1992-02)
販売元:Amazon.co.jp



イシス探求 バルトルシャイティス著作集 (3)

著者:ユルギス・バルトルシャイティス
販売元:国書刊行会
(1992-11)
販売元:Amazon.co.jp

鏡 バルトルシャイティス著作集(4)鏡 バルトルシャイティス著作集(4)
著者:ユルギス バルトルシャイティス
販売元:国書刊行会
(1994-12)
販売元:Amazon.co.jp
幻想の中世〈1〉ゴシック美術における古代と異国趣味 (平凡社ライブラリー)幻想の中世〈1〉ゴシック美術における古代と異国趣味 (平凡社ライブラリー)
著者:ユルギス バルトルシャイティス
販売元:平凡社
(1998-06)
販売元:Amazon.co.jp
幻想の中世〈2〉ゴシック美術における古代と異国趣味 (平凡社ライブラリー)幻想の中世〈2〉ゴシック美術における古代と異国趣味 (平凡社ライブラリー)
著者:ユルギス バルトルシャイティス
販売元:平凡社
(1998-07)
販売元:Amazon.co.jp

国書刊行会の月報によると、『覚醒と驚異ーー幻想のゴシック』が平凡社から刊行予定なのだが、それが1994年だから20年近く立つ。
やはり、フランス語が読めなければいけないのか。
私は、数学の勉強でもフランス語が読めなくて苦労したのだ。
EGAやSGAはブルバキセミナーはなぜか英語に訳されないし、モデル理論でも、Bruno Poizatっていう、超他言語マスターのくせに、フランス語でしか書きたがらない変人がいて、フランス語を見る機会が結構多い。
語学は正直苦手だが、もう一度チャレンジするか。

マイリトルポニー三期始まりましたね。

さっそく字幕版も上がっていました。

アップルジャックの訛りが強く表現されているところが、賛否があるようです。
なお、ひまわり動画にも以前から訳してくれている人の動画が上がっています。
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