去年の続き

実は三人の旅はとっくの昔に終わっていたのでした。
「え?」
「は?」
「どゆこと?」
実は三人は旅が終わったことにも気づかずに旅を続けていたのでした。
「つまり俺たちはとんだ間抜けだったってことか」
「じゃあどうしよう帰ろうか?」
「だが無理だ。帰るのも旅の一部だ。旅が終わったのだったら、僕らはここにいるしかない」
そうなるとバルタザールとホルミスダスとバダダハリダの三人組はそこに暮らすしかないのでしょうか。
三人は周りを見回します。
「僕、こんなところに住むのは嫌だなあ。だって何もないじゃない。僕は川がないところに住むのは嫌だな」
「川はないけど岸があるし、岸と岸を繋ぐ橋もあるからそれで我慢しよう」
「でも俺は山がないと嫌だな」
「山はないけど、頂があるし、麓もあるからそれで我慢しよう」
「でも人が1人もいないじゃないか」
「確かに人はいないけど、世間や社会がちゃんとある。なんとかやっていけるさ」
三人はお互いを慰めあいますが、実は誰も納得していないのでした。
「そうだ。ここに住むんだったら絶対に必要なものがある。もしそれがここにあるなら住んでもいいだろう」
ホルミスダスが突然そういうので、バルタザールとバダダハリダは傾聴します。
「旅だ。ここには旅があるのか。ここに旅があるなら、旅をするのをやめて、ここに住んでもいい」
「もしなければ?」
バルタザールは訊きます。
「探しに行こう」
「どこに?」
ホルミスダスも訊きます。
「どこかにだ」
そう言って、ホルミスダスは歩き出します。西の空には彼らを導く星が今も輝いていました。

(来年のクリスマスに続く)