そういえば、未払い賃金の件で事情聴取を受けに労基署に行ってきた。超面白かったし、行ったことない人ももしかしたら多いのかもしれないので、備忘録として書いておこう。
どういうことかというと、前の会社が潰れたんで、給料の一部が貰えてない。それが限度額を超えると、国の制度で税金から八割保証される。その話をとある大学院生にしたら、世間知らずの大学院生らしく「ぼろ儲けじゃん、嘘の会社作って潰せばいいじゃん」と言い始めたが、無論そんな簡単な話じゃない。
実態もないのにこの制度を悪用すれば、倍の金額を国に収めなくてはいけなくなり、しかも詐欺罪に問われる。そしてもちろん、ちゃんとした審査がある。その審査のための事情聴取が面白かった。
例えば、僕がどこで働いていたのか、電話番号は何か、会社の場所はどこか、電話番号は何か。
この書類は見覚えあるか、どこで手渡されたものか、など一見給料の未払いと関係が薄そうな話を徹底的に聞いて、聴取書に書く。
しかも、
私は、2019年11月より
 株式会社ぺあのしすてむ
 住所 〒470-0214 愛知県みよし市明知町平成24番地
 電話 0561-32-8087
で働き始め
みたいな別行立て形式で書くのだ。
そのウェイトの置き方が「なるほど、これを複数人から聞いて事実関係に矛盾がないかを確かめて、事業の実在性を確認してるのか!」って思えてすごく面白かった(本当にそうなのかは知らん)。 そしてもう一つ面白かった質問は「社長は愛知県の最低賃金が○○円なのを知っていたでしょうか?」って質問である。
意図が分からなくて「あの性格なら知ってると思いますけど」って答えたら、その後給料の金額の話で「給与明細ではこれだけ払うことになってますけど、払われていませんね。愛知県の最低賃金ではこれだけ払わなくてはいけないのに、払われていませんね」と一円も貰ってないんだから当たり前なことを聞き始める。
そこまで聞かれてようやく、
(そうか、社長が「最低賃金を知りながらそれを払っていない」ということを確認してるのか!)と気づいた。そして(あの答えでよかったのか?)と後から少し思ったのが印象的だった。
あまり意識してなかったが、社長は払わなくてはいけない給料を払っていないので、罪に問われる可能性があるのだ。最後の方で「社長を罪に問う意思はあるか?」とも聞かれた。実際問題恩義を感じてるくらいなので、はっきり「ない」と答えた。

小説でもなんでもいいけど、なんらかの物語芸術をやってると、この手のイベントが興味深くて仕方がない。それぞれの業界の慣習にはその業界なりの意味があり、その業界なりの合理性を持つ。それが垣間見えたのが、とても面白かった。

あと、皆さんの税金から40万強ほどもらうので、よろしくお願いします。助かります。