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サンプリング

サンプリングによる曲作り

以前紹介したthe prodigyの『Voodoo People』と『Smack My Bitch Up』を、サンプリングと音の加工と編集で作るさまを、ウクライナ出身のDJ/プロデューサーJim Pavloffが再現した動画があるので、それを紹介しよう。
編集により新たな作品を作るというのが、どんな感じの行為なのかを考えてもらえると嬉しい。
ちなみに、全く同列には語れないが、私は小説書いてるとき、やっぱりこういう編集をしている気分になるときがある。
『Smack My Bitch Up』

「Smack My Bitch Upの作り方」


『Voodoo People』

『Voodoo Peopleの作り方』


ちなみに使っているソフトは「Ableton Live」。ループを扱うのがすごくうまいので、テクノとかダンス・ミュージック向けのシーケンサ。
当然、変拍子とか複雑な楽曲には向かないけど、そんなの必要ない。
名前の通りliveで威力を発揮する。
liveで使うリアルタイムパフォーマンス用のコントローラもたくさん出てて、その中でもカッコイイのが「LaunchPad」である。
M4SONIC『Weapon(Live Launchpad Mushup)』

M4SONIC『Virus(Live Launchpad Original)』

Madeonによる39曲のマッシュアップ

『ニャル子 ON THE BEACH』


映画なんかに出てくるボタンについて熱く語ってしまうボタンマニアとしては、なかなか眼福な機械である。
しかし使いこなせる自信はないのに欲しくなってしまう電子楽器は、「Reactable」以来である。

Mark Bellが使ってる変な機械。
しばらく経ったら、iPhone/iPadのアプリになって驚いたけど。そのうち何もかも、アプリになっていくのだろうな。

パンストの『Cherryboy Riot』のサンプリング元

前回紹介した、「サンプリング」という手法は、Hip-Hopで発達した「音楽の一部を素材にして別の曲を作る」手法だが、そこでもう一つ紹介した電子音楽で発達した「サンプリング」は「曲とは限らない声や音を録音して曲の材料にする」という手法だ。
特にさかんなのが、声をサンプリングした「声ネタ」だ。歌とは限らず、映画のセリフやニュースなどから切り取ってきたものを曲の中で使ってしまう。

これのネタ元を探すのが結構楽しい。
音楽家が好きなものや影響を受けたものが分かることもあるし、別の作品のサンプリング元が分かって疑問が解けたりする。
そうやって作品同士のリンクのツリーをさかのぼったり、降りたりすることで、知識の世界が広がっていくのだ。

例えば、つい最近あったことで、
私の好きなアニメ『Panty & Stocking with Garterbelt』の大ヒットした(アニメが大ヒットしたわけではない。でもこのCDはバカ売れした)サウンドトラック
Panty & Stocking with Garterbelt The Original SoundtrackPanty & Stocking with Garterbelt The Original Soundtrack
アーティスト:TCY FORCE produced by ☆Taku Takahashi
販売元:フライングドッグ
(2010-12-29)
販売元:Amazon.co.jp
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の中の一曲『Cherryboy Riot』

これの声ネタが気になって調べてみたのだ。

インターネットは偉大だ。すぐ出てきたよ。
Lutzenkirchen 『I House You』

へえ、Hardfloorの片割れ、Ramon Zenkerの元でサウンドエンジニアとして働いていた人なんだ。

そしてこれにはさらに元ネタがあるようで、
Jungle Brothers 『I'll House You』


これっていろんなものの元ネタになってるっぽいなあ。
電気グルーヴ『電気ビリビリ』

一番歌詞がヤバいヴァージョン
おー、電気グルーヴはいいのォ(涙)(泣く歌ではない)
他にもたくさんサンプリングネタが入ってるけど、私の知識ではとても全部分からない(ロボコップくらいしか)。

Poing(Jump a little higher mix)

ロッテルダムのガバはみんな変な曲だけど、これは特に好き。苦笑いするしかない。

声ネタの後半は別の曲
dj maddox 『Let's get this thing started』


この部分は人気らしくて、いろんなところで使ってる。
イタリアンのAlessandro Bacci変名Alex Kenji 『Let's Get This Thing Started』


Ebby Oxford 『Let's Get This Thing Started』



ちなみに、主人公と敵キャラのテーマソングも元ネタがある。
『Fly Away』

元ネタ


『Thema for Scanty & Kneesocks』

元ネタ


Panty & Stocking with Garterbelt THE WORST ALBUMPanty & Stocking with Garterbelt THE WORST ALBUM
アーティスト:TCY FORCE presents TeddyLoid
販売元:フライングドッグ
(2011-07-20)
販売元:Amazon.co.jp
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ちなみに2ndアルバムには、『Cherryboy Riot Part 2』が収録。

世界で最も重要な6秒間のドラムブレイク

著作権について考えるときにぜひとも知っておきたいのが、Hip-Hopやハウス・テクノ業界における、「サンプリング」という手法だ。
それは既存の音楽の一部を切り取ってきて、ループさせたり、ピッチや速度を加工したり、場合によっては原形をとどめぬまでに再構成して使う手法である。
同じ「サンプリング」という言葉であらわされる手法に、電子音楽において発達した、「人の声や工場や自然の音を記録して、素材として使う」もあり、最初は出自も内実も全然違うものだったが、両者の発展とともに、まぜこぜになって言っているような気もする。

そしてそのような「サンプリング」の元ネタとして、もっとも重要な「アーメンブレイク」について説明してくれるのが、次の動画である。

アーメンブレイクの歴史


アーメンブレイクが世界に最初に登場したのは次の曲の1:26である。
The Winstons 『Amen Brother』(1969)


それではこのドラムブレイクの変形の歴史を見ていこう。
長い眠りの後、これはサンプリングされ、1980年代後半から、Hip-Hopにおいて、ただ速度を遅くしてループさせるだけの手法で、幾つもの曲に利用されている。
N.W.A. 『Straight Outta Compton』(1988)


3rd Bass 『Wordz Of Wizdom』(1989)


MANTRONIX 『King Of The Beats』(1990)


1990年代に入ると、テクノにおいて、楽曲の複雑化が始まり、レゲエから発生した「ラガジャングル」で、ドラムブレイクをバラバラにして再構成する、ブレイクビーツの技術(これもHip-Hopによって発明された)が大々的に導入される。そこではこのアーメンブレイクを一度バラバラにし、複雑な音の構造体へと再構成している。
Shy FX & UK APACHI『Original Nuttah』(1994)


さらにそこからレゲエが抜けると「ジャングル」になり、
L.Double & Younghead 『New Style』(1996)


そこにジャズを足すと「ドラムンベース」になる。
4 Hero 『Escape That』(1998)

4 Heroは初期のドラムンベースの完成者。これは少し後の作品だけど。

そして、ドラムンベースのブレイクビーツをさらに複雑怪奇なものにしていくと、「ドリルンベース」と呼ばれる、非常に特殊なジャンルになる。
Aphex Twin『Girl/Boy Song』(1996)

ストリングとピチカートの美しいメロディと暴力的なブレイクビーツが奇妙に調和した「テクノ・モーツァルト」の傑作である。

Squarepusher 『VicAcid』(1997)

非常にジャズ・べーシストらしい作品で、こちらも傑作。

ブレイクビーツの手法がさらに奇形的に進化すると、「ブレイクコア」というジャンルになる。ここら辺になると、だんだん、音楽とノイズの区別がつかなくなってくる。

Hrvatski(Keith Whitman)『Routine Exercise』(1998)


Venetian Snares 『Szamar Mader』(2005) (映像はファンによる自主制作)

ちなみにチェロの音の元ネタはこれ
Edward Edgar 『Cello Concerto』


「ブレイクコア」というジャンルでは、激しく「サンプリング」を行うために、著作権的にアウトな作品が多く、表の世界にあまり出てこない(これない)。Venetian Snaresは、サンプルを自作するので、このジャンルで例外的にメジャーなアーティストになっている。アルバムのたびに、作風が変わることでも有名。
『Americanized』(2004)

『Die Winnypeg Die Die Die Fuckers Die』(2005)

『My So Called Life』(2010)

サイコーッ!!!


アーメンブレイクはこれらの電子音楽だけでなく、有名バンドの楽曲の中にも、知らぬうちにまぎれていたりする。
Oasis『D'You Know What I Mean』(1997)


Nine Inch Nales『The Perfect Drug』(1997)



このアーメンブレイクを取り囲む状況では、著作権の縛りが弱いことが発展にプラスに作用した。Hip-Hopにしても、ハウスやテクノにしても、DJ文化は最初、大規模商業とは遠いところで発生したので、そのような縛りが発生しなかったのだ。
しかし、ジャンルが発達し、金の臭いを嗅ぎつけた大企業が参入し始めると、すぐに著作権の問題が発生し、かつてあった楽園は消失する。その束縛を受け入れたものが(脱臭除菌された形で)表の世界に出ることができ、それが出来ないものは地下に残った。

ではなぜ、そんな著作権など我々は守っているのだろうか。それは決して必要悪なんかではない。

そもそも著作権について考えるときに忘れていけないのは、それは決して「自然なもの」なんかではないことだ。
自然な状態では著作権なんてない。人がやっていることはなんでも真似していい。そうすることによって、技術は伝わり、人類は発達してきた。
我々がなんとなく、「著作権は守らなくちゃいけない」と思ってるのは、文化的教育の賜物であり、そういう教育を受けなければ、人のやっていることを真似していけない理由など理解できない。
パクる側が自然なのであって、我々が不自然なのだ。そこを間違えてはいけない。
ではなぜ、そんな不自然な仕組みを作ったの?
そっちの方が、みんなが生きやすいと思ったから。
自分が作ったものを、自分が作ったとも知らずに、みんなが何の感謝もなしに使ってたら気分悪いでしょ? また新しいものを作ろう、なんて気分にはならないでしょ。だから、つくった人に、しばらくの間特権的使用権を認めようよ。というのが著作権だ。
しかしこれは際限なく強くしていいものではない。そうすれば、他の面で、それを享受しようと言う人々や、それを使って、自分で新しい作品を作ろうとする人々の邪魔をしてしまうからだ。
そもそもこの仕組みのこころは「製作者のプライドを満足させること」ではなく、「あたらしいものを発明する人をサポートする」ことにより、長い目で見れば「みんなが生きやすくなる」ことなのだ。
それが「あたらしくものを作る人」ではなく、「すでにものを作った人」や「すでに作られたものの権利を持っている人」を守ることに使われているのは明らかに本末転倒である。
Hip-Hopやテクノが自由にアーメンブレイクを使えたのは、権利者が存在を忘れていたからだし、同人誌やファンアートが許されているのは単なるお目こぼしだ。しかしこれは明らかに、危険な状態だ。
表現ジャンルの健康な発展のためにも、いろいろと考えなければいけない。

補記:別に私はバロウズみたいに、「盗め」と言っているわけではない。読みなおして、そう勘違いされるかも、と思って。
重要なのはバランスで、その時に気をつけなければいけないのは、「道徳問題」にしないこと。
「著作権侵害は道徳的に悪い」から著作権擁護するのでも、「大企業による既得権益が道徳的に悪い」から著作権反対するのでもなく、私たちが生きやすいバランスを見つけることが大事。それを道徳の問題にしてしまうと、どうしても「白か黒か」の議論になってしまうから危険なのである。
要は楽しく生きたいよね、って話である。
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